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贈り物
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ビッテンフェルト家の別荘に、荷物が届いた。
荷物は国王陛下からの贈り物だった。連名で妃殿下のサインもある。先日のお詫びだそうだ。
お手紙を読んで、恐る恐る荷物を確認した。
「すごい…」ジビラが感嘆の声を上げた。
私も同じ感想だ。
リボンのかかった衣装ケースの中からは、水色の豪華なドレスとアクセサリー一式が現れた。
どれも大粒で完璧な円形の真珠があしらわれた贅沢な意匠だ。
白い真円の真珠はヴォルガ神様の象徴で、王族か、それを下賜された者でなければ身につけることは許されない。
「ロンメル男爵にも揃いの物を贈られたそうです」とお義父様が特使様からお伝えされた内容を教えてくださった。
「これを届けた方は《新年会用》と仰っておりました。
また後日、招待状を届けるそうです」
「新年会?!」
貴族の間で新年会と言えば、国王主催の祝賀行事で、招待された国中の貴族が集まるパーティーだ。私には無縁のものと思っていた。
「どうしましょう…
こんな高価な品…本当にお受け取りしてよろしいのでしょうか?」
受け取るのを躊躇う程の品の数々に、ため息が漏れた。
新参者の男爵夫人が身に付けるような品ではない。
目の前の品を持て余している私に、お義父様は 冷静にアドバイスを下さった。
「テレーゼ様。落ち着いてください。
詫びの品と言われては、突き返すなどできません。ましてや国王陛下からの贈り物です。
まずはお父上にご相談されるのがよろしいかと思います。
これらの品は大切に保管致しますので、私がお預かりしてよろしいでしょうか?」
「ありがとうございます、お義父様」
この別荘に置いておくのは確かに心許ない。ビッテンフェルトのお屋敷で預かってもらう方が安心だ。
綺麗なドレスとアクセサリーを箱にしまって、お義父様にお預けした。
「お父上やロンメル男爵にお手紙があればお預かり致します」
「ありがとうございます。今からご用意しますので、少しおまたせしてもよろしいでしょうか?」
「構いません。暇な隠居の爺です。急ぎませんので、どうぞご用意ください」とお義父様は優しくそう言って、時間を下さった。
お義父様は、ジビラと仲良くお喋りをして時間を潰していた。
母親と妹の様子を聞いて、ジビラも嬉しそうにここでの生活を伝えた。
ジビラは作りかけの教科書を持って来て、お義父様に見せていた。
「テレーゼ様の学校で使うための教科書を、用意しています」
「なるほど。わかりやすいな…
挿絵もあって子供なら喜ぶだろう」とお義父様は二人で作った教科書を褒めてくださった。
ジビラは絵が上手だから、文章だけでなく、挿絵も描いてくれた。子供は絵が好きだから、文章だけより分かりやすくて良いと思う。
彼女のような人に、子供たちの先生になって欲しかった。
「まだまだ私もお手伝いします!
ブルームバルトでは子供たちがテレーゼ様を待ってますからね!」
ジビラは嬉しそうに、一緒に作った教科書の草案を自分の祖父に自慢した。
お義父様もそんな彼女に優しい言葉をかけていた。
ジビラとお話するお義父様のお顔は穏やかで幸せそうだ。
ジビラには、私の病を伝染さないように気を付けていた。
《白い手》で触れる時、こっそり彼女を癒しているのは内緒だ…
相手が病気や怪我をしていなければ、この力は私の負担にはならない。病気の種類までは分からないが、相手の身体が悪ければ気が付く。
お帰りの前にお義父様の手を握ってお別れした。
お義父様も悪い所は無さそうだ…
もうこの病で誰も失いたくなかった。
コインを取り出して宙に投げた。
『毎日投げ続けろ』と言ってくれたあの人の願い通り、コインは表を見せた。
私はあの幸せな場所に帰れるのだと、言い聞かせてジビラたちの前で笑顔を作った。
✩.*˚
またリューデル伯爵に本営に呼び出された。
「また行くの?」と欠伸しながらスーが訊ねた。
「まぁ、君無しでも俺は余裕だけど」と言ってあいつは不敵に笑った。
相変わらず、オークランドとの小競り合いは続いていた。
スーは殆ど毎日 《犬》を連れ回して先頭で戦っていた。
その甲斐あって、燕の旗もオークランドの記憶に刻まれたようだ。
《黒い妖精》の姿を見ると揚陸した奴らは揃って青い顔になる。あいつはそれが面白いのだろう。暴れるだけ暴れて、《犬》を連れて涼しい顔で帰ってくるのだ。
「俺が居ないからって気ぃ抜くなよ?」
「ドジ踏んだらケツでも叩くってか?」と茶化すスーに拳を握って見せた。
「馬鹿言え、男なら拳骨だよ」
拳を見たスーが苦い顔で眉根を寄せた。嫌な記憶が蘇ったらしい。
「うっわぁ…もうヤダよ、それ…
君は手加減しないじゃないか?」
「当たり前だろ?なんたってお前は《男》だからな」と笑って、「じゃあな」とスーに後を任せた。
まだ日も高いうちに呼び出すなんてどういうことだ?
そう思いながら本営に顔を出すと、リューデル伯爵と、どこかで見たような顔があった。
「ご無沙汰しております、ロンメル男爵」と相手は柔らかな声で挨拶した。
栗色の髪に眼鏡をかけた細い目の紳士は、これといった特徴のない顔だ。
この口ぶりからすると、俺はこの男とどこかで会っているらしい…
記憶を手繰ってもなかなか思い出せない俺に、痺れを切らしたリューデル伯爵が口を開いた。
「ヴァインハイム男爵。婿殿とは結婚式で顔を合わせたきりでしたな」
「ええ、そうです。宰相閣下の代理人として、参列させて頂きました。
大変素晴らしい式でしたので、今でも昨日の事のように思い出せます」
俺にわかるようにわざわざ言ったのだろう。
そういえば、そういう気がする…
なんせ四年以上も前の記憶だ…
一度しか顔を合わせたことのない相手を思い出せと言う方が無理がある…
俺と同じく爵位は男爵だが、リューデル伯爵の対応を見ていると、伯爵と同格くらいの権威はあるらしい…
しかも現宰相の側近で代理人だ。
もし何らかの粗相があれば、後で面倒になりかねない。
俺の心配を他所に、ヴァインハイム男爵は笑顔で社交辞令を滑らかに語った。
「リューデル閣下より男爵の武勇伝を頂戴しておりました。カナルでのご活躍、国王陛下も宰相閣下もお喜びになられる事でしょう。
男爵ほどの人材を見出すとは、ヴェルフェル侯爵閣下もお目が高い。
これほどまでの人材を見出すその洞察力、偏見のない懐の深さは賞賛に値します。
これからも皆様のカナルでのご活躍をお祈り申し上げます」
はー…すごいな…よく出てくる…
俺にはできない芸当だ…
彼はつらつらと出てくる言葉でカナルの前線を褒め称えて、ひとしきり労うと、お使いの本題に移った。
「本日は国王陛下より贈り物をお届けに上がりました」
「は?」
俺には縁のない相手が出てきて困惑した。
変な声を出した俺を、リューデル伯爵が睨んだ。
その様子を見ていたヴァインハイム男爵は小さく笑って、封をされた文箱から手紙を取り出した。
手紙は二つ…
どちらも縁はないが、嫌でも知ってる紋章だ…
《八角の獅子の盾》と《真珠の龍神の盾》…
ワーグナー公爵家と王家の紋章は間違えようがない。この国じゃ子供だって知っている…
国のトップが、この一般人に毛が生えた程度の俺に何の用だよ!
男爵は慣れた様子で蝋の封印を割って中の手紙を取り出して代読した。
半分くらい頭に入ってこなかったが、どうやら療養中のテレーゼ絡みらしい。
第三王子がテレーゼに何やらちょっかいを出したようで、国王と王妃はそれを詫びたいとの事だった。
そんなもん、悪さした子供が謝罪するもんだろう?と思ったが、問題はそこじゃない…
「陛下は《神紋の英雄》であるロンメル男爵の働きを高く評価しておいでです。
その妻であるテレーゼ殿への王子の非礼を聞き、御心を痛め、是非ロンメル男爵夫妻へ直接お言葉をお掛けしたいと仰せになりました。
それで、私が新年会へのご招待をお知らせに参った所存です」
「は?」俺はまた言葉を失った。
今度はリューデル伯爵も固まって絶句している。
そんな俺たちの様子は見て見ぬ振りをして、男爵はさらに言葉を続けた。
「元より、陛下はカナルを守る南部侯やその他の活躍があった臣下に勲章を準備するご予定でした。
選考者の中にロンメル男爵も含まれておりましたが、今回の一件で是非ということになりました。
新年会用の礼服も陛下よりお預かりしております」
そう言ってヴァインハイム男爵は、荷物から白い衣装箱を出した。彼は鮮やかな青いリボンを取って中身を俺に見せた。
嘘だろ…
出てきた礼服を見て卒倒しそうになる。
「揃いのドレスを奥様にもお届け致しました。王室専属の職人が手がけた品です。
是非これで新年会にお越しください」
冗談じゃねえよ!着れるかこんなの!
キラッキラじゃねえか!おっさんの着るもんじゃないだろう?!しかも真珠まで付いてる!
結婚式の衣装もなかなか手の込んだものだったが、その比じゃない!
「…こ、これは…ちょっと…」
「おや?お気に召しませんか?」とヴァインハイム男爵は笑顔で圧をかけてくる。
なんてこった!断ったら不敬とか言うんだろう?
っていうか、テレーゼにも揃いのを送ったのか?一体どんなのだよ!
「いや…その…勿体ないというか…自分には似合わないかと…」
「ご安心ください、ロンメル男爵。
貴殿はこの服に相応しい《英雄》ですよ。
この品は元々は陛下の夜会用にご用意した品ではありますが、使われる機会が無かったので長らく主を持たずにおりました。
この機会に《神紋の英雄》に是非と陛下がお譲りくださったのです。
いかがでしょう?お気に召しましたか?」
そんなの答えは決まってる…断れるわけない…
「ははは…す、素晴らしい品ですね…」ややヤケになりながらそう答えた俺に、男爵は満足そうに「羨ましい限りです」と笑顔を見せた。
「しかし、その…この場で頂戴するのは、汚したり破損したりするかも知れませんので、一旦お持ち帰り頂けませんか?」
「畏まりました。
私がお預かりして、責任持ってブルームバルトにお届けいたします」
「いえ!出来ればヴェルフェル侯爵閣下にお預けいただきたいです!こんなの立派な品の保管の仕方が分からないので!」
俺の屋敷では子供が多いから怖い!
それにそんなもんあったら気が気じゃない!
届いた時点でシュミットがぶっ倒れるだろう…
「なるほど、畏まりました。侯爵閣下にお預けしておきます」とヴァインハイム男爵は柔らかい態度を崩さずに、礼服をパウル様に届けてくれると約束してくれた。
とりあえず、受け取ってもらえれば、彼の仕事は完了するので、どちらに届けても一緒なのだろう。
「では、お手紙も届けましたし、荷物もご確認頂きました。
陛下もきっとお喜び頂ける事でしょう」
彼は自分の仕事を済ませると、「ごきげんよう」と待たせていた馬車に乗って帰って行った。
ご機嫌なわけあるか!
腹の中で悪態を吐きながら、同じく引き攣った顔のリューデル伯爵と並んでヴァインハイム男爵を見送った。
「…婿殿」
「はあ…何でしょうか?」
「今、我々はカナルに来て一番のピンチだな…」
その言葉に頷くしか無かった…
✩.*˚
「で?」床に転がりながら、隣に不貞腐れた顔で転がってるワルターに訊ねた。
『たまには』と言って、珍しくディルクは《素敵な恋人》と楽しみに行ってしまった。
イザークも着いて行ったし、暇だからワルターのテントで暇を持て余していた。
「見たことねぇ様な布で出来たキラッキラの服だぜ!
水色だぜ!水色!虹みたいな色を含んだ生地でさ、おっさんが着るような服じゃねぇよ!
刺繍だって手の込んだやつだし、女のドレスかって言うくらいヒラヒラしてんだよ!あんなの着れるか!」
「でも着ない訳にはいかないんだろ?
パウル様に怒られるよ?」
「それなんだよな…
俺は、出禁になるくらいどうってことねぇんだよ。でも、なんかあったら、連座でパウル様にまで迷惑がかかっちまう…
リューデル伯爵はそれが気がかりなんだろうよ。なんたって兄貴だからな…」
「まぁ、君のは笑えるとして、俺はテレーゼのドレスは見てみたいな」
話を聞いたところだと、ワルターの礼服に揃えたドレスだ。きっと綺麗だろうし、彼女に似合わないはずがない。
「あいつは何着ても綺麗だよ」と彼は惚気けていた。
「君が行かなかったらテレーゼは一人でパウル様と行くことになるよ。
そしたら周りが放って置かないだろうね」
「バカヤロウ!そんなの許すわけねぇだろ!」
「だったら君がテレーゼの隣で怖い顔してるしかないじゃないか?
なんなら俺も着いて行ってやろうか?」
「絡まれても助けてやんねぇからな…」
「そうしたら俺より俺に絡んだやつの方が危ないな」と笑った。またワルターの顔が苦く歪んだ。
「まぁ、パウル様の為だと思って諦めて行ってきなよ。ヒラヒラキラキラの礼服だって案外似合うかもよ」
「…お前な…楽しんでるだろ?」
「だって面白いじゃん」そう言って笑うと、ワルターは拗ねたように背中を向けた。
「ねぇ、新年会ってどんなの?ご馳走?いっぱい人来るの?」
「知らねぇよ。
あーぁ…リューデル伯爵に明日から本営付きにされるし…散々だ…」
「俺たちは?」
「お前らはそのままトゥルンバルトと前衛で遊んでろ。俺はケッテラーだけ連れて本営でお勉強だ…」
「お勉強?何するのさ?」訊ねたが無視された。
余程気に入らない事らしい。
ワルターは拗ねたような口振りで「さっさと寝ちまえ」と毛布を被って黙り込んだ。
全く、子供なんだから…
苦笑いを浮かべながら、彼の広い背を眺めた。
でかい子供だな…
そう思いながら、《彼》のことを思い出した。
首から下げた彼との兄弟の証を手に取った。
ミアとルドは元気かな…?
帰ったら、ルドをいっぱい甘やかして、ミアと愛し合うんだ。
俺の子供はいつできるかな?
もうミアのお腹に居るかな?
俺たちみたいに、仲のいい兄弟になるかな?
ルドはいい子だから、弟や妹を大事にするだろうな…
なんたって君の子だ。
勝手に幸せな妄想に浸りながら目を閉じた。
エルマーの夢を見た…
彼は時間の止まったままの姿で現れる。
『スー』と親しげに呼ぶ声と頭を撫でる手のひらは変わらない。
心地よい夢の中の彼に別れを告げて、また血腥い現実に戻るのだ…
『スー』と彼に呼ばれた。夢の中で彼の顔を見上げた。
『頑張れよ』と彼は笑って、俺の頭を撫でた。
『またな』と約束して、親愛なる亡者と夢の中で別れた。
✩.*˚
「困ったわ…」
「あぁ…参ったな…」
夫婦揃って仲良く頭を抱え込んだ。
ガブリエラの手にはトリシャ王妃からの手紙が握られていた。
宮中新年会の祝賀会にまさかあの二人を連れて行くことになるとは…
「アレクシスとクラウディア嬢のお披露目もありますのに…
ロンメル男爵夫妻の宮中作法の指導役まで…」と彼女は珍しく愚痴をこぼした。
だいたい、宮中作法などというものは付け焼き刃で何とかなるものでは無い。
子供の頃から学び、身体に染み込ませるように覚えさせるものだ。
貴族として、礼儀作法を身に付けているテレーゼは何とかなっても、問題はロンメル男爵だ。
前回の宮中での叙勲式も《喋るな》《顔を上げるな》等、最低限の指示で何とか乗り切ったようなものだ。
口を開けば、粗野な部分が目立ってしまうし、下手に動けばボロが出る。
内心穏やかではなかった…
カールも心配していたが、まさか現実になるとは思ってもいなかった…
「今から指導して間に合うものだろうか?」
「難しいかと…でも、できる限りの事はしなければなりませんね」とガブリエラも苦い顔で応じた。
「ロンメル男爵はテレーゼのエスコートは出来ますか?」
「無理だろうな…」
「ダンスは?」
「したことも無いだろうな…」
「…分かりました、私が指導致します」
「すまないが、よろしく頼む」とガブリエラに宮中作法の指導を託した。
全く、面倒なことになったものだ…
いっそ、アーサーを替え玉にしたいくらいだが、無理だな…
停戦後の方がよっぽど荒れそうだ…
✩.*˚
一角獣の紋章の手紙が届いた。
橋の警護に当たっていた者たちが預かって届けたと聞いた。
手紙の内容は《停戦》の申し出だ。最低限の挨拶と文言。一緒に預けた手紙をオークランド王に届けるようにとあった。
手紙には私の求めた内容は一言も記されてはいなかった…
私の手紙は届かなかったのだろうか…
肩を落として、手紙を封筒にしまおうとした。
封筒は作りが甘かったのか、押し込んだ便箋の圧に負けて形を崩してしまった。
国は違えど、侯爵ともあろう者がこのような安っぽい物を使うだろうか?
眉根を寄せて、壊れた封筒を睨むと、剥がれた糊面に手紙と同じ字で《水を一杯いただけないだろうか?》という文言を見つけた。
まさかと思い、その場にあった水差しに、形の崩れてしまった封筒を浸した。
水を含んだ紙の上に文字が浮かび上がる。
ヴェルフェル侯爵め…粋な計らいを…
封筒の作りが甘かったのはこういう事か…
《貴殿の子息は私が預かっている》との文言に視線が吸い寄せられた。
手紙には、ダニエルを《人質》として丁寧に扱っていると記されていて、わずかながら安堵した…
さらに読み進めた手紙の中には、《人質》の交換条件が提示されていた。
多額の身代金、カナルにかけた橋のフィーア側からの撤退、一年間の停戦を条件に、ダニエルを返すという…
私の一存では決められない内容だ。
それは相手も重々承知だろう…
「…ダニエル」
愛する息子の名が口から洩れた。
生きているのだな…
息子の生存を確認して、安堵からその場に蹲った。
手紙にはアーサーの事は何も無かった。話す必要はないとばかりに、手紙は彼については触れていなかった。
それでも、心配だったダニエルの無事が知れただけでもよかった…
身体の弱いあの子が、酷い扱いを受けてないか心配だったが、ヴェルフェル侯爵はあの子に世話係までつけて大切に扱っているらしい。
彼は手紙の中で、自分を《ヴェルフェルの父》と名乗り、私に《フェルトンの父》と呼びかけた。
同じ父親の立場で手紙を寄越したのだろう…
彼には大きな借りができてしまった。
私の腹は決まっていた。
荷物は国王陛下からの贈り物だった。連名で妃殿下のサインもある。先日のお詫びだそうだ。
お手紙を読んで、恐る恐る荷物を確認した。
「すごい…」ジビラが感嘆の声を上げた。
私も同じ感想だ。
リボンのかかった衣装ケースの中からは、水色の豪華なドレスとアクセサリー一式が現れた。
どれも大粒で完璧な円形の真珠があしらわれた贅沢な意匠だ。
白い真円の真珠はヴォルガ神様の象徴で、王族か、それを下賜された者でなければ身につけることは許されない。
「ロンメル男爵にも揃いの物を贈られたそうです」とお義父様が特使様からお伝えされた内容を教えてくださった。
「これを届けた方は《新年会用》と仰っておりました。
また後日、招待状を届けるそうです」
「新年会?!」
貴族の間で新年会と言えば、国王主催の祝賀行事で、招待された国中の貴族が集まるパーティーだ。私には無縁のものと思っていた。
「どうしましょう…
こんな高価な品…本当にお受け取りしてよろしいのでしょうか?」
受け取るのを躊躇う程の品の数々に、ため息が漏れた。
新参者の男爵夫人が身に付けるような品ではない。
目の前の品を持て余している私に、お義父様は 冷静にアドバイスを下さった。
「テレーゼ様。落ち着いてください。
詫びの品と言われては、突き返すなどできません。ましてや国王陛下からの贈り物です。
まずはお父上にご相談されるのがよろしいかと思います。
これらの品は大切に保管致しますので、私がお預かりしてよろしいでしょうか?」
「ありがとうございます、お義父様」
この別荘に置いておくのは確かに心許ない。ビッテンフェルトのお屋敷で預かってもらう方が安心だ。
綺麗なドレスとアクセサリーを箱にしまって、お義父様にお預けした。
「お父上やロンメル男爵にお手紙があればお預かり致します」
「ありがとうございます。今からご用意しますので、少しおまたせしてもよろしいでしょうか?」
「構いません。暇な隠居の爺です。急ぎませんので、どうぞご用意ください」とお義父様は優しくそう言って、時間を下さった。
お義父様は、ジビラと仲良くお喋りをして時間を潰していた。
母親と妹の様子を聞いて、ジビラも嬉しそうにここでの生活を伝えた。
ジビラは作りかけの教科書を持って来て、お義父様に見せていた。
「テレーゼ様の学校で使うための教科書を、用意しています」
「なるほど。わかりやすいな…
挿絵もあって子供なら喜ぶだろう」とお義父様は二人で作った教科書を褒めてくださった。
ジビラは絵が上手だから、文章だけでなく、挿絵も描いてくれた。子供は絵が好きだから、文章だけより分かりやすくて良いと思う。
彼女のような人に、子供たちの先生になって欲しかった。
「まだまだ私もお手伝いします!
ブルームバルトでは子供たちがテレーゼ様を待ってますからね!」
ジビラは嬉しそうに、一緒に作った教科書の草案を自分の祖父に自慢した。
お義父様もそんな彼女に優しい言葉をかけていた。
ジビラとお話するお義父様のお顔は穏やかで幸せそうだ。
ジビラには、私の病を伝染さないように気を付けていた。
《白い手》で触れる時、こっそり彼女を癒しているのは内緒だ…
相手が病気や怪我をしていなければ、この力は私の負担にはならない。病気の種類までは分からないが、相手の身体が悪ければ気が付く。
お帰りの前にお義父様の手を握ってお別れした。
お義父様も悪い所は無さそうだ…
もうこの病で誰も失いたくなかった。
コインを取り出して宙に投げた。
『毎日投げ続けろ』と言ってくれたあの人の願い通り、コインは表を見せた。
私はあの幸せな場所に帰れるのだと、言い聞かせてジビラたちの前で笑顔を作った。
✩.*˚
またリューデル伯爵に本営に呼び出された。
「また行くの?」と欠伸しながらスーが訊ねた。
「まぁ、君無しでも俺は余裕だけど」と言ってあいつは不敵に笑った。
相変わらず、オークランドとの小競り合いは続いていた。
スーは殆ど毎日 《犬》を連れ回して先頭で戦っていた。
その甲斐あって、燕の旗もオークランドの記憶に刻まれたようだ。
《黒い妖精》の姿を見ると揚陸した奴らは揃って青い顔になる。あいつはそれが面白いのだろう。暴れるだけ暴れて、《犬》を連れて涼しい顔で帰ってくるのだ。
「俺が居ないからって気ぃ抜くなよ?」
「ドジ踏んだらケツでも叩くってか?」と茶化すスーに拳を握って見せた。
「馬鹿言え、男なら拳骨だよ」
拳を見たスーが苦い顔で眉根を寄せた。嫌な記憶が蘇ったらしい。
「うっわぁ…もうヤダよ、それ…
君は手加減しないじゃないか?」
「当たり前だろ?なんたってお前は《男》だからな」と笑って、「じゃあな」とスーに後を任せた。
まだ日も高いうちに呼び出すなんてどういうことだ?
そう思いながら本営に顔を出すと、リューデル伯爵と、どこかで見たような顔があった。
「ご無沙汰しております、ロンメル男爵」と相手は柔らかな声で挨拶した。
栗色の髪に眼鏡をかけた細い目の紳士は、これといった特徴のない顔だ。
この口ぶりからすると、俺はこの男とどこかで会っているらしい…
記憶を手繰ってもなかなか思い出せない俺に、痺れを切らしたリューデル伯爵が口を開いた。
「ヴァインハイム男爵。婿殿とは結婚式で顔を合わせたきりでしたな」
「ええ、そうです。宰相閣下の代理人として、参列させて頂きました。
大変素晴らしい式でしたので、今でも昨日の事のように思い出せます」
俺にわかるようにわざわざ言ったのだろう。
そういえば、そういう気がする…
なんせ四年以上も前の記憶だ…
一度しか顔を合わせたことのない相手を思い出せと言う方が無理がある…
俺と同じく爵位は男爵だが、リューデル伯爵の対応を見ていると、伯爵と同格くらいの権威はあるらしい…
しかも現宰相の側近で代理人だ。
もし何らかの粗相があれば、後で面倒になりかねない。
俺の心配を他所に、ヴァインハイム男爵は笑顔で社交辞令を滑らかに語った。
「リューデル閣下より男爵の武勇伝を頂戴しておりました。カナルでのご活躍、国王陛下も宰相閣下もお喜びになられる事でしょう。
男爵ほどの人材を見出すとは、ヴェルフェル侯爵閣下もお目が高い。
これほどまでの人材を見出すその洞察力、偏見のない懐の深さは賞賛に値します。
これからも皆様のカナルでのご活躍をお祈り申し上げます」
はー…すごいな…よく出てくる…
俺にはできない芸当だ…
彼はつらつらと出てくる言葉でカナルの前線を褒め称えて、ひとしきり労うと、お使いの本題に移った。
「本日は国王陛下より贈り物をお届けに上がりました」
「は?」
俺には縁のない相手が出てきて困惑した。
変な声を出した俺を、リューデル伯爵が睨んだ。
その様子を見ていたヴァインハイム男爵は小さく笑って、封をされた文箱から手紙を取り出した。
手紙は二つ…
どちらも縁はないが、嫌でも知ってる紋章だ…
《八角の獅子の盾》と《真珠の龍神の盾》…
ワーグナー公爵家と王家の紋章は間違えようがない。この国じゃ子供だって知っている…
国のトップが、この一般人に毛が生えた程度の俺に何の用だよ!
男爵は慣れた様子で蝋の封印を割って中の手紙を取り出して代読した。
半分くらい頭に入ってこなかったが、どうやら療養中のテレーゼ絡みらしい。
第三王子がテレーゼに何やらちょっかいを出したようで、国王と王妃はそれを詫びたいとの事だった。
そんなもん、悪さした子供が謝罪するもんだろう?と思ったが、問題はそこじゃない…
「陛下は《神紋の英雄》であるロンメル男爵の働きを高く評価しておいでです。
その妻であるテレーゼ殿への王子の非礼を聞き、御心を痛め、是非ロンメル男爵夫妻へ直接お言葉をお掛けしたいと仰せになりました。
それで、私が新年会へのご招待をお知らせに参った所存です」
「は?」俺はまた言葉を失った。
今度はリューデル伯爵も固まって絶句している。
そんな俺たちの様子は見て見ぬ振りをして、男爵はさらに言葉を続けた。
「元より、陛下はカナルを守る南部侯やその他の活躍があった臣下に勲章を準備するご予定でした。
選考者の中にロンメル男爵も含まれておりましたが、今回の一件で是非ということになりました。
新年会用の礼服も陛下よりお預かりしております」
そう言ってヴァインハイム男爵は、荷物から白い衣装箱を出した。彼は鮮やかな青いリボンを取って中身を俺に見せた。
嘘だろ…
出てきた礼服を見て卒倒しそうになる。
「揃いのドレスを奥様にもお届け致しました。王室専属の職人が手がけた品です。
是非これで新年会にお越しください」
冗談じゃねえよ!着れるかこんなの!
キラッキラじゃねえか!おっさんの着るもんじゃないだろう?!しかも真珠まで付いてる!
結婚式の衣装もなかなか手の込んだものだったが、その比じゃない!
「…こ、これは…ちょっと…」
「おや?お気に召しませんか?」とヴァインハイム男爵は笑顔で圧をかけてくる。
なんてこった!断ったら不敬とか言うんだろう?
っていうか、テレーゼにも揃いのを送ったのか?一体どんなのだよ!
「いや…その…勿体ないというか…自分には似合わないかと…」
「ご安心ください、ロンメル男爵。
貴殿はこの服に相応しい《英雄》ですよ。
この品は元々は陛下の夜会用にご用意した品ではありますが、使われる機会が無かったので長らく主を持たずにおりました。
この機会に《神紋の英雄》に是非と陛下がお譲りくださったのです。
いかがでしょう?お気に召しましたか?」
そんなの答えは決まってる…断れるわけない…
「ははは…す、素晴らしい品ですね…」ややヤケになりながらそう答えた俺に、男爵は満足そうに「羨ましい限りです」と笑顔を見せた。
「しかし、その…この場で頂戴するのは、汚したり破損したりするかも知れませんので、一旦お持ち帰り頂けませんか?」
「畏まりました。
私がお預かりして、責任持ってブルームバルトにお届けいたします」
「いえ!出来ればヴェルフェル侯爵閣下にお預けいただきたいです!こんなの立派な品の保管の仕方が分からないので!」
俺の屋敷では子供が多いから怖い!
それにそんなもんあったら気が気じゃない!
届いた時点でシュミットがぶっ倒れるだろう…
「なるほど、畏まりました。侯爵閣下にお預けしておきます」とヴァインハイム男爵は柔らかい態度を崩さずに、礼服をパウル様に届けてくれると約束してくれた。
とりあえず、受け取ってもらえれば、彼の仕事は完了するので、どちらに届けても一緒なのだろう。
「では、お手紙も届けましたし、荷物もご確認頂きました。
陛下もきっとお喜び頂ける事でしょう」
彼は自分の仕事を済ませると、「ごきげんよう」と待たせていた馬車に乗って帰って行った。
ご機嫌なわけあるか!
腹の中で悪態を吐きながら、同じく引き攣った顔のリューデル伯爵と並んでヴァインハイム男爵を見送った。
「…婿殿」
「はあ…何でしょうか?」
「今、我々はカナルに来て一番のピンチだな…」
その言葉に頷くしか無かった…
✩.*˚
「で?」床に転がりながら、隣に不貞腐れた顔で転がってるワルターに訊ねた。
『たまには』と言って、珍しくディルクは《素敵な恋人》と楽しみに行ってしまった。
イザークも着いて行ったし、暇だからワルターのテントで暇を持て余していた。
「見たことねぇ様な布で出来たキラッキラの服だぜ!
水色だぜ!水色!虹みたいな色を含んだ生地でさ、おっさんが着るような服じゃねぇよ!
刺繍だって手の込んだやつだし、女のドレスかって言うくらいヒラヒラしてんだよ!あんなの着れるか!」
「でも着ない訳にはいかないんだろ?
パウル様に怒られるよ?」
「それなんだよな…
俺は、出禁になるくらいどうってことねぇんだよ。でも、なんかあったら、連座でパウル様にまで迷惑がかかっちまう…
リューデル伯爵はそれが気がかりなんだろうよ。なんたって兄貴だからな…」
「まぁ、君のは笑えるとして、俺はテレーゼのドレスは見てみたいな」
話を聞いたところだと、ワルターの礼服に揃えたドレスだ。きっと綺麗だろうし、彼女に似合わないはずがない。
「あいつは何着ても綺麗だよ」と彼は惚気けていた。
「君が行かなかったらテレーゼは一人でパウル様と行くことになるよ。
そしたら周りが放って置かないだろうね」
「バカヤロウ!そんなの許すわけねぇだろ!」
「だったら君がテレーゼの隣で怖い顔してるしかないじゃないか?
なんなら俺も着いて行ってやろうか?」
「絡まれても助けてやんねぇからな…」
「そうしたら俺より俺に絡んだやつの方が危ないな」と笑った。またワルターの顔が苦く歪んだ。
「まぁ、パウル様の為だと思って諦めて行ってきなよ。ヒラヒラキラキラの礼服だって案外似合うかもよ」
「…お前な…楽しんでるだろ?」
「だって面白いじゃん」そう言って笑うと、ワルターは拗ねたように背中を向けた。
「ねぇ、新年会ってどんなの?ご馳走?いっぱい人来るの?」
「知らねぇよ。
あーぁ…リューデル伯爵に明日から本営付きにされるし…散々だ…」
「俺たちは?」
「お前らはそのままトゥルンバルトと前衛で遊んでろ。俺はケッテラーだけ連れて本営でお勉強だ…」
「お勉強?何するのさ?」訊ねたが無視された。
余程気に入らない事らしい。
ワルターは拗ねたような口振りで「さっさと寝ちまえ」と毛布を被って黙り込んだ。
全く、子供なんだから…
苦笑いを浮かべながら、彼の広い背を眺めた。
でかい子供だな…
そう思いながら、《彼》のことを思い出した。
首から下げた彼との兄弟の証を手に取った。
ミアとルドは元気かな…?
帰ったら、ルドをいっぱい甘やかして、ミアと愛し合うんだ。
俺の子供はいつできるかな?
もうミアのお腹に居るかな?
俺たちみたいに、仲のいい兄弟になるかな?
ルドはいい子だから、弟や妹を大事にするだろうな…
なんたって君の子だ。
勝手に幸せな妄想に浸りながら目を閉じた。
エルマーの夢を見た…
彼は時間の止まったままの姿で現れる。
『スー』と親しげに呼ぶ声と頭を撫でる手のひらは変わらない。
心地よい夢の中の彼に別れを告げて、また血腥い現実に戻るのだ…
『スー』と彼に呼ばれた。夢の中で彼の顔を見上げた。
『頑張れよ』と彼は笑って、俺の頭を撫でた。
『またな』と約束して、親愛なる亡者と夢の中で別れた。
✩.*˚
「困ったわ…」
「あぁ…参ったな…」
夫婦揃って仲良く頭を抱え込んだ。
ガブリエラの手にはトリシャ王妃からの手紙が握られていた。
宮中新年会の祝賀会にまさかあの二人を連れて行くことになるとは…
「アレクシスとクラウディア嬢のお披露目もありますのに…
ロンメル男爵夫妻の宮中作法の指導役まで…」と彼女は珍しく愚痴をこぼした。
だいたい、宮中作法などというものは付け焼き刃で何とかなるものでは無い。
子供の頃から学び、身体に染み込ませるように覚えさせるものだ。
貴族として、礼儀作法を身に付けているテレーゼは何とかなっても、問題はロンメル男爵だ。
前回の宮中での叙勲式も《喋るな》《顔を上げるな》等、最低限の指示で何とか乗り切ったようなものだ。
口を開けば、粗野な部分が目立ってしまうし、下手に動けばボロが出る。
内心穏やかではなかった…
カールも心配していたが、まさか現実になるとは思ってもいなかった…
「今から指導して間に合うものだろうか?」
「難しいかと…でも、できる限りの事はしなければなりませんね」とガブリエラも苦い顔で応じた。
「ロンメル男爵はテレーゼのエスコートは出来ますか?」
「無理だろうな…」
「ダンスは?」
「したことも無いだろうな…」
「…分かりました、私が指導致します」
「すまないが、よろしく頼む」とガブリエラに宮中作法の指導を託した。
全く、面倒なことになったものだ…
いっそ、アーサーを替え玉にしたいくらいだが、無理だな…
停戦後の方がよっぽど荒れそうだ…
✩.*˚
一角獣の紋章の手紙が届いた。
橋の警護に当たっていた者たちが預かって届けたと聞いた。
手紙の内容は《停戦》の申し出だ。最低限の挨拶と文言。一緒に預けた手紙をオークランド王に届けるようにとあった。
手紙には私の求めた内容は一言も記されてはいなかった…
私の手紙は届かなかったのだろうか…
肩を落として、手紙を封筒にしまおうとした。
封筒は作りが甘かったのか、押し込んだ便箋の圧に負けて形を崩してしまった。
国は違えど、侯爵ともあろう者がこのような安っぽい物を使うだろうか?
眉根を寄せて、壊れた封筒を睨むと、剥がれた糊面に手紙と同じ字で《水を一杯いただけないだろうか?》という文言を見つけた。
まさかと思い、その場にあった水差しに、形の崩れてしまった封筒を浸した。
水を含んだ紙の上に文字が浮かび上がる。
ヴェルフェル侯爵め…粋な計らいを…
封筒の作りが甘かったのはこういう事か…
《貴殿の子息は私が預かっている》との文言に視線が吸い寄せられた。
手紙には、ダニエルを《人質》として丁寧に扱っていると記されていて、わずかながら安堵した…
さらに読み進めた手紙の中には、《人質》の交換条件が提示されていた。
多額の身代金、カナルにかけた橋のフィーア側からの撤退、一年間の停戦を条件に、ダニエルを返すという…
私の一存では決められない内容だ。
それは相手も重々承知だろう…
「…ダニエル」
愛する息子の名が口から洩れた。
生きているのだな…
息子の生存を確認して、安堵からその場に蹲った。
手紙にはアーサーの事は何も無かった。話す必要はないとばかりに、手紙は彼については触れていなかった。
それでも、心配だったダニエルの無事が知れただけでもよかった…
身体の弱いあの子が、酷い扱いを受けてないか心配だったが、ヴェルフェル侯爵はあの子に世話係までつけて大切に扱っているらしい。
彼は手紙の中で、自分を《ヴェルフェルの父》と名乗り、私に《フェルトンの父》と呼びかけた。
同じ父親の立場で手紙を寄越したのだろう…
彼には大きな借りができてしまった。
私の腹は決まっていた。
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