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同期から見る私の彼氏1

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洗練された高級ホテル。
色とりどりの甘い誘惑。
それなりのおしゃれ。
これって、THE・OLの休日って感じじゃない?て、同僚につれてこられた都内でも有名なホテルのスイーツバイキング。
チケットはオークション・サイトで格安で手に入れたの、おごってあげるから一緒に行こう!と誘われたのは昨日の金曜日の夕方。
彼氏いない歴イコール年齢の私を気にかけて、休日にはこうして連れ出してくれる彼女は、同期の中でも一番仲が良い矢代次美(やしろつぐみ)。現在、恋愛休暇中の彼女。恋愛休暇って何?と尋ねれば、恋愛しすぎて、好きってどんな気持ちかわからなくなった、付き合うって何?とふと疑問に思ったらしい。そこで、あえて恋愛しないでしばらくお1人様で過ごすことにしたそうだ。確かに次美は、切れ間なしに男性と付き合っていた。1年くらい続く事もあれば、1か月で終わりを迎えることもあったカレカノ期間。彼氏と別れたと聞きつければ、元来美人の彼女を世間は放っておかない。それで、いい感じの人なら好きとかの感情がなくとも流れで付き合ってしまうのだと、本人が言う。

「あれ、門田社長じゃない?・・・ほら、右の柱の・・・車寄せの後ろの方!」

一流パティシエが作るスイーツの食べ放題、珈琲・紅茶の飲み放題を二時間堪能し、心もお腹も満たされた私たちは、腹ごなしに少し遠い駅までぶらぶらと歩くことにした。目的は電車に乗って帰ることだけではなく、その駅ビルに入る最近オープンしたハワイから来たコーヒースタンドで飲む事も含む。ホテルのエントランスを出て、次美が何気なく振り返って声を上げた。次美が指す方を見れば、確かにスタイルがいいスーツ姿の男性が目に入る。周りの誰よりも背が高く、ただ立っているのに醸し出す雰囲気は貴賓があふれていて、よくわからないオーラが辺りを満たしていた。

「やっぱり、いい男よね。近くで見るとあのイケメンオーラにやられそうになるから、こうやって遠くで見るのがいいわ。むーちゃんもそう思うでしょ?」

「・・・うん。」

渋々、次美に合わせて頷くけど、「あのイケメンオーラ」にすっかりやられている私ですよ、と心で呟く。

「ん?もしかして、少しは憧れがあったとか?ダメダメ!ああいうのに引っかかったら人生終わりだよ。」

「人生・・・終わり?」

「そう。次はどうするのよ?向こうは一時の遊びかもしれないけど、こっちだって本気になっちゃいけないとは、もちろんわかっているけど、あんなスペック高めのイケメンと付き合ったら、周りの一般男性がショボク見えちゃって中々次の相手なんてみつけられないよ。私は無理だわ。」

普通が一番だよ、と言う次美は、私に付き合って1年の大好きな彼氏がいることを知らない。その彼氏は、私たちの視線の先にある門田社長だなんて、夢にもおもってないよね。営業職の次美とも少なからず仕事で顔を合わせる門田社長。お互いの仕事関係を気にするのなら、この件は伏せておいた方がいいと、次美に言わない事を私が彼に頼んだのだ。後で次美が知ったら怒るだろうなあ、と罪悪感も感じるが、二人の仕事を邪魔したくないと思うのも真実。仕事ができる2人だからこそ、その情報は必要ない。

「あ!隣にいるのってモデルの・・・なんて言ったかな・・・えーと。」

次美の驚きの声に再び彼の方を見れば、確かに女性が立っていて、彼の腕にそっと手をかけているところだった。

「・・・松宮鈴子。」

「そう!それそれ!よくむーちゃんわかったね。」

最近、聞いたばかりだからね・・・。
サングラスをしているが圧倒的なスタイル・姿勢の良さは間違いなくパリコレでも活躍するモデルの松宮鈴子だ。昔から彼との関係を噂されている二人は学校が同じ同級生らしい。ネットで調べた友達が言っていた。本当の関係を知りたかったが勇気がなくて彼には聞けないでいる。私のモヤモヤポイントだ。

「むーちゃん、憧れは所詮憧れのままがいいんだよ。まあ、接点もないだろうから、その点は大丈夫だろうけど。その内、私がいい人紹介するよ!」

「いいよ~。そういうの苦手って言ってるじゃない。」

仲良くなってから、何度となく彼女主催の合コンに声をかけられるが、知らない人と彼氏探しの目的でお酒を飲むなんて、会社の接待よりもキツイ。まあ、私は接待なんて関係ない部署ですけど。
それは、わかってる、と私を宥めるよう掌を見せて上下に振る。

「でも、私の恋愛休暇が明けて、一緒に楽しい春を迎えたいなあ、て思うんだよね。完全なるお節介だと思うけど、お互い今年には26歳になるし、これから2年くらい付き合ったら、ちょうど結婚にいい歳になるじゃない。人生設計だよ。むーちゃんはどう考えてるの?」

どう思っているのって・・・。




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