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今日は、とても忙しい。
いや、忙しいのは私の周りだけ。
私自身は何もしていない。
そう、今日は、例の夜会。
いよいよだと思うと緊張はするよね。
ナラフにあっちこっち磨きに磨かれ、綺麗に着飾ってもらい、玄関前に待機している馬車に乗り込む時になって、やっとデフ君に会えたのだった。
「デフ君、お待たせしました!・・・朝食の時以来だね。こんなに会わない時間が長いのって初めてくらいじゃないかな?」
「そうだな。・・・ホノカの着飾った姿を初めて見るが、よく似合っている。」
いつものまっすーぐな瞳にロックオンされて、そう言われると嘘とか煽てられている訳じゃないと素直にその意味を受け取っちゃう。照れて顔が赤くしながら、自分でも自分の姿をつい確認しちゃう。
首元は、ホワイトパールの大小の粒が連なって重めの装飾品がぶらさがってデコルテを飾っていた。
見るからに高価なネックレス。
そして、元の世界でもずーと隠していた、穂香のコンプレックスの少し大きめな胸が、開きすぎのドレスから強調されていた。
『お胸がコンプレックスなんて事はありえませんよ。むしろアピールすべき喜ばしい個性です!こちらの世界では胸の大きさや形は隠しませんし、むしろ協調するんです。良い伴侶を貴族のお嬢様方はお探しです。それは必要なアイテムですから。』
デフロットの乳母でもあったナラフにそうニッコリと力説され、そうなの?と疑問はあるものの、こちらの世間一般の常識でみんながこんな風にがばーと開いているなら仕方がないかな、隠してしまったらかえって目立ってしまうかも。
これはあきらめって受け入れるしかないかもね。
だいたい、そんなカッコウした女性に会ったことがないのだから判断がつかないよ。
実際、夜会に出てそれは納得!
がばーと開くのは当然で胸は寄せて上げられて、同性の私でも目のやり場に困るほどそこはモリモリだった。
「・・・へんじゃないかな?」
「変ではない。・・・そなたと一番長くいる私が選んだドレスだ。似合うに決まっているだろう?」
無表情に近いデフロットだが、毎日一緒にいると表情の変化がわかるようになった気がしていた。
穂香は何となくデフロットの柔らかい眼差しを感じて喜びが沸いてきた。
「そうだね。・・・今日はがんばるよ!デフ君が作ってくれたせっかくの機会だもんね。」
ドレスの知識など皆無の私の代わりにデフ君とナラフが選んでくれたもの。
少しだけ自信がついた微笑みで返せば、今度はデフロットの胸がざわついた。
しかし、長年の無表情仮面を付ける事を得意とするデフロットの顔は、少々読み取ることができるようになった穂香には高度すきて変化に気づくことができなかった。
いや、忙しいのは私の周りだけ。
私自身は何もしていない。
そう、今日は、例の夜会。
いよいよだと思うと緊張はするよね。
ナラフにあっちこっち磨きに磨かれ、綺麗に着飾ってもらい、玄関前に待機している馬車に乗り込む時になって、やっとデフ君に会えたのだった。
「デフ君、お待たせしました!・・・朝食の時以来だね。こんなに会わない時間が長いのって初めてくらいじゃないかな?」
「そうだな。・・・ホノカの着飾った姿を初めて見るが、よく似合っている。」
いつものまっすーぐな瞳にロックオンされて、そう言われると嘘とか煽てられている訳じゃないと素直にその意味を受け取っちゃう。照れて顔が赤くしながら、自分でも自分の姿をつい確認しちゃう。
首元は、ホワイトパールの大小の粒が連なって重めの装飾品がぶらさがってデコルテを飾っていた。
見るからに高価なネックレス。
そして、元の世界でもずーと隠していた、穂香のコンプレックスの少し大きめな胸が、開きすぎのドレスから強調されていた。
『お胸がコンプレックスなんて事はありえませんよ。むしろアピールすべき喜ばしい個性です!こちらの世界では胸の大きさや形は隠しませんし、むしろ協調するんです。良い伴侶を貴族のお嬢様方はお探しです。それは必要なアイテムですから。』
デフロットの乳母でもあったナラフにそうニッコリと力説され、そうなの?と疑問はあるものの、こちらの世間一般の常識でみんながこんな風にがばーと開いているなら仕方がないかな、隠してしまったらかえって目立ってしまうかも。
これはあきらめって受け入れるしかないかもね。
だいたい、そんなカッコウした女性に会ったことがないのだから判断がつかないよ。
実際、夜会に出てそれは納得!
がばーと開くのは当然で胸は寄せて上げられて、同性の私でも目のやり場に困るほどそこはモリモリだった。
「・・・へんじゃないかな?」
「変ではない。・・・そなたと一番長くいる私が選んだドレスだ。似合うに決まっているだろう?」
無表情に近いデフロットだが、毎日一緒にいると表情の変化がわかるようになった気がしていた。
穂香は何となくデフロットの柔らかい眼差しを感じて喜びが沸いてきた。
「そうだね。・・・今日はがんばるよ!デフ君が作ってくれたせっかくの機会だもんね。」
ドレスの知識など皆無の私の代わりにデフ君とナラフが選んでくれたもの。
少しだけ自信がついた微笑みで返せば、今度はデフロットの胸がざわついた。
しかし、長年の無表情仮面を付ける事を得意とするデフロットの顔は、少々読み取ることができるようになった穂香には高度すきて変化に気づくことができなかった。
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