恋、できる？！~ピアノ王子の恋はいたって普通（女子）～

３６、ちゃんと聞いてくれる

灯りについていない寝室のベッドの上に２人並んで腰を掛ける。

「・・・彼があの夜、別れた彼氏だろ？」

目を見開き驚いて昊人を見つめる裕。

気がついていたんだ・・・。

前に向きなおし小さく息を吐いてから頷く。

「どうして、一緒にいたのか、理由を話してくれる？」

誤魔化すとか嘘を付くとかではなく、聞いてくれるならちゃんとお話しようと裕は思った。

いつもの昊人の声色に少し安心して口を開く。

「私は望ちゃんと・・・会社の後輩なんですけど、望ちゃんと２人で食事に行くつもりであの店へ。」

相槌のように昊人が頷いてくれたのを見た。

「でも、彼が望ちゃんに私を連れて来るように頼んでいたみたいで。・・・自分がいない方が話しやすいだろう、て言って彼女は先に帰っちゃって・・・。」

「２人でどんな話を？」

言いづらさを感じる裕。

「・・・寄りを戻したいと思っていたみたい。」

寄りを戻したい、という単語にはひっかかったらしく、目を見開らいた昊人。

それに気付いて慌てて訂正する。

「でも！私に付き合っている人がいるって知ったら、ちゃんとわかってくれて、せっかく予約したんだから仕事の話をしながら食べようと言うことに。本当です！」

ちょっと必死感が出てしまった事にわざとらしかったかな、と反省しながらも、昊人に真実を訴えた。

「・・・彼も、そう言ってたね。」

昊人の言葉にうんうんと何度も頷く。

裕のその様子を見て、ふっと目を細めて軽く笑い、裕の頭をポンポンと撫でる。

あれ？わかってくれたかな？

ちょっと疑問に思いながら昊人をじーと見つめた。