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幕間-⑩
しおりを挟むネーエルドとの国境の砦を守る警備騎士団と内報部は、その近辺で横行している人身売買をの取り締まるために密かに動いていた。
この人身売買には、自国メカラルアの高位貴族が絡んでいるという情報から、国の秘密機関である内報部が動くこととなった。
今回、いくつかの貴族が新たに加わるという情報を掴んでいたが、隣国ネーエルドも絡んでいるとなるとこちらも大きく出れないのが現状だった。
国境の砦を守る警備騎士団のところに赴き、ある計画に協力してくれるよう願った。
しかし、失敗する可能性のほうが高い計画だと言われ、反対され、協力できないと突っぱねられた。
無謀と思われる計画を立てたのは、代々その部門への所属を許されているユーゴ公爵家の嫡男であるアンドレアだった。
アンドレアは内報部に所属して数年、若手だった。
経験の無さと若さゆえの根拠の無い自信で、その計画を内報部の僅かな人数で実行した。
そして、結果的に失敗し仲間を何人も失って、自分自身も傷を負った。
敵に多少のダメージは与える事ができたが、血の気が多い敵の何人かは、少なくなったアンドレアたちを逃がすことを良しとはしなかった。
このままでは敵の追っ手に捕まり自身の命も危ないと思われた時に、エルヴィナに助けられたアンドレア。
エルヴィナと別れ、助けに来た仲間に無事保護されると、エルヴィナの愛馬のクレアスも役目は終わったとばかりに帰って行った。
そして、アンドレアの記憶には、クレアスの鞍についていた貴族の家紋と、自分を逃がす為に愛馬の横腹を叩く時のエルヴィナのまだ少女の面影を残す凛々しい横顔が残った。
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