「被験者」よ、異世界の糧となれ

Nakman

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第2章:城塞都市「ナラキア」編

第7話:親友

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 店を出た時には既に日が落ちていたこともあり、結局僕たち3人はその街に泊まっていくことにした。幸い宿屋にも空きがあり、無事に部屋を1つ抑えることができた。

 豪が部屋の隅のソファにどっかり腰を下ろしながら、わざとらしく大声を張り上げた。

「あーあ、何だかんだで丸一日無駄になったな」
「ちょっと、感じ悪いよ、豪君」
「事実だろ。丈嗣たけつぐの野郎が調子乗ってつっかからなければ、こんなとこで道草食わずに済んだのによ」

 ぐうの音も出ないとはこのことか。

 豪の口から飛び出す情け容赦のない言葉のやいばを、僕は黙って受け入れるしかなかった。見かねたあかねが心配そうに顔を覗きこんでくる。

「大丈夫ですか?」
「あ、ああ、僕なら平気です。取られたお金も豪さんが取り戻してくれましたし……」

 僕の発言にかぶせるように、豪が皮肉ったらしい声でつけ加える。

「デスマッチだったら死んでたぞ。ラッキーだったな」
「ちょっと! やめてったら」
「やめない。茜も、軽々しくデスマッチなんて2度と受けるな。下手したら死んじまうってこと、分かってんのかよ」

 豪の正論に対して、茜が珍しく言い返す。

「豪君だって、5人同時に相手にしてたじゃない!」
「それは、俺が自分の力量と相手の力量の双方を正確に見つくろった上で判断したから良いんだよ。
 お前ら、ミルゲはおろか、その後ろの連中のことだって何にも知らなかったんだろ。やつら、まだ序次には名を連ねてないけど、TCK内で結構な実力派で通ってる。そんなことも知らずにわーきゃー騒いで喧嘩売るとか、阿呆としか言いようがないぞ」

 イヤミったらしくも冷静な指摘に、茜もすっかり黙りこんでしまった。ばつが悪そうに、豪の横にある壁をにらんでいる。

 つまり、豪は最初から「鳳凰騎士団」の連中のことを知っていたのだ。出会った時、豪が食い入るようにミルゲを凝視していたことを思い出す。彼は相手の実力を推し量った上で、僕や茜では勝てないと判断し、必死に止めてくれていたのだ。

 しかし豪自身は、気にしたそぶりも見せずにぼんやりと窓の外を眺めている。街灯もまばらな仮想世界の夜は現実世界のそれより闇を濃くし、街全体をしじまが包み込んでいる。

 いだ湖面のように静まり返った部屋の空気に、豪が一滴のしずくを落とした。

「ま、良かったな」
「え?」
「誰も死なずに済んだ」

 彼らしからぬ物言いに、素直に応じることができない。

「……気にしてくれてたんですね」

 そんな皮肉が口をついたが、彼は食いついてこない。

 どことなく漂う感傷的な雰囲気に、これ以上つっかかるのは野暮な気がした。

「どんなに嫌ってたやつでも、死んじまうと寝覚めが悪いからな」
「昔、その……そういう経験があったんですか」

 何気ない問いかけだったが、豪の顔がみるみる強張っていくのが分かる。茜も心なしか、顔を伏せているようだ。
 
 そこでようやく、この話題が豪にとってのタブーらしいことを感じ取り、途端にいたたまれなくなる。

 しまった。

 慌てて話題を変えようと口を開きかけた時、静かな感情をたたえた豪のつぶやきが静寂を破った。

「丈嗣、お前、親友っているか」

 急な質問に若干戸惑いを隠せず、逆に聞き返す。

「それって、現実世界あっちの話ですか?」
「そんなもん、どっちだって良い」

 そんな親しい間柄の友人など、これまでいただろうか。ぱっと頭に浮かばない時点で、恐らく僕に「親友」なんてものはいなかったのだろう。

「……すいません、思い当たらないです」

 正直に返事をすると、豪のかげった表情に少しだけ笑みが広がった。

「ずいぶん寂しい人間関係してんだな、お前」
「余計なお世話です」
「ったく、話が始められねぇじゃねーか。そこはいますって言っとけよ」
「そういうもんですか」
「そういうもんだよ。なぁ、茜?」
「へっ?! は、はひっ?! 私はいますよ!」

 だしぬけに話を振られて呂律が回っていない様子の茜は滑稽だったが、豪は薄く笑っただけですぐに僕へと視線を戻した。

「俺には、いた。現実世界あっちじゃなくて、TCKこっちに来てから出会ったんだ」
「“サンプル”だったんですか?」
「ああ。少し引っ込み思案なとこもあったが、気配りができる優しい奴でな。こういっちゃ何だが、俺とは正反対だった。なのに、妙にウマが合った」
「ツカサ君、だよね」

 茜の問いかけに、豪はゆっくりと首肯しゅこうした。

 ツカサ――いつか流王の部屋で漏れ聞こえた名前。
 豪の悲痛な叫び声が、未だに耳にこびりついて離れない。

「その、ツカサって人――」
「死んじゃいねぇ! ただ厄介な奴に目をつけられちまってな、今もどこかで、俺が助けに行くのを待ってる」
「その、厄介な奴というのは」

 豪は一瞬言葉につまったが、口調ははっきりとしていた。

「……獅子旗ししはたと呼ばれてる。イカれた野郎で、俺たち“サンプル”を狩って回ってる異常者だ」
「その人は――“サンプル”なんですか。それとも、普通のプレイヤー……?」
「分からない。恐らく“サンプル”には違いないが、そもそもどんな姿をしているのかさえ分かってない」
「私も詳しく聞くのはこれが初めてだけど、ツカサ君はさらわれたってことなの?」

 茜が遠慮がちな声音で尋ねる。豪はため息をつくと、再び視線を窓の外へと向けた。

「ツカサはある日、姿を消した。獅子旗の居場所を掴んだって、前の日に俺にこっそり耳打ちしにきたんだ。あいつは臆病なくせに、人間の悪意や敵意に真っ向から向かっていくようなとこがあった。
 俺はやめるように言ったのに。あいつ、その日の夜にこっそり拠点を抜け出して、獅子旗のもとへ行っちまったんだ。その後――あいつの姿は誰も見てない。流王さんもやつの後を追ってくれたが、結局掴まえることはできなかった」

 最後の部分で、豪は悔しそうに歯がみする。その口調には、ただ獅子旗だけでなく、流王までも責めるような響きが込められていた。

「それって……」
「殺されてなんかねぇ! ツカサはあれで、強力な能力者だった。謙遜けんそんしてたが、本気を出せば俺なんか手も足も出ないほどチートの扱いに長けてた。今はきっと獅子旗から身を隠しているだけなんだ」

 そうは言いつつも、豪は自信なさげに目を伏せた。信じたい気持ちはあれど、完全に無事だとは言い切れないのだろう。

「とにかく、死んじまったら気分がわりぃだろうが。お前とはツカサほどの仲じゃないが、蚊に刺されたくらいには落ち込むってことだ。阿羅あら宇羅うら、それに一条さんにも可愛がられてんだろ?
 だから、今日みたいな軽はずみな行動は2度とするな。その選択がどういう結果を招く可能性があるのかを考えた上で、理性的に判断しろ。俺たちに、リプレイはきかねぇんだからよ」

 言葉が重みをもって、肩の上にのしかかってくる。

 豪は充分に認識しているのだ。ツカサという親友がもしかしたら――帰ってこないかもしれないということを。それはある意味、残された者としての想いの吐露とろだった。

 僕はこの、荒神豪という少年のことを誤解していたのかもしれない。周りをいばらで覆っているのは、その中心にある純粋な想いを、ただ守ろうとしているだけなのではないか。

 そんな彼の澄み切った瞳を、僕は逃げずに真正面から見すえた。

「勿論です。もうあんな真似はしません。だから――」
「だから?」
「もうちょっとばかし、仲良くやりませんか」

 そう切り出すと、豪は呆気に取られたようにぽかんと口を開けた。

「は?」
「これ、真剣にお願いしてます。これからも旅は続きますし……そろそろ、互いにちょっとずつ歩み寄りませんか」

 彼はなおも呆けたように口を開けていた。
 しかしすぐに、思い当たる節があるように、クツクツと顔を伏せて笑い始める。

「そりゃそうだよな。初めて会った時、結構邪険じゃけんに対応したよな、俺」
「邪険なんて言葉じゃ足りない! 屋敷に入ったと思ったら、いきなり絡まれましたからね。ずいぶんガラが悪いのがいるんだなと、内心ドキドキしてましたよ」
「……つーかさ、前から思ってたんだけどよ、その敬語何とかしてくれ。気持ちわりいんだよ、見るからに俺より歳上だろ、お前」

 まさか同じ思いをもっていたとは知らず、僕は素直に驚いた。

「え? いや、だって、豪……君も、敬語使わないから、そういうことなのかな、と」
「どういうことだよ。
 つか、俺は良いんだよ! 今更敬語使えなんて言われても絶対イヤだかんな」

 戸惑っている間に、かたわらに座る茜も畳みかけてくる。

「それじゃ、私も便乗して、これからは正式に丈嗣君って呼ばせてもらおうかな。……私のことも、布施さんじゃなくて、茜って呼んでね。それと、もう中途半端な敬語禁止ッ」
「それは何だかしっくりきま……くる気がする」
「おい、それは俺とはしっくりきてねぇってことかよ」

 声を荒げる豪をなだめつつ、僕は心地良い温かさが胸に広がっていくのを感じていた。
 豪との間に感じていた掴みどころのないわだかまりも、少しは追い払うことができたのかもしれない。最初は彼と旅程をともにすると聞いて苦り切っていたが、むしろ互いを知り合う良いきっかけになった。

 言いたいことを言えてすっきりしたのか、にこにことした表情の茜が宣言した。

「それじゃ、そろそろ寝ようか! 明日も早いし」
「ずっと思ってたんだけど、豪君も茜ちゃんも朝早すぎじゃないか? 正直、毎日眠くて眠くて……」
「ふぬけたこと言ってんなよ。せめてゲームの中でくらい、シャンとしやがれ」
「それじゃ、飲んだらすぐに眠気が飛んでくスペシャルアイテムなんかは――」
「そんなもんあるかッ」

 豪の喝を背中に感じつつ、僕はベッドへと潜り込んだ。灯りの部屋が落とされて5分も経たぬ内に、2人の規則正しい寝息が聞こえてくる。
 その寝つきの良さに嫉妬しつつ、僕は薄目を開けて天井を眺めた。静けさが横たわる暗闇を透かして、天井の木目がうっすらと見えたような気がしたが、気のせいだったのかもしれない。

 ……そういえば、番号のこと、訊けなかったな。

 寝返りをうつと、柔らかなシーツの手触りが掌に触れる。現実に戻ってきたと錯覚するほどの感触に、戦慄に似た感情を抱きながら、僕は過去の豪の叫びに想いをはせた。

 豪は僕の番号を知りたがっていた。そういえば、流王にも1度訊かれたことがある。
 TCKにやってくる前に入った部屋の番号。もうあと数歩の距離で分かりそうなのに、目を凝らすとぼやけてしまう。もどかしい気持ちが胸一杯に広がったが、ついに思い出すことはできなかった。

 僕の番号を知ってどうするつもりなのだろう。流王の部屋でなされていた会話の文脈からするに、「ツカサ」に絡んだ話のはずだ。

 僕とツカサの番号。

 僕と彼の共通点。それは――2人とも“サンプル”であるということ。
 “サンプル”は一般プレイヤーにはないチートを有し、そしてがきかない。まだ目の前で見たことがないが、仮想世界でのゲームオーバーは、現実世界での魂と肉体の死滅と同義であるという。

 その時ふと、素朴な疑問が頭をよぎった。

 TCK内で死んでしまった時、現実世界では何が起こるのだろう。そもそも、リースブレイン社はゲーム内での死が、現実での死に直結することを把握しているのか。

 ……もし、把握しているのだとしたら。僕たち“サンプル”が死ぬことは、既に織り込み済みであるとしたら。
 “サンプル”の存在意義は未だに不明のままだが、それがリースブレインにとって――いや、TCKにとって重要な意味をもつのだとしたら。

 もし“サンプル”が死ねば、代わりの人間が、入ってくるのではないか。
 例えば、死んだ誰かさんの代わりに、この僕が――。

 天井の木目が、見知らぬ怪物の瞳のように見える。このコンピュータの演算処理によって実現されたデータの世界にも、幽霊や怪物の類は巣くっているらしい。僕は小学生に戻ったように、身体を丸めて縮こまった。

 きっとこれは、妄想に違いない。想像力が豊かな僕の思い込み。

 その後しばらく、僕は眠りにつくことができなかった。
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