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この国の春は美しい花々が咲気乱れ、花の良い香りが辺りを包む。
北の国に比べれば、それほど厳しい冬では無いが、やはり温かな日の光をもたらす春は待ち遠しいと国民は思う。
そんな穏やかな季節の風と幸せを祝う声に、白いドレスの裾が舞う。
「来てくれてありがとう。」
嬉し涙に潤む瞳を見つめれば、彼女を一層綺麗だと誰もが思う。
「・・・本来なら貴方が私より先に、神の祝福を受けるはずだったのにね。」
そう・・・、そうね。
顔には出さず、心が呟く。
「お戻りはいつになるのかしらね・・・まだ、お知らせの手紙などはないの?」
それは、私も一番知りたい事だわ・・・。
「それにしても、愛し合う婚約者同士をこんなに長く離れ離れにするなんて、皇太子様は何を考えていらっしゃるのかしら!」
「フルラ・・・誰が聞いているかわからないのだから、滅多な事を言うもんじゃないわ。」
「あ!イケナイ・・・。でも、私はエルの友人として、言わずにはいられないのよ。」
「ええ、それはわかっているわ。ありがとう・・・。」
友人のまっすぐな私を心配する瞳に、感謝しつつ、私は一つため息をついた。
顔を上げ、眩しい春の光に目を細める・・・いったい、いつになったらお帰りになれるのかしら・・・アンドレア様は・・・。
私が巻き込まれた事件の後、皇太子様の名代で旅立たれたアンドレア様は、すぐに帰ると言う言葉とは裏腹に、2ヶ月たった今もこの国はおろか、私の元へも帰
ってきていない。
体調が思わしくない我が国の陛下の代わりに執務をこなす皇太子が本来なら、出向く用ではあった。
皇太子の公私共に信頼も厚いアンドレア様がその大切な任務を仰せつかったのだから、喜ばしい事だが・・・。
思い出すのは、キリっとしたまっすぐと射抜くようなの濃い茶色の瞳、すうっと通った鼻筋、強い意志を表すような真一文字に結ばれた薄い唇。
全てが男性としては整い過ぎるくらい整っている顔立ち・・・だったと思う。
一つ一つ思い出していたら、なんだか記憶がぼやけて自信が無くなってきた。
抱きしめられた腕の感触も、香りも・・・。
もう、忘れてしまいそうです。
だから、忘れる前に早く帰って来てください・・・。
アンドレア様。
北の国に比べれば、それほど厳しい冬では無いが、やはり温かな日の光をもたらす春は待ち遠しいと国民は思う。
そんな穏やかな季節の風と幸せを祝う声に、白いドレスの裾が舞う。
「来てくれてありがとう。」
嬉し涙に潤む瞳を見つめれば、彼女を一層綺麗だと誰もが思う。
「・・・本来なら貴方が私より先に、神の祝福を受けるはずだったのにね。」
そう・・・、そうね。
顔には出さず、心が呟く。
「お戻りはいつになるのかしらね・・・まだ、お知らせの手紙などはないの?」
それは、私も一番知りたい事だわ・・・。
「それにしても、愛し合う婚約者同士をこんなに長く離れ離れにするなんて、皇太子様は何を考えていらっしゃるのかしら!」
「フルラ・・・誰が聞いているかわからないのだから、滅多な事を言うもんじゃないわ。」
「あ!イケナイ・・・。でも、私はエルの友人として、言わずにはいられないのよ。」
「ええ、それはわかっているわ。ありがとう・・・。」
友人のまっすぐな私を心配する瞳に、感謝しつつ、私は一つため息をついた。
顔を上げ、眩しい春の光に目を細める・・・いったい、いつになったらお帰りになれるのかしら・・・アンドレア様は・・・。
私が巻き込まれた事件の後、皇太子様の名代で旅立たれたアンドレア様は、すぐに帰ると言う言葉とは裏腹に、2ヶ月たった今もこの国はおろか、私の元へも帰
ってきていない。
体調が思わしくない我が国の陛下の代わりに執務をこなす皇太子が本来なら、出向く用ではあった。
皇太子の公私共に信頼も厚いアンドレア様がその大切な任務を仰せつかったのだから、喜ばしい事だが・・・。
思い出すのは、キリっとしたまっすぐと射抜くようなの濃い茶色の瞳、すうっと通った鼻筋、強い意志を表すような真一文字に結ばれた薄い唇。
全てが男性としては整い過ぎるくらい整っている顔立ち・・・だったと思う。
一つ一つ思い出していたら、なんだか記憶がぼやけて自信が無くなってきた。
抱きしめられた腕の感触も、香りも・・・。
もう、忘れてしまいそうです。
だから、忘れる前に早く帰って来てください・・・。
アンドレア様。
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