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28、食事へ 2

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裕は昊人の部屋に招かれた日、友人から彼女に昇格した。

好きとは昊人に言われなかったが、気になる存在と言われた。

側にいてほしいと乞われ、自分もそうしたいと了承したのだ。

あれからの昊人は毎日マメに連絡をくれる。

昊人のリハーサルが早く終わった時など、留守電が入っていて、裕を会社まで迎えに来た事も一度あった。

裕は昊人に好きと言ってもらえるように努力しようと決心していたのに、これでは逆のような気がしてちょとだけ戸惑っていた。

それでも、マメな昊人の行動はくすぐったくて嬉しかった。

「伊能さんと・・・別れたと聞いていたんですけど、違ってました?」

ムズムズした気持ちが一気に冷める。

「・・・そうだよ。それで間違ってないよ。」

本当のことだ。

それを否定するつもりはない。

「じゃあ、伊能さんじゃなくて・・・別な人?」

望の聞き方が責めているように聞こえた。

悪気はないのだろうけど、望といたチームの元彼の伊能 明人はクライアントだったからよく知っている仲だ。

人当たりの良い明人はチームのメンバーとも仲が良かった。

自分は振られた方だが、原因は自分。

申し訳ないような居心地の悪さを感じる。

「・・・うん。切り替え早すぎかな?」

悪い事でもしている気分になる。

明人と別れてから2ヶ月。

自分でも引き摺らなさすぎだとは思っていた。

振られたその日に昊人と出会った事も、そんな気持ちにさせる。

「そういう事ではなくて・・・お約束があるなら、また今度にしますか?」

申し訳なさそうに、控えめに提案してくれる望を見て、さっきの事はやっぱり責めているからの言葉ではないと確信する。

「ぜんぜん大丈夫!約束していた訳じゃないの。定時連絡みたいなもの。時間が不規則な人なんだ。向こうは私のシフトを知っているから、会える時があったら、お互いに連絡し合おうって事になってね。気を使わせてゴメンね。」

「ラブラブじゃないですか~。・・・彼氏さんに申し訳ないなあ。私なんか食事に行っていいんですか?」

「何言ってるの!望ちゃんとの食事も大切だよ!さあ、行こう、行こう!」

その日の昊人の予定も急なクライアントとの顔合わせが入ったと言う事で、結局会う事はできないようなので、時間を無駄にするとなく、久しぶりに望と楽しい時間を過ごせそうだと思うと嬉しくなった。

初めてのシンガポール料理も楽しみの一つだった。





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