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しおりを挟む30分程たっただろうか、ずっと同じ体制でいたから足が痺れてるかも。床に足をつけると案の定じわじわと痺れが強くなって1人で堪える。
なんだかそれがおかしくなってしまって、俺は何をやってるんだろう と思った
「まだ東屋にいるかな」
人を傷付けたらごめんなさい
人を怒らせたらごめんなさい
人に迷惑をかけたらごめんなさい
でも、理由が分かってないのに謝ってはだめ
と幼い頃祖母に教わった。ここ最近、自分はそれが出来ていただろうか…?
この状況を生み出しているのは俺だって分かってるなら変わらなきゃいけないんじゃないのか?
でも、どうしても納得がいかない
ただの嫉妬で片付けられるのも、
我儘で片付けられるのも、
「でも、ルカ泣いてた」
泣いてた理由は、多分分かる
「イーサンは怒ってた」
これも分かる。
じゃあ謝らないといけない
俺は変わらなきゃいけない
考えている間に痺れは治まった。ここにずっといてもしょうがない!と頬を叩いた気合いをいれる。謝る時は全身全霊のごめんなさいをする!これも祖母の教えだ
少しよろめきながら立ち上がって扉に向かうと、向こう側からノックの音が聞こえて体が跳ね上がる
「アーロ、」
「は、はいってます…」
イーサンだ
東屋に行くまでに言葉を考えようと思っていたから突然に謝罪する対象が現れて混乱した
「入ってもいいか?」
イーサンの声はさっきとは違って俺を伺うような声音だった
それに泣きそうになって、慌てて深呼吸して整える
「うん、鍵開ける」
「アーロ」
イーサンは中に入ると真っ直ぐ俺を見て頬を撫でてくれた。
「泣いてないか?……さっきはきつい物言いになった、悪かった」
先手をとられて慌てて俺も声を出す
「お、おれもっごめんなさい。ルカに、酷いこと言った…ルカにも謝りたい、ルカは…?」
イーサンは何も言わず俺を見下ろしてくる。
その瞳がどこか揺らいでいる気がして息を呑んだ。
イーサンは突然俺を子供みたいに抱き上げて抱き締める
「わ、イーサン?」
「ルカの病状が悪化してる」
俺の肩口に顔を押し付けながらくぐもった声で言われた言葉に俺は頭が真っ白になった
「俺、俺のせいで、」
「違う」
イーサンは強く否定して、俺を抱えたまま長椅子に座った。
「昨日今日の話じゃないんだ。2か月前の診察で医師にそう言われた。昨日の結果も同じだった」
表情と声音を強ばらせて言うイーサンに固唾を飲んだ
「ルカは、自分はもう長くないと思っている。入院を選ばないのもそれだ 残りの時間をここで過ごしたいんだ」
俺を引き寄せる力が強くなって、イーサンの切実な思いが伝わってきた。
伴侶の家族が病気で、伴侶が辛い思いをしているのに、俺は嫉妬と我儘で支えようともしなかった。自分の事しか考えていなかった
ルカの病気の事を深く知ろうともしないで、ルカに当たった
「お前に我慢させていることは分かってる。だがどうか、分かって欲しい」
イーサンはただでさえ忙しい。その空いた時間を俺とルカ2人別々に使うんじゃなくて、3人で過ごした方がそれぞれ長くそばにいられる。
でも俺がルカを敵視していたから
「今回の火竜も本当なら乗るべきじゃない、だが昨日の結果でルカは諦めたように、」
そこで言葉を止めたイーサンを俺は思わず抱き締めた。
俺は馬鹿だ、大馬鹿だ
その感情は痛いほど分かるはずなのに、
祖母がもう長くないと知った時 ベットの上で動かなくなったことを想像した時、その通りになった時
「イーサン、イーサンっ」
いつもイーサンに言葉を貰うばかりで、俺は肝心な時になんて言えばいいのか分からない
ただ名前を呼んで抱き締めるしか出来なかった。
「ルカ、本当にごめんなさい」
あれから小屋を出て、ルカの部屋にいる。
俺はベットの横にたって誠心誠意謝った。
ルカはゆっくり首を振って、僕の方こそ と続けた。
「あれは僕の我儘です、せっかく楽しみにしてたのに 僕のせいでごめんなさい」
この時初めて、ルカという人間を少し知ったような感覚になった。
これは言うつもり無かったけど言いたい衝動にかられた。
「あの、もし無理じゃなかったら 乗る……?」
「え…いいんですか?でも」
2人でイーサンの顔を伺うと 嬉しそうに満たされたように微笑んで頷いた
「すごい!大きい!」
ルカは興奮した声をあげて火竜に目を輝かせた。
いつも穏やかに微笑んで余裕のあるルカしか知らず、こんな1面を見るのは初めてだった。
そして、ルカが自分の歳とそう変わらない事を思い出す。そうだ そうだよな
もし俺が病気でルカみたいに好きに外出できなくて、毎日苦しさと戦って それでも長く生きられないかもしれないと知った時、残りの時間をこんな風に前向きに過ごせるだろうか?
「今日ルカが乗るのはそこにいる」
「どこっ?」
イーサンと2人並んで火竜を見る姿がほんとうに無邪気で幼くて 今までの自分の姿がほんとうに恥ずかしくなった
火竜は馬を3倍にもした大きさで、その翼は小さな家なら覆える程に大きい。
四肢はとても筋肉質で、爪は太く鋭い
色味はみなそれぞれ少し違うが、大体が赤銅色をしている。その中でもイーサンの髪色に少し似ている子が俺のお気に入り
出来ればその子に乗りたいけど、気性が荒くてイーサンが手綱を握らないと乗れない。
俺は今日イーサンとは乗らないのだ
これは俺が決めたこと 今までの謝罪の意味も込めてルカに譲った
「今日はよろしくお願いします。」
後ろから声をかけられて振り返ると、王国騎士が立っていた。わざわざ今日の為に数人の騎士がここまで来てくれているのだ
それも今回俺の癇癪のせいで無駄足にさせる所だった。
「頼んだぞ」
俺が返事をする前にイーサンが騎士に声をかけた。途端に騎士は背筋がピンッと伸びて「お任せ下さい!」と元気よく返事をする。
俺も負けじと声を出した。
「あの、今日もわざわざありがとうございます よろしくお願いします!」
イーサンと目を合わせると申し訳ないとでも言うような顔で俺を見ていた。俺は笑って大丈夫だとコンタクトをとる
火竜の準備はとっくに整っていて、俺たちは自分の装備の最終チェックをする。
ルカは初めてだからイーサンがチェックしてやっている。
俺はなんと3回目になるのでもうきっと1人でもへっちゃらなのだ
「あ、」
そう思っていたが、ゴーグルを手に取って気付く。後ろの留め具が少しややこしくて手元も見えないから1人で付けると時間がかかるのだ。付けられはするけど、いつもイーサンを呼んで付けてと強請っていた。
イーサンは当たり前のように付けてくれて、付け終わったらいつも俺の鼻を悪戯に摘んでくる。
俺はそれが大好きで、してもらう為にわざと付けれないふりをしていた
そういえば今日、なんで火竜を持っているのか聞いてないからあのやりとりもしてない。
ゴーグルは出来なかったけど、あの珍しいふざけ合いくらいはタイミングを見て出来るだろうか
「あの、よろしければお付けしましょうか?」
「いえ!大丈夫です、ありがとうございます。」
ゴーグルを見つめていると付けられないと思ったのか騎士が声をかけてくれた
慌てて付けようとするけどやはりイーサンや騎士の人達みたいに素早く付けられない。
見かねた騎士が「やはりお手伝いします」と後ろに回ってくれた。
今日俺が乗る火竜は雌で、おばあちゃんらしい。歳を重ねると火竜はどんどん色が抜けていくらしく、この子は桃色っぽくて可愛い
雄よりも大人しく、竜に乗り慣れてる人達の感覚では雄より穏やかに空を飛んでくれるらしい
「今日はよろしくね」
火竜は群れで飛ぶ時はリーダーを先頭にして飛ばないとその個体が不機嫌になってしまうので、イーサンとルカが乗っている気性が荒いのが先頭にいて、後ろに単騎の火竜が2体と、俺と騎士の人が乗ってるのが一体。
イーサンと一緒じゃないけど、それでもやはり火竜に乗るというのは興奮する
高度が低いので強烈な寒さに悴むことなく余裕を持って周りを見渡せた。
鳥の大群がまるで火竜から逃げるように飛んでいくのを見て、凄いね と後ろを振り返りそうになった。危ない危ない
15分程して、イーサンが更に高度を下げた。
恐らくもうおしまいにするんだろう
帝都に向かう時の馬車も中は広くベットのようになっているが、それでも疲弊してしまう。座って更に空を飛ぶなんていうのはかなりの無茶なのだ
他の竜もリーダーに着いていくように緩やかに高度を下げた。
着陸した後疲れを滲ませながらも嬉しそうにしたルカがイーサンに支えられながらこちらに近付いてきて礼を言ってきた
「アーロンさん、本当にありがとうございました。凄く楽しかった」
「うん。よかった また乗ろうね」
そういうとルカは少し驚いてから曖昧に笑った。隣にいたイーサンがゆっくり湯浴みしてこい、とルカを促してひかえていたメイドと一緒に行かせた。
てっきり一緒に屋敷に戻るものだと思っていた俺は驚いてイーサンを見た。
スっと手が伸びてきてぐしゃぐしゃ!と髪をかき混ぜられて 最近毎晩香油で手入れしている髪がボサボサにされる
「わ~っっイーサン!」
「ありがとう」
「へ、」
思いがけずかけられた言葉にボサボサの髪をそのままにポカンとバカみたいに口を開ける
何が、と続けようとした言葉は突然抱えられてカポンッて閉じる。舌噛んだらどうすんだ!
「ガスの装備はそのままでいい」
イーサンが騎士の人達にそう言って、俺を見た。ガスと言うのは俺の一番お気に入りの火竜だ。イーサンの髪色に近い
「え、えっ、え!」
期待の声を上げる俺にイーサンはなんだか少し切なそうな顔をした。
そしていつもよくやってくれるように手で優しく頬や髪を撫でてくれる
「次は2人きりだ」
「……!」
嬉しすぎて言葉が出ず、イーサンの腕をペシペシとまた叩く
そうと分かったら早く早くと急かす俺に分かった分かった落ち着けと言わんばかりにギュッと抱きしめられる。
嬉しい!嬉しい……!
ガスのそばに来たのでイーサンは俺を下ろしてもう一度装備のチェックをする。
俺は目からずらして首にぶら下げていたゴーグル少しまごつきながら外してイーサンに渡した。
あ、やべ外せるって事は着けれるってことでは と一瞬停止した俺を気にもとめず、当然のようにゴーグルを受け取って付けてくれる。
そしてやっぱり、俺の鼻を悪戯に摘んで付け終わったと合図する。
色々あったけど、火竜の遠乗りは最終的には凄く幸せに終わった。俺の自己満足かもしれないけど、ルカの事、イーサンの事を少し理解して 俺に出来ることを考えるようになった。
目を開けると目の前にはイーサンが眠っている。夜はとっくに更けていて、俺はまだ眠れないでいた。
あの後ルカはやっぱり熱を出してしまって、食堂に来ることが出来なさそうだった。
俺がルカの部屋に食事を運んで食べるのはどうかと提案すると、イーサンが少し驚いた表情をした。きっと今までもそうしたかったんだろう
喜んで承諾した。
ルカもメイドから報告を受けていたのか、熱で顔を赤くしながらもとても嬉しそうに迎えてくれた。
俺が変わるだけでこんなにも皆が笑うのかと、どこか他人事のように感じた
引っかかりが無いと言うと、きっと嘘になる。
なぜこの家なのか、イーサンの所なのか
と思うことはあるけれど、それでも俺がルカを受け入れただけでイーサンが嬉しそうに笑うのだから、ルカも笑うのだから
すぐ側にある精悍な顔は疲れていて、目の下には隈があるように思う
仕事の事、弟の事、我儘な妻の事
その全てを常に考えながら、自分自身の家族を失うかもしれないという恐怖と戦っている。
それでも俺の為に合間を縫って準備して、今日の遠乗りを叶えてくれた
イーサンだって1人の人間なのに、具合が悪い時も、強いストレスを感じる日もあるだろう。でもそのどれも、俺は今まで1度も気付いたことは無い。俺はイーサンを癒す側にならなきゃいけない。
それが出来ないならせめて、俺の事で心労をかけちゃいけない
好きな人に少しでも、辛い思いをさせたくない
「ルカー!これ見て!」
「こらアーロ、走るな」
ドタドタと走って部屋に入る俺にイーサンが叱る。でもそれは以前のように距離を感じるものではない。
ルカは俺を見て嬉しそうに微笑んでくれる。
「大きいカエルですね」
「だろ!俺の庭のナンバーツー!」
今朝早起きして土いじりをしていると突如現れたビックなカエルに俺はその場でナンバーツーの称号を与えた。名前は付けない
離したら多分もう見つけられないからね!
火竜の日から1週間
俺はルカに積極的に接するようになった。
ルカのことを少し知って俺自身改めなければと思ったし、ルカに優しく接すれば接するほど、イーサンの目が和らぐ。
ルカの傍に、対等の立場で気にかける人間が増えたという事がきっとイーサンの重荷を少し軽くするはずだ
嫉妬や怒りを沸かせていた時とは比べ物にならないくらい3人には笑顔が増えた。
だが空気が良いと感じるのが強くなるほど過去の自分の姿が辛くなる。
すべて俺のせいだったのかと考えてしまって心が少し陰る
でもそんな所で止まってちゃいけない
イーサンもルカも沢山俺について思っていたこと感じた事飲み込んできたはずだ、なら俺も と自分に言い聞かせている。だってそれが事実だろ
「ルカ、今日は食べられそうか?」
ルカは体調を崩していて食欲が無く、昨日なんてフルーツを絞った果実水しか飲めていない。その横で普通に食事をするのはとても気を使う。なんならメイド達に見張られている時よりも
食事が喉を通らないのだ。味も感じない
イーサンもいつもそんな状態だったんだろうか
でも食べないと普段沢山食べる俺を知ってるイーサンが心配するから無理やり詰め込む。食べられないよりいい
「あまり…」
ルカは申し訳ないように言葉を濁して笑う。
ああ、今日も美味しいご飯は食べれなさそうだな って考えてしまった俺は性格が悪い。こういう所もなおさないと
「そうか、ゆっくり増やしていこう。
アーロ。カエルを外に離してこい、
後手を洗ってこい」
ルカを笑わせたから、撫でたりしてくれるかもと思っていたけど、
イーサンはルカと一緒にいるとあまり俺を撫でたり触ったりしない事に気付いた。
だからこの1週間殆ど触れ合えてなくて寂しいけど、きっと俺には分からない理由があるのかもしれない。前みたいに不満をぶつけるような事がないように蓋をする
「ラジャ!」
言われた通りに潰さないようにカエルを掴んでドアに向かうがルカに呼び止められた。
「ナンバーワンはなんですか?」
「金魚!」
今日はマルコが来る日なので、3人で食事が終わった後それとなく部屋に戻った。
庭に出ると既に仕事に取り掛かっているマルコを見つけて挨拶する。
「今日は何を手伝えばいい?」
「それではこの植木をそちらに」
俺と出会ってからマルコは来る時に小さな植木を持ってくるようになった。この広い庭には少し不釣り合いなそれは多分俺に仕事を与えるためにわざわざ持ってきてくれているのかもしれないと、最近気付いた。
あの一件から俺は色々な事に気付けるようになったと思う。少し皆が言う大人になれたのかと嬉しくなった だが、それは時に疲れるものだというのも知った。
一生懸命ホイホイと庭の土を掘り返していると巨大ミミズが現れた!デカー!イーサンに見せたい!紙に描いて渡す?流石に子供っぽすぎるか?
「マルコマルコマルコマルコ」
「早口言葉みたいですね。どうしました?」
「マルコって絵描ける?」
突然の質問にマルコの頭の上にははてなマークだ。律儀に手を止めてこちらを見てくれる
「えぇ、まぁ 庭の配置関係で多少学びましたが」
パッと顔を輝かせた俺にマルコは更にハテナを増やした。
この後マルコにミミズを描いてもらったのだが、長いだけの特に描き込むところが無いミミズはなんとも言えず、2人して紙を目から離して見たり斜めにしたりしてうなっていた。 イーサンに見せるのはやめたけど、せっかく描いてもらったので大事に保管することにした。その事を呟くと「当主様に見せるつもりだったんですか?!」と震えていた
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