【完結】旦那の病弱な弟が屋敷に来てから俺の優先順位が変わった

丸田ザール

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浴室から出ると、タオルを広げて待機しているメイドが直ぐに体を包んでくれる。
このメイドは年配で、他のメイドのように瞳で何かを語ることはせずただ淡々と仕事をしているから好きだ。

このまま髪を梳かすのもやって欲しいな
痛いの、やだな

夜着を身につけてペタペタと自室に入ると願い虚しく別のメイドが2人待機していた

この屋敷のメイド達は年功序列はあまり関係なく、家柄の良い出のきちんと教育されたメイドの方が上下関係は上らしい

年配のメイドは丁寧に畳んだ洗濯物を手に頭を下げて部屋から出ると、入れ替わるように2人のメイドが俺を椅子に促す。
目も合わず、さっさと座ってくれる?
と言わんばかりにおざなりに。

大人しく椅子に座ってメイドの手を目で追う
綺麗に整頓された小道具入れから櫛が出てきたのを見て体が強ばる
髪に櫛が通されていき、耳の周辺に近付いてきてそれはやはり

「ッ」

「あら、申し訳ございません」

カリッと耳ごと梳かされて息が漏れる。
痛みは我慢出来る程だし実際傷を負ったこともないが、いつかとてつもない力で抉られるのではないかという恐怖がある。

いっその事怪我さえしてしまえばイーサンに言いやすくなるのだが、今の状態ではただメイドの髪を梳かす力が強い  なんて一々言うものでは無い。当主の妻なのだから俺がメイドに注意すればそれだけで済む話なのだ。
なぜそれが出来ないんだろう  自分は怖いのだろうか。
この屋敷のメイド達は入れ替わることはあまり無く、イーサンの幼少期を知っているものもいれば、イーサンのお父上に仕えていた者もいる。この屋敷の人達に認められたい。好かれたい。

ルカとメイド達が楽しそうに話をしている所を見たことがある。当主であるイーサンも親しげにメイドの名前を呼んだりしている。

俺もそうなりたい  この屋敷の一員になりたい

「以上でございます。肩をお揉み致しますか?」

「ううん、平気。ありがとう」

「では、ごゆっくりお休みなさいませ」


メイド達が部屋から出たのを見て俺は息を吐く。すぐに鏡で耳を確認する
少し赤くなっているが引っかき傷は無い
上手な力加減だといつも感心する。
夜になるといつも憂鬱で、だからこそイーサンの部屋に泊まったりイーサンがこちらの部屋に来たりする日は本当に嬉しい 
イーサンが髪を梳かしてくれるのだ。
何でも器用なイーサンがまるで壊れ物みたいに俺の肌を傷付けないように少し不器用に櫛を通していく。

そしていつも言うのだ「綺麗な髪だ」と
その言葉を聞きたくて、最近香油を塗り始めた。自分でも分かるくらい指通りが良くなっていて艶も出た。ルカが来てからはそういう風に過ごす時間はとても減ったし、綺麗な髪だと褒めてくれることも最近では記憶が無い。

それでもまた必ず髪に触れてそう言ってくれる。と思っているから手入れをやめることはない
それに、見るからに綺麗になっていくのを見るのが楽しい。ルカみたいに綺麗な容姿をしていないし、イーサンみたいに精悍な顔つきもしていない。それならば1つくらい 取り柄といえる物を持てるようになりたい。

引き出しから香油を取り出す。これらはマルコにお願いしている物だ
彼は花の蜜等でキャンドルや香なども作っていて、最近蜂蜜にまで手を出したらしく今まさに塗っているのもそれだ。
花とは違う甘い香りにお腹が空いてくる。

「う~ん、これは困るなぁ」

熱いトーストにヒタヒタになるまでたっぷりの蜂蜜をかけてミルクと一緒に食べるのが大好きだったなぁと思い出す。
トースト自体が庶民の食べ物なのでこの邸で出てくることは無い。
結婚する前、イーサンに食べさせた事があるけど 甘いそれに眉間に皺を寄せながらも美味い美味いと言いながら全部食べてくれたっけ

「くふふ」

その時のイーサンの顔が面白くて思い出し笑い。



ベットにぼすっと寝転がって天井を見上げる


「…言ってみようかな」

つい先日イーサンに心配をかけないと決意したのにもうこの有様。
でも、俺が態度を変えてから雰囲気がとても良くなった気がするんだ。それに、きっとこれから2人の時間を取れなんて我儘言えないし、ちょっとくらいいいかな ダメかな

「…結局自分のことばっかじゃん。俺」

イーサンに甘える口実を並べて先日の決意を緩めてもいい言い訳を考えている。
きっと俺の中に存在する"納得のいってない俺"がそうさせるんだろう。
きっとこういう所が周りに透けて見えているのだ。

「甘いんだよ、ばか」

枕に顔を押し付けて自分を叱咤する。























おはようございます。
髪の毛が大変なことになっています アーロです

「なにこれー!」

メイドに起こされて身支度やだななんて憂鬱な気分になりながら眠気まなこで鏡の前に立つと、それはもう爆発した頭が

メイドがなんとも言えない顔で俺を見ていたけどいつもなんとも言えない顔で見るからわかんない!

思わずでっかい声をあげたのでメイドの目の温度が下がる。が今はそんなこと一々気にしていられない。

あの蜂蜜か、新作の蜂蜜の香油なのか…!
でもでもマルコの商品に限ってそんな事ある?!もしかしてもしかして中身を入れ替えられ…?

「いやいや…」

ブンブンと頭を振ってその考えを振り払う。
流石にそんな事、だって昨日塗ったとき本当に蜂蜜の匂いしたし!確かに香油というよりかはもはやただの蜂蜜…?みたいな感じはしたけれど…!でもでもっ

「奥様。よろしいですか」

「あ、うん」

ぶつぶつ言いながら考えている間メイドは待ちくたびれたようだ。昨晩と同じくさっさと座ってくれる?の目で俺に椅子を促した。

髪は濡れタオルで拭いてくれたので多少マシになったがつるるんうるつやでは無くなってしまった。なんでどうして うわーん
と泣き出しそうだ。もしこれが本当に中身が入れ替えられたのだとしたら怒っていい?いや怒るべきだよな?

でも証拠無い……






「アーロ、おは……どうしたんだ」

「うわぁ見ないでっー!」

食堂に行くと今日に限ってイーサンは屋敷の仕事らしい。一緒に朝食を食べられるみたいだ。ルカは恐らくまだ眠っているのかいない

1度風呂に浸かっていつもの方の香油を塗れば大丈夫だろうと思っているので出来れば今日は顔を合わしたくなかった。結婚してからこんなことを思うのは初めてだ。

せっかくせっかく綺麗になってたのに!
ふつふつと逃がしようの無い怒りが湧いてきて、食堂の椅子に座りながら、口から言葉が出る

「香油がね!合わんかった!いつもはそんな事ないのにっ」

「ほう」

「頑張ってたのに!起きたら髪ツヤツヤだったのに!なのにっ、それにっそれに…」

「アーロ?大丈夫か?」

「それに……あの、あのさ イーサン」


ダメだ。何を言おうとしているんだ俺は
言わないって決めただろ。メイド達を仕切るのは妻である俺の仕事だ、イーサンの仕事じゃない。

それなのに俺は俺の感情を上手く制御出来ない、やめたいのに。でも、でももしイーサンが俺の為に怒ってくれたら?俺の奥さんに何すんだー!って、…それってとっても嬉しい
少しだけ、なんでもないふうを装いながら少しだけ……


「あのねっ、」

「アーロ  この前言っていた金魚はどうなった?」



イーサンから突然話を振られてハッとなる
イーサンは人が話してる最中に口を挟むことはしない。何が言いたいかいつも纏まらなくなる俺の言葉を最後まで待ってくれる

珍しいイーサンの行動に目を丸くしながらも答える

「あ、うん!すっごい大っきいんだ!鯉達よりもずっと!」

「そうか、それは見てみたいな」

「ほんとっ!?」

「あぁ」















イーサンが金魚見に来るって!
俺の庭に来るって!
いつぶりだろう、ルカが来てからは多分0回かもしれない  イーサンが見た事あるものとは大分変わっているからびっくりするかもしれない!


メイドの事、話さなくてよかった!
そんな話を抱えながらイーサンと過ごしたくない、せっかく2人きりの時間だもんね!今回はちゃんと2人きりだってイーサンが言ってた!


朝食の後イーサンは仕事に戻った。
屋敷に大事なお客様が来るんだって
妻の俺も一緒じゃなくていいのかと聞くと領地関係じゃないらしいから好きな時間を過ごせだって   そういうの苦手だからよかった

イーサンが庭に来るのは多分夕食の後だろうからもしかしたらそのまんま俺の部屋に泊まっていってくれるかもしれない

鼻歌でも歌いそうになりながら窓から陽の差すピカピカの床の廊下を歩いていると、ふと蟻の行進を見つける。俺は目がとても良いのが密かな自慢

その場でしゃがんで行く先を見つめる
こういうの見るの好き 精一杯自分のやるべきことをやって生きている生き物は等しく綺麗だと思う。

だが廊下の真ん中で床にしゃがみこんでいる姿、辺境伯の妻がするべきことでは無い

メイド達は近くの扉から複数人出てくる。あれはルカの側仕えだ。どうやら俺はルカの部屋の近くにしゃがみこんでいたらしい
彼女達はこちらに気付くとギョッとした顔をしてから分かりやすく顔を顰める。

「奥様、ご機嫌麗しゅう」

「うん、おはよう」

「まぁ!虫ではございませんの!まさかそんな汚らしいものをお触りになって!?」

「すぐにタオルをお持ちしますわ!」


メイド達は多分、 わざと大きな声で騒ぎ立てる。奥方が虫相手に遊んでいる。と周囲に知らしめるように。手のかかる、自覚が無い、と言いたげに。
やり方は姑息だけど、言いたいことはきっと間違ってない。もしこんな所を外の人間に見られたら泥を塗られるのは俺だけじゃないのだ。しゃがんだまま、俯いていると



「お前たち」

メイドの背後から凛とした声が響く









普段のルカからは想像出来ないしっかりとした声音でメイドを叱っているのを何処か他人事で見ている。

俺は情けなく床にしゃがみ込んだまま。
本来メイド達を纏めるべき俺の姿はこうあるべきなんだろう
どうしようもなくいたたまれなくなって、床の微かな傷を数えるように見つめる。いじけてしまった子供のように

「…アーロンさん」

名前を呼ばれてゆっくり顔を上げるとルカは俺の目の前に立っていた。その表情は気遣わしい、ルカの背後でメイドは慌てて頭を下げながら去っていく

ルカが横に腰を下ろした。
驚きと、気まずさで声が上擦る

「あのさ、ありがとう…こんな所座ったら汚い」

「いいえ、僕のメイドが失礼しました。…何を見ていたんですか?」

「あ、これ…」 

蟻を指そうとして、その幼稚な行いが途端に恥ずかしくなり顔が赤くなっていく気がする。ルカは中途半端に指した指を辿って目線を落とす 


「…小さいですね」

ポツリと零す言葉はバカにする様な物ではなかった。ルカが放つと途端に意味が含まれてるように重く感じる。俺は綺麗なルカの横顔を思わず見つめた。

「うん」

頷くとルカは俺に視線を移す。
吸い込まれそうな深い茶色の瞳はイーサンとよく似ている。至近距離で見つめられてドギマギしてしまって、俺は思わず目線を逸らす。どうしよう、嫌な感じに逸らしちゃったかもしれない。焦った俺はたどたどしくルカに目線を戻した。

「、……あははっ」

ルカが少し目を丸くすると、口元に手を当てて珍しい笑い声を上げた
それはやはり馬鹿にしたようなものではない
だってルカが俺を見る目はとても優しい
思い返せば、いつだってそう。

「わ、わらわうなよっ」

「だって、くふ」

「もー!」


こんなやりとり、ルカとするなんて前の俺なら考えられなかった



















伸びてきた髪を指ですいて整える。
俺は少しくせ毛だから湿気ですぐにクルクルになるのだ。
それも最近はマルコの品のおかげで落ち着いてきたと思う。スルスルと滑る指通りはとても心地よくて、早くイーサンにちゃんと触って欲しい きっと褒めてくれる

ただ鎖骨下まで伸びた髪は結構邪魔で、鬱陶しい。子供の時からずっと短い髪で過ごしてきたから、髪がこんなにも手入れに手間がかかるなんて知らなかった。
ルカなんて俺よりももっとずっと長いし綺麗
枝毛なんてきっと無いし、いつもいい匂いがする。いいなぁ、

「あ、」

自室の肘掛椅子に足ごと乗せて丸まって座り、膝というより膝小僧の上に布を敷いて俺は枝毛探しに奮闘中。
イーサンを待っていた。

あの後、床に座り込んだままルカと少し話をしていた。ルカの部屋でお茶でもしようと誘われたけど、まだ気まずい気持ちが消えたわけではない俺はイーサンと約束があると言って断った。これは別に嘘じゃないもんな

そんな俺の気持ちに察しがついているのかどうか分からない。けど、せっかく誘ってくれたのにルカは笑って 「分かりました。また是非」って言ってくれた 
少しも嫌な顔をしなかった。俺ならどうだろう、やっぱり心根が綺麗な人はこういうものだと改めて認識して何処か勝手に落ち込む 。
俺って本当にバカみたいだ


ショキ、とハサミの音と最近増えた俺の独り言は部屋に響くほどのものでも無く、とても静かだ。
日が暮れ初めていて、夕日が部屋に差し込んでくる。イーサンの色だ
それに気付いた時自然と口角が上がった


「アーロ、居るか?」

誰かがドアがノックしたと思うとイーサンの声が聞こえてきた
イーサンの事考えてたらほんとのイーサンだ!

「はぁい!」


膝の布を畳んで脇に置き、勢いよく立ち上がろうとしたら、長い時間俯いて毛先を見ていた俺はそれはもうくらぁっと

丁度俺の返事を得て扉を開け部屋に入ってこようとするイーサンが目を丸くしてるのが見えた

「アーロッ」

暫く目の周りが白いモヤで覆われて音が聞こえなくなる。最近よくあるけど、すぐに治るから口が動くようになったら大丈夫だよって伝えなきゃ

「アーロ!アーロ!」

どうしようめっちゃ心配してる。枝毛探し続けて立ちくらみって言い出しずらいな
俺を抱えて青い顔で焦るイーサンを明瞭になってきた視界で認識する こんなイーサン見るの初めてかも…ルカの具合が悪くなった時、こんな感じなのかな

「あ、ははは…大丈夫。ずっと同じ体勢で俯いてたから目眩が」

イーサンは何か言いたげに俺を見つめる。腰を支えてくれる手は、俺の骨をなぞるように触れる。最近体重が減ってしまって少し目立つようになった 
眉をひそめて確かめていく手に俺は内心色んな意味でドキドキだ。

「…アーロ、」

「……なに…?」

イーサンはなんだか苦しそうだった  
やはり何か言いたげに俺を見て
結局イーサンは眉を顰めるだけで何も言わなかった。
心配をかけたくないのに何か言って欲しい。
少しがっかりしたような感情になる自分に溜息をつきたくなった。

「大丈夫か?驚いたぞ」

「へへ…、ごめんなさい」

労わるように大きな手で頭を撫でてくれる。
そのまま髪をすいてくれるのが心地よくて目をつぶった。
このまま前みたいに髪を褒めてくれるかな、
あの時よりもっともっと手触りが良くなっているはずだからきっと気付いてくれるはず

でも残念ながら、すっと手が離れて行ってしまった。まだ、足りないか…もっと頑張ろう 

「アーロ、池を見せてくれるんだろう?」

「…!うんっ…こっちだよ!」

落ち込んだ気分は簡単に明るさを取り戻して、イーサンの手をぐいぐいと引く。
イーサンは黙って着いてきてくれる
両手開きの中庭に続く扉を片側開けると土と草木の匂いが一気に香って、部屋にいる時よりも自分の居場所だと強く感じる。

「綺麗な庭だな」

そう!そうでしょ!と顔が綻んでしまう。
イーサンが綺麗だって言ってくれると、よりこの庭が輝いて見える

「あそこの花は俺が植えた!あそこも!こっちは昨日蕾が出てきたんだっ俺が植えたやつ!」

繋いだイーサンの手をぶんぶん振ってあれこれ早口になる俺を相槌をうちながら全部聞いてくれる。嬉しい、嬉しい!ずっと見せたかった!

「金魚はあっちか?」

「うんっそう!イーサンきっとびっくりするよ!」

「アーロ、走るな」

気持ちがせいて手を離して走り出そうとする俺をイーサンが捕まえる。
それに俺は笑い声を上げて身をよじる


後ろで、イーサンが息を詰めたような気がした。

途端抱き上げられて、強く抱き締められる
昔こうやってよくじゃれ合っていた。でも今回のそれは何処か縋るような、祈るような
俺の胸に顔を押し付けるようにしているイーサンの顔は見えない。

「イーサン…?どうしたの…、大丈夫?」

どうしたんだろう…さっきの何か言いたげな表情といい、今日のイーサンはなんだか変

「具合悪い?痛い?どうしたの?」

分からない、今までイーサンに甘えるばかりだった俺は今の状態が一体なんなのか、どうすればいいのか 

「イーサン、泣かないで」

どうして、そう言ったのかは分からない
ただ 口が勝手に動いた。


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