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マリアの引き出し
前触れ
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弁財天の力を得て四ヶ月がたち、暦は六月を迎えていた。じめじめとした初夏らしい日が続き、菖蒲やあじさいが見頃を迎えている。
黒電話の霊を祓って以来、しばらくは菊千代もいつまた物憑きの霊が出るかと身構えていたが、いっこうにその気配はなかった。
平屋は毎日が賑やかだ。この日も、エミさんが泣き喚く赤ん坊を懸命にあやしている。キッチンの流しでは哺乳瓶を冷やす流水の音が響いていた。
「ダイちゃん、ちょっと待ってね」
エミさんの足下では菊千代がうろうろし、しきりに赤ん坊をあやそうとする。
「若、待たれよ、待たれよ」
だが、その声もエミさんには「にゃあ、にゃあ」と繰り返し鳴いているようにしか聞こえない。
エミさんが「菊千代、泣くのはダイキだけで充分よ」と、苦笑していた。
その背後で「ふん」とマリアが鼻を鳴らす。
「どうも赤ん坊の泣き声って好きになれないわ」
そう言いながら凛々しく美しい顔をしかめている。
「なんだい、マリア。少しは菊千代を見習って子守りでもしたらどうだ」
ロッキーがからかうと、マリアがまた黒い鼻を鳴らす。
「その言葉、そっくりあんたに返すわよ」
「年寄りには赤ん坊の相手はしんどい」
「こういうときだけご老体になるのね。普段はお腹もたるんで、毛艶がなくなってきているのを密かに気にしているくせに」
そんな彼らをよそに、エミさんが人肌になった哺乳瓶を手に取った。
「ほうら、ミルクできたよ」
哺乳瓶をダイキの口にあてがった途端、泣き声がぴたりと止み「くっ、くっ、くっ」と、ミルクに夢中になる。
菊千代が「はぁ」と小さな感嘆を漏らした。
「さすが母上、お見事でござる。毎度のことながら、若を泣き止ませることに関しては、母上の右に出る者はおりますまい」
彼はそう言って、榛色の瞳でミルクに吸い付く赤ん坊をうっとり見つめている。既に子猫時代の象徴である青い瞳はすっかり色を変え、毛羽だった毛並みも滑らかになっていた。
マリアが「そりゃそうよ、母親だもの」と呆れ顔で伸びをする。最近ではすっかり菊千代の中途半端な侍言葉を止めさせようとするのを諦めてしまったらしい。
ダイキは首もすわり、体つきもむっちりしていた。興味を持ったものにしきりに手を伸ばそうとする。髪もいくらか生えてきた。
「若は凛々しいお顔でござる。笑顔がまたいいでござる」
菊千代は毎日のように褒めそやし、常に彼に寄り添って寝る。まるで弟ができたようでもあるし、自慢の主でもあった。親バカのカンさんにも負けないほどダイキに夢中で、ロッキーとマリアが呆れるほどだった。
その日の夜は、山から吹き下ろす風が強く窓を叩いていた。
「ただいま」
店を閉めたカンさんが明日の仕込みを終えて、帰ってきた。
「おかえりなさい」
エミさんが、すぐに夕食をあたためにかかった。三匹の猫たちはカンさんの足下に額をすり寄せに集まる。
「父上、おかえりなさいませ」と菊千代が喉を鳴らせば、ロッキーが「おかえり」と目を細める。一番喜ぶのがマリアで、彼女はカンさん一筋なのだった。
「カンさん、おかえりなさい」
そう言って誰よりも念入りに額を足にこすりつける。
「ただいま、お前たち」
カンさんが穏やかな声で言い、マリアの狭い額をするっと撫でた。そして、子ども部屋にいる息子の寝顔にますます頬を緩ませるのだった。
菊千代が得意げにカンさんにまとわりついていた。
「若は今宵もよい子でござった。あっぱれでございますよ、父上」
しかし、カンさんにはその声もただ「にゃあ」と繰り返し鳴いているようにしか聞こえず、「そうかそうか、寂しかったか。菊千代、ただいま」と見当違いの返事をして、食卓についた。
この日の夕食は、きのこ鍋だった。珊瑚礁かと思うほどむっちりしたマイタケやシメジ、えのきが入った醤油仕立ての鍋を二人でつつく。
エミさんが今日一日のダイキの様子を話し、店のことを二、三訊ねる。カンさんは「あぁ」とか「うん」という短い言葉で返し、あとは黙々と箸をすすめるのが毎日の光景だった。
そのいつものやりとりに、マリアが呆れて首を傾げる。
「カンさんは本当無口ね。エミさんはよく一人で話す気になるわね。破れ太鼓みたいなのに」
すると、ロッキーが小さくヒゲを動かした。
「なぁに、カンさんは俺たちに似ているだけだって、エミさんはよく知っているのさ」
「似ているって、どういう意味?」
「俺たちが尻尾や耳やヒゲの動きなんかで言葉なしに話すようなもんってことさ」
ロッキーの言う通り、エミさんにはカンさんがいちいち口にせずとも、仕草や癖を見れば考えていることがわかるのだった。
「あなた、大丈夫? 今日は早く休んだら?」
このときも、エミさんは夫が眉間を指で押さえる仕草を見て、疲れているのだと見抜いた。
カンさんは「あぁ」と頷き、ふっと怪訝な顔をする。
「……どうも最近、妙な視線を感じるんだよ」
「視線? 今もしているの?」
「それがね」
カンさんが不思議そうに唸っている。
「店にいるときだけなんだ。じっと監視されているような、そんな気がして、頭が重くてね」
「それは変ね」
エミさんもきょとんとしたが、すぐににっこり微笑んだ。
「日帰り温泉にでも行ってらっしゃいよ。すっきりするわよ。きっと、疲れがたまっているんだわ」
カンさんが黙って頷き、苦笑した。
「今日はマリアとゆっくり寝ることにするよ」
その声に、マリアが嬉々として彼の膝に飛び乗る。くるっと回ると、小さく座り込んで「にゃあ」と甘えた。
そんなマリアを見て、カンさんが笑みを漏らす。
「最近、マリアは夜中の大運動会をしなくなったね」
エミさんは足下の菊千代に目をやる。
「そうよね。いつもはマリアが菊千代にちょっかいかけて二匹で走り回るのに、この頃はあなたの傍で熟睡しているものね。マリアも疲れがたまっているのかしら。昼間もずっと寝ているのよ」
「猫の世界も色々気苦労があるのかもしれないよ」
エミさんとカンさんは顔を合わせて「ふふ」と笑い合った。マリアは満足げにカンさんの膝の上で喉を鳴らしている。
そんな様子を遠目に見ていたロッキーが「ふむ」と小さく唸り、なにやら思案顔をしていた。
菊千代がヒゲをピンと張って、ロッキーに話しかける。
「ねぇ、ロッキー。もしかして、視線の正体は物憑きでござるか?」
「調べてみないことにはわからないな。もしそうだとしても、あの話の内容では依り代は店にあるんだろう」と、ロッキーが答える。
菊千代は彼がいつもより難しい顔をしているのに気づき、首を傾げた。
「どうしたでござる? 何か気になることでもあるでござるか?」
「……まぁな」
短く返ってきた答えに、菊千代が「カカカカ」と狩りの鳴き声を漏らした。
「父上に変な霊が取り憑く前に、今夜にでも店の様子を見てくるでござる」
そんなやりとりを知るよしもなく、エミさんたちは菊千代の鳴き声に「あら、虫でも入ってきたかしら」と笑ったのだった。
黒電話の霊を祓って以来、しばらくは菊千代もいつまた物憑きの霊が出るかと身構えていたが、いっこうにその気配はなかった。
平屋は毎日が賑やかだ。この日も、エミさんが泣き喚く赤ん坊を懸命にあやしている。キッチンの流しでは哺乳瓶を冷やす流水の音が響いていた。
「ダイちゃん、ちょっと待ってね」
エミさんの足下では菊千代がうろうろし、しきりに赤ん坊をあやそうとする。
「若、待たれよ、待たれよ」
だが、その声もエミさんには「にゃあ、にゃあ」と繰り返し鳴いているようにしか聞こえない。
エミさんが「菊千代、泣くのはダイキだけで充分よ」と、苦笑していた。
その背後で「ふん」とマリアが鼻を鳴らす。
「どうも赤ん坊の泣き声って好きになれないわ」
そう言いながら凛々しく美しい顔をしかめている。
「なんだい、マリア。少しは菊千代を見習って子守りでもしたらどうだ」
ロッキーがからかうと、マリアがまた黒い鼻を鳴らす。
「その言葉、そっくりあんたに返すわよ」
「年寄りには赤ん坊の相手はしんどい」
「こういうときだけご老体になるのね。普段はお腹もたるんで、毛艶がなくなってきているのを密かに気にしているくせに」
そんな彼らをよそに、エミさんが人肌になった哺乳瓶を手に取った。
「ほうら、ミルクできたよ」
哺乳瓶をダイキの口にあてがった途端、泣き声がぴたりと止み「くっ、くっ、くっ」と、ミルクに夢中になる。
菊千代が「はぁ」と小さな感嘆を漏らした。
「さすが母上、お見事でござる。毎度のことながら、若を泣き止ませることに関しては、母上の右に出る者はおりますまい」
彼はそう言って、榛色の瞳でミルクに吸い付く赤ん坊をうっとり見つめている。既に子猫時代の象徴である青い瞳はすっかり色を変え、毛羽だった毛並みも滑らかになっていた。
マリアが「そりゃそうよ、母親だもの」と呆れ顔で伸びをする。最近ではすっかり菊千代の中途半端な侍言葉を止めさせようとするのを諦めてしまったらしい。
ダイキは首もすわり、体つきもむっちりしていた。興味を持ったものにしきりに手を伸ばそうとする。髪もいくらか生えてきた。
「若は凛々しいお顔でござる。笑顔がまたいいでござる」
菊千代は毎日のように褒めそやし、常に彼に寄り添って寝る。まるで弟ができたようでもあるし、自慢の主でもあった。親バカのカンさんにも負けないほどダイキに夢中で、ロッキーとマリアが呆れるほどだった。
その日の夜は、山から吹き下ろす風が強く窓を叩いていた。
「ただいま」
店を閉めたカンさんが明日の仕込みを終えて、帰ってきた。
「おかえりなさい」
エミさんが、すぐに夕食をあたためにかかった。三匹の猫たちはカンさんの足下に額をすり寄せに集まる。
「父上、おかえりなさいませ」と菊千代が喉を鳴らせば、ロッキーが「おかえり」と目を細める。一番喜ぶのがマリアで、彼女はカンさん一筋なのだった。
「カンさん、おかえりなさい」
そう言って誰よりも念入りに額を足にこすりつける。
「ただいま、お前たち」
カンさんが穏やかな声で言い、マリアの狭い額をするっと撫でた。そして、子ども部屋にいる息子の寝顔にますます頬を緩ませるのだった。
菊千代が得意げにカンさんにまとわりついていた。
「若は今宵もよい子でござった。あっぱれでございますよ、父上」
しかし、カンさんにはその声もただ「にゃあ」と繰り返し鳴いているようにしか聞こえず、「そうかそうか、寂しかったか。菊千代、ただいま」と見当違いの返事をして、食卓についた。
この日の夕食は、きのこ鍋だった。珊瑚礁かと思うほどむっちりしたマイタケやシメジ、えのきが入った醤油仕立ての鍋を二人でつつく。
エミさんが今日一日のダイキの様子を話し、店のことを二、三訊ねる。カンさんは「あぁ」とか「うん」という短い言葉で返し、あとは黙々と箸をすすめるのが毎日の光景だった。
そのいつものやりとりに、マリアが呆れて首を傾げる。
「カンさんは本当無口ね。エミさんはよく一人で話す気になるわね。破れ太鼓みたいなのに」
すると、ロッキーが小さくヒゲを動かした。
「なぁに、カンさんは俺たちに似ているだけだって、エミさんはよく知っているのさ」
「似ているって、どういう意味?」
「俺たちが尻尾や耳やヒゲの動きなんかで言葉なしに話すようなもんってことさ」
ロッキーの言う通り、エミさんにはカンさんがいちいち口にせずとも、仕草や癖を見れば考えていることがわかるのだった。
「あなた、大丈夫? 今日は早く休んだら?」
このときも、エミさんは夫が眉間を指で押さえる仕草を見て、疲れているのだと見抜いた。
カンさんは「あぁ」と頷き、ふっと怪訝な顔をする。
「……どうも最近、妙な視線を感じるんだよ」
「視線? 今もしているの?」
「それがね」
カンさんが不思議そうに唸っている。
「店にいるときだけなんだ。じっと監視されているような、そんな気がして、頭が重くてね」
「それは変ね」
エミさんもきょとんとしたが、すぐににっこり微笑んだ。
「日帰り温泉にでも行ってらっしゃいよ。すっきりするわよ。きっと、疲れがたまっているんだわ」
カンさんが黙って頷き、苦笑した。
「今日はマリアとゆっくり寝ることにするよ」
その声に、マリアが嬉々として彼の膝に飛び乗る。くるっと回ると、小さく座り込んで「にゃあ」と甘えた。
そんなマリアを見て、カンさんが笑みを漏らす。
「最近、マリアは夜中の大運動会をしなくなったね」
エミさんは足下の菊千代に目をやる。
「そうよね。いつもはマリアが菊千代にちょっかいかけて二匹で走り回るのに、この頃はあなたの傍で熟睡しているものね。マリアも疲れがたまっているのかしら。昼間もずっと寝ているのよ」
「猫の世界も色々気苦労があるのかもしれないよ」
エミさんとカンさんは顔を合わせて「ふふ」と笑い合った。マリアは満足げにカンさんの膝の上で喉を鳴らしている。
そんな様子を遠目に見ていたロッキーが「ふむ」と小さく唸り、なにやら思案顔をしていた。
菊千代がヒゲをピンと張って、ロッキーに話しかける。
「ねぇ、ロッキー。もしかして、視線の正体は物憑きでござるか?」
「調べてみないことにはわからないな。もしそうだとしても、あの話の内容では依り代は店にあるんだろう」と、ロッキーが答える。
菊千代は彼がいつもより難しい顔をしているのに気づき、首を傾げた。
「どうしたでござる? 何か気になることでもあるでござるか?」
「……まぁな」
短く返ってきた答えに、菊千代が「カカカカ」と狩りの鳴き声を漏らした。
「父上に変な霊が取り憑く前に、今夜にでも店の様子を見てくるでござる」
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