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ヨナじいさんの置き手紙

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 ドンはヨナじいさんの家に住み、よく当たると評判の占い師になった。

 朝、クジャクの羽のような青いテーブルかけの上に深いカップを置き、占いの支度をする。そして客の話を聞きながら紅茶を飲む。昼には頭のてっぺんからキノコが生えてくる。夜になったら大きくなったキノコで占うのだ。ヨナじいさんと同じように。

「ごくごく、ごくごく、どんどん、ごくごく」

 ドンはどこかで聞いたことのあるようなメロディで歌う。

「よいよい答えがどんどんどん」

 ドンの占いを見守るのは、暖炉の上に飾られたヨナじいさんの置き手紙だ。便箋には青いインクでこう書いてあった。

『街のみんながワシの誕生日を祝おうとしてくれたこと、ありがとう。けれど、ワシはかえらねばならん。ヤギのテーブルかけと、アルマジロのカップは孫の占いに役立つだろう。アヒルの白い花はワシへの手向けと、孫の開業祝いだ。なに、門出は悲しいばかりじゃない』

 そして最後にはこんな言葉があった。

『本当に願うことは思うより少ないものだ。愛おしい者たちよ。寒い思いをせず、ひもじい思いもせず、笑って暮らせよ。しばしの間、ごきげんよう!』
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