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第1部
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「ただいま」
家に帰ると母さんが出迎えてくれた。
「おかえり、まーくん。ここ最近遅いわね」
「ちょっと調べ物があるから図書館に行ってるんだ」
適当に嘘をついた。
「そう、それならよかった。それで、あの、今夜、いい?」
優しく微笑む母さんの顔に安心感と不気味さを垣間見る。
「父さんは?」
「今日も夜勤だって」
母さんが寂しいのかうれしいのか僕には判別できなかった。
「ごめん。今度テストがあるんだ。勉強で忙しいから」
また嘘をつく。
「そうなの」
母さんの顔が明らかに曇る。今度は母さんが寂しがっているのがはっきり分かった。
「まーくん、ここ最近してくれないわね。もう飽きちゃった?」
母さんが上目遣いでねだるように言ってきた。今は母さんの相手をしている暇はない。彼女のことで頭がいっぱいだった。でも母さんに本当のことを言うわけにいかない。
「飽きてなんかいないよ。今忙しいだけだから。また今度しよう」
そう言うと母さんは少しほっとした表情になった。
僕は母さんに微笑みかけると、階段を上がって自分の部屋に向かった。
「もうすぐご飯だから」
母さんが僕の背中に言った。
すぐ行くとだけ答えて自分の部屋に入ろうとしたとき、向かいの部屋の扉が開いた。優花が出てくるところだった。優花は僕の姿を目にとめると、びっくりしたように目を見開き、すぐにドアを閉めてしまった。
「優花」
僕は閉じたドアに呼びかけたが返事はない。優花がこの前遅く帰ってきた日以来、僕は優花と会話をしていない。避けられているのは感じていた。やはり僕と母さんのことで優花が深いショックを受けたのは間違いない。一度優花と話がしたかった。
「優花」
もう一度呼びかけたが返事がなかったので、仕方なく僕は自分の部屋に入った。
家に帰ると母さんが出迎えてくれた。
「おかえり、まーくん。ここ最近遅いわね」
「ちょっと調べ物があるから図書館に行ってるんだ」
適当に嘘をついた。
「そう、それならよかった。それで、あの、今夜、いい?」
優しく微笑む母さんの顔に安心感と不気味さを垣間見る。
「父さんは?」
「今日も夜勤だって」
母さんが寂しいのかうれしいのか僕には判別できなかった。
「ごめん。今度テストがあるんだ。勉強で忙しいから」
また嘘をつく。
「そうなの」
母さんの顔が明らかに曇る。今度は母さんが寂しがっているのがはっきり分かった。
「まーくん、ここ最近してくれないわね。もう飽きちゃった?」
母さんが上目遣いでねだるように言ってきた。今は母さんの相手をしている暇はない。彼女のことで頭がいっぱいだった。でも母さんに本当のことを言うわけにいかない。
「飽きてなんかいないよ。今忙しいだけだから。また今度しよう」
そう言うと母さんは少しほっとした表情になった。
僕は母さんに微笑みかけると、階段を上がって自分の部屋に向かった。
「もうすぐご飯だから」
母さんが僕の背中に言った。
すぐ行くとだけ答えて自分の部屋に入ろうとしたとき、向かいの部屋の扉が開いた。優花が出てくるところだった。優花は僕の姿を目にとめると、びっくりしたように目を見開き、すぐにドアを閉めてしまった。
「優花」
僕は閉じたドアに呼びかけたが返事はない。優花がこの前遅く帰ってきた日以来、僕は優花と会話をしていない。避けられているのは感じていた。やはり僕と母さんのことで優花が深いショックを受けたのは間違いない。一度優花と話がしたかった。
「優花」
もう一度呼びかけたが返事がなかったので、仕方なく僕は自分の部屋に入った。
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