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一冊目 縁の鎖
殺人狂
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「その……その腕輪……」
「ああ、あなたには見えるのね、店主さんの言っていた通りだわ」
「だ、だってあの店主はそれを付けているのは俺を殺した奴だって……お……俺を殺したのは……」
「私よ」
さも当たり前という風に彼女は答える。
「な、なんで……そんな……」
「なぜって、もしかして忘れてしまっているの?」
「ああ俺は、殺される前後の記憶だけ失っているんだ……」
俺の言葉に彼女は少しだけ考える仕草をした。
「冗談だよね? 君が俺を殺しただなんて……」
俺のすがるような言葉に彼女は優しく微笑むと。
「私ね、好きになった人を殺したくなるの」
と答え、俺を絶望に突き落とす。
「今まで大勢の人を殺してきた。愛してるって、大切だって、そう言ってくれても、私の最大級の殺意を受け入れてくれないの。パパもママも……みんな……殺す時に酷い顔をする、みんな私に嫌悪の目を向ける」
彼女は一呼吸置くと、この世の全てを恨む様な口調で。
「みんな、本当の私を……殺人鬼の私を受け入れてくれない」
吐き捨てる様に言った。そんなの当たり前だろう……殺されるのを受け入れろだなんて、無理に決まっている。
「けど、あなたは違った」
彼女は俺を見て微笑んだ、今まで見た一番の笑顔で。……いや、違う……俺の好きな彼女の笑顔は? 頭がズキンと痛む。
「あなたは、私に殺される時に目を輝かせていた。薬で身体の自由を奪っていたとはいえ逃げようともしなかった。とても幸せそうな顔をしていたわ」
俺が……? 殺されそうなのに幸せそうって……そんなのただのバカじゃないか!
「あなたは私の殺意を受け取ってくれた初めての人」
俺はじりじりと距離をとる、彼女は……この女はヤバい……逃げなければ……。
「あなたが死んでしまったその時、あの変な店が現れて店主にこの鎖を渡されたの」
彼女が俺の首に生えている鎖を指差すと自分の左手首をくいと引く、信じられない力に引っ張られ、俺はその場に倒れこんだ。
「喜んで死んでいくあの顔を、あなたを失いたくなくて……迷う事なく鎖を使ったわ。だから、あなたはずっと私と一緒なの」
そう言って彼女は愛おしそうに俺の首に生えている鎖を撫でた。息を飲む、これは夢なのか? 夢であってくれ…。
「これを使うには当人同士の意思の一致が必要だった。私はまたあなたを殺したい、あなたはまた私に殺されたい……。そういう一致が必要だった」
俺は……彼女に殺されたいと望んで生き返った……? そんな馬鹿な!? 殺されたくて生き返るなんて、俺が……俺は……? 混乱してくる、ズキズキと頭が痛む。俺は……俺は誰なんだ? 本当に彼女に殺されたくて生き返ってきたのか!?
「お店に、あなたを置いて立ち去るのがどんなに心配だったか。意思が同調しなかったら、あなたが生き返らなかったら、どうしようって……」
彼女が唇を重ねてくる。甘い香りがする、甘く優しく……妖しく……、そう……俺は知っている……?
「けど……あなたは生き返って、自分で私の所へ帰って来た。私にまた殺される為に……」
彼女の甘い囁きが聞こえる。
「思い出して? あなたが私に殺された時の事を」
その言葉に頭が割れるように痛む、その痛みのせいか目の前が真っ暗になった。
「ああ、あなたには見えるのね、店主さんの言っていた通りだわ」
「だ、だってあの店主はそれを付けているのは俺を殺した奴だって……お……俺を殺したのは……」
「私よ」
さも当たり前という風に彼女は答える。
「な、なんで……そんな……」
「なぜって、もしかして忘れてしまっているの?」
「ああ俺は、殺される前後の記憶だけ失っているんだ……」
俺の言葉に彼女は少しだけ考える仕草をした。
「冗談だよね? 君が俺を殺しただなんて……」
俺のすがるような言葉に彼女は優しく微笑むと。
「私ね、好きになった人を殺したくなるの」
と答え、俺を絶望に突き落とす。
「今まで大勢の人を殺してきた。愛してるって、大切だって、そう言ってくれても、私の最大級の殺意を受け入れてくれないの。パパもママも……みんな……殺す時に酷い顔をする、みんな私に嫌悪の目を向ける」
彼女は一呼吸置くと、この世の全てを恨む様な口調で。
「みんな、本当の私を……殺人鬼の私を受け入れてくれない」
吐き捨てる様に言った。そんなの当たり前だろう……殺されるのを受け入れろだなんて、無理に決まっている。
「けど、あなたは違った」
彼女は俺を見て微笑んだ、今まで見た一番の笑顔で。……いや、違う……俺の好きな彼女の笑顔は? 頭がズキンと痛む。
「あなたは、私に殺される時に目を輝かせていた。薬で身体の自由を奪っていたとはいえ逃げようともしなかった。とても幸せそうな顔をしていたわ」
俺が……? 殺されそうなのに幸せそうって……そんなのただのバカじゃないか!
「あなたは私の殺意を受け取ってくれた初めての人」
俺はじりじりと距離をとる、彼女は……この女はヤバい……逃げなければ……。
「あなたが死んでしまったその時、あの変な店が現れて店主にこの鎖を渡されたの」
彼女が俺の首に生えている鎖を指差すと自分の左手首をくいと引く、信じられない力に引っ張られ、俺はその場に倒れこんだ。
「喜んで死んでいくあの顔を、あなたを失いたくなくて……迷う事なく鎖を使ったわ。だから、あなたはずっと私と一緒なの」
そう言って彼女は愛おしそうに俺の首に生えている鎖を撫でた。息を飲む、これは夢なのか? 夢であってくれ…。
「これを使うには当人同士の意思の一致が必要だった。私はまたあなたを殺したい、あなたはまた私に殺されたい……。そういう一致が必要だった」
俺は……彼女に殺されたいと望んで生き返った……? そんな馬鹿な!? 殺されたくて生き返るなんて、俺が……俺は……? 混乱してくる、ズキズキと頭が痛む。俺は……俺は誰なんだ? 本当に彼女に殺されたくて生き返ってきたのか!?
「お店に、あなたを置いて立ち去るのがどんなに心配だったか。意思が同調しなかったら、あなたが生き返らなかったら、どうしようって……」
彼女が唇を重ねてくる。甘い香りがする、甘く優しく……妖しく……、そう……俺は知っている……?
「けど……あなたは生き返って、自分で私の所へ帰って来た。私にまた殺される為に……」
彼女の甘い囁きが聞こえる。
「思い出して? あなたが私に殺された時の事を」
その言葉に頭が割れるように痛む、その痛みのせいか目の前が真っ暗になった。
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