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二冊目 時戻りの時計
いつも通りの朝
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それ数十年という月日が流れた。
彼女は俺の妻となり、今でも俺を支えてくれている。娘も一人いる。
相変わらず研究は大変だが、俺はもう無理をして体調を崩すような事はしなくなっていた。それに薬の完成もあと一歩と言う所まで来てる。完成した暁には、苦労を掛けた妻と娘と一緒に旅行にでも行きたい。そんな風に思っていた。
──
目が覚める。何か夢を見ていた気がする。時間を見ると丁度起きる時間だった。
リビングに向かうと、妻が朝食の準備をしていた。
「おはよう」
俺が言うと妻は微笑みながら。
「おはよう」
と言ってくれる。それだけで俺はとても幸せな気持ちになる。
「コーヒーでいい?」
「ああ」
俺は返事をしながら食事が準備されているテーブルの自分の席に座る、妻もコーヒーを置きながら俺の向かいの席に座る。
「いただきます」
二人でそう言って食事を始める。いつも通りの朝だ。
「香夏子は……もう帰ったのか?」
「ええ、もう少し早く起きてくれば会えたのに」
「ごめん」
「いいのよ、たまのお休みだもの。あの子も仕方ないって笑っていたわ」
優しく微笑む妻の顔に癒される。昔からそうだ、妻はいつだって俺の癒しになってくれる。
ちなみに香夏子は娘の名前だ。娘は今、大学生で一人暮らしをしている。昨日まで家に帰って来ていたのだ。無理をしなくなったとはいえ、研究は忙しくあまり会えずに結局娘の休みが終わってしまったのだ。
食後、一緒に洗い物をしながら、薬がもうすぐ完成しそうなことと、完成した暁には家族旅行にでも行かないかと話をする。
「香夏子もきっと喜ぶわ」
妻はとても喜んでくれた、誘って正解だったな。
──
書斎に戻り、旅行の行き先でも調べるかとパソコンを起動させる。ゆっくりするなら暖かい国がいいだろうか? 妻と娘はショッピングが好きだから……。
色々と楽しい思考を巡らせていたその時、どこからかベルの様な音が聞こえてくる。
「なんだ? 初めて聞く音だな……」
あちこち見て回ると、使っていない引き出しの奥の方から見慣れない懐中時計が出てきた。音の原因はこれか。どうやって止めるのだろう。適当にいじくると音は止まった。
ほっとした、次の瞬間、俺の視界がぐにゃりと歪む。何だこれは!? あまりの気持ち悪さに、俺は目を閉じた。
彼女は俺の妻となり、今でも俺を支えてくれている。娘も一人いる。
相変わらず研究は大変だが、俺はもう無理をして体調を崩すような事はしなくなっていた。それに薬の完成もあと一歩と言う所まで来てる。完成した暁には、苦労を掛けた妻と娘と一緒に旅行にでも行きたい。そんな風に思っていた。
──
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リビングに向かうと、妻が朝食の準備をしていた。
「おはよう」
俺が言うと妻は微笑みながら。
「おはよう」
と言ってくれる。それだけで俺はとても幸せな気持ちになる。
「コーヒーでいい?」
「ああ」
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「いただきます」
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「ええ、もう少し早く起きてくれば会えたのに」
「ごめん」
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優しく微笑む妻の顔に癒される。昔からそうだ、妻はいつだって俺の癒しになってくれる。
ちなみに香夏子は娘の名前だ。娘は今、大学生で一人暮らしをしている。昨日まで家に帰って来ていたのだ。無理をしなくなったとはいえ、研究は忙しくあまり会えずに結局娘の休みが終わってしまったのだ。
食後、一緒に洗い物をしながら、薬がもうすぐ完成しそうなことと、完成した暁には家族旅行にでも行かないかと話をする。
「香夏子もきっと喜ぶわ」
妻はとても喜んでくれた、誘って正解だったな。
──
書斎に戻り、旅行の行き先でも調べるかとパソコンを起動させる。ゆっくりするなら暖かい国がいいだろうか? 妻と娘はショッピングが好きだから……。
色々と楽しい思考を巡らせていたその時、どこからかベルの様な音が聞こえてくる。
「なんだ? 初めて聞く音だな……」
あちこち見て回ると、使っていない引き出しの奥の方から見慣れない懐中時計が出てきた。音の原因はこれか。どうやって止めるのだろう。適当にいじくると音は止まった。
ほっとした、次の瞬間、俺の視界がぐにゃりと歪む。何だこれは!? あまりの気持ち悪さに、俺は目を閉じた。
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