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泉と水族館にいく
しおりを挟む「こんなところあるんだね…。初めて来たっ!!すごい、あっちイルカがいるっ!」
泉の手を引っ張る。
「本とかテレビで見たことあるけど、本物初めてだよっ!これっ水槽割れたりしないのかなっ!?あっ!あっちにクラゲがいるっ!」
興奮してしまって泉を引っ張り回してしまった事に気づいたのはお昼頃だった。
「…何か…ごめん。初めてで興奮しちゃった…。」
すごく恥ずかしい…。
「ううん。大丈夫だよ!むしろ透の初めてに付き合えるって嬉しいっ!」
泉はずっとニコニコしながら付き合ってくれていた。
「ご飯食べたら次どこ行こっか?」
泉にそう言われて園内案内図を見る。
「イルカのショーとアザラシのショーが見たいっ!」
そう言うと楽しそうに笑ってくれた。
「すごいなぁ…イルカもアザラシも言葉なんて通じないはずなのに…どうやって教えたんだろう…。あ、でも猫だってなんとなく何がしたいのか分かるしそれと同じ事なのかなあ…。」
泉はずっと楽しそうに聞いてくれていた。
…なんか…お母さんみたいだ…。
…午後は少し落ち着いて、泉とゆっくり回れた…と思う。
「あ、透ペンギンがいるっ!」
「本当だっ!かわいいね。」
泉と屋外にいる動物を見て回る。
少し寒かったが気にならないくらい楽しかった。
「シロクマだ!!おおきいっ!!」
冷たそうな水にザブンと入って泳ぐシロクマ…寒くないのだろうか?
お土産コーナーがあったので泉と見て回る。
「あ、これさっき見たちんあなごだ…」
泉がそう言いながらチンアナゴのぬいぐるみを抱きしめる。
ひょろりと長いそれは可愛い目をしていた。
…抱き枕にちょうど良さそうなサイズだな…。
そう思いながら泉にそれを買ってあげる。
「透…ありがとう、でも…高かったのにごめんね」
「良いよ、泉が気に入ったんなら。それに泉が抱きしめたの他の人に買ってほしくないし…」
泉がニコニコしながらチンアナゴのぬいぐるみを抱きしめる。
泉に抱きしめられている…チンアナゴと入れ替わりたくなった。
泉と水族館を見て回っているといつの間にかに閉園時間がやってくる。
「もう終わりか…あっという間だったね。」
少し残念な気分になる。
「楽しい時間って過ぎるのあっという間だよね。透、また来よう?」
「うんっ、そうしようっ!」
帰り道泉と話しながら帰った。
「透って小さい頃色々な事が経験出来なかった環境にいたでしょ。せっかく今それができるようになって、それを取り戻さないといけないのに、就職しちゃうなんて勿体無いと思うんだよね…。」
泉が話し始めた。
「いま急いで就職しようとしないでもう少しだけ色々見たり経験したりしてから働いたって良いと思うんだけど…まあもちろん働かないと生きて行けないのも分かるんだけど…。」
「うん…。」
「透の叔父さんが言ってたからってわけじゃないけど一緒に進学しない?もう少し私と色々見てからでも遅くないよ?
お金だって問題ないっておじいちゃんが…。」
「…。」
「ねえ、透…。透まだ行ったことない場所とかたくさんあるでしょ?私と…真実もいるし…一緒に見ていこう?」
「…。」
黙っていると泉が勘違いしてしまったようだ。
「っ勝手なこと言っちゃってごめんね。ただ勿体ないって思ったの。せっかく透の人生が…やりたいことだってそのうち見つかるはずなのに…。ってごめんね私が口出すことじゃ…ないよね。」
「いや…いいんだ。泉…ありがとう。考えてみる。」
何とかそう言って泉と繋いでいた手を引いて歩きだす。
…進学か…。
泉が一緒にいようと言ってくれた。
一緒に進学しようと誘ってくれた。
それが嬉しかった。
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