不幸の次は暗殺者

みぃ

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1章 運命

不幸は不平等

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⚠️総体して流血表現、性的暴力、グロ表現がございます。


物語は一人称視点で進んで行きます。

****



自分が不幸だと思ったことがあるかと問われれば俺は間違いなく首を縦に振るだろう。

生まれながらにして不運だった。母は俺を産んだ後、出産で体力を使い切ってしまい息を引き取った。

そして父親、これがどうしようもなくクズで、俺が産まれた時立ち会いもせずに浮気相手と宜しくやっていた。当然の事ながら俺はそのクソ野郎に引き取られた。DNA上はしっかりと血の繋がった父親だったからか問題があろうと誰も文句は言えなかった。

まぁ、文句を言う奴なんてのも居なかったと思うがな。皆我関せずと言った感じだった。

物心着いた時から父からの暴力を受ける日々、これが普通だと思っていたし、幼いながらに地獄だとも感じていた。
これだけじゃない。
更に不幸は重なった。俺が5歳位の時に父は女を連れてきた。派手な化粧に胸元の開いた服を着た臭い香水を身に纏う女。
その時は分からなかったがその女が、きっと出産の日に宜しくヤってた浮気相手だったんだろう。
その女は俺を見るなり、一言。
確かに似てるけど…男じゃん、と眉間に皺を寄せて忌々しそうに呟いた。
当時はその一言がどういう事なのか分からなかったが、次第に分かる。
女は母親似の俺に何故か嫉妬していたのだ。

そこからは地獄なんて生温いと思える様な、本物の苦痛が始まった。

父と女、両方からの暴力に耐える日々。女は俺の母親に対して恨みが尋常では無く、俺の顔ばかり狙ってきた。そして決まって、腹立つ顔だ、とヒステリックに叫ぶ。

「あんたの母親はクソ女だよ、私の男取った挙句隠れるようにあんたを産んだんだ。あんたも可哀想だねぇ、あんなのから産まれちゃって。」

俺が覚えてもいない母の事を女は必死で蔑んでいた。女は俺の首を絞める。
当時の俺の体で綺麗な所なんて無い。全身痣だらけだった。

齢5歳にして血は見なれたものだった。
痛いと言う言葉も知らなかった。

何度も死のうとして、でも、この世から消える、そんな勇気はなくて。

ズルズルと青痣だらけの体を引き摺りながら醜く生きていた。周りの人間も見て見ぬふりをして近付いてこようともしない。助けてくれない。まだ幼かった俺は今の状況が世間では通常では無いという事すら知らなかった。そういうモノなんだと思っていた。出た先で目線をチラリと周りに向ければ仲良さそうに手と手を繋いで歩く親子の姿。いいな、なんて羨ましく思った時期もあった。
ただ、やはり誰も助けてくれなくて、そんな気持ちは次第に忘れていった。


更に数年経って12歳を迎えた日くらいから、父に口癖ができた。暴力を振るう時は必ず、お前は俺の物だと、ずっと病気のように繰り返すのだ。

「顔は小綺麗な癖に俺の言うことはちっとも聞かねえ生意気な奴だなぁ、てめぇが妊娠してるって分かった途端忽然と家から姿消しやがって!!!」

バコッ。

父は正常ではなかった。
俺を引き取った時から家には注射器やビニール袋に入った白い粉が大量に散乱していた。

薬物中毒者のこのクズは俺に亡き母親を重ねて見ていた。

父は母に逃げられたのだ。母は父から逃げたのだ。 逃げてくれたのだ。12歳で初めて知ったその事実に何故かほっとしたのを今でも覚えている。

ドゴッ。

俺が無言な事が気に食わなかったのか殴る拳の重みが増す。
鈍い音が部屋に響いた。

あの日から住み着いている女は黙々と爪の手入れをしていてチラリともこちらを気にした様子はない。

「てめぇのその目も母親にそっくりだ、……最近特になぁ……」

10歳を越えてから俺の顔つきは男っぽくなるばかりか更に中性的な顔立ちになっていった。
義務教育だからと仕方なく通わされてた学校帰りなどでは良く知らないおっさんや柄の悪そうな男から声を掛けられた。

そして、父に恍惚とした表情でそう言われた瞬間、嫌な予感がした。
父の瞳孔が開き、鼻息が荒くなる。

女がこちらの状況に気付き何かを叫んでいた。

足の先から脳天にかけて一気に寒気が走る。

殴られている時には感じなかった、別の恐怖。
やばいと思って、初めて抵抗した。必死に。
でも12歳の力で大の大人には適うはずもなくて。
力の差を、父の怖さを、痛感するだけだった。

大きな手が服を剥いでいく。太腿を押さえ付けて、足を無理矢理開かされた。顔を固定されガサガサした何かで口を塞がれる。

気持ち悪かった。

俺はその日父に犯された。

全てが終わったあと俺は初めて父の前で声を出して泣いた。いつもとは違う苦痛。屈辱。殴られるよりも何よりもこの行為は俺の心を深く傷つけた。
腿を伝う液体。押さえ付けられた手首には手形の痣が出来て、身体中には噛み跡や鬱血痕が着いていた。誰が見ても何をされたのかなんて一目瞭然だった。

父はそんな俺を見て一言。

「愛してるんだ」

「ひっ…うぅ」

恐怖だ。

俺の口を塞ぎながら頬を染めて呟いた。

気持ち悪い。

何が愛だ。

涙は止まらない。泣き過ぎて頭が痛かった。
愛とはこんなにも心苦しいものなのか。
こんなものが愛なら俺は要らない。欲しくない。

その日から暴力と合わせて父とのセックスは俺の日常となっていった。

更に自体は悪化する。初めて犯された日から少し経ったある日、父は母親に似た俺をどうにか己の目の届く所に留めて置こうとしたのか

俺の足の腱を果物ナイフで切った。

初めて『痛い』を声に出して叫んだ。
燃えるような痛さ。熱い。痛い。熱い。
その影響で1週間も熱が出たが、その間も関係なしに犯された。

元々抵抗していた訳でもない。だが、心の底から抵抗心を奪われた。少しはあったプライド。
それすら無くなってしまった。

諦めた。父から逃げることを。

足の腱を切られた辺りから女の姿は消えていた。
流石にやばいと思ったのだろう。女は父に執着していたように見えたが、終わりはあっさりしていると思った。父は俺の事を決して諦めてはくれなかったが。
俺はいつか父に殺される。漠然とそんな気がしていた。

だが、父とそうゆう関係になって半年は過ぎようとしていた頃、




地獄は突然終わりを告げた。

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