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結果発表の日に!

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 「泉…俺…怖いよ…。」

 「透…大丈夫!とにかく結果確認しよう?」

 「俺が先に確認してやろうか?」

 真実と泉の3人で合格発表を見に来ていた。

 「ああっっ!真実っお願いだから俺の代わりに見てよっ!」

 口から心臓が飛び出しそうなほど緊張する。

 大きなホワイトボードの周りに人だかりができていた。

 「…。ダメだ…怖すぎる…」

 それ以上近寄れずに立ち止まってしまう。

 「透…。大丈夫だよ…」

 泉が微笑んでくれるが…。

 「透、受験票貸せよ」

 受験票を渡すと真実がその人だかりの中に入っていった。

 …程なくしてホッとしたような顔の真実が走ってくる。

 「透、大丈夫!あったぞ!ちゃんと受かったんだ!!」

 真実は自分が受かった時以上に喜んでくれていた。

 「透…見に行こう?」

 泉が手を取って引っ張る。


 
 ホワイトボードの側までくる。

 周りには合格したのか讃えあう人達やらの歓声で騒がしかった。

 「透、ほら、中央のあれだろ?」

 真実が場所を教えてくれた。

 …本当だ!!

 番号もあってるし…受かったんだ…。

 ホッとしてしゃがみ込んでしまう。

 「透…大丈夫か?」

 「あ、私もあった。これで一緒に大学生になれるね」

 泉も隣で微笑む。






 
 泉の家でお祝いをしてくれると言うので今晩はお世話になる事にした。

 「透クンも泉も本当良かったわね。おめでとうっ!」

 泉のお母さんがすごく喜んでくれた。

 …最近やっと水野家で過ごすのも平気になった。

 泉のお母さんはこの穏やかな双子の兄妹を育てただけあってか優しかったし、理想のお母さんって感じの人だと思う。

 泉のお父さんも真実に似ていておおらかで人当たりのいい、気遣いのできる人だ。

 泉も真実も大学に合格したのを心から喜んでくれていて、最終的には泉が泣き始めてしまった。

 「透…本当に良かったね。透が頑張ったから受かったんだよ。これで一緒にいられるって思うと…。」

 感極まったのか泣いてしまった泉を優しく抱き寄せる。

 「そもそも泉があのとき誘ってくれなかったら俺あのまま就職してたよ。世の中の事何も知らないで…。泉がもっと色々見てから決めたらいいって言ってくれたから…。ありがとうね」



 ★


 「透…本当に今日泊まっていかないの?」
 泉に見つめられて困ったが結局帰ることにした。
 「うん。今日は…義父さんと義母さんに大学受かったって報告したいしね。…また今度にするよ。じゃあ、今日は本当ありがとう」
 泉と玄関で別れる。
 「透…一人で大丈夫か?送ろうか?」
 真実が声をかけてくれる。
 「大丈夫だって。俺だって男だしさ。もう寒いから一人でいいって。じゃあ、また学校でね!」
 二人に手を振って水野家を出た。


 …。
 時間は遅かったがそのまま義両親が眠る墓に行く。
 …本当…生きてて欲しかったな…。
 泉と真実のご両親は本当優しくていい人だ。
 透にも気遣ってくれるし、いつも見守ってくれている。
 …彼らが優しく接してくれるたびにやはり思い出してしまう。
 …今は亡き人たちのことを…。
 
 義両親の墓の横に座って話しかける。
 「お義父さん、お義母さん…俺ちゃんと大学受かったよ」
 話し始めるうちに耐えきれずに涙が溢れていく。
 「やっぱり…生きてて欲しかったよ…ありがとうってちゃんと伝えたかったな…」
 
 

 「おいっ!!透っ!!」
 真実に肩を強く揺さぶられて起きる。
 「ん?シンジ?」
 少しほっとした様な顔の真実が目の前にいた。
 「お前何やってんだよ!こんなところで寝たら流石に死ぬぞ!!」
 …あのまま墓の側で寝てしまっていた様だった。
 今何時だろう…?
 携帯電話を出そうとポケットを探すが見つからない。
 「お前携帯忘れていったから…明日泉に届けさせようと思ったけど、持ってきて正解だったな…」
 真実が透の携帯電話を差し出す。
 「あ、これ…」
 そういえば水野家で取り出して…。
 そのまま置いてきてしまった様だ。
 「なんでこんなところで寝てんだよ!まったく…」
 そう言いながらも真実が墓に手を合わせてくれている。
 「…ごめんなさい…」
 謝ると真実がやっと笑ってくれた。
 
 「もういいから帰ろう?」
 真実が腕を掴んで立たせてくれる。
 思ったより強い真実の力に思わずよろけてしまうと抱きしめられた。
 …?
 「…大丈夫、お前は一人じゃない。これから先ずっと…お前の親に代わって俺が見守ってやるから」
 真実がボソリと呟く。
 …。
 「真実…ありがとう。真実って本当にお父さんみたいだね。」
 真実に抱きつきながらそう口に出すと、ふっと真実が笑う。
 「一応同い年だけどなっ!」

 
 真実に家の前まで送られてしまった。
 「今度こそちゃんと布団で寝ろよ?じゃあな」
 「うん!ありがとう真実っ!」
 走って帰って行く真実の後ろ姿を見送る。

 なぜかさっきまでの悲しかった気持ちは無くなっていた。



 見上げた夜空には沢山の星が瞬いていた。
 



 
 
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