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川守たちの朝
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ウタカタンのはずれに『たそがれ川』と呼ばれる川がある。細いが深くて穏やかな流れだった。
そのほとりの水車小屋に、川守たちが住んでいた。一匹のビーバーと一匹のカエル、一匹のネズミ、それに一羽のカラスだ。
しなやかな雨の朝のことだった。水車小屋ではみんな勢揃いで食卓を囲んでいる。
ビーバーのバルカロールがライ麦パンを切り分けながら言った。
「しとしと降る雨は綺麗だね」
「そうだね、森の木が嬉しそうだ」と、カエルのジャスパーがお茶を注ぐ。
「そうかな、僕はヒゲがしっとりして嫌だな」と、チーズを頬張るネズミのレミー。
「まったくだ。メガネが曇って仕方ない。潰れたスフレのような気分だよ」
ぶつぶつ言いながら丸メガネを拭いているのがカラスのサルヴァドールだ。
朝食が終わる頃、誰かが扉を叩く音がした。
「川守はいるかな? たそがれのひと皿をお願いしたいんだが」
外から聞こえた声に、バルカロールが白い歯を見せる。
「おやおや、もう仕事の時間だ」
サルヴァドールが扉を開けると、そこにはカエルのヨナじいさんが立っていた。
そのほとりの水車小屋に、川守たちが住んでいた。一匹のビーバーと一匹のカエル、一匹のネズミ、それに一羽のカラスだ。
しなやかな雨の朝のことだった。水車小屋ではみんな勢揃いで食卓を囲んでいる。
ビーバーのバルカロールがライ麦パンを切り分けながら言った。
「しとしと降る雨は綺麗だね」
「そうだね、森の木が嬉しそうだ」と、カエルのジャスパーがお茶を注ぐ。
「そうかな、僕はヒゲがしっとりして嫌だな」と、チーズを頬張るネズミのレミー。
「まったくだ。メガネが曇って仕方ない。潰れたスフレのような気分だよ」
ぶつぶつ言いながら丸メガネを拭いているのがカラスのサルヴァドールだ。
朝食が終わる頃、誰かが扉を叩く音がした。
「川守はいるかな? たそがれのひと皿をお願いしたいんだが」
外から聞こえた声に、バルカロールが白い歯を見せる。
「おやおや、もう仕事の時間だ」
サルヴァドールが扉を開けると、そこにはカエルのヨナじいさんが立っていた。
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