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街を離れるのに、必要な荷物を買い込んで、子供を隠した場所に戻った。
悩みに悩んだが、これだけ似ているのだ。
万が一、別人だったとしても、何らかの利用価値はある気がした。
それに決めるのは《頭》だ。
隠していた少年を狭い空間から引っ張り出して用意を始めた。
この子供は目立つ。
地毛を木の実で茶色く染めて、安っぽい女の服を着せた。カツラを被せると少年は女の子にしか見えなくなった。
まぁ、こんなものか…
仕上げに「これを飲め」と瓶に入った薬を渡した。
「死ぬような毒じゃない。
死体で運ばれたくなかったら大人しく言うことを聞け」
強い言葉と刃物をチラつかせて脅すと、少年は涙目になりながら瓶を口に運んだ。
飲んでしばらくすると、麻痺した口元が緩くなってヨダレが垂れ始めた。こうなると意識も朦朧として、少なくとも半日はこのままだ。
逃げられることもないし、ヨダレを垂らして、意識の朦朧とした状態の子供なら、何らかの障害を持つ子供とそれを介助する親として怪しまれずに運べる。
用意した幌付きの馬車に子供と荷物を乗せ、この街から離れる用意を整えた。
幸い、この街には湯治目的で出入りする観光客が多い。それを装う事ができたなら、簡単に外に出れる。
街を出て、西山侯領にでも入れば、南部侯とて簡単に手出し出来なくなる。そのままアーケイイックに入ってしまえばこちらのものだ。
《蜘蛛》の《頭》との仲介役に話がつけば、この子供を渡して終いだ。
後のことは《頭》が決めることで俺は関係ない。
駄馬の引く馬車に揺られながら、後ろを確認した。
少年は毛布に包まって、虚ろな目で床に転がっている。
止められた時の言い訳を考えながら、街道沿いに馬車を進めた。
✩.*˚
喉と頭の中がジンジンと痺れている。
一応意識は有るけど、頭はボーッとしてるし、身体は言うことを聞かなかった。
こんな状態じゃ逃げることもできない。
せめて声が出たら、誰かに気付いて貰えるのに…
こんな姿では、ヨナタンだって僕と分からないだろう。
僕の焦りとは裏腹に、動かない身体はゆっくりと進む馬車と共に移動していた。
どこに向かうかも分からない。
心細くて、ずっと彼のことを考えていた…
ヨナタンは怒っているだろうか?
良くしてくれたのに、こんな事になって、ブルーノ様にも侯爵家の皆様にも申し訳ない…
僕は疫病神だ…
過去を忘れて、人並みに生きようなんて、やっぱり無理だったんだ。
涙で滲んだ視界に、何かが転がった。
跳ねるように近づいて、それは僕の目の前で止まった。
「チー」
愛らしい声で囀った小鳥は、僕に合わせるように首を傾げて、顔を覗き込んだ。
ビッテンフェルトのお屋敷に来てた小鳥だ。どうしてこんなところにいるんだろう?
ごめんね…今日は何も無いんだ…
そう思っていると、小鳥はそのまま跳ねるように僕の身体を登って、頭の上に陣取った。
一緒にいてくれるのかな…
心細さが少しだけ和らいだ。
✩.*˚
先を越された!
傀儡の小鳥を追って馬車を見つけたが、状況は良くなかった。
私は探す専門であって、戦うのは専門外だ。
相手がどんな相手なのか分からない以上、下手に手を出すことはできない。
面倒な事になった…
私の予想が正しければ、ランチェスター公子を攫ったのは恐らく《蜘蛛》だろう。
目撃証言の通りだとしたら、単身でヴェルフェル侯爵を襲撃を成功させるほどの腕前だ。
身一つで極秘任務についている私には、腕利きの味方なんてものは無い。
このまま尾行を続けてチャンスを待つか、強行突破するかの選択を迫られた。
前者は私のリスクは減るが、時間をかければそれだけ負担になる。
かと言って、後者を選択できるほど、己を過信してなどいない。
それに、武器や盾として使える大型の傀儡は宿屋に置いてきてしまった。
「詰んでますね…」と誰に向けるでもない独り言を呟いてため息を漏らした。
なんとも笑えない状況だ…
私一人にできることなどたかが知れてる。
こんな私に、あの方は大役を任せてくださったのだ…
今更引き下がることなんてできないし、状況は今までで一番深刻だ…
「仕方ない…」
雑嚢からもう一つ小鳥を取り出して、別の髪の毛を与えて命を吹き込んだ。
「《アルド少年はウミネコが見張っている》」
小鳥に伝言を託して放った。
小鳥は灰色の髪の毛の持ち主を探して、どこかに飛び去った。
あの用心深そうな男が私の言葉を信じるかは分からないが、目的を共有してくれそうなのはあの男くらいだ…
無理なら腹をくくるしかない。
小鳥が戻るまでは見張るつもりでいた。
ランチェスター公子に送った小鳥の傀儡は、まだ敵には見つかってないようだ。
動き回らなければ、それだけ与えておいた魔力の消費も少ない。
時間ならまだ余裕がある。
距離を保って馬車を尾行した。
馬車は急ぐ様子はなく、落ち着いた様子で北に向かっていた。
私は土地には明るくないが、《蜘蛛》の狙いは明らかだ。
南部侯の領地を抜けて、西山侯の領地に入るつもりなのだろう。
そうなれば南部侯であろうと、簡単には手が出せなくなる。相手の狙いはそれなのだろう…
何とかそれまでに決着をつけねばならない…
一縷の希望を託した小鳥の帰りを待ちながら、気の抜けない尾行を続けた。
✩.*˚
《雷神の拳》の拠点に足を運ぶと、悪党と縁のある奴らがいた。
元山賊だった奴に、この近辺の隠れ家になりそうなところを教えて貰った。多分全部は教えないだろうが、条件に合った場所なら幾つかある。
「あっさり教えるとは意外ですな…」とカペルマンは情報を疑っていた。
「《タダ》じゃねぇからな…それなりに自信があるんだろ?」
まあまあボラれたが、金なんてこの際どうでもいい。
アルドが戻ってくるなら、そんなのは端金だ…
印をつけた地図を持って、ビッテンフェルトの屋敷に戻ろうとした。
早足で歩く俺の後ろから、カペルマンが怪訝そうな声が聞こえて振り返った。
「失礼。飛んできたのでつい…」
そう言って、カペルマンは右手に掴んでいたものを俺に差し出した。
爺さんの手の中には、見覚えのある小鳥が納まっていた。爺さんの手の中で、小鳥は逃げ出そうと必死にもがいていた。
俺の動きでも見張っていたのだろうか?
カペルマンから小鳥を受け取ると、あれだけ暴れていた小鳥は大人しくなった。
「《…ウミネコ…ている》」
尖った黒い嘴が動くと、小鳥は囀る代わりに何か言葉を発した。
驚いて聞き取ろうと小鳥を顔に近づけると、小鳥は同じ言葉を繰り返していた。
「《アルド少年はウミネコが見張っている》」
その言葉に耳を疑ったが、小鳥はその言葉を何度も繰り返していた。
あの男、どういうつもりだ?
あいつがアルドを攫ったのか?
いや、それなら報せる理由が分からない。それなら黙って連れ去ればいいだけの話だろう。
「カペルマン。お前はビッテンフェルトに戻れ」
「どうするおつもりですか?」
「わざわざこんなものを送ってきたってことは、俺を呼んでるんだろう。
こいつがアルドの居場所を知ってるなら、この誘いに乗ってやる」
「危険すぎます。私も同行を…」
「いや。お前はビッテンフェルトの屋敷に戻って、手がかりがあったとブルーノたちに報せろ」
「しかし、落ち合う手段も無しに出ていかれては困ります。せめて何か合図か落ち合う場所を決めてもらわねば…」
確かに…何かないか?
そもそもこいつはどうやって俺を探したんだ?
そういえば、あの男はアルドを探すのに、《髪の毛》がどうとか言ってたな…
あいつ俺の家に来た時にくすねてやがったのか?
油断も隙もない…
しかし、そうだとしたら同じ要領で髪の毛があれば探せるのか?
「カペルマン。髪の毛をくれ」
俺の要求に、爺さんは露骨に嫌な顔をした。
まぁ、気持ちは分からなくもないが…
「あの男はアルドを探すのに『《髪の毛》を与えて探させた』と言っていた。
それなら同じ要領で案内に小鳥を寄越せるはずだ」
「…なるほど…」と納得したように、カペルマンは渋々といったていで、数本髪の毛を抜き取ってハンカチに挟んで俺に預けた。
ハンカチをポケットにしまって、代わりに印をつけた地図をカペルマンに預けた。
「念の為、この地図はお前が持って帰れ。
探すのに役に立つかもしれない」
「かしこまりました」と頷いた爺さんは、「ご武運を」と言って俺を見送った。
カペルマンと別れ、手に納まっていた小鳥を逃がすと、鳥は少し先まで飛んで行って止まった。
距離が縮まると、またその先に飛んで離れるという奇妙な追いかけっこのような案内が始まった。
おちょくられてるような気もするが、この案内でアルドを見つけられるなら有難いくらいだ。
アルド、待ってろ…
急く気持ちが歩みを早めた。
お前を伯父なんかに渡したりしない。
誰にも渡したりしない。
お前は俺のパートナーだ。
✩.*˚
「あぁ…さむッ」
「おい!持ち場を離れるな!」
北風を避けようと動いた俺を見回りに来た上役が叱った。
こんな吹きっさらしの場所で、立ったまんまじゃ風邪引いちまう。
こんな寒い日に関所の警備なんて貧乏くじだ…
気づかれないようにこっそり反抗的な舌打ちをして、持ち場で寒さを誤魔化すための足踏みを続けた。
今日は厚い雪雲のせいで陽の光すら届かない。
ドライファッハに来る湯治目的の観光客や、それを目当てに来る商人なんかの出入りを確認するだけの仕事だ。
中には物騒な奴もいるから、こんなつまらん仕事が必要になる。
「怪しい奴は必ず止めろ。
さっきの伝令の話を忘れるなよ?」
「へーい」
やる気のない返事をして白いため息を吐き出した。
その態度の悪さを指摘されなかったのは、俺以外も似たような様子だったからだろう。
「人相に当てはまる子供を連れた旅行客は詰所に連れてこい」と言い残して、着膨れた上役は、風をしのげる場所に戻って行った。
ずっりぃの…
舌打ちして爪先で地面を蹴ってやり過ごした。
何か、街でどっかのお偉いさんの子供が攫われたとかで、緊急の検問が必要になった。
どうせ関係ないだろうに…
そんな否定的な事を考えながら、寒空の下で突っ立ってるだけの簡単な仕事を続けた。
「暇だァ…」
「言うなよ…余計あほらしくならぁ」
同じ貧乏くじを引いた同僚が愚痴を諌めた。
雪のせいで、今日は街を出入りする人は少ない。
この先の街道は西山侯領に向かう道だ。
雪の降る日に山道に向かう奴なんて余程の物好きか、時間に追われてる奴だろう。
数少ない出入りする人に混ざって、雪を乗せた小さな幌馬車が関所で止まった。
「仕事だ」とボヤいて仲間と馬車の荷物を確認した。
「積荷は?」
御者台に座っていた男に訊ねると、男は旅券を出して答えた。
「娘の湯治に来てた。グリュックスヒューゲルに帰るところだ」
「娘?」
「ああ。生まれつきおつむの方がちょっとな…」
答えた男は御者台から荷台に移動すると、毛布に包まれた物を引っ張り出してきた。
毛布に包まれた虚ろな目をした娘は、締りのない口元から涎を垂らしていた。
「昔からこうなんだ。名前も言えないから挨拶は勘弁してくれ」
「ああ…そうか…」
まぁ、馬車の荷台を見回したがおかしなものも、他に隠しているようなものも無さそうだ。
「まぁ、道中気をつけてな」と言って、旅券に必要事項を書き込んで親子を送り出した。
子供があれじゃ大変だよな…
親子に同情して幌馬車を見送ると持ち場に戻った。
次の交代時間を待ち焦がれながら、寒空の下で突っ立ってるだけの簡単な仕事を続けた。
✩.*˚
小鳥の案内で《ウミネコ》と合流した。
「…一人ですか?」
やってきた俺の姿を見て、フィッシャーはあからさまに期待外れのような顔をした。
「お前の報せたタイミングが悪い」と言い返したが、徒歩だったこともあり、無駄に時間を食ってしまった。
息は上がってるし、体力は限界に近い。
アルドの事でなければ、とっくに回れ右してる。
フィッシャーは「まぁ、いいでしょう」と偉そうに呟いて現状を伝えた。
「残念なお知らせになりますが、アルド少年を攫った男は先程この先の関を越えました」
「なんだと?!」
「残念ながら、私にはそこを越える手段がありません。
トゥーマン殿はどうにかする手段はおありですか?」と、彼は俺を待っていた理由を述べた。
「旅券か…」
この関は南部侯領と西山侯領の境に位置する。
次の関は西山侯領になるから、ここを通るには旅券か、この先の村人である証明が必要になってくる。
「ちょっと待て」と持ち物を確認した。
普段から身につけてるようなものしかない。
それでも、一つだけ望みのあるものがあった。
ビッテンフェルトを留守にする時に、何かあった時にと、大御所が一筆書いてくれた代理人としての身分を保証する署名だ。
留守の間、面倒な仕事を押し付けられたが、今となってはこれで良かったとさえ思える。
これを出して、何か問題が起きたらビッテンフェルトに迷惑がかかるが、躊躇している余裕はなかった…
「一か八か、これで通れるように交渉する。
お前ももう一働きしろ」とポケットから、カペルマンの髪の毛を出して渡した。
「こいつにあの鳥を飛ばして案内させろ。
伝言もできるか?」
「数秒の簡単なものであれば可能です。何と伝えますか?」
「《アルドを連れ戻す加勢をくれ。行先は西山侯領》とでも伝えろ」
「…越境すると聞いて、加勢を貰えますか?」と《ウミネコ》は不信感を顕にした。それでも、伝えなかったら伝えなかったで問題だ。
「それを隠して、ここでまごまごしてみろ。それこそ時間の無駄だ。
誰も来ないなら来ないでもいい。俺は行く」
ただでさえ出遅れているのだ。こんなところで時間を無駄にする気はなかった。
疲労で重くなった足を動かして先に進もうとした。
「…分かりました。少々お待ち下さい」
フィッシャーもそれを見て腹をくくったらしい。
どちらにせよこの男には、俺を利用するか、関破りをするしか、ここを越える方法は無いのだ。
フィッシャーは髪の毛を与えた小鳥を放って、俺の後に続いた。
関に近付くと警備兵が俺たちに通行証の提示を求めた。
「すまん。急ぎの用で通行証を用意する時間がなかった」と言い訳して、大御所の用意してくれた身分証を提示した。
「この先に出て行った馬車を追ってる。ビッテンフェルトに縁のある子供を誘拐した男がここを通ったはずだ」
「我々より少し前に、栗色の毛並みで干し草みたいな鬣の馬が引いた幌馬車が通ったはずです」とフィッシャーが具体的に対象の情報を補足した。
やる気のなさそうな警備兵はそれを聞いて首を傾げた。
「それって検問の件か?」と訊ねられて頷いた。
「確かに、そんな馬車は通ったぜ。
だけど乗ってたのはグリュックスヒューゲルに帰る湯治客の父親と娘だったぞ」
「娘?」警備兵の返答にフィッシャーと顔を見合せた。
フィッシャーは、そんなはずないと言いたそうな視線を返したが、警備兵はさらに言葉を続けた。
「あぁ、なんか頭の方に問題があるってんで、可哀想な子供だったよ。
あれじゃ自分で何もできないだろうな…」
「どんな様子でしたか?」
「どんなって…
虚ろな顔して、涎を垂らして床に転がってるだけだよ。
まぁ、顔はそれなりに器量良しだったけど、あれじゃ嫁には行けないだろうさ」
同情する男の話を聞いて、フィッシャーは俺に小声で耳打ちした。
「姿が違っていても、傀儡は髪の毛の持ち主を間違えたりしません。
恐らく逃げられないように薬を盛られてるのでしょう…」
酷い話だ…
もう冷たくなって感覚のない拳を握った。怒りに焦がれて腸が熱を持った。
そんな薬使われたら、アルドが無事かどうかも怪しい…
「ここを通してくれ。その子はヴェルフェル侯爵の探してる子供だ」
「いや…それは…」
さっきまで饒舌だった男は、モゴモゴと口ごもった。
俺たちを行かせて、問題になるのを避けたかったのだろう。それでもビッテンフェルトの代理人としての証書は無視できない様子だ。
「ビッテンフェルトはヴェルフェル侯爵の親戚だ。今、侯爵はビッテンフェルト邸に滞在している。
俺たちは子供を取り返したら直ぐに戻る。そうしたら、機転を利かせたあんたの手柄にしてやる。
侯爵にはあんたのおかげだって話してやってもいい」
俺の交渉に、相手の目の奥の色が変わった。
「…本当か?」
「礼は必ずする」と約束して「前金だ」とこっそり金貨を握らせた。
それが決め手になったのか、男は頷いて協力的になった。
「追いつかにゃならんだろ?」と機転を利かせて、繋がれていた馬を貸してくれた。
「ビッテンフェルトとヴェルフェル侯爵のお使いだってよ」と仲間に言って俺たちを通した。
「…門番としては失格です」とフィッシャーは厳しくボヤいていたが、ああいう奴は一定数いるもんだ。
「おかげで通れたんだ。文句ないだろう?」と返して、馬に乗って先を急いだ。
もう日が暮れる。
辺りは薄暗くなっていた。
「この先のようです」とフィッシャーは案内を続けた。
雪は止んだが、日が落ちて寒さが際立った。
あいつは無事だろうか…
早く連れ戻したい。
薬で自由を奪われて、こんな寒空の下を連れ回されて、怯えてるはずだ…
一人で苦しんでいた孤独だった頃を思い出して、絶望してるかもしれない…
俺から離れなかったことを、 後悔してるかもしれない…
あいつが伯父の元に戻されたら、あいつを引き止めていた俺の責任だ。
俺のわがままで傍に置いた。愛していたのは本当だ。
あいつの居場所がないのをいいことに、歪んだ気持ちを押し付けた。
嫌がらなかったのは、仕方なかったからなのではないか?
俺が好きだからではなく…
悪い方に向いた考えは止まらなくなった。
俺は…アルドを手放すべきなのか?
あいつは母親の元に戻りたいと思っているのだろうか?
保護されて安全が保証されるなら、俺を捨てて、そちらに行きたいと思うだろうか?
一度悪い方に考えてしまうとその思考は取り留めなく溢れた。
愛してるなら、あいつの幸せを願うのが正しいのだろう…
それでも、歪んだ俺にはそれが出来なかった…
悩みに悩んだが、これだけ似ているのだ。
万が一、別人だったとしても、何らかの利用価値はある気がした。
それに決めるのは《頭》だ。
隠していた少年を狭い空間から引っ張り出して用意を始めた。
この子供は目立つ。
地毛を木の実で茶色く染めて、安っぽい女の服を着せた。カツラを被せると少年は女の子にしか見えなくなった。
まぁ、こんなものか…
仕上げに「これを飲め」と瓶に入った薬を渡した。
「死ぬような毒じゃない。
死体で運ばれたくなかったら大人しく言うことを聞け」
強い言葉と刃物をチラつかせて脅すと、少年は涙目になりながら瓶を口に運んだ。
飲んでしばらくすると、麻痺した口元が緩くなってヨダレが垂れ始めた。こうなると意識も朦朧として、少なくとも半日はこのままだ。
逃げられることもないし、ヨダレを垂らして、意識の朦朧とした状態の子供なら、何らかの障害を持つ子供とそれを介助する親として怪しまれずに運べる。
用意した幌付きの馬車に子供と荷物を乗せ、この街から離れる用意を整えた。
幸い、この街には湯治目的で出入りする観光客が多い。それを装う事ができたなら、簡単に外に出れる。
街を出て、西山侯領にでも入れば、南部侯とて簡単に手出し出来なくなる。そのままアーケイイックに入ってしまえばこちらのものだ。
《蜘蛛》の《頭》との仲介役に話がつけば、この子供を渡して終いだ。
後のことは《頭》が決めることで俺は関係ない。
駄馬の引く馬車に揺られながら、後ろを確認した。
少年は毛布に包まって、虚ろな目で床に転がっている。
止められた時の言い訳を考えながら、街道沿いに馬車を進めた。
✩.*˚
喉と頭の中がジンジンと痺れている。
一応意識は有るけど、頭はボーッとしてるし、身体は言うことを聞かなかった。
こんな状態じゃ逃げることもできない。
せめて声が出たら、誰かに気付いて貰えるのに…
こんな姿では、ヨナタンだって僕と分からないだろう。
僕の焦りとは裏腹に、動かない身体はゆっくりと進む馬車と共に移動していた。
どこに向かうかも分からない。
心細くて、ずっと彼のことを考えていた…
ヨナタンは怒っているだろうか?
良くしてくれたのに、こんな事になって、ブルーノ様にも侯爵家の皆様にも申し訳ない…
僕は疫病神だ…
過去を忘れて、人並みに生きようなんて、やっぱり無理だったんだ。
涙で滲んだ視界に、何かが転がった。
跳ねるように近づいて、それは僕の目の前で止まった。
「チー」
愛らしい声で囀った小鳥は、僕に合わせるように首を傾げて、顔を覗き込んだ。
ビッテンフェルトのお屋敷に来てた小鳥だ。どうしてこんなところにいるんだろう?
ごめんね…今日は何も無いんだ…
そう思っていると、小鳥はそのまま跳ねるように僕の身体を登って、頭の上に陣取った。
一緒にいてくれるのかな…
心細さが少しだけ和らいだ。
✩.*˚
先を越された!
傀儡の小鳥を追って馬車を見つけたが、状況は良くなかった。
私は探す専門であって、戦うのは専門外だ。
相手がどんな相手なのか分からない以上、下手に手を出すことはできない。
面倒な事になった…
私の予想が正しければ、ランチェスター公子を攫ったのは恐らく《蜘蛛》だろう。
目撃証言の通りだとしたら、単身でヴェルフェル侯爵を襲撃を成功させるほどの腕前だ。
身一つで極秘任務についている私には、腕利きの味方なんてものは無い。
このまま尾行を続けてチャンスを待つか、強行突破するかの選択を迫られた。
前者は私のリスクは減るが、時間をかければそれだけ負担になる。
かと言って、後者を選択できるほど、己を過信してなどいない。
それに、武器や盾として使える大型の傀儡は宿屋に置いてきてしまった。
「詰んでますね…」と誰に向けるでもない独り言を呟いてため息を漏らした。
なんとも笑えない状況だ…
私一人にできることなどたかが知れてる。
こんな私に、あの方は大役を任せてくださったのだ…
今更引き下がることなんてできないし、状況は今までで一番深刻だ…
「仕方ない…」
雑嚢からもう一つ小鳥を取り出して、別の髪の毛を与えて命を吹き込んだ。
「《アルド少年はウミネコが見張っている》」
小鳥に伝言を託して放った。
小鳥は灰色の髪の毛の持ち主を探して、どこかに飛び去った。
あの用心深そうな男が私の言葉を信じるかは分からないが、目的を共有してくれそうなのはあの男くらいだ…
無理なら腹をくくるしかない。
小鳥が戻るまでは見張るつもりでいた。
ランチェスター公子に送った小鳥の傀儡は、まだ敵には見つかってないようだ。
動き回らなければ、それだけ与えておいた魔力の消費も少ない。
時間ならまだ余裕がある。
距離を保って馬車を尾行した。
馬車は急ぐ様子はなく、落ち着いた様子で北に向かっていた。
私は土地には明るくないが、《蜘蛛》の狙いは明らかだ。
南部侯の領地を抜けて、西山侯の領地に入るつもりなのだろう。
そうなれば南部侯であろうと、簡単には手が出せなくなる。相手の狙いはそれなのだろう…
何とかそれまでに決着をつけねばならない…
一縷の希望を託した小鳥の帰りを待ちながら、気の抜けない尾行を続けた。
✩.*˚
《雷神の拳》の拠点に足を運ぶと、悪党と縁のある奴らがいた。
元山賊だった奴に、この近辺の隠れ家になりそうなところを教えて貰った。多分全部は教えないだろうが、条件に合った場所なら幾つかある。
「あっさり教えるとは意外ですな…」とカペルマンは情報を疑っていた。
「《タダ》じゃねぇからな…それなりに自信があるんだろ?」
まあまあボラれたが、金なんてこの際どうでもいい。
アルドが戻ってくるなら、そんなのは端金だ…
印をつけた地図を持って、ビッテンフェルトの屋敷に戻ろうとした。
早足で歩く俺の後ろから、カペルマンが怪訝そうな声が聞こえて振り返った。
「失礼。飛んできたのでつい…」
そう言って、カペルマンは右手に掴んでいたものを俺に差し出した。
爺さんの手の中には、見覚えのある小鳥が納まっていた。爺さんの手の中で、小鳥は逃げ出そうと必死にもがいていた。
俺の動きでも見張っていたのだろうか?
カペルマンから小鳥を受け取ると、あれだけ暴れていた小鳥は大人しくなった。
「《…ウミネコ…ている》」
尖った黒い嘴が動くと、小鳥は囀る代わりに何か言葉を発した。
驚いて聞き取ろうと小鳥を顔に近づけると、小鳥は同じ言葉を繰り返していた。
「《アルド少年はウミネコが見張っている》」
その言葉に耳を疑ったが、小鳥はその言葉を何度も繰り返していた。
あの男、どういうつもりだ?
あいつがアルドを攫ったのか?
いや、それなら報せる理由が分からない。それなら黙って連れ去ればいいだけの話だろう。
「カペルマン。お前はビッテンフェルトに戻れ」
「どうするおつもりですか?」
「わざわざこんなものを送ってきたってことは、俺を呼んでるんだろう。
こいつがアルドの居場所を知ってるなら、この誘いに乗ってやる」
「危険すぎます。私も同行を…」
「いや。お前はビッテンフェルトの屋敷に戻って、手がかりがあったとブルーノたちに報せろ」
「しかし、落ち合う手段も無しに出ていかれては困ります。せめて何か合図か落ち合う場所を決めてもらわねば…」
確かに…何かないか?
そもそもこいつはどうやって俺を探したんだ?
そういえば、あの男はアルドを探すのに、《髪の毛》がどうとか言ってたな…
あいつ俺の家に来た時にくすねてやがったのか?
油断も隙もない…
しかし、そうだとしたら同じ要領で髪の毛があれば探せるのか?
「カペルマン。髪の毛をくれ」
俺の要求に、爺さんは露骨に嫌な顔をした。
まぁ、気持ちは分からなくもないが…
「あの男はアルドを探すのに『《髪の毛》を与えて探させた』と言っていた。
それなら同じ要領で案内に小鳥を寄越せるはずだ」
「…なるほど…」と納得したように、カペルマンは渋々といったていで、数本髪の毛を抜き取ってハンカチに挟んで俺に預けた。
ハンカチをポケットにしまって、代わりに印をつけた地図をカペルマンに預けた。
「念の為、この地図はお前が持って帰れ。
探すのに役に立つかもしれない」
「かしこまりました」と頷いた爺さんは、「ご武運を」と言って俺を見送った。
カペルマンと別れ、手に納まっていた小鳥を逃がすと、鳥は少し先まで飛んで行って止まった。
距離が縮まると、またその先に飛んで離れるという奇妙な追いかけっこのような案内が始まった。
おちょくられてるような気もするが、この案内でアルドを見つけられるなら有難いくらいだ。
アルド、待ってろ…
急く気持ちが歩みを早めた。
お前を伯父なんかに渡したりしない。
誰にも渡したりしない。
お前は俺のパートナーだ。
✩.*˚
「あぁ…さむッ」
「おい!持ち場を離れるな!」
北風を避けようと動いた俺を見回りに来た上役が叱った。
こんな吹きっさらしの場所で、立ったまんまじゃ風邪引いちまう。
こんな寒い日に関所の警備なんて貧乏くじだ…
気づかれないようにこっそり反抗的な舌打ちをして、持ち場で寒さを誤魔化すための足踏みを続けた。
今日は厚い雪雲のせいで陽の光すら届かない。
ドライファッハに来る湯治目的の観光客や、それを目当てに来る商人なんかの出入りを確認するだけの仕事だ。
中には物騒な奴もいるから、こんなつまらん仕事が必要になる。
「怪しい奴は必ず止めろ。
さっきの伝令の話を忘れるなよ?」
「へーい」
やる気のない返事をして白いため息を吐き出した。
その態度の悪さを指摘されなかったのは、俺以外も似たような様子だったからだろう。
「人相に当てはまる子供を連れた旅行客は詰所に連れてこい」と言い残して、着膨れた上役は、風をしのげる場所に戻って行った。
ずっりぃの…
舌打ちして爪先で地面を蹴ってやり過ごした。
何か、街でどっかのお偉いさんの子供が攫われたとかで、緊急の検問が必要になった。
どうせ関係ないだろうに…
そんな否定的な事を考えながら、寒空の下で突っ立ってるだけの簡単な仕事を続けた。
「暇だァ…」
「言うなよ…余計あほらしくならぁ」
同じ貧乏くじを引いた同僚が愚痴を諌めた。
雪のせいで、今日は街を出入りする人は少ない。
この先の街道は西山侯領に向かう道だ。
雪の降る日に山道に向かう奴なんて余程の物好きか、時間に追われてる奴だろう。
数少ない出入りする人に混ざって、雪を乗せた小さな幌馬車が関所で止まった。
「仕事だ」とボヤいて仲間と馬車の荷物を確認した。
「積荷は?」
御者台に座っていた男に訊ねると、男は旅券を出して答えた。
「娘の湯治に来てた。グリュックスヒューゲルに帰るところだ」
「娘?」
「ああ。生まれつきおつむの方がちょっとな…」
答えた男は御者台から荷台に移動すると、毛布に包まれた物を引っ張り出してきた。
毛布に包まれた虚ろな目をした娘は、締りのない口元から涎を垂らしていた。
「昔からこうなんだ。名前も言えないから挨拶は勘弁してくれ」
「ああ…そうか…」
まぁ、馬車の荷台を見回したがおかしなものも、他に隠しているようなものも無さそうだ。
「まぁ、道中気をつけてな」と言って、旅券に必要事項を書き込んで親子を送り出した。
子供があれじゃ大変だよな…
親子に同情して幌馬車を見送ると持ち場に戻った。
次の交代時間を待ち焦がれながら、寒空の下で突っ立ってるだけの簡単な仕事を続けた。
✩.*˚
小鳥の案内で《ウミネコ》と合流した。
「…一人ですか?」
やってきた俺の姿を見て、フィッシャーはあからさまに期待外れのような顔をした。
「お前の報せたタイミングが悪い」と言い返したが、徒歩だったこともあり、無駄に時間を食ってしまった。
息は上がってるし、体力は限界に近い。
アルドの事でなければ、とっくに回れ右してる。
フィッシャーは「まぁ、いいでしょう」と偉そうに呟いて現状を伝えた。
「残念なお知らせになりますが、アルド少年を攫った男は先程この先の関を越えました」
「なんだと?!」
「残念ながら、私にはそこを越える手段がありません。
トゥーマン殿はどうにかする手段はおありですか?」と、彼は俺を待っていた理由を述べた。
「旅券か…」
この関は南部侯領と西山侯領の境に位置する。
次の関は西山侯領になるから、ここを通るには旅券か、この先の村人である証明が必要になってくる。
「ちょっと待て」と持ち物を確認した。
普段から身につけてるようなものしかない。
それでも、一つだけ望みのあるものがあった。
ビッテンフェルトを留守にする時に、何かあった時にと、大御所が一筆書いてくれた代理人としての身分を保証する署名だ。
留守の間、面倒な仕事を押し付けられたが、今となってはこれで良かったとさえ思える。
これを出して、何か問題が起きたらビッテンフェルトに迷惑がかかるが、躊躇している余裕はなかった…
「一か八か、これで通れるように交渉する。
お前ももう一働きしろ」とポケットから、カペルマンの髪の毛を出して渡した。
「こいつにあの鳥を飛ばして案内させろ。
伝言もできるか?」
「数秒の簡単なものであれば可能です。何と伝えますか?」
「《アルドを連れ戻す加勢をくれ。行先は西山侯領》とでも伝えろ」
「…越境すると聞いて、加勢を貰えますか?」と《ウミネコ》は不信感を顕にした。それでも、伝えなかったら伝えなかったで問題だ。
「それを隠して、ここでまごまごしてみろ。それこそ時間の無駄だ。
誰も来ないなら来ないでもいい。俺は行く」
ただでさえ出遅れているのだ。こんなところで時間を無駄にする気はなかった。
疲労で重くなった足を動かして先に進もうとした。
「…分かりました。少々お待ち下さい」
フィッシャーもそれを見て腹をくくったらしい。
どちらにせよこの男には、俺を利用するか、関破りをするしか、ここを越える方法は無いのだ。
フィッシャーは髪の毛を与えた小鳥を放って、俺の後に続いた。
関に近付くと警備兵が俺たちに通行証の提示を求めた。
「すまん。急ぎの用で通行証を用意する時間がなかった」と言い訳して、大御所の用意してくれた身分証を提示した。
「この先に出て行った馬車を追ってる。ビッテンフェルトに縁のある子供を誘拐した男がここを通ったはずだ」
「我々より少し前に、栗色の毛並みで干し草みたいな鬣の馬が引いた幌馬車が通ったはずです」とフィッシャーが具体的に対象の情報を補足した。
やる気のなさそうな警備兵はそれを聞いて首を傾げた。
「それって検問の件か?」と訊ねられて頷いた。
「確かに、そんな馬車は通ったぜ。
だけど乗ってたのはグリュックスヒューゲルに帰る湯治客の父親と娘だったぞ」
「娘?」警備兵の返答にフィッシャーと顔を見合せた。
フィッシャーは、そんなはずないと言いたそうな視線を返したが、警備兵はさらに言葉を続けた。
「あぁ、なんか頭の方に問題があるってんで、可哀想な子供だったよ。
あれじゃ自分で何もできないだろうな…」
「どんな様子でしたか?」
「どんなって…
虚ろな顔して、涎を垂らして床に転がってるだけだよ。
まぁ、顔はそれなりに器量良しだったけど、あれじゃ嫁には行けないだろうさ」
同情する男の話を聞いて、フィッシャーは俺に小声で耳打ちした。
「姿が違っていても、傀儡は髪の毛の持ち主を間違えたりしません。
恐らく逃げられないように薬を盛られてるのでしょう…」
酷い話だ…
もう冷たくなって感覚のない拳を握った。怒りに焦がれて腸が熱を持った。
そんな薬使われたら、アルドが無事かどうかも怪しい…
「ここを通してくれ。その子はヴェルフェル侯爵の探してる子供だ」
「いや…それは…」
さっきまで饒舌だった男は、モゴモゴと口ごもった。
俺たちを行かせて、問題になるのを避けたかったのだろう。それでもビッテンフェルトの代理人としての証書は無視できない様子だ。
「ビッテンフェルトはヴェルフェル侯爵の親戚だ。今、侯爵はビッテンフェルト邸に滞在している。
俺たちは子供を取り返したら直ぐに戻る。そうしたら、機転を利かせたあんたの手柄にしてやる。
侯爵にはあんたのおかげだって話してやってもいい」
俺の交渉に、相手の目の奥の色が変わった。
「…本当か?」
「礼は必ずする」と約束して「前金だ」とこっそり金貨を握らせた。
それが決め手になったのか、男は頷いて協力的になった。
「追いつかにゃならんだろ?」と機転を利かせて、繋がれていた馬を貸してくれた。
「ビッテンフェルトとヴェルフェル侯爵のお使いだってよ」と仲間に言って俺たちを通した。
「…門番としては失格です」とフィッシャーは厳しくボヤいていたが、ああいう奴は一定数いるもんだ。
「おかげで通れたんだ。文句ないだろう?」と返して、馬に乗って先を急いだ。
もう日が暮れる。
辺りは薄暗くなっていた。
「この先のようです」とフィッシャーは案内を続けた。
雪は止んだが、日が落ちて寒さが際立った。
あいつは無事だろうか…
早く連れ戻したい。
薬で自由を奪われて、こんな寒空の下を連れ回されて、怯えてるはずだ…
一人で苦しんでいた孤独だった頃を思い出して、絶望してるかもしれない…
俺から離れなかったことを、 後悔してるかもしれない…
あいつが伯父の元に戻されたら、あいつを引き止めていた俺の責任だ。
俺のわがままで傍に置いた。愛していたのは本当だ。
あいつの居場所がないのをいいことに、歪んだ気持ちを押し付けた。
嫌がらなかったのは、仕方なかったからなのではないか?
俺が好きだからではなく…
悪い方に向いた考えは止まらなくなった。
俺は…アルドを手放すべきなのか?
あいつは母親の元に戻りたいと思っているのだろうか?
保護されて安全が保証されるなら、俺を捨てて、そちらに行きたいと思うだろうか?
一度悪い方に考えてしまうとその思考は取り留めなく溢れた。
愛してるなら、あいつの幸せを願うのが正しいのだろう…
それでも、歪んだ俺にはそれが出来なかった…
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