1 / 28
プロローグ
しおりを挟む
東京の冬は思っていたよりも寒い。
こんな深夜に俺の住むおんぼろアパートの扉を叩く奴がいる。どんどんどん、と音が鳴り響く。俺とヨリコは一瞬凍りついた。うっすらと瞳を開き、お互いの顔を見た。
「どなたかいらっしゃいませんか」
音の主は初めて存在に気づいたと言わんばかりに、今度はチャイムを連打し始めた。生ぬるい打撲音はピンポーンという無機質な音に変わった。
「少し待っていてくれ」
俺はヨリコにそう伝えると、玄関へと急いだ。おそるおそる扉の覗き窓を見ると、五十代半ばの男が立っているのが分かった。手に何かを持っている……手帳だ。
「どなたかいらっしゃいませんか。ちょっとお聞きしたいことがあるのですけど。いないはずありませんよね。こっちは全て知っていますよ」
返事の有無に構わず白髪交じりの男は続けた。
「本田あいさんの件について、貴方に詳しいお話を聞かせてほしいのですが」
こんな深夜に俺の住むおんぼろアパートの扉を叩く奴がいる。どんどんどん、と音が鳴り響く。俺とヨリコは一瞬凍りついた。うっすらと瞳を開き、お互いの顔を見た。
「どなたかいらっしゃいませんか」
音の主は初めて存在に気づいたと言わんばかりに、今度はチャイムを連打し始めた。生ぬるい打撲音はピンポーンという無機質な音に変わった。
「少し待っていてくれ」
俺はヨリコにそう伝えると、玄関へと急いだ。おそるおそる扉の覗き窓を見ると、五十代半ばの男が立っているのが分かった。手に何かを持っている……手帳だ。
「どなたかいらっしゃいませんか。ちょっとお聞きしたいことがあるのですけど。いないはずありませんよね。こっちは全て知っていますよ」
返事の有無に構わず白髪交じりの男は続けた。
「本田あいさんの件について、貴方に詳しいお話を聞かせてほしいのですが」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる