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第1章:異世界来訪編
第4話:戦場の香り
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柄を握る手が痺れている。少しでも握力を緩めれば、ミトンごしに伝わるこの柄の感触がふと消えてしまう気がして、僕は両の掌に力を込めた。
自らの荒い息遣いが、体内でこだまする。そこに周囲の人々の息遣いが重なって、うねりは体内に収まりきらず外界へと拡散していった。
目前には、1メートルほどもある蜘蛛の魔物が腹を上に向けて転がっていた。外傷は見当たらない。この剣で確かに、そこに転がっているテラテラとした腹を貫いたはずなのに。この手は確かに、柔らかな音を聞き取ったはずなのに。皮と肉が裂ける、命の断末魔を。
そういえば安原が言っていたっけ。グロ描写はなしだって。
数秒ほどで、蜘蛛の死体は塵のように掻き消えた。そこには元々何もなかったかのように、ただ草だけが青々としている。
これは――本当に仮想世界なのか。
「丈嗣君! 後ろ」
安原の怒鳴り声に我に返る。
反射的に横に飛びのくと、ついさっきまで立っていた場所に巨大な蜂の顎が重なった。無我夢中で剣を振ると、確かな手応えとともに、蜂の魔物は空気へと溶けていった。
「ぼさっとしない! こいつら大したことないけど、私たちだって初心者なんだよ! 死んだらペナルティもあるし、気を引き締めないと」
安原も必死で剣を振り回している。だが本人の運動神経も正確にフィードバックされているのか、その切っ先は空を切ってばかりだ。
「安原さん、敵をよく見て!」
「そんなこと分かってる!」
頭では理解しているのだろうが、身体の方はパニックでそれどころではないようだ。鉄の刃が空気を切り裂く鈍い音が響くのみで、肝心の魔物は着実にその距離を縮めてきていた。
僕の方も安原のことを気にかけている余裕はない。自分に迫ってくる魔物を切り伏せるのに精一杯で、とても援護などできる状況ではなかった。
深追いはせず、一撃離脱を心がける。
死なないために、リスクを最小限に抑えるのだ。
そうして敵を観察するにつれ、次第に僕は魔物の行動パターンを捉えつつあった。序盤の敵だからか、攻撃の種類はあまり多くない。蜘蛛の方は咬みつきと、脚でのなぎ払いと、糸の噴射の3種類。蜂の方は同じく咬みつきと尾針突き刺しの2種類。いずれの攻撃にも予兆が存在し、それを読むことができれば回避は容易かった。
落ち着いて周囲を見回してみると、僕同様半分以上のプレイヤーは敵の攻撃を既に見切っているようだった。しかし実際に自分の身体を動かす以上、TVゲームのように容易くはいかない。
このスリル。
五感全部に迫ってくる、戦場の空気。
僕は生きている――そんな強烈な生の実感。
肌がひりつくような緊張感の中、いつしか僕は笑顔で剣を振るっていた。
改めて安原に視線を転じると、彼は未だに恐慌状態から抜け出せていなかった。闇雲に腕を振り回してスタミナを消耗し、敵から何とか距離を取るということを繰り返している。
僕は見かねて安原のもとへ駆け寄ると、彼を援護しながら敵の攻撃種類とその予兆を伝えた。
「一旦落ち着いて下さい!ほら、深呼吸して。その間僕が引き受けますから」
一息ついて呼吸を取り戻した後の安原は、次第に勘をつかんでいった。
「ああなるほど。そうかそういうことか」
ブツブツと独り言を呟きながら、安原は次々に魔物を塵芥へと変えていく。どうやら彼は抜群の運動センスを持ち合わせているらしく、あっという間に僕の脇を駆け抜けて、周囲の魔物を片付けてしまった。これには僕も半ば呆然と口を開ける他ない。
一体全体先ほどまでの醜態は何だったのか。
「楽しくなってきたね。次いこう、次!」
あくまで笑みは上品に、安原は更に奥へと突き進んでいく。
もしかしたら、自分にはセンスの塊とまでは言わぬまでも、欠片程度は眠っていたのではないか―そう思い始めていた数分前の私を殴り倒したい。これなら初めから、安原に八面六臂の活躍をしてもらった方が傷は浅く済んだ。
「あの、何で最初からその動きをしなかったんですか」
「んん、私自身、緊張していたんだろうな。思えばフェンシングや剣道、居合などの武芸は少し嗜んでいるし、そう怖がることはなかったよ」
「敵の攻撃は喰らいましたか」
「蜘蛛の脚払いと蜂の咬みつきをね。攻撃された瞬間は息がつまるような衝撃が走るけど、痛みはないよ。安心して良い。ただ、進んで受けたいようなものじゃないな、あれは」
その後もしばらく、僕と安原は魔物狩りを続けた。そして夕闇がひたひたと迫ってきた頃合いで、安原の雄叫びが草原に響き渡った。
「よっし、レベル上がったぁ!」
駆け寄ると、安原は早速メニューを開いていた。マスキングがかかっていて内容は確認できないが、彼の顔は今日見た中で最もほころんでいる。
「こんなとこでメニュー開いてたら危ないですよ。そろそろ宿戻りましょう」
「確かにそうだね。戻ろうか。そろそろ今日は落ちないとだし」
僕と安原は疲れ切った表情の中に満足気な色をたたえ、街へと続く道を歩き出した。
安原が言うには、一度訪れた街にはファストトラベルといって瞬間移動のようなものが使えるらしい。しかし僕も彼も、今はこの世界を心ゆくまで満喫したかった。
******
その妙なプレイヤーを目にしたのは、もう道半ばといった頃だった。
「何ですか、あれ」
そう言って僕が指差した先にいたのは、二人組のプレイヤーだった。どちらもフードを目深にかぶっており、宵闇も合わさって顔つきまでは窺えない。
二人組の正面には、今日僕たちが嫌というほど戦った蜘蛛や蜂に加え、見たこともない蛇のような魔物が迫っていた。
「ただのプレイヤーじゃないか。あの二人がどうしたんだ」
安原は首をかしげる。
「良いから。見てて下さい」
僕の言葉が終わらない内に、奇妙なことが起こった。突如として、魔物の身体が燃え上がったのだ。薄闇の中で魔物が燃え盛る様は、見ようによっては美しく感じられた。目で追うことができないほどの速さで、魔物たちは次々に灰になっていく。
「ありゃ魔術師だな。私も初めて見た」
安原も興味津々といった様子で、二人の挙動に見入っていた。
「魔術師もいるんですか」
「最初の武具屋に杖やらローブやらも置いてあっただろう。比率的には少ないが、上手く育てれば強力なキャラクターになる」
「何で数が少ないんです?今日だって、周りも皆僕たちみたいに剣や槍なんかで戦ってましたよ」
「そりゃ丈嗣君、難しいからに決まってるじゃないか。魔術師が戦うにはMP――魔術を使うためのエネルギーを別途必要とする。こいつは消耗が速い上に補給には専用のアイテムが必要だ。加えて初期に使える魔術なんてたかが知れてるから、低レベルの間は仲間のサポートに徹するしかないのさ」
「でも、見たとこあの人たちはそんなもんじゃないですよね」
安原は頷いたが、その表情は優れない。恨めしそうな表情で、淡々と魔物を屠る二人組をねめつけている。
「やつらは間違いなく相当高レベルだろう。こんな狩場にいること自体がおかしいんだ」
「そうでしょう。僕でも分かるくらいですから。あれ程強いならもっと先にある狩場で――」
「狩場荒らしだ」
「え?」
「わざと低レベル帯の狩場に闖入して、出てくる魔物を全部刈り取っちまう連中だよ」
その安原の表現に、僕は少し引っ掛かりを覚えた。だが、違和感の正体までは掴めない。
「何だってそんなこと……」
「PKの時も話したろう。プレイヤーには色んな連中がいる。
やつらは見せつけてんのさ。僕たちみたいな初心者に毛が生えた連中相手にマウントを取って、ちんけな自尊心を満たしているんだろうよ」
「安原さんって、ゲームあまりしたことないって言う割には物知りですよね」
「今回のためにインターネットで情報収集したり、友人に話を聞いたりしたからね。ちなみに今のは、全部その友人の受け売りさ。
しかし、実際に目の前で見てみると気持ちの良いもんじゃないね。さ、あんな連中は放っといて早く帰ろう」
促されるままに再び歩き出したが、僕の中では尚も疑問が渦巻いていた。あの二人組は、安原がいう狩場荒らしとは違うのではないか。小骨のような違和感は喉に突き刺さったまま消えない。
他のプレイヤーに力を誇示したいのなら、まだ明るい時間帯にやれば良い。それが何だって、日の落ちた後の闇の中で魔物を狩っているのだ。
それに、あの二人からはそんな雰囲気など漂っていなかった。周りの目を気にしてなどいないように、ただ淡々と、作業のように魔術を使っている。そんな印象が拭えない。
何より妙だと思ったのは、魔物が正確に一体ずつ火を噴きながら倒れていったことだ。あれほど精緻に魔術が扱えるなら、一度にまとめて燃やしてしまうのも簡単に思える。それとも、安原が言っていたように、そんな大がかりな魔術を使うにはMPが足りなかったのだろうか。
――そしてもう一つ、僕はおかしなことに気がついていた。あの二人組ではなく、僕自身に起きているおかしな現象に。
安原に話すのは、もう少し様子を見てからにしよう。
胸の内に小さな秘密を抱えたまま、僕は遠くに見える街の灯りに向かって足を早めた。
自らの荒い息遣いが、体内でこだまする。そこに周囲の人々の息遣いが重なって、うねりは体内に収まりきらず外界へと拡散していった。
目前には、1メートルほどもある蜘蛛の魔物が腹を上に向けて転がっていた。外傷は見当たらない。この剣で確かに、そこに転がっているテラテラとした腹を貫いたはずなのに。この手は確かに、柔らかな音を聞き取ったはずなのに。皮と肉が裂ける、命の断末魔を。
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そうして敵を観察するにつれ、次第に僕は魔物の行動パターンを捉えつつあった。序盤の敵だからか、攻撃の種類はあまり多くない。蜘蛛の方は咬みつきと、脚でのなぎ払いと、糸の噴射の3種類。蜂の方は同じく咬みつきと尾針突き刺しの2種類。いずれの攻撃にも予兆が存在し、それを読むことができれば回避は容易かった。
落ち着いて周囲を見回してみると、僕同様半分以上のプレイヤーは敵の攻撃を既に見切っているようだった。しかし実際に自分の身体を動かす以上、TVゲームのように容易くはいかない。
このスリル。
五感全部に迫ってくる、戦場の空気。
僕は生きている――そんな強烈な生の実感。
肌がひりつくような緊張感の中、いつしか僕は笑顔で剣を振るっていた。
改めて安原に視線を転じると、彼は未だに恐慌状態から抜け出せていなかった。闇雲に腕を振り回してスタミナを消耗し、敵から何とか距離を取るということを繰り返している。
僕は見かねて安原のもとへ駆け寄ると、彼を援護しながら敵の攻撃種類とその予兆を伝えた。
「一旦落ち着いて下さい!ほら、深呼吸して。その間僕が引き受けますから」
一息ついて呼吸を取り戻した後の安原は、次第に勘をつかんでいった。
「ああなるほど。そうかそういうことか」
ブツブツと独り言を呟きながら、安原は次々に魔物を塵芥へと変えていく。どうやら彼は抜群の運動センスを持ち合わせているらしく、あっという間に僕の脇を駆け抜けて、周囲の魔物を片付けてしまった。これには僕も半ば呆然と口を開ける他ない。
一体全体先ほどまでの醜態は何だったのか。
「楽しくなってきたね。次いこう、次!」
あくまで笑みは上品に、安原は更に奥へと突き進んでいく。
もしかしたら、自分にはセンスの塊とまでは言わぬまでも、欠片程度は眠っていたのではないか―そう思い始めていた数分前の私を殴り倒したい。これなら初めから、安原に八面六臂の活躍をしてもらった方が傷は浅く済んだ。
「あの、何で最初からその動きをしなかったんですか」
「んん、私自身、緊張していたんだろうな。思えばフェンシングや剣道、居合などの武芸は少し嗜んでいるし、そう怖がることはなかったよ」
「敵の攻撃は喰らいましたか」
「蜘蛛の脚払いと蜂の咬みつきをね。攻撃された瞬間は息がつまるような衝撃が走るけど、痛みはないよ。安心して良い。ただ、進んで受けたいようなものじゃないな、あれは」
その後もしばらく、僕と安原は魔物狩りを続けた。そして夕闇がひたひたと迫ってきた頃合いで、安原の雄叫びが草原に響き渡った。
「よっし、レベル上がったぁ!」
駆け寄ると、安原は早速メニューを開いていた。マスキングがかかっていて内容は確認できないが、彼の顔は今日見た中で最もほころんでいる。
「こんなとこでメニュー開いてたら危ないですよ。そろそろ宿戻りましょう」
「確かにそうだね。戻ろうか。そろそろ今日は落ちないとだし」
僕と安原は疲れ切った表情の中に満足気な色をたたえ、街へと続く道を歩き出した。
安原が言うには、一度訪れた街にはファストトラベルといって瞬間移動のようなものが使えるらしい。しかし僕も彼も、今はこの世界を心ゆくまで満喫したかった。
******
その妙なプレイヤーを目にしたのは、もう道半ばといった頃だった。
「何ですか、あれ」
そう言って僕が指差した先にいたのは、二人組のプレイヤーだった。どちらもフードを目深にかぶっており、宵闇も合わさって顔つきまでは窺えない。
二人組の正面には、今日僕たちが嫌というほど戦った蜘蛛や蜂に加え、見たこともない蛇のような魔物が迫っていた。
「ただのプレイヤーじゃないか。あの二人がどうしたんだ」
安原は首をかしげる。
「良いから。見てて下さい」
僕の言葉が終わらない内に、奇妙なことが起こった。突如として、魔物の身体が燃え上がったのだ。薄闇の中で魔物が燃え盛る様は、見ようによっては美しく感じられた。目で追うことができないほどの速さで、魔物たちは次々に灰になっていく。
「ありゃ魔術師だな。私も初めて見た」
安原も興味津々といった様子で、二人の挙動に見入っていた。
「魔術師もいるんですか」
「最初の武具屋に杖やらローブやらも置いてあっただろう。比率的には少ないが、上手く育てれば強力なキャラクターになる」
「何で数が少ないんです?今日だって、周りも皆僕たちみたいに剣や槍なんかで戦ってましたよ」
「そりゃ丈嗣君、難しいからに決まってるじゃないか。魔術師が戦うにはMP――魔術を使うためのエネルギーを別途必要とする。こいつは消耗が速い上に補給には専用のアイテムが必要だ。加えて初期に使える魔術なんてたかが知れてるから、低レベルの間は仲間のサポートに徹するしかないのさ」
「でも、見たとこあの人たちはそんなもんじゃないですよね」
安原は頷いたが、その表情は優れない。恨めしそうな表情で、淡々と魔物を屠る二人組をねめつけている。
「やつらは間違いなく相当高レベルだろう。こんな狩場にいること自体がおかしいんだ」
「そうでしょう。僕でも分かるくらいですから。あれ程強いならもっと先にある狩場で――」
「狩場荒らしだ」
「え?」
「わざと低レベル帯の狩場に闖入して、出てくる魔物を全部刈り取っちまう連中だよ」
その安原の表現に、僕は少し引っ掛かりを覚えた。だが、違和感の正体までは掴めない。
「何だってそんなこと……」
「PKの時も話したろう。プレイヤーには色んな連中がいる。
やつらは見せつけてんのさ。僕たちみたいな初心者に毛が生えた連中相手にマウントを取って、ちんけな自尊心を満たしているんだろうよ」
「安原さんって、ゲームあまりしたことないって言う割には物知りですよね」
「今回のためにインターネットで情報収集したり、友人に話を聞いたりしたからね。ちなみに今のは、全部その友人の受け売りさ。
しかし、実際に目の前で見てみると気持ちの良いもんじゃないね。さ、あんな連中は放っといて早く帰ろう」
促されるままに再び歩き出したが、僕の中では尚も疑問が渦巻いていた。あの二人組は、安原がいう狩場荒らしとは違うのではないか。小骨のような違和感は喉に突き刺さったまま消えない。
他のプレイヤーに力を誇示したいのなら、まだ明るい時間帯にやれば良い。それが何だって、日の落ちた後の闇の中で魔物を狩っているのだ。
それに、あの二人からはそんな雰囲気など漂っていなかった。周りの目を気にしてなどいないように、ただ淡々と、作業のように魔術を使っている。そんな印象が拭えない。
何より妙だと思ったのは、魔物が正確に一体ずつ火を噴きながら倒れていったことだ。あれほど精緻に魔術が扱えるなら、一度にまとめて燃やしてしまうのも簡単に思える。それとも、安原が言っていたように、そんな大がかりな魔術を使うにはMPが足りなかったのだろうか。
――そしてもう一つ、僕はおかしなことに気がついていた。あの二人組ではなく、僕自身に起きているおかしな現象に。
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