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「・・・失礼しました。私は、ノエリア・デュヴァラと申します。デュヴァラ伯爵の妻です。・・・ヨーク地方の田舎者ですからご存知ないでしょ?新郎の親戚ですのよ。」
以前、フルラに旦那様になる方の事を聞いた時があった。
広大なヨーク地方の殆んどを一族で領地として修めていて、いずれは自分も王都を離れてそこへ行くことになると。
ヨーク地方は王都から遠く、海の恩恵を強く受けている土地だ。
海から取れる物はもちろん、外国からの輸入・輸出の食品や宝飾品などでも、大変潤っている賑やかな地方。
ノエリアの身に付けている物を見ればどれも値の張る物ばかり。
ヨーク地方のデュヴァラ伯爵・・・海の近くにこの国の中の伯爵家で1,2を争う豊かな財を持つ家があると聞いた事がある。
おそらく彼女の旦那様がそれだろう。
でも、ユーゴ公爵家の懇意な関係は無かったと思うけど・・・。
そうなればアンドレア様と彼女は・・・個人的な関係?
ジェラールと婚約していた頃のアンドレア様の女性関係の噂は、少しだけ耳にしたことがある。
複数のお互い本気にならない約束の方がいたとか・・・。
疑問で頭も心もいっぱいにさせながら、顔に出ないようにだけ気をつけて、ここから早く立ち去るのが懸命だと判断する。
「新郎様の・・・そうでしたか・・・。存じ上げなくて・・・。私は新婦の友人で・・・。」
私が彼女を知らなかった事が気に入らないのか、急に私の言葉をさえぎるように口を開く彼女。
その目は細められ見下ろすような視線に変わった。
「毎年の国王主催の夜会にも出席しておりましたし、王妃様主催の王庭で行われる園遊会でも、私はあなたをお見かけした事はありますわよ。まあ、未来の旦那様探しに夢中だったのかしら?・・・そう言えば、つい最近まで他の方と婚約されていたのでしたわね。・・・私のことは知らなくても、主人の事を知らないなんて公爵家の女主人としてどうかと思いますけど。主人はこの国の財を左右する者としてとても有名ですからねぇ。・・・仕方が無いのかしら、急にご結婚したばかりだし。それも、このような華やかな披露の場も設けてもらえない、屋敷に閉じ込められた花嫁だと、もっぱらの噂ですものね・・・。」
口元を扇子で隠し、意地悪く光る瞳を私に突き立ってる。
”閉じ込められた花嫁”
”醜聞の花嫁は人前には出せない”
そんな噂を知らない訳では無かった。
でも、アンドレア様の愛情を信じている今は聞き流す事ができる・・・はず。
彼女から私への棘は鋭さを増していく。
ユーゴ公爵家ではなく、私個人に向けた嫌悪の言葉は、彼女と私の間にアンドレア様を挟んでいる事がわかる。
相手にしないのが一番いいことは判っているが、嫌な言葉は足を重くする。
恨みなのか憎しみなのかわからない色に染まった彼女の目をただ見返す事しかできない。
「なんだか見た目も・・・あら、ごめんなさいね。だって、胸の辺りも腰の辺りも足りないというか・・・彼は満足してらっしゃるのかしら?」
彼女の胸は豊満で女性である私でも目にやり場に困るほどだ。
腰もくびれていて、本当に婦人として魅力ある体型。
少女から大人の女性へ変わるにはまだまだ時間がかかりそうな私の体型。
素直に羨ましい・・・。
アンドレア様もこの身体に魅了されたのだろうか?
そんな事を考えていたら、胸がチリチリと痛んだ。
私に見せつけるように少し腰をくねらせた彼女。
それにも、言葉にも反応を見せない私に苛立ったように扇子をパチリと閉じ大きな声を出した。
「ねえ、聞いてらっしゃるの?公爵夫人!・・・こんな、ぼーとした方で大丈夫なのかしら?由緒正しい大公爵家のユーゴ公爵様を支えていけるのかしらね。」
最後は独り言のように言っているが、こちらが聞いていることを意識した語りで・・・。
そして、小さな声で彼女はつぶやいた。
「私ならユーゴ公爵家のために・・・彼のためになれたのに・・・。」
以前、フルラに旦那様になる方の事を聞いた時があった。
広大なヨーク地方の殆んどを一族で領地として修めていて、いずれは自分も王都を離れてそこへ行くことになると。
ヨーク地方は王都から遠く、海の恩恵を強く受けている土地だ。
海から取れる物はもちろん、外国からの輸入・輸出の食品や宝飾品などでも、大変潤っている賑やかな地方。
ノエリアの身に付けている物を見ればどれも値の張る物ばかり。
ヨーク地方のデュヴァラ伯爵・・・海の近くにこの国の中の伯爵家で1,2を争う豊かな財を持つ家があると聞いた事がある。
おそらく彼女の旦那様がそれだろう。
でも、ユーゴ公爵家の懇意な関係は無かったと思うけど・・・。
そうなればアンドレア様と彼女は・・・個人的な関係?
ジェラールと婚約していた頃のアンドレア様の女性関係の噂は、少しだけ耳にしたことがある。
複数のお互い本気にならない約束の方がいたとか・・・。
疑問で頭も心もいっぱいにさせながら、顔に出ないようにだけ気をつけて、ここから早く立ち去るのが懸命だと判断する。
「新郎様の・・・そうでしたか・・・。存じ上げなくて・・・。私は新婦の友人で・・・。」
私が彼女を知らなかった事が気に入らないのか、急に私の言葉をさえぎるように口を開く彼女。
その目は細められ見下ろすような視線に変わった。
「毎年の国王主催の夜会にも出席しておりましたし、王妃様主催の王庭で行われる園遊会でも、私はあなたをお見かけした事はありますわよ。まあ、未来の旦那様探しに夢中だったのかしら?・・・そう言えば、つい最近まで他の方と婚約されていたのでしたわね。・・・私のことは知らなくても、主人の事を知らないなんて公爵家の女主人としてどうかと思いますけど。主人はこの国の財を左右する者としてとても有名ですからねぇ。・・・仕方が無いのかしら、急にご結婚したばかりだし。それも、このような華やかな披露の場も設けてもらえない、屋敷に閉じ込められた花嫁だと、もっぱらの噂ですものね・・・。」
口元を扇子で隠し、意地悪く光る瞳を私に突き立ってる。
”閉じ込められた花嫁”
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そんな噂を知らない訳では無かった。
でも、アンドレア様の愛情を信じている今は聞き流す事ができる・・・はず。
彼女から私への棘は鋭さを増していく。
ユーゴ公爵家ではなく、私個人に向けた嫌悪の言葉は、彼女と私の間にアンドレア様を挟んでいる事がわかる。
相手にしないのが一番いいことは判っているが、嫌な言葉は足を重くする。
恨みなのか憎しみなのかわからない色に染まった彼女の目をただ見返す事しかできない。
「なんだか見た目も・・・あら、ごめんなさいね。だって、胸の辺りも腰の辺りも足りないというか・・・彼は満足してらっしゃるのかしら?」
彼女の胸は豊満で女性である私でも目にやり場に困るほどだ。
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素直に羨ましい・・・。
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そんな事を考えていたら、胸がチリチリと痛んだ。
私に見せつけるように少し腰をくねらせた彼女。
それにも、言葉にも反応を見せない私に苛立ったように扇子をパチリと閉じ大きな声を出した。
「ねえ、聞いてらっしゃるの?公爵夫人!・・・こんな、ぼーとした方で大丈夫なのかしら?由緒正しい大公爵家のユーゴ公爵様を支えていけるのかしらね。」
最後は独り言のように言っているが、こちらが聞いていることを意識した語りで・・・。
そして、小さな声で彼女はつぶやいた。
「私ならユーゴ公爵家のために・・・彼のためになれたのに・・・。」
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