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公爵が言った通り、公爵家が私的に雇っている護衛騎士が3人来た。
1人は女性で、彼女の名はリア。
年は私より3つ上だった。
背は私より少しだけ高く、小柄で細身だが振る舞い方に隙がない。
機敏で腕が立つから安心して身を任せて欲しいと公爵より年上に見える護衛騎士より紹介された。
もう1人の方はリアと同じくらい歳の青年騎士だった。
見ていれば、男性騎士は2人とも無表情が常のようだ。
リアは、侍女としても優秀のようで、私付きのアンナと一緒に公爵家への行儀見習いの準備をテキパキとこなす。
それに比べ・・・。

「気が進みませんか?」

リアの女性としては少し低い声が背中からかかる。
声がした方を振り返れば彼女しか目に入らず、
アンナは席を外しているようで見当たらない。

「・・・。」

公爵家へ行く、心の準備の時間も少しもあたえてもらえない。
疑問はたくさんあるのに、何も教えてもらえない。
頭も心もモヤモヤしている。
片付けの手が進まないのは仕方が無い事。
だからと言って、はい、そうです、とは軽々しく口にできない。

「私ではお話の相手になりませんか?」

返事をしない私をほっておいてはくれない。
ジェラールが逃げたから、私に護衛を付け、更に警護の強化のために行儀見習いとして公爵家へ来るように言った公爵。
婚姻関係を結んでいない、一足早く嫁ぎ先へ行儀見習いとしていく事は、そんなに特別な事ではない。
しかし、そのどれにも私は納得できないでいる。
ジェラールが逃げたからって、私のところに来るとは思えない。
護衛のものはこの屋敷にだっている。
公爵の両親にも、挨拶はまだだと言うのに・・・。
聞けば公爵の両親は、爵位を現公爵に譲ってすぐに領地に行かれたのだとか。
まずは会えるように段取りをお願いしたい。
だから、リアの事が気に入らない訳ではないけど・・・。

「・・・あなたは、公爵様の家の方だから・・・」

余計な事を言って報告され、あちらの機嫌を損ねるのは気まずい。
少しは家同士のことに気を使う・・・。
片付けるため、手にしていたドレスを置くリア。





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