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目覚めよと呼ぶ声が聞こえて…
しおりを挟むあたたかい……
そしてなんだか少し眩しい……
それにこの匂い……
オレ……この匂いが世界一好きなんだ……
すっごく懐かしいような、切なくて堪らない、胸が締め付けられるような痛みを感じた。
「透……?」
重い瞼を開けると、泉が泣いているのが視界に入った。
「……いずみ……どうしたの?!」
重い腕を動かして泉の頬に触れる。
……触れた泉の頬が酷く痩せている事に気づいた!!
「泉っ!?こんなに痩せちゃって!!!」
反射的に起き上がり、身体のあちこちが酷く痛む事に驚く。
「って痛いっ……!!」
あまりの痛さに再び寝転がろうとしたら慌てたように泉が身体を支えてくれた。
「透っ、大丈夫!?」
泣いているくせに泉がオレの事を気遣い始める。
「ううっ……オレなんかの事より泉なんで泣いてるの?!どこか具合でも悪いのっ!?」
優しく寝かされながら、泉に問いかける。
いつも優しくて、可愛い泉を泣かせるなんて一体何があったんだろう?!
じっと泉を見つめ、返事を待つ。
くそう……誰だ泉を泣かせた奴は!!
許すまい!!!
「もう透ったら、まだ寝てなきゃダメだよ……」
そう言いながら泉は涙を手で拭う。
……今ハンカチも持っていない事に激しい絶望を感じながら泉の手に触れた。
「っ……でも本当に良かった……」
そう言いながら寝ているオレの胸に顔を押し当てた泉。
ワケは分からなかったが何とか腕を動かして泉の肩を撫でる。
撫でる泉の肩が震えている事に気づいた。
……。
そして泉の肩が今までよりも細くなっているのを感じていた。
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