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青海くんと離れたくない
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家に帰ると久々に父と母が帰っていた。
「泉おかえりなさい。今日も透クンのところに行っていたの?」
母の問いかけに頷くとそばにいた父が微笑む。
「いつの間にかに……泉も透くんと仲良くなっていたんだね。透くんのことは平気なのかい?」
「私……青海くんのこと……平気っていうか、守ってあげたいって思ってるんだ。誰かに対してこんな気持ちになったのって初めてなの。私……このまま青海くんとここで一緒に暮らしたいの……。お父さんもお母さんも反対する?」
私は二人を見つめると、父は少し驚いたように、母は少し嬉しそうに微笑んだ。
「いや、実は私たちも透くんをこのまま家で引き取ろうかって話していたんだよ。まあ最初にこれを言い出したのは水野会長……お義父さんなんだけどね」
父は苦笑しながら話してくれた。
「お義父さん……おじいちゃんは透くんの引き取り手がないってわかった日から色々手回しをしていたみたいだよ。本当は透くんを養子に迎えようとしていたみたいだけど……それはもう少し落ち着いてからって、だから透くんさえ良ければこのまま家で暮らしてもらおうと思ってるよ。真実とも、せっかく泉とも仲良くなったんだしね」
父の言葉にホッとしながら、気になった事を聞いた。
「青海くんがおじいちゃんの養子になっても……私……青海くんと結婚できる?」
そう聞くと父と母は顔を見合わせて、微笑んだ。
「泉は透くんのことが好きなんだね」
……嘘をついても仕方がない。
私は気恥ずかしくなりながらも頷く。
★
部屋で趣味の手芸をしていると慌てたように真実が帰ってきた。
「泉っ!お前透が学校辞めるって……知ってたか?!」
真実はそう言いながら荒い息を吐く。
「うそ……」
……しかし今日の青海くんの様子と、働かなければ生きていけないと言った時の青海くんのことを思い出すとたしかに納得できる。
「今日担任の先生が青海くんのところに来てて……私……邪魔したら悪いから帰ってきたからそこまでは……でも青海くんアルバイトの本読んでて……働かないと生きていけないって……」
真実はふうっと深いため息を吐いた。
「……だから学校辞めるってわけか……」
真実は目を閉じて何かを考えているようだったがすぐに部屋から出て行ってしまった。
……青海くんが学校を辞めちゃう……
何も考えられずに、作っていた猫のぬいぐるみを見つめる。
★
翌朝、真実と共に学校に行く途中に考えていた事を話した。
「おじいちゃんに青海くんの学費とかなんとかして貰えないかお願いしに行こうと思うんだけど……」
本当は父に頼もうかと思った。
しかし昨日の父の話を聞く限りだと祖父は青海くんの事を考えてくれているようだったし……。
「……そうだな、俺も一緒に行くよ。最悪俺たちの出世払いって事で金借りれれば透も学校辞める事ないもんな」
真実も賛成してくれたのでその日の学校終わりに祖父に会いに行くことにした。
「泉おかえりなさい。今日も透クンのところに行っていたの?」
母の問いかけに頷くとそばにいた父が微笑む。
「いつの間にかに……泉も透くんと仲良くなっていたんだね。透くんのことは平気なのかい?」
「私……青海くんのこと……平気っていうか、守ってあげたいって思ってるんだ。誰かに対してこんな気持ちになったのって初めてなの。私……このまま青海くんとここで一緒に暮らしたいの……。お父さんもお母さんも反対する?」
私は二人を見つめると、父は少し驚いたように、母は少し嬉しそうに微笑んだ。
「いや、実は私たちも透くんをこのまま家で引き取ろうかって話していたんだよ。まあ最初にこれを言い出したのは水野会長……お義父さんなんだけどね」
父は苦笑しながら話してくれた。
「お義父さん……おじいちゃんは透くんの引き取り手がないってわかった日から色々手回しをしていたみたいだよ。本当は透くんを養子に迎えようとしていたみたいだけど……それはもう少し落ち着いてからって、だから透くんさえ良ければこのまま家で暮らしてもらおうと思ってるよ。真実とも、せっかく泉とも仲良くなったんだしね」
父の言葉にホッとしながら、気になった事を聞いた。
「青海くんがおじいちゃんの養子になっても……私……青海くんと結婚できる?」
そう聞くと父と母は顔を見合わせて、微笑んだ。
「泉は透くんのことが好きなんだね」
……嘘をついても仕方がない。
私は気恥ずかしくなりながらも頷く。
★
部屋で趣味の手芸をしていると慌てたように真実が帰ってきた。
「泉っ!お前透が学校辞めるって……知ってたか?!」
真実はそう言いながら荒い息を吐く。
「うそ……」
……しかし今日の青海くんの様子と、働かなければ生きていけないと言った時の青海くんのことを思い出すとたしかに納得できる。
「今日担任の先生が青海くんのところに来てて……私……邪魔したら悪いから帰ってきたからそこまでは……でも青海くんアルバイトの本読んでて……働かないと生きていけないって……」
真実はふうっと深いため息を吐いた。
「……だから学校辞めるってわけか……」
真実は目を閉じて何かを考えているようだったがすぐに部屋から出て行ってしまった。
……青海くんが学校を辞めちゃう……
何も考えられずに、作っていた猫のぬいぐるみを見つめる。
★
翌朝、真実と共に学校に行く途中に考えていた事を話した。
「おじいちゃんに青海くんの学費とかなんとかして貰えないかお願いしに行こうと思うんだけど……」
本当は父に頼もうかと思った。
しかし昨日の父の話を聞く限りだと祖父は青海くんの事を考えてくれているようだったし……。
「……そうだな、俺も一緒に行くよ。最悪俺たちの出世払いって事で金借りれれば透も学校辞める事ないもんな」
真実も賛成してくれたのでその日の学校終わりに祖父に会いに行くことにした。
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