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1章・プロローグ
2話
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「うーん」
「お姉様?どうかしましたか?」
「、、、なにか忘れている気がするのよね」
カラカラと車輪の音を立てながら王都の街道を馬車で走る中。
ナヴィリアは頭をひねっていた。
「朝ごはんのトーストにバターを塗ってなかったことですか?」
「えっ、私塗ったつもりだったのだけれど?」
「塗っておられませんでしたよ?」
寝ぼけていらっしゃったのですね。
とクスクスと笑う妹、ロゼフィリア。
気づけば最初に記憶が戻った頃から2年が過ぎ私は7歳、ロゼフィリアは5歳になりました。
、、、ロゼ?あなた本当に5歳?
と不思議に思うほどに妹は大人びた子に育ちました。
稀に、、、いえだいぶ多い機会で暴走するけれど。
「そう、、、塗ってなかったのね。どうりで物足りないわけだわ、、、うん、けれど多分それは違うと思うわ」
「違うのですか?」
「うーん、王都、王都、、、なんだったかしら?」
たぶん、ゲーム関連だとは思うのだけど、、、?
「王都に関することなら、きっとその際にでも思い出せるのではないですか?」
と首を傾げる妹。
「そうね、今思い出せないということはそこまで必要性がないということじゃないかしら?」
と、母。
「、、、確かに。ならば今は忘れて王都を観光します」
考えたって、おそらくは消えてる記憶の中のどれかでしょうし。
今は思い出せないなら、必要ないってことですもんね!!
「ふふ、そうしなさい。、、、そういえばガディ、陛下に会うのも久しぶりだけどお変わりないのかしら?」
「あぁ、先月会った時はちょっと疲れきってフラフラしてたが元気そうだったぞ。」
そ れ 元 気 っ て 言 わ な く な い で す か 。
思わず窓の外を眺めていた目線を勢いよく父へ向ける。
「あら、やっぱり王太子候補で揉めてらっしゃるからかしら。」
「うーん、第二王子は立太子する気は無いんだがなぁ」
「上位貴族は正妃の子である第一王子であるウィルフレッド殿下を、と言っているが子爵位や男爵位などは第二王子であるレオンハルト殿下を推しているからなぁ。」
「、、、第二王子派の方々はあまり血筋にはこだわりがないのでしょうから。」
「そうだな、、、彼が立太子してしまえば多くの者から“庶子”だなんだと後ろ指を刺されるだろう。」
「どの道、第二王子を薦めるもの達は裏で操りたいと考える方々で溢れていますもの。」
「うーむ、第一王子が、王太子で間違いはないだろうが、彼の身に何が起こるかもわからん。万が一があるからな。油断は出来んのだろう。」
社会の闇って恐ろしい。そしてそれを娘がいる前で呑気に話す両親。
、、、社会の闇って恐ろしい(違う)
そうこうしてる間に着きました王城。
事前に先触れを出していたのであっさり通され。
案内されたのは王族プライベート空間の中庭。
そして異様に疲れた顔の国王陛下にフレンドリーに出迎えられた。
なんでも両親と陛下が学友で、特に父とは悪巧み仲間で良く母にしめ、、、叱られていたらしい。
というのを聞かされた後。
「ところでナヴィリア嬢。」
「はい、陛下。なんでしょうか?」
「うーんっと、確認なんだけど君、青い炎とか出せる?」
「はい、これですか?」
と掌をくるっと上に向けその上に小さく発現させる。
「うん、、、そうか、、、じゃ、じゃあ“こんくりーと”ってのは?」
「あれは色々と材料が必要でして、、、今すぐには難しいです。」
「材料があれば作れはするんだ。」
「はい、材料と手順、伝えておきましょうか?」
「いや、報告が入ってると思うから大丈夫だよ。」
「そうですか。」
「先に言っておくぞ、真空の氷魔法も娘だ。」
「だよね~!うーん!!流石二人の娘だね!」
陛下はバンザイの形で伸びをすると傍に控えていた執事に「彼らを呼んできて!」と指示を出した。
そして来たのは第二王子のレオンハルト・セルペンス様、カートレッグ侯爵家次男のアイザック・カートレッグ様、コールズ伯爵家長男のユーリ・コールズ様の御三方だった。
、、、なんで?
陛下いわく
「ナヴィリア嬢の友人候補として、彼らを紹介するよ!」とのこと。
私の魔法の発想力、そしてそれを実現できる力は下手すれば1人で国滅ぼせちゃう力を持ってるから、王家の臣下ですからね~邪な考えで手を出したらどうなるか分かってますね~?ってアピールするために彼らと仲良くして欲しい、と。
やっぱり、やりすぎだった?
いえ、後悔はしてないけど。楽しかったので。
ただ脅威認定されて死刑になるよりは攻略対象社ではあるものの彼らと仲良くしておいた方がいいかもしれない。
、、、後ろからの「姉様に、、、悪い虫、、、排除しなきゃ、、、」
って言葉がものすごく怖いのだけども。
とりあえず「ガディアス・アスタロン辺境伯が長女 ナヴィリア・アスタロンです。これからよろしくお願い致します。」
と、家庭教師お墨付きのカーテンシーをしてニコ、と微笑む。
、、、見えないけど、ロゼが後ろで暴走しかけて母様に首根っこ掴まれてるな。
「お姉様!私の前でしか笑ってはいけないと約束したではありませんかぁぁぁ!!!」
私そんな約束した覚えないわよ。と呆れながらも顔を上げて王子たちを見やる。
、、、あら?凝視されてる?
「う“ぅん!!ではレオンハルト、カートレッグ侯爵子息、コールズ伯爵子息、アスタロン辺境伯令嬢よ、ここに集まってもらったのはそなたらが優秀であり共に切磋琢磨しより実力を磨き良きライバルとして、時に良き友人として過ごしてもらう為だ、、、いずれは国の要として力を貸してほしい。」
きょとん、と見つめ返していたが陛下の咳払いとその後に続く言葉によってそちらに目線が動く。
うーん、良き友人 かぁ。
確かに魔法の技術を磨くとかそういった点ではライバルってとても大切だとは思うけれど、よりによって、、、
ちら、と彼らを見る。
レオンハルト・セルペンス第二王子
アイザック・カートレッグ侯爵子息
ユーリ・コールズ伯爵子息
彼らは攻略対象者だ。
、、、後輩が丸パクリした乙女ゲームの。
後輩の小説じゃこんな展開なかったはず。
私がオタクの性に負けてなければ変わらなかったのかもしれない。いや多分、、、うん、絶対変わらなかった。
まぁ、魔法を極める道はこのまま爆走しますけど。
この先の展開に不安しかないけど取り敢えずストーリーを変えてって言っていた女神様の願いは叶えられるかもしれない。
あ、ゲーム攻略はしません。
登場人物くらいで内容そんなに覚えてないし、、、
帰ったらこれ以上忘れないように既に雀の涙状態の情報を記録しておかなきゃかな。
なんて、ぼんやりと今後のことを考えながら第二王子達とお茶を飲みながら緩やか~な、7歳らしい会話を繰り広げていた。
「~ですので、およそ500年前に絶滅したとされているあの魔獣は人間の手によって滅ぼされたというのは間違っていると思うんです。」
「つまり、コールズ伯爵子息様は自然災害で森の生態系が崩れてしまったため滅んだ、ということですか?」
「だけど、あの自然災害は人間の公害によって起こったものなのでは?とも言われているからハッキリと言いきれないかもね」
「そこなんですよレオンハルト殿下、ですがほかの文献ではもっと前、人間が住む前にも同じ自然災害があったらしく、、、」
「、、、ガディアス、ファミア、君達の娘はほんとに7歳?」
「あら、それを言うなら貴方の息子も同じでしょう?」
「環境が違うじゃぁん!!いくら剣聖ガディアスと大賢者ファミアの娘だとしてもさぁ!!」
「辺境では全てが教本になるからな、武術は俺が教えられるし、座学と魔法学についてはミアがいる。むしろ、違う環境でもこうして同じ卓で同じ話題を同じ水準でできているのは政がしかと行き届いている、平和の証だろう。」
お前の努力の結晶だな。ニッと笑い国王を労うガディアス。
「、、、お前は昔から天然で無意識に他人をたらしこむよな」
「は?なんの事だ?たらしこんだ覚えなんてないぞ」
「はぁ、そういう所だぞ。」
「ふふ、ナヴィはガディの性格にそっくりなのよ。これから先多くの人があの子のそばに集まるのでしょうね。」
「そのしわ寄せ、全部俺に来るんじゃ?」
「頑張りなさい、国王陛下」
「、、、ほんとにさぁ、ファミアは昔っから俺の扱いが雑だよね」
俺なんか恨まれることでもした? と嘆く国王にニコリと微笑み、キラキラと顔を輝かせながら7歳とは思えない会話を繰り広げる娘を眺める。
、、、脇にもう1人の娘を抱えながら。
「お母様!離してください!お姉様に良からぬ影響が、、、!あぁぁ!!でも凄く楽しそうです!!あの笑顔を壊したくありません、、、!!私は、私はどうすれば、、、!!」
一人悶えるロゼフィリアは姉の楽しそうな笑顔を見て考えることを放棄した。
「お姉様が楽しそうならばなんでもいいですわね!」
和気藹々と会話を繰り広げ、いい時間だし解散しようか、と陛下の一声でぞろぞろと中庭から退出。
王都のタウンハウスに帰ってきて、そこで漸く。
「思い出せなかった王都の事って、攻略対象者と私が出会うイベントの事か、、、!!」と気づき嘆くナヴィリア。
「どうして終わったあとに思い出すの、、、!!」
本来の展開ならば、初めての王都旅行で道に迷い、お忍びで視察をしていた殿下一行に道案内をしてもらった、、、というストーリーだったはずで。
ここでたしか、ヒロインが自分たちの周囲にいる貴族達とは全くもって違うことに興味を示し学園に入学し再開した際につきま、、、いや、そばで支えてくれる。みたいな伏線になるイベントのはず。
「会う場所も時間も何もかもが変わって、、、このままではストーリーから大きく外れて、私でも予測して対応できなくなるのでは、、、?」
そうなってしまったら、ほんとに悪役として断罪されてしまうかもしれない。
とりあえずは、穏便に上手く事が進むように大人しくしていよう。
オタクであることを捨てなければ叶うはずもない誓いをたて、ナヴィリアは初の王都での陛下に謁見をこなしたのであった。
「お姉様?どうかしましたか?」
「、、、なにか忘れている気がするのよね」
カラカラと車輪の音を立てながら王都の街道を馬車で走る中。
ナヴィリアは頭をひねっていた。
「朝ごはんのトーストにバターを塗ってなかったことですか?」
「えっ、私塗ったつもりだったのだけれど?」
「塗っておられませんでしたよ?」
寝ぼけていらっしゃったのですね。
とクスクスと笑う妹、ロゼフィリア。
気づけば最初に記憶が戻った頃から2年が過ぎ私は7歳、ロゼフィリアは5歳になりました。
、、、ロゼ?あなた本当に5歳?
と不思議に思うほどに妹は大人びた子に育ちました。
稀に、、、いえだいぶ多い機会で暴走するけれど。
「そう、、、塗ってなかったのね。どうりで物足りないわけだわ、、、うん、けれど多分それは違うと思うわ」
「違うのですか?」
「うーん、王都、王都、、、なんだったかしら?」
たぶん、ゲーム関連だとは思うのだけど、、、?
「王都に関することなら、きっとその際にでも思い出せるのではないですか?」
と首を傾げる妹。
「そうね、今思い出せないということはそこまで必要性がないということじゃないかしら?」
と、母。
「、、、確かに。ならば今は忘れて王都を観光します」
考えたって、おそらくは消えてる記憶の中のどれかでしょうし。
今は思い出せないなら、必要ないってことですもんね!!
「ふふ、そうしなさい。、、、そういえばガディ、陛下に会うのも久しぶりだけどお変わりないのかしら?」
「あぁ、先月会った時はちょっと疲れきってフラフラしてたが元気そうだったぞ。」
そ れ 元 気 っ て 言 わ な く な い で す か 。
思わず窓の外を眺めていた目線を勢いよく父へ向ける。
「あら、やっぱり王太子候補で揉めてらっしゃるからかしら。」
「うーん、第二王子は立太子する気は無いんだがなぁ」
「上位貴族は正妃の子である第一王子であるウィルフレッド殿下を、と言っているが子爵位や男爵位などは第二王子であるレオンハルト殿下を推しているからなぁ。」
「、、、第二王子派の方々はあまり血筋にはこだわりがないのでしょうから。」
「そうだな、、、彼が立太子してしまえば多くの者から“庶子”だなんだと後ろ指を刺されるだろう。」
「どの道、第二王子を薦めるもの達は裏で操りたいと考える方々で溢れていますもの。」
「うーむ、第一王子が、王太子で間違いはないだろうが、彼の身に何が起こるかもわからん。万が一があるからな。油断は出来んのだろう。」
社会の闇って恐ろしい。そしてそれを娘がいる前で呑気に話す両親。
、、、社会の闇って恐ろしい(違う)
そうこうしてる間に着きました王城。
事前に先触れを出していたのであっさり通され。
案内されたのは王族プライベート空間の中庭。
そして異様に疲れた顔の国王陛下にフレンドリーに出迎えられた。
なんでも両親と陛下が学友で、特に父とは悪巧み仲間で良く母にしめ、、、叱られていたらしい。
というのを聞かされた後。
「ところでナヴィリア嬢。」
「はい、陛下。なんでしょうか?」
「うーんっと、確認なんだけど君、青い炎とか出せる?」
「はい、これですか?」
と掌をくるっと上に向けその上に小さく発現させる。
「うん、、、そうか、、、じゃ、じゃあ“こんくりーと”ってのは?」
「あれは色々と材料が必要でして、、、今すぐには難しいです。」
「材料があれば作れはするんだ。」
「はい、材料と手順、伝えておきましょうか?」
「いや、報告が入ってると思うから大丈夫だよ。」
「そうですか。」
「先に言っておくぞ、真空の氷魔法も娘だ。」
「だよね~!うーん!!流石二人の娘だね!」
陛下はバンザイの形で伸びをすると傍に控えていた執事に「彼らを呼んできて!」と指示を出した。
そして来たのは第二王子のレオンハルト・セルペンス様、カートレッグ侯爵家次男のアイザック・カートレッグ様、コールズ伯爵家長男のユーリ・コールズ様の御三方だった。
、、、なんで?
陛下いわく
「ナヴィリア嬢の友人候補として、彼らを紹介するよ!」とのこと。
私の魔法の発想力、そしてそれを実現できる力は下手すれば1人で国滅ぼせちゃう力を持ってるから、王家の臣下ですからね~邪な考えで手を出したらどうなるか分かってますね~?ってアピールするために彼らと仲良くして欲しい、と。
やっぱり、やりすぎだった?
いえ、後悔はしてないけど。楽しかったので。
ただ脅威認定されて死刑になるよりは攻略対象社ではあるものの彼らと仲良くしておいた方がいいかもしれない。
、、、後ろからの「姉様に、、、悪い虫、、、排除しなきゃ、、、」
って言葉がものすごく怖いのだけども。
とりあえず「ガディアス・アスタロン辺境伯が長女 ナヴィリア・アスタロンです。これからよろしくお願い致します。」
と、家庭教師お墨付きのカーテンシーをしてニコ、と微笑む。
、、、見えないけど、ロゼが後ろで暴走しかけて母様に首根っこ掴まれてるな。
「お姉様!私の前でしか笑ってはいけないと約束したではありませんかぁぁぁ!!!」
私そんな約束した覚えないわよ。と呆れながらも顔を上げて王子たちを見やる。
、、、あら?凝視されてる?
「う“ぅん!!ではレオンハルト、カートレッグ侯爵子息、コールズ伯爵子息、アスタロン辺境伯令嬢よ、ここに集まってもらったのはそなたらが優秀であり共に切磋琢磨しより実力を磨き良きライバルとして、時に良き友人として過ごしてもらう為だ、、、いずれは国の要として力を貸してほしい。」
きょとん、と見つめ返していたが陛下の咳払いとその後に続く言葉によってそちらに目線が動く。
うーん、良き友人 かぁ。
確かに魔法の技術を磨くとかそういった点ではライバルってとても大切だとは思うけれど、よりによって、、、
ちら、と彼らを見る。
レオンハルト・セルペンス第二王子
アイザック・カートレッグ侯爵子息
ユーリ・コールズ伯爵子息
彼らは攻略対象者だ。
、、、後輩が丸パクリした乙女ゲームの。
後輩の小説じゃこんな展開なかったはず。
私がオタクの性に負けてなければ変わらなかったのかもしれない。いや多分、、、うん、絶対変わらなかった。
まぁ、魔法を極める道はこのまま爆走しますけど。
この先の展開に不安しかないけど取り敢えずストーリーを変えてって言っていた女神様の願いは叶えられるかもしれない。
あ、ゲーム攻略はしません。
登場人物くらいで内容そんなに覚えてないし、、、
帰ったらこれ以上忘れないように既に雀の涙状態の情報を記録しておかなきゃかな。
なんて、ぼんやりと今後のことを考えながら第二王子達とお茶を飲みながら緩やか~な、7歳らしい会話を繰り広げていた。
「~ですので、およそ500年前に絶滅したとされているあの魔獣は人間の手によって滅ぼされたというのは間違っていると思うんです。」
「つまり、コールズ伯爵子息様は自然災害で森の生態系が崩れてしまったため滅んだ、ということですか?」
「だけど、あの自然災害は人間の公害によって起こったものなのでは?とも言われているからハッキリと言いきれないかもね」
「そこなんですよレオンハルト殿下、ですがほかの文献ではもっと前、人間が住む前にも同じ自然災害があったらしく、、、」
「、、、ガディアス、ファミア、君達の娘はほんとに7歳?」
「あら、それを言うなら貴方の息子も同じでしょう?」
「環境が違うじゃぁん!!いくら剣聖ガディアスと大賢者ファミアの娘だとしてもさぁ!!」
「辺境では全てが教本になるからな、武術は俺が教えられるし、座学と魔法学についてはミアがいる。むしろ、違う環境でもこうして同じ卓で同じ話題を同じ水準でできているのは政がしかと行き届いている、平和の証だろう。」
お前の努力の結晶だな。ニッと笑い国王を労うガディアス。
「、、、お前は昔から天然で無意識に他人をたらしこむよな」
「は?なんの事だ?たらしこんだ覚えなんてないぞ」
「はぁ、そういう所だぞ。」
「ふふ、ナヴィはガディの性格にそっくりなのよ。これから先多くの人があの子のそばに集まるのでしょうね。」
「そのしわ寄せ、全部俺に来るんじゃ?」
「頑張りなさい、国王陛下」
「、、、ほんとにさぁ、ファミアは昔っから俺の扱いが雑だよね」
俺なんか恨まれることでもした? と嘆く国王にニコリと微笑み、キラキラと顔を輝かせながら7歳とは思えない会話を繰り広げる娘を眺める。
、、、脇にもう1人の娘を抱えながら。
「お母様!離してください!お姉様に良からぬ影響が、、、!あぁぁ!!でも凄く楽しそうです!!あの笑顔を壊したくありません、、、!!私は、私はどうすれば、、、!!」
一人悶えるロゼフィリアは姉の楽しそうな笑顔を見て考えることを放棄した。
「お姉様が楽しそうならばなんでもいいですわね!」
和気藹々と会話を繰り広げ、いい時間だし解散しようか、と陛下の一声でぞろぞろと中庭から退出。
王都のタウンハウスに帰ってきて、そこで漸く。
「思い出せなかった王都の事って、攻略対象者と私が出会うイベントの事か、、、!!」と気づき嘆くナヴィリア。
「どうして終わったあとに思い出すの、、、!!」
本来の展開ならば、初めての王都旅行で道に迷い、お忍びで視察をしていた殿下一行に道案内をしてもらった、、、というストーリーだったはずで。
ここでたしか、ヒロインが自分たちの周囲にいる貴族達とは全くもって違うことに興味を示し学園に入学し再開した際につきま、、、いや、そばで支えてくれる。みたいな伏線になるイベントのはず。
「会う場所も時間も何もかもが変わって、、、このままではストーリーから大きく外れて、私でも予測して対応できなくなるのでは、、、?」
そうなってしまったら、ほんとに悪役として断罪されてしまうかもしれない。
とりあえずは、穏便に上手く事が進むように大人しくしていよう。
オタクであることを捨てなければ叶うはずもない誓いをたて、ナヴィリアは初の王都での陛下に謁見をこなしたのであった。
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