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静夏の恋!?

目を覚ますと…

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 「昴のバカっ!!」

 目を覚ますなり静夏に罵倒される。

 …何が起きているのか分からずにぼんやりと天井を見ていたら静夏に抱きつかれた。

 …ここは…病院か?

 身体を動かそうとしたら背中がひどく痛んだ。

 「静夏…オレ…」

 何とか声を出して静夏の背中を撫でる。

 女の子に泣かれるのはしんどい。

 …参ったな…こんな時…どうしたらいいんだろう…

 そう思っていたら病室のドアが開き、母と父の姿が見えた。

 「昴、あんたって子は…」

 そう言いながら母は安心したように微笑む。

 「昴、頑張ったなあ!」

 父は無邪気な笑顔でオレの頭を撫で回す。

 …懐かしい…子供の時以来だな…

 父に撫でられるのは嫌いじゃなかった。

 張り詰めたようなその場の空気が柔らかくなりホッとする。

 「静夏ちゃん、もう昴も子猫ちゃんも大丈夫だから…ね?」

 父が静夏の頭に触れてそっと撫でる。

 「…透おじさま…」

 静夏が密かに照れている…。

 


 どうやら静夏を庇って男に刺されたようだった。

 まあ刺されたといっても大したことはないようだったし、男も警察に捕まったと聞いた。

 子猫達も全員無事で、病院に連れて行って検査を終えたところらしかった。

 「すずしろちゃん頭いいな!」

 父が楽しそうに笑う。

 どうやら父は昴の家に行って、すずしろのお世話をしてくれているようだ。

 「ご飯の場所もおやつの時間も教えてくれたぞ?一日2回オヤツの時間があるんだな?」

 …2回?それはすずしろに騙されてる!!

 聞けば毎日8時と15時にオヤツの入った棚の前で鳴かれるらしく…。

 すずしろめ、帰ったらお仕置きだ。

 「すずしろってあの大きな白猫ちゃんよね?やっぱり昴の飼い猫だったのね?」

 静夏が不思議そうな顔をした。

 「昔昴の家にいた猫ちゃんに似てるとは思ったんだけど…もう何年も前に亡くなったし…でも感じが似てて…あの子って何者なの?昴が私を庇って刺された時も、あの子…男に向かって行って…助けてくれたのよね…。何か凄いことをして私たちを守ってくれたし、その後だって…」

 …凄いこと!?

 すずしろ…静夏に何を見られたんだ!?

 若干の不安に駆られるが静夏が怖がっている様子はなかったのでまあ…今は放っておこう。

 騒がしくなった病室を看護師さんに注意されて、その日はそれで解散となった。

 昴は今晩は入院だ。

 父が明日まですずしろを見てくれると言ってくれたので安心して眠りにつく。

 
 

 

 
 
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