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第二章 朱南国
たまに当たる直感
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完全に目の座った彼は、怒りを露わにしている。
「……痛いんだけど」
「神奈様、下がっていてください」
朱公に促されるまま、少し下がる。
背中で感じる寒気は、怪我のせいではないだろう。目の前の、男から噴き出る憎悪のせいだ。
姉様、朱己姉、戦わないと言ったのに。約束を破って、ごめんなさい。
心のなかで、静かに謝った。
ーーー
「朱己、いるか!」
執務室の扉を勢いよく開けて入ってきた彼女。
「杏奈! どうしたの?」
葉季と戒、三人で書類を片付けていた私のところへ駆け込んできた彼女は、尋常ではないことが起きていると顔に書いてあった。
「神奈から連絡はあったか? 今、神奈から念が飛んできた」
「私のところにはまだ。なんて?」
敵と遭遇したと直感的にわかった。
杏奈の顔が、鬼気迫るものだったから。
「ウキルと遭遇した。朱公が応戦中で、狙いは神奈だ」
「ウキル!? なんでビライトで……」
予想外だ。
今ビライトの中心部ではないのか?
顔が青ざめていく気がした。深呼吸しながら、頭を整理する。
「朱己、落ち着くのだ。朱公と神奈の居場所を明確に把握するのが先ではないか? 本当にビライトにたどり着けたのか……」
葉季に言われてはっとした。
そもそも、彼らがたどり着く前に相手の術中に嵌っていた可能性がある、という線を無視していた。
焦るな、焦るな。
まずは現状把握だ。
「杏奈、神奈の居場所は掴める?」
「無論」
杏奈が右手をかざせば、徐々に浮かび上がる地図。
彼女たちは、ビライトと青東の国境にいた。
その図を見て、葉季がやはり、と頷く。
「最初からはめられていたのであろう。こちらが、この二人を送り込むとわかっていた……としか、思えぬ」
「つまり……爆弾の調査に、私達が動くと読んでいた……もっと言うなら」
「「紫西に爆弾を仕掛けたのは、青東……」」
葉季と声が揃う。
最初から、仕組まれていたのだ。
こみ上げる感情が、怒りなのか、悲しみなのか、焦りなのか、はたまた全部なのか。
「神奈を手に入れるために……? それとも……」
「神奈が味方にならぬのなら、……消すつもり、なのではないか、と?」
葉季の言葉に、頷くことができない。
自分が至った考えを肯定したくなかったのだ。
私は、まだ甘いんだ。
顔を押さえて、深いため息をついた。
どこかで、弟が元婚約者を手に掛けるなんてことを、考えるわけがないと期待していた。
私達は、いつか和解できると。
昔のように戻れるのではないかと。
もう敵なんだ。
これを絶望と言うには、酷く馬鹿げている。
わかっていたことだ。最初から。
「朱己。私が行く」
聞こえた言葉に、現実へと引き戻された。
反射的に顔を上げれば、眼の前で杏奈が私を見ていた。
「杏奈……」
「妹の危機だ。今、神奈を失う訳には行かない。朱己はここにいろ、前線へ大将が出るのは今じゃない」
冷静に、静かに、少しでも迷った私を責めることもなく。
自分が酷く情けなかった。
覚悟なら、とっくの昔に決めたはずだ。
裏切りに慣れたとか格好つけておきながら。
今、私の仲間である者を守る。
それが私の役目だ。
「杏奈、お願い。……高能!」
名前を叫べば、隣の部屋から大げさな音を立てて私の部屋へ入ってきた。
「杏奈と任務へ行って頂戴」
「あ? 今からか」
「ええ、神奈と朱公が危ない」
その一言で、あらかた全てを察したらしい高能は、頭をかきながら舌打ちをした。
「だから俺に行かせろって言ったんだよ。ばーか!」
「ごめん、私が悪かった。後でいくらでも叱られるから、お願い、行って頂戴」
真剣な話に茶々を入れるように、葉季と杏奈が笑っている。
「ほお、高能。先見の明があったということかのう」
「珍しいこともあるものだな。まぐれではないのか?」
「ちょっと、ふたりとも!」
こころなしか、場の空気が少しだけほぐれた。
「ったく! 俺だってたまにはやればできんだよ! ほら、行くぜ杏奈」
「ほう、私に指図するとはな。では朱己、行ってくる」
「ええ、本当に気をつけてね。神奈と朱公を……お願い」
二人は頷くと、姿を消した。
見送った後で、葉季が触れて気がついた。
自分の手が、酷く震えていたことに。
「大丈夫だ。今は信じて待つ、良いな」
「ええ、……そうね。ありがとう、葉季」
窓の外は、曇天模様だ。
酷く胸騒ぎがして、胸の前で手を握りしめた。
震えが止まるように。
目を瞑って深呼吸しながら、ただただ祈ることしかできない自分を、心のなかで恥じた。
ーーー
「なんで神奈たちは、ビライトと青東の国境なんぞに……」
「はなから導かれていたとしか思えんな」
先程朱己の部屋で話した事柄を高能に伝えながら、空間を繋いで高速移動する。
基本的に、能力者は自分の属性の力で空間を作り上げることができるが、空間をつなぐ速度、空間の中を移動する速度は、自分の属性の速度に依存する。
私であれば、五感支配であるため、神経を伝う速さに依存するし、高能であれば雷の速度に依存する。
それぞれの速度を説明していると時間がかかるため割愛するが、雷属性は桁外れに早いため、移動のときは彼に運んでもらうのが一番早い。
私の人間の神経に依存する速度は、音速よりも遅い。
音速よりも早い光速、そして、光速よりも遥かに早いのが雷の速度だ。
それだけでも、雷属性の彼の速さがピカイチであることは伝わるだろう。
「高能、もうすぐだ」
「おう、捕まってろ!」
透視で行き先を導く。
彼に抱えられた状態で、首に手を回してしがみつく。
流石に早すぎる、と悪態をつきそうになりながらも、朱己が高能に行けと行ったのはこの速度も信頼してのことだろう、と予想がついた。
神奈。必ず助ける。
「その角を右、次いで左、いる!」
「了解!」
辿り着いた先は荒れ果てた土地。
血まみれの朱公と、青ざめた顔をして倒れた神奈、そして不気味な笑みのウキルがいた。
「神奈!」
「杏奈様!! 来てはなりませ……っ」
私達に気づいた朱公が、振り返った瞬間。
彼女の胸に突き刺さったウキルの手が、私達を出迎えた。
「いいところなんだから、邪魔はしないでほしいですね。杏奈様」
「ウキル……! お前……」
顔に青い筋が浮き上がっているような気がした。
怒りが心を支配する中、冷静に、冷静にと腹の底に沈めていく。
神奈と朱公に対して、五感支配で筋肉の動きを支配し止血したが、彼女たちがどこまで深手を追っているか、ゆっくり確認する時間はない。
早く片付けて、早く帰らなければ。
治療が遅れれば、それだけ助かる確率が下がる。
「高能、早く片付けて帰ろう」
「おうよ。行くぜ」
静かに臨戦態勢に入る。
自分の側近であるガタイのいい男と共に、目の前の男を睨みつけた。
「……痛いんだけど」
「神奈様、下がっていてください」
朱公に促されるまま、少し下がる。
背中で感じる寒気は、怪我のせいではないだろう。目の前の、男から噴き出る憎悪のせいだ。
姉様、朱己姉、戦わないと言ったのに。約束を破って、ごめんなさい。
心のなかで、静かに謝った。
ーーー
「朱己、いるか!」
執務室の扉を勢いよく開けて入ってきた彼女。
「杏奈! どうしたの?」
葉季と戒、三人で書類を片付けていた私のところへ駆け込んできた彼女は、尋常ではないことが起きていると顔に書いてあった。
「神奈から連絡はあったか? 今、神奈から念が飛んできた」
「私のところにはまだ。なんて?」
敵と遭遇したと直感的にわかった。
杏奈の顔が、鬼気迫るものだったから。
「ウキルと遭遇した。朱公が応戦中で、狙いは神奈だ」
「ウキル!? なんでビライトで……」
予想外だ。
今ビライトの中心部ではないのか?
顔が青ざめていく気がした。深呼吸しながら、頭を整理する。
「朱己、落ち着くのだ。朱公と神奈の居場所を明確に把握するのが先ではないか? 本当にビライトにたどり着けたのか……」
葉季に言われてはっとした。
そもそも、彼らがたどり着く前に相手の術中に嵌っていた可能性がある、という線を無視していた。
焦るな、焦るな。
まずは現状把握だ。
「杏奈、神奈の居場所は掴める?」
「無論」
杏奈が右手をかざせば、徐々に浮かび上がる地図。
彼女たちは、ビライトと青東の国境にいた。
その図を見て、葉季がやはり、と頷く。
「最初からはめられていたのであろう。こちらが、この二人を送り込むとわかっていた……としか、思えぬ」
「つまり……爆弾の調査に、私達が動くと読んでいた……もっと言うなら」
「「紫西に爆弾を仕掛けたのは、青東……」」
葉季と声が揃う。
最初から、仕組まれていたのだ。
こみ上げる感情が、怒りなのか、悲しみなのか、焦りなのか、はたまた全部なのか。
「神奈を手に入れるために……? それとも……」
「神奈が味方にならぬのなら、……消すつもり、なのではないか、と?」
葉季の言葉に、頷くことができない。
自分が至った考えを肯定したくなかったのだ。
私は、まだ甘いんだ。
顔を押さえて、深いため息をついた。
どこかで、弟が元婚約者を手に掛けるなんてことを、考えるわけがないと期待していた。
私達は、いつか和解できると。
昔のように戻れるのではないかと。
もう敵なんだ。
これを絶望と言うには、酷く馬鹿げている。
わかっていたことだ。最初から。
「朱己。私が行く」
聞こえた言葉に、現実へと引き戻された。
反射的に顔を上げれば、眼の前で杏奈が私を見ていた。
「杏奈……」
「妹の危機だ。今、神奈を失う訳には行かない。朱己はここにいろ、前線へ大将が出るのは今じゃない」
冷静に、静かに、少しでも迷った私を責めることもなく。
自分が酷く情けなかった。
覚悟なら、とっくの昔に決めたはずだ。
裏切りに慣れたとか格好つけておきながら。
今、私の仲間である者を守る。
それが私の役目だ。
「杏奈、お願い。……高能!」
名前を叫べば、隣の部屋から大げさな音を立てて私の部屋へ入ってきた。
「杏奈と任務へ行って頂戴」
「あ? 今からか」
「ええ、神奈と朱公が危ない」
その一言で、あらかた全てを察したらしい高能は、頭をかきながら舌打ちをした。
「だから俺に行かせろって言ったんだよ。ばーか!」
「ごめん、私が悪かった。後でいくらでも叱られるから、お願い、行って頂戴」
真剣な話に茶々を入れるように、葉季と杏奈が笑っている。
「ほお、高能。先見の明があったということかのう」
「珍しいこともあるものだな。まぐれではないのか?」
「ちょっと、ふたりとも!」
こころなしか、場の空気が少しだけほぐれた。
「ったく! 俺だってたまにはやればできんだよ! ほら、行くぜ杏奈」
「ほう、私に指図するとはな。では朱己、行ってくる」
「ええ、本当に気をつけてね。神奈と朱公を……お願い」
二人は頷くと、姿を消した。
見送った後で、葉季が触れて気がついた。
自分の手が、酷く震えていたことに。
「大丈夫だ。今は信じて待つ、良いな」
「ええ、……そうね。ありがとう、葉季」
窓の外は、曇天模様だ。
酷く胸騒ぎがして、胸の前で手を握りしめた。
震えが止まるように。
目を瞑って深呼吸しながら、ただただ祈ることしかできない自分を、心のなかで恥じた。
ーーー
「なんで神奈たちは、ビライトと青東の国境なんぞに……」
「はなから導かれていたとしか思えんな」
先程朱己の部屋で話した事柄を高能に伝えながら、空間を繋いで高速移動する。
基本的に、能力者は自分の属性の力で空間を作り上げることができるが、空間をつなぐ速度、空間の中を移動する速度は、自分の属性の速度に依存する。
私であれば、五感支配であるため、神経を伝う速さに依存するし、高能であれば雷の速度に依存する。
それぞれの速度を説明していると時間がかかるため割愛するが、雷属性は桁外れに早いため、移動のときは彼に運んでもらうのが一番早い。
私の人間の神経に依存する速度は、音速よりも遅い。
音速よりも早い光速、そして、光速よりも遥かに早いのが雷の速度だ。
それだけでも、雷属性の彼の速さがピカイチであることは伝わるだろう。
「高能、もうすぐだ」
「おう、捕まってろ!」
透視で行き先を導く。
彼に抱えられた状態で、首に手を回してしがみつく。
流石に早すぎる、と悪態をつきそうになりながらも、朱己が高能に行けと行ったのはこの速度も信頼してのことだろう、と予想がついた。
神奈。必ず助ける。
「その角を右、次いで左、いる!」
「了解!」
辿り着いた先は荒れ果てた土地。
血まみれの朱公と、青ざめた顔をして倒れた神奈、そして不気味な笑みのウキルがいた。
「神奈!」
「杏奈様!! 来てはなりませ……っ」
私達に気づいた朱公が、振り返った瞬間。
彼女の胸に突き刺さったウキルの手が、私達を出迎えた。
「いいところなんだから、邪魔はしないでほしいですね。杏奈様」
「ウキル……! お前……」
顔に青い筋が浮き上がっているような気がした。
怒りが心を支配する中、冷静に、冷静にと腹の底に沈めていく。
神奈と朱公に対して、五感支配で筋肉の動きを支配し止血したが、彼女たちがどこまで深手を追っているか、ゆっくり確認する時間はない。
早く片付けて、早く帰らなければ。
治療が遅れれば、それだけ助かる確率が下がる。
「高能、早く片付けて帰ろう」
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