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「ずいぶん上達されましたね。」

涼しい顔でおっしゃいますね!

こっちはゼーゼーと息をするのも辛いのに…。

黒いキッチリとした執事服をこれっぽっちも崩さず、息も乱れていないコーマスさんってアスリートなの?

午前中は机に向かう勉強、例えば文字を覚えたり、この国の歴史、マナーだったりを教えてもらっている。

そして、午後はダンスを習うのは、毎日のスケジュール。

それ必要?て抗議したら、社交の場で情報収集をする事や知り合いを作るのは大切な事でそこに行ったら挨拶代わりにダンスはしないといけないんだって。

あ~面倒だね。

でも、当然ジムとかないから身体を動かすのには丁度いいかも。

だって、ここのご飯はすごく美味しい!

毎日、スィーツも盛りだくさん出してくれるから、ついつい食べ過ぎちゃう。

そうなれば、デブるのは当たり前の公式が成り立つ。

ダンスの先生が執事のコーマスさん、通称コマさん。

なかなかの曲者。

教え方は上手いが厳しい…。

よって私はゼーゼーなわけで…。

ここに来てから毎日の練習の甲斐があってカドリール、ワルツは人並みに踊れるようになったのです。

華麗に!とは見えないようですが…。

ポルカも人気があるので覚えた方がいいとの助言ありで今後はがんばりたいと思っていますよ。

肩で息をしながら、つらつらと考えていれば、急に音楽が消えました!

出そうとしていた足が空振りしてガクンと身体が揺れる。

音楽を奏でる魔法の石が入った箱に蓋をしたのは、この家のご主人様であるデフロット・ナートラーニ公爵、通称デフくんでした。

「確かに。まともに踊れるようになったな。」

確かにってさあ~、コマさんがいちいち報告しているのは知っていましたが…。

「まとも」て、ムムムッ!!

反抗的に頬を膨らませたのはしかたがないよね。

「もっと、ちゃんときれいに誉めてもらわないと、できる事もできなくなりますよ!」

腰に手をあて、デフくんを睨みます!

「旦那様。このレベルまで来たのですから、来月早々の夜会は大丈夫かと。」

私の言葉はコマさんの耳に入らなかったのね…。

「ふむ…。そうだな。では、計画を進めるか。コーマス、準備を。」

「仰せの通りに。」

そう言って、わたしを無視した二人の会話は終了し、コマさんはダンスホールを出て行った。

夜会???





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