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「リア?道が・・・街の外に向かっているみたいよ?」
「ええ、そうなんです。今回は警護の者がおりますので、混んでいる大通りはいささか通りづらいと申しますか・・・。」
「ああ、そうね。この人数じゃ、みなさまのご迷惑ね。・・・でも、大袈裟すぎない?公爵家からの警護の方だけでも充分なのに。公爵様だって、明日の貴族会議でお忙しいのに、わざわざ来てくださるなんて。」
「そんな事ありません。用心するに越した事はありません。・・・アンドレア様もすぐに追いつくと騎士団の方もおっしゃっておりましたし。でも、アンドレア様がお出になる際、急用で呼び出されるなんて・・・アンドレアさまもこちらの事が気になっていらっしゃるでしょうに。」
公爵は準備が整い城をいざ出発と言うときに貴族会議の執行部から呼び出されたのだそうで、今はこの一行には同行していない。
忙しいのだから、無理してこちらに同行しなくても・・・。
私は耳の裏をそっと触れてみた。
他よりほんのり温かい気がした。
公爵の香りの記憶がよみがえる。
今日は昨夜、公爵に言われたとおり髪をアップにせず、両わきを編みこみし下ろしている。
ここに公爵がいない事で、心に隙間があるような、心もとない感じがする。
そういえば、呼び方が直らないわね。
公爵じゃなかった、アンドレア様だった。
ついつい考えている時は公爵と読んでしまう。
・・・寂しいのかな、私は。
アンドレア様も気にしてくださっているの?
天気の良い外を眺めながら取り留めのないことを思う。
ふと並ぶ木々の更に奥の景色を見て感じる既視感。
「ねえ、リア。向こうの道はどこへ行くの?」
「どこですか?・・・あの道ですか?ルルラ湖方面ですね。行かれた事はありますか?」
「ルルラ湖?そこなら行ったことあるわ!あれ?でも、行かなかったのかな?ううん・・・。」
ルルラ湖は、とても自然豊かな場所に位置し、唯一隣国のネーエルド国と接している国直轄地にある。
ジェラールの家であるコーベンヌ伯爵家の所有している領地のすぐ近くだった。
ネーエルド国は山に囲まれたとても冬が長い国と聞いている。
我が国から日常に必要な物資を、ネーエルド国からは大変珍しい鉱物を、売り買いしている。
それを運んでいるのがシャンタル男爵家。
ライラの家だ。
シャンタル家は、もともと平民で、大きな牧場を営んでいた。
そこで飼われている馬を使い、輸送業を始めて、大きな成功を収めた。
ネーエルド国以外にも、たくさんの国へ物を運んでいる。
その輸送は、大きな利益をこの国にもたらした。
その事を評価され、ライラのお父様は一代限りの男爵位を王から賜った。
ライラのお父様はかなりのお歳だったはず。
今回の事で大変な思いをされていると思うと心が痛い。
ネーエルド国の雪解け水が入るルルラ湖は、澄んでとても綺麗だと有名。
暑い時期などは避暑に訪れる人も多いが、一年を通して水温も低く深いゆえに溺れて亡くなる人もいる。
領地が近いジェラールから、何度もルルラ湖へ行こうと誘いがあった。
事故を案じ、過保護な私の両親はルルラ湖行きを、幼い頃は許してくれなかった。
それが身長も伸びた12歳の時に、ようやく許しが出た。
その時は、いつものようにジェラールの別荘に向う馬車の記憶はあるのだけれど・・・。
湖に行き、みんなで遊んだ思い出がない。
馬車の記憶もだんだん自信がなくなる。
やっぱり、行ってないのかな。
許しなんて出なくて、いつものように諦めて、ジェラールの別荘に行っただけだったのかも。
大きくなってからは、ジェラールも誘ってくれなくなった。
私ではなくライラを誘っていたのかな・・・。
「ええ、そうなんです。今回は警護の者がおりますので、混んでいる大通りはいささか通りづらいと申しますか・・・。」
「ああ、そうね。この人数じゃ、みなさまのご迷惑ね。・・・でも、大袈裟すぎない?公爵家からの警護の方だけでも充分なのに。公爵様だって、明日の貴族会議でお忙しいのに、わざわざ来てくださるなんて。」
「そんな事ありません。用心するに越した事はありません。・・・アンドレア様もすぐに追いつくと騎士団の方もおっしゃっておりましたし。でも、アンドレア様がお出になる際、急用で呼び出されるなんて・・・アンドレアさまもこちらの事が気になっていらっしゃるでしょうに。」
公爵は準備が整い城をいざ出発と言うときに貴族会議の執行部から呼び出されたのだそうで、今はこの一行には同行していない。
忙しいのだから、無理してこちらに同行しなくても・・・。
私は耳の裏をそっと触れてみた。
他よりほんのり温かい気がした。
公爵の香りの記憶がよみがえる。
今日は昨夜、公爵に言われたとおり髪をアップにせず、両わきを編みこみし下ろしている。
ここに公爵がいない事で、心に隙間があるような、心もとない感じがする。
そういえば、呼び方が直らないわね。
公爵じゃなかった、アンドレア様だった。
ついつい考えている時は公爵と読んでしまう。
・・・寂しいのかな、私は。
アンドレア様も気にしてくださっているの?
天気の良い外を眺めながら取り留めのないことを思う。
ふと並ぶ木々の更に奥の景色を見て感じる既視感。
「ねえ、リア。向こうの道はどこへ行くの?」
「どこですか?・・・あの道ですか?ルルラ湖方面ですね。行かれた事はありますか?」
「ルルラ湖?そこなら行ったことあるわ!あれ?でも、行かなかったのかな?ううん・・・。」
ルルラ湖は、とても自然豊かな場所に位置し、唯一隣国のネーエルド国と接している国直轄地にある。
ジェラールの家であるコーベンヌ伯爵家の所有している領地のすぐ近くだった。
ネーエルド国は山に囲まれたとても冬が長い国と聞いている。
我が国から日常に必要な物資を、ネーエルド国からは大変珍しい鉱物を、売り買いしている。
それを運んでいるのがシャンタル男爵家。
ライラの家だ。
シャンタル家は、もともと平民で、大きな牧場を営んでいた。
そこで飼われている馬を使い、輸送業を始めて、大きな成功を収めた。
ネーエルド国以外にも、たくさんの国へ物を運んでいる。
その輸送は、大きな利益をこの国にもたらした。
その事を評価され、ライラのお父様は一代限りの男爵位を王から賜った。
ライラのお父様はかなりのお歳だったはず。
今回の事で大変な思いをされていると思うと心が痛い。
ネーエルド国の雪解け水が入るルルラ湖は、澄んでとても綺麗だと有名。
暑い時期などは避暑に訪れる人も多いが、一年を通して水温も低く深いゆえに溺れて亡くなる人もいる。
領地が近いジェラールから、何度もルルラ湖へ行こうと誘いがあった。
事故を案じ、過保護な私の両親はルルラ湖行きを、幼い頃は許してくれなかった。
それが身長も伸びた12歳の時に、ようやく許しが出た。
その時は、いつものようにジェラールの別荘に向う馬車の記憶はあるのだけれど・・・。
湖に行き、みんなで遊んだ思い出がない。
馬車の記憶もだんだん自信がなくなる。
やっぱり、行ってないのかな。
許しなんて出なくて、いつものように諦めて、ジェラールの別荘に行っただけだったのかも。
大きくなってからは、ジェラールも誘ってくれなくなった。
私ではなくライラを誘っていたのかな・・・。
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