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ここに帰ってきた当初は、後3ヶ月と少しの結婚式を予定通り行うとアンドレア様は言った。
私に異存はなかった。
むしろ、あんな出来事に巻き込まれた私のせいで延期になる方が心苦しかったから、それでいいと思った。

事件に加担したドレスの服飾店ではなく、当然、他の服飾店がドレスを担当することになった聞いた。
外国から取り寄せる予定の生地やレース類は、今からでは間に合わないので、すべて国内の物で対応できる店が選ばれた。
この国にだって、たくさん良いものはあるのだから、始めからそうすればよかったのにとさえ思う。
それでも、事件の前なら幼い頃から贔屓にしていたあの店を選ぶ事になっただろうから、今回の事は防げなかったのではないかと思う。
お母様いわく、外国の物を使うことで、式にお金をかけている、それだけ大切にされている、それだけ愛されていると世に知らせることができたのに、と言う。
ただでさえ、婚約破棄や、それ以後の早い婚姻は、私にとってよくない印象を社交界に与えているという。
私、本人は悪くないが、巻き込まれて可哀想だと、同情しているかのような噂話が夜会では広がっているらしい。
せめて、愛しあっているのだと知らしめたいから、式では2人でずーとくっ付いてなさい、とお母様は言っていた・・・。
たかがドレスで式を遅らせるより、国内の物を使うことにより作成期間を短くできたことは、式を変更無く進めたいアンドレア様だってホッとしているところだろう。


なのに、延期にすると言い出したのは、やっぱり私のためなのだろう・・・。

「・・・十分な時間が必要だ。式の準備、そして君にも・・・エルにも心を落ち着かせ、整理する時間が必要だろう。リアやバルドに叱られた。エルのことを本当に心配しているなら、二人の時間をゆっくり持てと。式よりも大切だと。随分と味方をふやしたな。奥様思いの良い使用人たちだ。」

溜め息混じりに話されているアンドレア様は本当は納得していないのだろう。




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