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7話
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とはいえ、相手は凶悪な囚人だ。言葉ではそう言っても襲ってくる可能性は充分にある。アイツらはそういうことを平気でしてくる嘘つきだから。そのため、離れて小走りした。徐々に歩く速さは速くなり、廊下を突っ走る。ちょうど非常用とは別の入り口を見つけて入ると、目の前を二人の囚人が横切っていく。パッと見て男女の囚人だったが、バレていないようだ。
その後ろにはあの403336が立っていたものの、脚を棒にして突っ立っている僕を追い越していく。
「ちょっと待って!」
T字路を左に曲がってまっすぐ行くと、医療室がある。勇気を振り絞って飛び出すと、すでに誰もいなかった。恐らく医務室へ行ったのだろう。このまま様子を見ることにした。あいつら二人がこちらへ来ないことを願って。
なぜ医務室へ向かっていたのかというと、胸の傷の手当てをするためだ。この傷を手当てしてから、ここを脱出する予定だ。でないと、生き残るのは厳しい。それに看守の服では危うい。誰かから囚人服をもらわないと、脱出することは不可能。無謀に近い。
待つこと数分後。眠くてあくびをしていたら、医務室から白髪の男が顔を覗かせてきた。こちらへ来いと手招きしている。
恐る恐る医務室まで歩き開き扉から入ると、何かを手渡してきた。囚人服だ。オレンジ色で折りたたまれている上下一式と、白いタンクトップ。それを握りしめた。
「看守のままじゃ、脱出なんかできない。着替えてこいよ」
そう真顔のまま言われて、自分と同じ考えだったことに驚いた。とはいえ、一つ疑問に感じたことがある。彼はどうして予備の囚人服の場所を知っていたのだろうか?それになぜ医務室に用事があったのだろうか。
周りを見渡しても、特に怪しいところはない。分厚いファイル資料も散乱していないし、医療用ベッドも清潔感溢れている。棚も使われていないのかと思うほど、綺麗に整頓されていた。
考えても時間の無駄だ。この傷を直すのが先。そう思ってハサミと包帯と塗り薬、医療用テープを探した。全て見つけるのは簡単だった。
必要な道具を使って、傷が隠れるように包帯を巻いていく。必要な分だけ取り出して、ハサミで切った。中々一人でするには大変だが、元々手は器用な方だ。なんとか傷を隠すことに成功した。あとは囚人服を着るだけ。
まあ、この包帯が取れたらおしまいかもな。ゆるゆるすぎたか……。しかし直している時間はない。
囚人服にあたふたして着替えると、看守用カードを後ろのズボンポケットに入れる。白髪の男の方へ向かった。彼は退屈そうに椅子に座っていた。周りを見渡したら、何か違和感があるけど……気のせいだよなぁ。ファイルの上に、麻のロープなんかあったっけ?
「何?」
「べ、別に……」
挙動不審なのを変に思われてしまったようだ。気持ちを落ち着かせて、下の蓋つき床を踏みしめる。医務室から出ることにした。
彼が最初に外へ出て、こちらを無表情のまま振り向く。
「そういえば自己紹介がまだだったね。俺はアルマ。よろしく。お前の名前は?」
手を差し伸べてきた。
「……」
流石に囚人に名前を教えることはできない。目線を晒して、素知らぬふりをした。教えたら悪用されるのがオチだ。
「ふーん、名前はナンバヒロキか。よろしく」
なぜ名前を!?と思って彼の方に素早く視線を向けると、いつの間にか看守カードが彼の手の中にあった。いつのまに!?
「油断しすぎだ。後ろのポケットには入れない方がいい。盗まれるぞ」
「返して!」
取ろうとしても背が高くて全然取れない。
「いや、これは海に捨てなきゃいけない。履歴書と共に」
「なぜ?」
「お前は囚人になったんだ。看守ではなくなった。看守だった証拠があれば、真っ先に疑われる」
確かにその通りだ。そのことに気づかないなんて、馬鹿すぎて笑える。僕は苦笑いを浮かべた。
その後ろにはあの403336が立っていたものの、脚を棒にして突っ立っている僕を追い越していく。
「ちょっと待って!」
T字路を左に曲がってまっすぐ行くと、医療室がある。勇気を振り絞って飛び出すと、すでに誰もいなかった。恐らく医務室へ行ったのだろう。このまま様子を見ることにした。あいつら二人がこちらへ来ないことを願って。
なぜ医務室へ向かっていたのかというと、胸の傷の手当てをするためだ。この傷を手当てしてから、ここを脱出する予定だ。でないと、生き残るのは厳しい。それに看守の服では危うい。誰かから囚人服をもらわないと、脱出することは不可能。無謀に近い。
待つこと数分後。眠くてあくびをしていたら、医務室から白髪の男が顔を覗かせてきた。こちらへ来いと手招きしている。
恐る恐る医務室まで歩き開き扉から入ると、何かを手渡してきた。囚人服だ。オレンジ色で折りたたまれている上下一式と、白いタンクトップ。それを握りしめた。
「看守のままじゃ、脱出なんかできない。着替えてこいよ」
そう真顔のまま言われて、自分と同じ考えだったことに驚いた。とはいえ、一つ疑問に感じたことがある。彼はどうして予備の囚人服の場所を知っていたのだろうか?それになぜ医務室に用事があったのだろうか。
周りを見渡しても、特に怪しいところはない。分厚いファイル資料も散乱していないし、医療用ベッドも清潔感溢れている。棚も使われていないのかと思うほど、綺麗に整頓されていた。
考えても時間の無駄だ。この傷を直すのが先。そう思ってハサミと包帯と塗り薬、医療用テープを探した。全て見つけるのは簡単だった。
必要な道具を使って、傷が隠れるように包帯を巻いていく。必要な分だけ取り出して、ハサミで切った。中々一人でするには大変だが、元々手は器用な方だ。なんとか傷を隠すことに成功した。あとは囚人服を着るだけ。
まあ、この包帯が取れたらおしまいかもな。ゆるゆるすぎたか……。しかし直している時間はない。
囚人服にあたふたして着替えると、看守用カードを後ろのズボンポケットに入れる。白髪の男の方へ向かった。彼は退屈そうに椅子に座っていた。周りを見渡したら、何か違和感があるけど……気のせいだよなぁ。ファイルの上に、麻のロープなんかあったっけ?
「何?」
「べ、別に……」
挙動不審なのを変に思われてしまったようだ。気持ちを落ち着かせて、下の蓋つき床を踏みしめる。医務室から出ることにした。
彼が最初に外へ出て、こちらを無表情のまま振り向く。
「そういえば自己紹介がまだだったね。俺はアルマ。よろしく。お前の名前は?」
手を差し伸べてきた。
「……」
流石に囚人に名前を教えることはできない。目線を晒して、素知らぬふりをした。教えたら悪用されるのがオチだ。
「ふーん、名前はナンバヒロキか。よろしく」
なぜ名前を!?と思って彼の方に素早く視線を向けると、いつの間にか看守カードが彼の手の中にあった。いつのまに!?
「油断しすぎだ。後ろのポケットには入れない方がいい。盗まれるぞ」
「返して!」
取ろうとしても背が高くて全然取れない。
「いや、これは海に捨てなきゃいけない。履歴書と共に」
「なぜ?」
「お前は囚人になったんだ。看守ではなくなった。看守だった証拠があれば、真っ先に疑われる」
確かにその通りだ。そのことに気づかないなんて、馬鹿すぎて笑える。僕は苦笑いを浮かべた。
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