12 / 18
第3章 第3章:呪われ(てない)男装騎士は拳で運命を切り拓く
第12話 陛下は指輪を贈りたい
しおりを挟む
そしてフェルナン陛下は衣装店の次に、装飾店に連れて来てくれた。
といっても、キラキラジュエリーな雰囲気の店ではなく、主に魔法が刻まれた装飾アイテム品が売られている場所だ。
どうやらフェルナン陛下は、私の【女体化の呪い】を解くためのアイテムを探すため、ここをデートスポットに選んでくれたらしい。
(いや、でも呪われてないんだよな……)
フェルナン陛下が大真面目に店主の説明を聴いている姿を見ていると、私はなんだか申し訳ない気持ちになってしまう。
私が「買ってもらうとしても、安いキーホルダーにしとこ……」、などと思っていると――。
「アルヴァロ! この指輪には、退魔の印が刻まれているそうだ。ちょっと試着させてもらおう!」
「えっ」
フェルナン陛下は私の手を強引に取ると、キラキラと輝く指輪を近づけてきた。
それは印が刻まれているなんて硬派な代物ではなくて、ダイヤモンドの指輪――高級エンゲージリングに見えて仕方がない見た目をしているではないか。
「いやいやいや! これはダメでしょう!」
「何故だ? 退魔の印だぞ?」
「どこに?」
「内側にイニシャル的な感じで」
エンゲージリング感しかない!
いくらお忍びデート設定とはいえ、指輪はダメだ。
「隙ありッ!」
フェルナン陛下の凛々しい声が店内に響く。
そして戸惑っていた私の隙を突き、フェルナン陛下はこちらの指に退魔の指輪を強引に嵌めてしまう。
「あ、あぁ……!」
私は、指輪が輝く自分の指に視線を落とす。
(……右中指ィッ!)
左薬指じゃないのかよ、そりゃそうかと、今度は私のツッコミが私の心の中に響く。
「右の中指に付ける指輪には、邪気払いの意味がありますもんね……」
「よく知っていたな。俺は今しがた店主殿に聞いたばかりだ!」
フェルナン陛下がドヤ顔で胸を張り、店のカウンターで女性店主がにっこりと微笑む。
誰にも罪はない。ラブコメ展開を期待してしまった私が悪い。
「私に指輪はもったいないです。いつか大切な方に贈って差し上げてください」
私が笑顔を返すと、女性店主は意外そうな顔をして口を開いた。
「お二人は、許婚がいるにもかかわらず長年護衛騎士に想いを寄せていた貴族令嬢(なぜかミニスカート)と、ダメだと分かっていても主への愛が抑えきれなくなってしまった護衛騎士では⁉ てっきり恋仲かと思っていたのですが」
こちらの作った設定通りだが、考察力というか妄想力がすごいご婦人だな! ということには触れず。
「身分違いの恋ほど難しいものはありません。私は遠くから(できれば近くで)想うだけで十分なんです」
思わず本音を口にしてしまった。
私は、フェルナン陛下のお傍で片想いをしているだけでいい。
男であっても女であっても、従者としてお守りできればそれでいい。
片想い十年選手は伊達じゃないのだ。
といっても、キラキラジュエリーな雰囲気の店ではなく、主に魔法が刻まれた装飾アイテム品が売られている場所だ。
どうやらフェルナン陛下は、私の【女体化の呪い】を解くためのアイテムを探すため、ここをデートスポットに選んでくれたらしい。
(いや、でも呪われてないんだよな……)
フェルナン陛下が大真面目に店主の説明を聴いている姿を見ていると、私はなんだか申し訳ない気持ちになってしまう。
私が「買ってもらうとしても、安いキーホルダーにしとこ……」、などと思っていると――。
「アルヴァロ! この指輪には、退魔の印が刻まれているそうだ。ちょっと試着させてもらおう!」
「えっ」
フェルナン陛下は私の手を強引に取ると、キラキラと輝く指輪を近づけてきた。
それは印が刻まれているなんて硬派な代物ではなくて、ダイヤモンドの指輪――高級エンゲージリングに見えて仕方がない見た目をしているではないか。
「いやいやいや! これはダメでしょう!」
「何故だ? 退魔の印だぞ?」
「どこに?」
「内側にイニシャル的な感じで」
エンゲージリング感しかない!
いくらお忍びデート設定とはいえ、指輪はダメだ。
「隙ありッ!」
フェルナン陛下の凛々しい声が店内に響く。
そして戸惑っていた私の隙を突き、フェルナン陛下はこちらの指に退魔の指輪を強引に嵌めてしまう。
「あ、あぁ……!」
私は、指輪が輝く自分の指に視線を落とす。
(……右中指ィッ!)
左薬指じゃないのかよ、そりゃそうかと、今度は私のツッコミが私の心の中に響く。
「右の中指に付ける指輪には、邪気払いの意味がありますもんね……」
「よく知っていたな。俺は今しがた店主殿に聞いたばかりだ!」
フェルナン陛下がドヤ顔で胸を張り、店のカウンターで女性店主がにっこりと微笑む。
誰にも罪はない。ラブコメ展開を期待してしまった私が悪い。
「私に指輪はもったいないです。いつか大切な方に贈って差し上げてください」
私が笑顔を返すと、女性店主は意外そうな顔をして口を開いた。
「お二人は、許婚がいるにもかかわらず長年護衛騎士に想いを寄せていた貴族令嬢(なぜかミニスカート)と、ダメだと分かっていても主への愛が抑えきれなくなってしまった護衛騎士では⁉ てっきり恋仲かと思っていたのですが」
こちらの作った設定通りだが、考察力というか妄想力がすごいご婦人だな! ということには触れず。
「身分違いの恋ほど難しいものはありません。私は遠くから(できれば近くで)想うだけで十分なんです」
思わず本音を口にしてしまった。
私は、フェルナン陛下のお傍で片想いをしているだけでいい。
男であっても女であっても、従者としてお守りできればそれでいい。
片想い十年選手は伊達じゃないのだ。
60
あなたにおすすめの小説
【完結】氷の王太子に嫁いだら、毎晩甘やかされすぎて困っています
22時完結
恋愛
王国一の冷血漢と噂される王太子レオナード殿下。
誰に対しても冷たく、感情を見せることがないことから、「氷の王太子」と恐れられている。
そんな彼との政略結婚が決まったのは、公爵家の地味な令嬢リリア。
(殿下は私に興味なんてないはず……)
結婚前はそう思っていたのに――
「リリア、寒くないか?」
「……え?」
「もっとこっちに寄れ。俺の腕の中なら、温かいだろう?」
冷酷なはずの殿下が、新婚初夜から優しすぎる!?
それどころか、毎晩のように甘やかされ、気づけば離してもらえなくなっていた。
「お前の笑顔は俺だけのものだ。他の男に見せるな」
「こんなに可愛いお前を、冷たく扱うわけがないだろう?」
(ちょ、待ってください! 殿下、本当に氷のように冷たい人なんですよね!?)
結婚してみたら、噂とは真逆で、私にだけ甘すぎる旦那様だったようです――!?
同期とルームシェアしているつもりなのは、私だけだったようです。
橘ハルシ
恋愛
お世話されヒロインです。
魔術師で研究所勤めのラシェルは、没頭すると何もかも忘れてしまいがち。なので魔術学校で同級生だった同期のルキウスが一緒に暮らしつつ、衣食住の面倒を見てくれている。
実はルキウスは卒業時にプロポーズをしたのだが、遠回し過ぎて彼女に気づかれず失敗に終わった。現在、彼女は彼とルームシェアをしていると思っている。
彼女に他の男が寄って来ないようこっそり魔術をかけたり、自分の髪や目の色の髪飾りをつけたりして周りに主張しつつも、再度想いを告げることには消極的なルキウスだったが。
全24話+番外編です。
大事にお世話されるヒロインが書きたくなったので…。
設定に矛盾があるかもしれませんが、そこはあまり突っ込まないでいただけるとありがたいです。
他サイトにも投稿しております。
「偽聖女」と追放された令嬢は、冷酷な獣人王に溺愛されました~私を捨てた祖国が魔物で滅亡寸前?今更言われても、もう遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢フィーア・エメラインは、地味で効果が現れるのに時間がかかる「大地の浄化」の力を持っていたため、派手な治癒魔法を使う異母妹リシアンの嫉妬により、「偽聖女」として断罪され、魔物汚染が深刻な獣人族の国へ追放される。
絶望的な状況の中、フィーアは「冷酷な牙」と恐れられる最強の獣人王ガゼルと出会い、「国の安寧のために力を提供する」という愛のない契約結婚を結ぶ。
【完結済】呼ばれたみたいなので、異世界でも生きてみます。
まりぃべる
恋愛
異世界に来てしまった女性。自分の身に起きた事が良く分からないと驚きながらも王宮内の問題を解決しながら前向きに生きていく話。
その内に未知なる力が…?
完結しました。
初めての作品です。拙い文章ですが、読んでいただけると幸いです。
これでも一生懸命書いてますので、誹謗中傷はお止めいただけると幸いです。
【本編完結】獣人国での異種族婚
しろねこ。
恋愛
獣人とひと言で言っても多種多様だ。
力の強いもの弱いもの、体の大きいもの小さいもの、違いがあり過ぎて皆が仲良く暮らすというのは難しい。
その中でも変わらず皆が持っているのは感情だ。喜怒哀楽、憎悪や猜疑心、無関心やら悪戯心……そして愛情。
人を好きになるのは幸せで、苦しい。
色々な愛情表現をお楽しみください。
ハピエン厨なので、こちらもそのような話となる予定。
ご都合主義、自己満、それと両片思いが大好きです(n*´ω`*n)
同名キャラにて色々なお話を書いておりますが、作品により立場、性格、関係性に多少の違いがあります。
他サイトさんでも投稿中!
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
守護契約のはずが、精霊騎士の距離が近すぎて心拍がもちません―― 距離ゼロで溺愛でした。
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済:全8話⭐︎
ーー条項:心拍が乱れたら抱擁せよ(やめて)
村育ちの鈍感かわいい癒し系ヒロイン・リリィは、王都を目指して旅に出たはずが――森で迷子になった瞬間、精霊騎士エヴァンに“守護契約”されてしまう!
問題は、この騎士さまの守護距離が近すぎること。
半歩どころか背後ぴったり、手を繋ぐのも「当然」、心拍が乱れたら“抱擁条項”発動!?
周囲は「恋人だろ!」と総ツッコミなのに、本人たちは「相棒です!」で通常運転。
守護(と言い張る)密着が止まらない、じわ甘コメディ異世界ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる