42 / 102
春休み最終日
しおりを挟む
あっという間に春休みも終わる。
前から春休みの最終日は泉と出かけようと約束をしていた。
そのためにバイトも入れなかった。
今回は泉とショッピングモールに行こうと話していたのだが…。
当日の朝に海くんが騒ぎ出した。
「僕だって泉と出かけたいっ!良いよね?透さん!」
「…。」
泉が海くんを説得しようとする。
「前から約束してた事だし、デートだからついて来ちゃったら…。」
「デートって!?泉透さんと付き合ってるの!?何で!!泉ならもっと!」
「黙れよ!」
真実が怒り出す。
「いつまでもガキだなあお前。しかも躾がなって無い。お前透を…」
慌てて真実を抑える。
「良いよ!俺はっ…また今度にするから…。今日用あったの忘れてたし。」
真実を椅子に座らせる。
真実を怒らせるのも、泉を困らせたくもなかった。
「ごめん…そう言うわけだから…。泉また今度ね。」
泉に謝りながら部屋に戻った。
…来週は泉の誕生日だと真実から聞いていたから…誕生日プレゼント一緒に見たかったんだけどなあ…。
自分で貯めたお金で泉にプレゼントを
渡そうとバイトを増やしていたのに…。
仕方ない…どこかで真実か誰かに一緒に見てもらうか…。
少しだけがっかりした。
★
「ねえ真実…お願いがあるんだけど…。」
真実の部屋に遊びに行く。
「…何だ?」
真実は参考書を眺めながらも返事をしてくれる。
「来週真実達誕生日でしょ?何か欲しいものとか無いの?」
「…時間とか?」
…そんなもの透には何ともできない。
「そうじゃなくって…。」
「要らないよ!お前がせっかく働いて稼いだ金だろ?自分にために使えよ!」
「…自分で稼いだお金だから二人に何かしたいんだけど…。」
「…。」
真実は黙る。
「ついでに泉のプレゼント一緒に選んで?」
「は?…お前そっちがメインか?」
呆れたような真実の顔。
「うん。本当は今日一緒に選びたかったんだけど。もう日もないし。」
真実はため息をついた。
「…だったら何で海に譲ってるんだよ…。」
「泉を困らせたくなかったし…。」
「…。」
★
何だかんだ言っても真実は優しい。
文句を言いながらも泉のプレゼント選びに付き合ってくれた。
何にしようかは大体決めていた。
泉の綺麗な首筋を飾るネックレスだ。
あとはどんなのにするかなんだけど…。
「こっちかな…でもなあ…。」
色々ありすぎて悩む。
何とか絞り込むが今度は値段が少し…。
「…足らないけどこれ位ならあと3日バイトを増やして…。」
悩んでいると真実が財布を出す。
「半分俺が持とうか?それとも足らない分貸すぞ?」
「それはダメだって。大丈夫。泉の誕生日までには何とかなるから!」
店員さんに頼んで取り置いてもらう。
★
「…透、俺のプレゼントなんか買わずに泉のを買えば良かったんじゃないか?」
そんな事を言い出す真実。
「そんなわけにはいかないよ。真実にはいつも世話になってるのに…。これ今渡そうか?誕生日の方がいい?」
「…ありがとうな。…とりあえず誕生日まで待つよ。」
真実はそう言うので来週まで渡すのはやめた。
「…本当ついて来てくれてありがとう。俺一人じゃ入りづらかったと思うし助かったよ。」
真実が帰りにご飯を奢ってくれると言うのでありがたくご馳走になった。
夕飯を済ませて帰るとちょうど泉と海くんが夕飯を食べている所だった。
「お帰り。今日は本当にごめんなさい。」
帰るなり泉に謝られる。
「大丈夫だよ。代わりに真実と遊びに行ったんだ。ね!」
真実はチラッと泉を見て部屋に戻ってしまった。
「…。」
「もう…気にしないでいいから。…さ、ご飯食べなって。俺風呂入って来るね。」
部屋に戻り着替えを取る。
そのままお風呂に入る。
お風呂に入っていると要らないことばかり考えてしまう…。
今日泉たちどこ行ったんだろう。
お風呂から上がると海くんと鉢合わせてしまう。
海くんは透の顔を見るなり透を睨む。
「絶対泉と付き合うなんて認めないからな!」
…明確な敵意だった。
海くんはそう言うと透を突き飛ばして部屋に戻っていく。
「…。」
何もできなかった。
何だか眩暈がした。
ここまで明確に敵意を向けられるのは久しぶりだ。
ゆっくりソファーに横たわる。
「透…大丈夫か?」
真実の声がした。
「ごめん…ちょっとしんどい。」
そのまま目を閉じていると真実に背中を撫でられる。
真実の撫でてくれている場所がポッと温かくなり少しだけ気が楽になった。
「真実…ありがとう。楽になった。もう寝るよ。」
何とか真実に笑いかける。
「…。」
真実は黙って部屋までついて来てくれた。
透がベッドに入るのを見届けて、部屋から出て行った。
目を閉じる。
もう寝ようと思った。
前から春休みの最終日は泉と出かけようと約束をしていた。
そのためにバイトも入れなかった。
今回は泉とショッピングモールに行こうと話していたのだが…。
当日の朝に海くんが騒ぎ出した。
「僕だって泉と出かけたいっ!良いよね?透さん!」
「…。」
泉が海くんを説得しようとする。
「前から約束してた事だし、デートだからついて来ちゃったら…。」
「デートって!?泉透さんと付き合ってるの!?何で!!泉ならもっと!」
「黙れよ!」
真実が怒り出す。
「いつまでもガキだなあお前。しかも躾がなって無い。お前透を…」
慌てて真実を抑える。
「良いよ!俺はっ…また今度にするから…。今日用あったの忘れてたし。」
真実を椅子に座らせる。
真実を怒らせるのも、泉を困らせたくもなかった。
「ごめん…そう言うわけだから…。泉また今度ね。」
泉に謝りながら部屋に戻った。
…来週は泉の誕生日だと真実から聞いていたから…誕生日プレゼント一緒に見たかったんだけどなあ…。
自分で貯めたお金で泉にプレゼントを
渡そうとバイトを増やしていたのに…。
仕方ない…どこかで真実か誰かに一緒に見てもらうか…。
少しだけがっかりした。
★
「ねえ真実…お願いがあるんだけど…。」
真実の部屋に遊びに行く。
「…何だ?」
真実は参考書を眺めながらも返事をしてくれる。
「来週真実達誕生日でしょ?何か欲しいものとか無いの?」
「…時間とか?」
…そんなもの透には何ともできない。
「そうじゃなくって…。」
「要らないよ!お前がせっかく働いて稼いだ金だろ?自分にために使えよ!」
「…自分で稼いだお金だから二人に何かしたいんだけど…。」
「…。」
真実は黙る。
「ついでに泉のプレゼント一緒に選んで?」
「は?…お前そっちがメインか?」
呆れたような真実の顔。
「うん。本当は今日一緒に選びたかったんだけど。もう日もないし。」
真実はため息をついた。
「…だったら何で海に譲ってるんだよ…。」
「泉を困らせたくなかったし…。」
「…。」
★
何だかんだ言っても真実は優しい。
文句を言いながらも泉のプレゼント選びに付き合ってくれた。
何にしようかは大体決めていた。
泉の綺麗な首筋を飾るネックレスだ。
あとはどんなのにするかなんだけど…。
「こっちかな…でもなあ…。」
色々ありすぎて悩む。
何とか絞り込むが今度は値段が少し…。
「…足らないけどこれ位ならあと3日バイトを増やして…。」
悩んでいると真実が財布を出す。
「半分俺が持とうか?それとも足らない分貸すぞ?」
「それはダメだって。大丈夫。泉の誕生日までには何とかなるから!」
店員さんに頼んで取り置いてもらう。
★
「…透、俺のプレゼントなんか買わずに泉のを買えば良かったんじゃないか?」
そんな事を言い出す真実。
「そんなわけにはいかないよ。真実にはいつも世話になってるのに…。これ今渡そうか?誕生日の方がいい?」
「…ありがとうな。…とりあえず誕生日まで待つよ。」
真実はそう言うので来週まで渡すのはやめた。
「…本当ついて来てくれてありがとう。俺一人じゃ入りづらかったと思うし助かったよ。」
真実が帰りにご飯を奢ってくれると言うのでありがたくご馳走になった。
夕飯を済ませて帰るとちょうど泉と海くんが夕飯を食べている所だった。
「お帰り。今日は本当にごめんなさい。」
帰るなり泉に謝られる。
「大丈夫だよ。代わりに真実と遊びに行ったんだ。ね!」
真実はチラッと泉を見て部屋に戻ってしまった。
「…。」
「もう…気にしないでいいから。…さ、ご飯食べなって。俺風呂入って来るね。」
部屋に戻り着替えを取る。
そのままお風呂に入る。
お風呂に入っていると要らないことばかり考えてしまう…。
今日泉たちどこ行ったんだろう。
お風呂から上がると海くんと鉢合わせてしまう。
海くんは透の顔を見るなり透を睨む。
「絶対泉と付き合うなんて認めないからな!」
…明確な敵意だった。
海くんはそう言うと透を突き飛ばして部屋に戻っていく。
「…。」
何もできなかった。
何だか眩暈がした。
ここまで明確に敵意を向けられるのは久しぶりだ。
ゆっくりソファーに横たわる。
「透…大丈夫か?」
真実の声がした。
「ごめん…ちょっとしんどい。」
そのまま目を閉じていると真実に背中を撫でられる。
真実の撫でてくれている場所がポッと温かくなり少しだけ気が楽になった。
「真実…ありがとう。楽になった。もう寝るよ。」
何とか真実に笑いかける。
「…。」
真実は黙って部屋までついて来てくれた。
透がベッドに入るのを見届けて、部屋から出て行った。
目を閉じる。
もう寝ようと思った。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……
希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。
幼馴染に婚約者を奪われたのだ。
レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。
「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」
「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」
誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。
けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。
レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。
心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。
強く気高く冷酷に。
裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。
☆完結しました。ありがとうございました!☆
(ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在))
(ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9))
(ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在))
(ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる