「乙女ゲームのモブに転生しました〜」って話あるじゃないですか。私その小説の悪役令嬢になっちゃいました。

こむぎ

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2章・攻略対象者との出会い

10話

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フィリム団長いわく、自分は小さな頃から強すぎて化け物と恐れられていてそれは団に入っても変わらなかったらしく。
そんな中つい先日部下の人達が私の話をしていたそうです。
「大賢者様がアスタロンのご令嬢から空中魔法を教わったらしいけど苦戦しているらしい」
あの・・大賢者様でさえ苦戦する魔法を扱えるアスタロン嬢すごいな!」
「もはや色々相まって女神だな!」との事。その“色々”のところ詳しく教えて頂けませんか。なにが含まれたら女神になっちゃったんですか。
え?色々は色々って、、、中身はないと?そうですか。
そして陛下、物凄くあっさり情報漏れてます。どうしてですか。
といったように団の中で私が神格化され、それに嫉妬したフィリム団長が八つあ、、、じ、実力を確かめに来たそうです。

ちょうど更地も出来たのでここで行うとのことですが、なぜかワラワラとギャラリーが出来ました。
ほぼ、というか全員魔術師団の方達ですね。
「、、、フィリム団長がお呼びに?」
「そうだよ!実力を見てもらうためにね!」
、、、なるほど?
「、、、当て馬か」と静かに呟きましたねユーリ様。思ってても言わないお約束ですよ。私が悲しいので。

そして始まりました、魔法剣を試したくもありましたが流石に陛下に怒られる所では済まなそうなので純粋な魔法対決になりました。

そしてあっさり勝ちました。
団長、威力の強い魔法のゴリ押ししかしないので隙をついたらあっさりダウンしました。

「ナヴィ、どうするの?これ」
そしてユーリ様が指し示すのはより更地が拡がってしまった周囲の風景。
、、、私じゃないですよ。団長です。
何の対策も無しに魔法を投げまくるので慌ててギャラリーと、この周囲に結界を張ったものの焦ってたのもありちょっとサイズを間違えて大きめに作ってしまったらしくその分更地が拡がりました。
、、、私のせいですかね。

「取り敢えず、、、出来る所まで戻しましょうか」
建物は元の構造が分からないのでどうにも出来ませんが植物等に関しては複合魔法でどうとでもなるので全て元通りに生やしました。これで怒られなくなるといいんですけど。無理でしょうか。

「みたか?女神、俺達のこと団長から守ってくれたぜ?」
「みたみた、しかもこの結界要塞並みに固い」
「さすが女神だな、辺りも植物も元通りにしちまうし。」
「それに比べてうちの団長は」
「「「、、、はぁー」」」
また始末書だよ、、、と部下さんたちが頭を抱えてますね。1人泣いてます。
「何さ、何さ!何で僕より強いのにこの人は化け物じゃないわけ!?意味わかんないんだけど!!」
割と早めにダウンから回復したフィリム団長は部下達からの酷評にご立腹な様で。

この惨状から気づきましょうか。団長。
「女神もそう思うよね!?君の方が化け物じゃん!」
グルっとこちらを向いてそう尋ねられました。
「、、、戦った本人から“はい、そうです。私が化け物です”とは言えないですね」
「はぁ!?なんでさ!」
「えぇ、、、私は女神という名前も自分でつけてませんし、そもそも呼び名って他人からの評価で付けられるものだと思ってるので自分で名乗るものではないかと、、、」
「それは、そうかもしれないけど!」
「なぜ、フィリム団長が化け物と言われるのかは周囲を見ていただいたら分かるかと。」
「周囲?、、、なんもわかんないけど?」
辺りをキョロキョロ見回した後なおも、納得のいかないご様子。さてどう説明しましょうか。
「団長、、、周囲こんなにボロボロにしといてなんも分かんないって、馬鹿にしてるんですか?」
部下さんの1人が静かにキレながら団長に話しかけます。
「え?ボロボロ?、、、あ、ヤバ。」
ようやくお気づきになったみたいです。
チラリとこちらを見たあと、スッ、、、と目を逸らしました。そのモーションは罪をなすり付ける気ですか。
「女神は、貴方の攻撃でこれ以上被害が出ないようにって直ぐに結界張って守ってくれてたんですよ、私たちを含めて、ね!それに比べて団長はどうですか?周囲をろくに見もせず、やりたい放題好きな魔法ぶっぱなして、壊したおして、さぞ楽しかったでしょうね、暴れまくるのは。」
部下さんの熱弁が止まりません。
団長が泣きそうになってこちらを見ますが、それは自業自得ですよ。そっと顔を逸らしそちらを見ないようにします。
「団長!聞いてないですね!?」
「聞いてる!聞いてるよ!」
「いいえ、そもそも貴方はいつも、、、」
と、お説教が始まりました。帰っていいでしょうか。だめですか。じゃあここら辺の更地ちょっと頑張って直していきますね。
と、部下さんのお説教を尻目に他の部下さんと一緒に修復作業にかかりました。
ユーリ様は陛下の元へトンボ帰りで報告に行きました。私のせいじゃないって言ってくれてるといいなとささやかな希望を抱いています。多分無駄になりそうですが。

なぜか建物の設計図を持って居た人がいたのでそのまま建築も始まり、ワイワイと楽しみながら作っていました。やっぱ興味が同じものだと会話って弾みますね!
「えっ!じゃああの結界って外から中は見えてないんですか!」
「はい、ただ地響きとかはカバー出来ないので、いま陛下に状況説明のお願いをしに行ってもらってるんです」
「はー、認識阻害ってそういう使い方があったんですね」
「結界って汎用性高いですから」
「あ、それは俺も分かります結界って、、、」

と、盛り上がり、終わった頃には随分と仲良くなりました。今度団の訓練施設に遊びに行く約束しましたよ。やった。
ちなみに先程団長にお説教をしていたのは副団長だそうです。いつも団長が破壊しまくるのでそれの尻拭いで奔走しているそう。お疲れ様です。大変そうで。

そして復旧も終わり、さー解散しますかーと言ったところでフィリム団長が近づいて来ました。
「、、、結界、ありがと」
「いえいえ、本来ならもっと最小限の被害にできたはずなのでお礼を言われる必要は無いですよ」
「、、、なんでそんなふうなのさ」
随分と不貞腐れたご様子の団長。奥にはぐったりとした副団長を労う部下さんたちが。お疲れ様です。
「そんな風、とはどういった、、、?」
「皆を守るとか、被害を最小限に、とか。敵を倒せればいいじゃん、後の事なんて生きてればどうにだってなるし。」

副団長さーんこの人全然お説教響いてないですよー
あ、副団長崩れ落ちた。

でも、フィリム団長は周囲から恐れられすぎて誰も仲良くしてくれなかった為か精神年齢が実年齢よりも大分低い、と雀の涙ほどしかない攻略知識で言っていたので仕方がないのかもしれない。と思わなくもないけれど、副団長さん報われないな、、、。可哀想に。

「私は魔法を誰かを倒す、とかそういうつもりでは使っていないので、、、」
「じゃあ、何に使うの?浮遊魔法もそうだけど、禁止魔道具いくつも使えるようにしたり、魔術剣作ったりとか、敵を倒すためじゃん、あれ。」
陛下ー!!やっぱ私の情報ダダ漏れなんですが!!わざとですか!!
どうなってるんでしょう、セキュリティ。

「、、、守るために、私は沢山の知識と力を身につけたいんです。」
「守る?」
「はい、魔術師団もそうだと思いますが領民を、、、この国に住まう人々を魔獣等の驚異から守るために私はこの力をさずかったんだと思います。」
あとは前世の夢を実現オタ活するためですね!
ほぼこちらじゃないかって?気のせいですよ。

「力を持つという事は善にも悪にもなります、でもそれは全て扱い方次第だと思います。ちゃんと力を理解して上手く利用出来ればそれはきっと誰かに感謝される素敵な力になる、、、と思うので。」
「じゃあ、、、僕がちゃんと力を扱えれば、皆僕の事嫌わない?」
「それは、、、はい、きっと。」
多分ですけど、今も嫌われてる訳では無いはずです。じゃなければこうやって団の皆で見に来ることも、団長の尻拭いも、お説教もしないはずですから。愛されてますね、団長。

「わかった、頑張る」
「そうですか、私は何も出来ませんが、陰ながら応援してますね。」
「え?女神が教えてくれるんじゃないの?」
「いえ、そのつもりは、、、」とここで団の皆さんの方をチラリと見ると必死の形相で頼むから預かってくれ!と訴えていました。
団長、、、愛されて、、、ますよ、多分。きっと。

とはいっても団の仕事もあるので私が午後、練習場に来る際に時々顔を出して指導を受ける、という形になりました。
、、、よく、団長になれましたね?力が強すぎて下手に下っ端にできない、と。役職を持てば現場は部下に任せ、自身はあまり外を駆け回ることがないからですか。なるほど。

何はともあれ、一件落着になり良かったです。
周囲も元通りなのでなにも問題は無いですし!
そう、問題は何一つ無いので!!
、、、なのでユーリ様、戻ってきてそうそう、ニコニコの笑顔で陛下からの呼出状を目の前に突きつけないで頂けますか?

ライトなセーバーはやっぱり著作権的にダメだったんでしょうか。
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