燕の軌跡

猫絵師

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花嫁と花婿

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煙草…

自分を落ち着かせようと吸い始めて、これで何本目だろう?

「明日の式までに煙草で燻されて死ぬぞ」とソーリューが呆れたように呟いた。

「旦那様、もうその辺で…」とシュミットからも注意された。

「じゃあ酒…」

「新郎が二日酔いなんてやめてくださいよ、みっともない…」

はっきり言われて頭を抱える。

仕方ねぇだろ?初めてなんだから?!

「侯爵家の親族や関係者にロンメルとしてお披露目されるのですよ。

七大貴族の代理人も訪れます。《神紋の英雄》と噂されている《騎士ロンメル》が無様な姿は許されませんよ」

「それだよ…《騎士》にしては大袈裟すぎやしないか?」

「《ロンメル》の次は宮廷でご挨拶ですよ。

《英雄》の号と《男爵》の爵位が付与されます」

「うぅ…いらん…」

「要るとか要らないとかそういうことじゃないのですよ」とシュミットはやれやれと肩を竦めていたが、「明日のテレーゼ様のお姿が楽しみです」と彼は笑顔を見せた。

あの小さな花嫁は花があるが、花婿を見たらガッカリして笑いが漏れるだろうよ…花のないおっさんだ…

美女と野獣とまではいかなくても、花嫁を連れてく役の《お父さん》の方がしっくりくるだろう…

何だこれ、趣味の悪い見世物だ…

「何をしてるんだ?」とやってきたのは親父の伴で来てたフリッツだ。

「まだへそ曲げてるのか?いい加減観念しろよ?」

「へいへい、そうですよ…ちょうどいい相手と結婚したお前には分からん悩みだよ」

「なんだそりゃ?俺は俺で大変だったんだからな!」

「相手は14、俺は40だぞ!」

「なんだ?お姫さん誕生日迎えたのか?おめでとう」

「なんかよく分からんが、ありがとよ!」

拗ねて煙草を吸おうとした俺の手から、シュミットは容赦なく煙草入れを奪った。

「お、おい!」

「式が終わるまでお預かりします」と言って彼はハンカチに包んだ煙草入れを胸のポケットにしまった。

「…すまんな、シュミット、世話をかける…」とフリッツも呆れ顔で呟くと、シュミットもまた肩を竦め、口元に苦笑いを浮かべた。

「本当に…思春期の少年のような繊細な主人ですよ…」

「ああ!もう!」

「泣いても笑っても明日が結婚式ですよ。

逃げ出そうとしても無駄ですからね。私が命にかえてもアインホーン城にお送り致します。

皆様にはご助力願います」

「なぁに、行きたくないとか馬鹿なこと言い出したら大御所の雷が落ちるだけの話さ」とフリッツは他人事として俺の悩みを笑い飛ばした。

それはそれで情けない…

「明日は早いですよ。

朝から準備で大忙しです。もう休まれては?」とシュミットが就寝を勧めた。

こんなんで寝れるかよ!

北風が窓のガラスを叩いた。今夜は冷えそうだ…

✩.*˚

参列者の馬車が続々とアインホーン城に到着した。

朝が早かったので眠たい…

「今日はよく冷えますね、暖炉の火を強くしましょうか?」とアンネが言ってくれたけど、もっと眠くなってしまいそうで断った。

花嫁のドレスはとても綺麗だった。

雪のような白い光沢のあるドレスには、金銀の糸で白鳥の刺繍が施され、細かいダイヤモンドのような硝子玉が光を含んでキラキラと朝露のように輝いていた。

お母様の使っていた、金の花があしらわれた髪飾りを選んで髪を結った。

大粒のダイヤモンドの首飾りはお父様からのお祝いで、金とラピスラズリの耳飾りは義父のビッテンフェルト様が贈って下さった品だ。

どれをとっても素晴らしい品なのに、肝心な花嫁はこんな子供だ…

化粧をして、高めのヒールで背伸びしても、それだけはどうにもならない…

素敵なドレスには、大人の女性にあるはずの膨らみは無い…

控えめな膨らみはお情け程度だ…

こんな姿では花婿はガッカリするだろう…

彼は今お父様と、一足先に式場で参列者を迎えて挨拶をしている最中だ。

私は呼ばれるまでここで時間を潰している。

暇を持て余して、花嫁のヴェールを手に取った。

銀のティアラと一体になったヴェールは、銀のレース飾りで縁取られている。

ヴェールは処女の花嫁が着ける物だ。

一度しか身につけないのに、贅沢な品だと思う。

これも一級の職人が作った品だ。

全ての品に相応しい《英雄の花嫁》としての振る舞いが求められる。

重たいな…

どれもが子供の私には重すぎた…

✩.*˚

挨拶…挨拶…移動して挨拶…

もう無理なんて泣き言を言えるはずもなく、パウル様に連れ回されて参列者に挨拶回りを続けた。

顔と名前を覚えるのに頭パンクするわ!

花婿の衣装は堅苦しく窮屈だ。式の前に逃げ出したい気分だ…

「休憩しよう」と開放され、どっと疲れが押し寄せた。

俺用に用意された控えの部屋には世話係の侍女とシュミットの姿があった。

「お疲れ様です」

「全くだ」とボヤきながら椅子に座った。

身嗜みを整えるための侍女たちが駆けつける。

花婿の衣装に埃や糸くずがないか丁寧に確認して、彼女らは下がって行った。

「大袈裟な…」粗探しでもするような徹底ぶりに辟易して呟いた。

「不備があれば叱られるのは彼女らですからね。必死になるのも当然ですよ」

「こちとら最近まで小汚いおっさんだったんだぞ!」

「まぁ、随分変わりましたよね。もちろんいい意味ですよ」

俺をからかいながらも、シュミットは従者として完璧に仕事をこなしていた。彼を残してくれたヘルゲン子爵に心の底から感謝した。

酒も煙草も無いので、大人しくお茶を飲んでいると来客があった。

「アレクシス様…」

深い緑と金のジャケットでめかしこんた少年は、挨拶もそこそこに部屋を見回して「…スーは?」と訊ねた。

「申し訳ありません。人が集まるところにはまだ…」と言葉を濁した。

少しずつ精神的に安定してきたものの、まだ不安があった。無理をすればまた振り出しに戻ってしまう。

スーは行きたいと言ってたが、俺はあいつに構ってやれる余裕もないし、フリッツは親父の伴がある。

ソーリューに任せ、レプシウス師の屋敷に置いて来ていた。

「…そうか…来ると思ったんだが…」とアレクシス様は残念そうに肩を落とした。

気の強い貴公子の目は悲しげに潤んでいた。

「結婚おめでとう」と遅ればせながら祝福を口にして、彼は踵を返した。

「あと半年も様子を見れば大丈夫かと思います。今しばらくお待ちください」と公子の背に言葉をかけたが、彼は寂しげに笑って「待てない」と答えた。

「私は、ラーチシュタットへの赴任が決まっている。コンラート叔父様から城代としての手解きを受けることになっている」と少年は悲しく呟いた。

「いつからですか?」

「三週間後…しばらく戻らない」と彼は答えた。

「スーに…元気でと…私は、また、スーに会いたいと思っていると伝えてくれ」アレクシス様はそれだけ言って、そのまま部屋を後にした。

『アレクがくれたんだ!』と嬉しそうに緋色の上着を見せたスーの顔を思い出した。

『派手すぎだろ?』と言った俺に、スーは子供みたいにはしゃぎながら笑った。

『アレクは深緑の格好良い上着で、僕はこの赤いのを着て君の結婚式に行くよ。

僕らの方が目立つかもね』

そんな事言ってたな…

だからあの服を着て、俺の所にスーを探しに来たのか…

悲しい伝言を伝えなければならない。

憂鬱が一つ増えて、ため息を吐き出した。

✩.*˚

アインホーン城の元玉座の間に用意された祭壇の前で、花嫁を待つように指示された。

祭壇の周りには両家の親族代表が並び、少し離れて参列者が並ぶ。侯爵家の列にはアレクシス様の姿もあった。

しかしなぁ…花婿の参列者のガラの悪いこと…

胃が痛くなる…

傍らに立つヴォルガの神官は、レプシウス師と同じくらいの年齢の寡黙な老人だ。

手持ち無沙汰で、巨大な照明の下がる天井を見上げた。

はぁ…マジで俺何やってんの?

どっか他人事のように感じながらため息を吐いた。

さっさと終わらせて、煙草が吸いたい…

花嫁の到着を知らせるベルの音が広間に木霊した。

父親に伴われて現れたのは、ヴェールを被った小さな花嫁だ。

引きずる程長いドレスを介添の少女らが支えている。

花嫁の登場に、会場が静かに沸き立った。

手の込んだドレスに身を包んだテレーゼ嬢の姿に、参列者から息を飲む空気が伝わる。

ベールの向こうに霞む彼女の幼い顔が、神秘的にすら映った。

俺の乏しい語彙力じゃ、美人としか言いようがないが、詩人に語らせれば物語が一つ出来上がるだろう。そのくらい完璧で美しい花嫁姿だった。

本当に俺なんかで良いのかよ…

あんたも物好きだな…

そんな事を思って複雑な気分で花嫁を迎えた。

テレーゼ嬢の手が父親から離れ、正面に立って向かい合う形になった。ヴェール越しに目が合った少女は少し微笑んだようだった。

神官の長い祝詞が始まった。

ダメだ…眠くなるやつだ…

お決まりの文句が抑揚のない語り口で紡がれる。

長ぇよ…

もう、「結婚しますか?」、「はい」でいいじゃねぇか!それで終わりで良いだろう?!

目の前の少女が我慢して大人しく聞いている手前、大人の俺が子供みたいに振る舞う訳にはいかない。

やっとつまらない話が終わる頃には、三回も欠伸を噛み殺していた。

神官が花嫁のヴェールを持ち上げるように促した。

彼女に歩み寄って手を伸ばすと、テレーゼ嬢も黙って少し顎を引いた。ヴェールはなんの問題もなくその役目を終えた。

伏し目がちだった花嫁の視線が上を向いた。

直接見る彼女の顔は14の女の子のものではなかった。

化粧で整えた花嫁の姿に、さっきまでの眠気は逃げ出してしまったらしい。

煌めく大きなガーネットの瞳が俺を見上げていた。

控えめな色の口紅を塗った唇は、はにかむような愛らしい微笑を宿していた。

手にした花嫁のブーケを飾る、鮮やかな花々が色を失った。

綺麗だ…

ガラにもなく少女に見蕩れた…

新雪のような真っ白なドレスは、光沢のある白鳥の羽のようだ。

首元を飾る大粒のダイヤが光を含んで色を変え、彼女を美しく彩った。

かなわねぇや…

俺はあんたのオマケだな、と認めて笑った。

「見つめあって誓いの言葉を」と神官が宣誓を促した。

「汝を妻とし、今日よりいかなる時も共にあることを誓います」シュミットから習った通りに花婿の宣誓を彼女に捧げた。

「幸せな時も、困難な時も、富める時も、貧しき時も、病める時も、健やかなる時も、死がふたりを分かつまで愛し、慈しみ、貞節を守ることを神前にて堅く誓います」

何とか間違わずに宣誓を終えると、彼女は笑顔で「新郎に従います」と応えた。

「誓いの証となる指輪の交換を」

差し出された赤いベルベットのクッションには、大きさの対象的な指輪が並んでいる。小さな指輪を手にし、手袋を外した少女の手を取った。

指輪は少し緩いくらいだったが、彼女の指に収まった。

今度は小さな手のひらが俺の手を取った。

指輪を通して、テレーゼ嬢は俺の顔を見上げて笑顔を見せた。花が開くような華やかな素敵な笑顔だ。

あの日、涙を浮かべて俯き、俺を拒んだ少女の姿はもう無かった。

普段なら、誓いの接吻くちづけなんて恥ずかしいから拒否しそうなもんだが、自分から彼女に近付いた。

テレーゼ嬢は上を向いて接吻を待っている。

餌を待つ雛のように期待する視線が可愛くて、彼女の頬に手を添えた。

花弁のような薄紅色の小さな唇に自分の唇を重ねた。

彼女からは優しい幸せな花の香りがした。

「ロンメルの家に幸あれ」と神官が祝福を述べた。

参列者の唱和と拍手が会場に溢れ、俺は腕の中に小さな花嫁を迎えた。

✩.*˚

「ワルター…ちゃんとできたかな?」

微妙な距離を保ったまま、スーが口を開いた。

「さあな」と応えて柔い布で刀の手入れを続けた。

俺はこの国の人間ではない。得体の知れない外国人だ。結婚式の参列は辞退した。

スーに付き添って、あの治癒魔導師の屋敷で時間を潰していた。

スーが無事帰った事は良かったと思う。

金もほとんど無事に戻ってきた。

それでも失ったものは大きすぎた…

エルマーを失ったのは、ワルターにとってかなりの痛手だ。それに、スーも酷く精神を病んでしまった。元のようになるにはかなりの時間を要するだろう。

国に帰るのは諦めかけていたが、ワルターは『気にするな』と俺に帰国を勧めた。

《烈火》が仲間になることを期待したが、彼は平凡な生活を望んだ。もう戦いたくないのだと言う。

世話になっている鍛冶屋の娘と結婚して、幸せそうに暮らしている《烈火》を、ワルターは『そっとしておいてやれ』と言って祝福していた。

エルマーの弟分だった奴らがドライファッハから移ってきたが、あいつの足元にも及ばない。

安心して彼の元を離れるには心許無かった…

そこまで薄情にはなれない…

「ミアは元気?」とスーが俺に訊ねた。

「腹は出てきた。春頃に産まれるはずだ」と答えた。

「お前と出会った頃かもな」と余計なことを言った。

そうか…もうそんなになるか…

あの頃はこんな事になるとは想像もしなかった。

スーを戦士として育てて、ワルターらに残してやるつもりだった。それが出てゆく者のケジメと思っていた。

オーラフが戦死して、フリッツとヨナタンがドライファッハに残り、エルマーはスーを守って死んだ…

ワルターを支える者が一人また一人と消えてゆく。

最後に残された俺が彼の元を去るのは無責任に思えた…

シュミットは役目を終えれば、またヘルゲン子爵家に戻ってしまうかもしれない。

いつまでも彼に甘えている訳にもいかなかった。

スーが持ち直すまで、それまで俺自身が持つだろうか?

俺もいい歳だ。先の戦で衰えは自覚していた。

「スー」

俺に呼ばれてスーは少しだけ視線を俺に向けた。

キラキラしてた少年の瞳は、どこか焦点の合わないような虚ろげな目に変わっていた。

「お前はまだ戦えるか?」

「…分からない」とスーは正直に答えた。

「…そうか」と応じてまた視線を外した。

『分からない』か…

質問を変えた。

「《覚悟》を決めたあの夜を、お前はまだ忘れてないか?」

スーの目が揺らいだ。彼は唇を引き結んで悔しそうに視線を落とした。

「…覚えてるよ」と小さく呟いた。

「そうか」と呟いてスーから視線を外した。

刀身に映った自分と目が合った。

「もう一度、《覚悟》を決めて欲しい。

俺は…それまで待つ」

国に帰るのは当分先になりそうだ…

今暫く、お前の世話になるだろう、と長く戦った相棒に心の中で語りかけた。

返事の無い、鈍く光る刀を鞘にしまった。

少し早い黄昏の太陽が、西の窓に映った。

✩.*˚

「ずるいわ、テレーゼ」

結婚式の晩餐会で、彼女より年上の異母姉がそんな事を口にした。

「本当は私が《氷鬼》様と結婚する予定でしたのよ」と言うところを見ると、彼女が四年前に候補に上がった娘なのだろう。7歳上の姉はコルネリアという名前らしい。

雅やかで穏やかな口調だが、その言葉には棘があった。

宴席で煌びやかな衣装に身を包んだ年上の異母姉たちに威圧され、花嫁は萎縮してしまっていた。なかなか解放して貰えず、俺もそろそろうんざりしていた。

晴れの舞台の花嫁に突っかかるのはどうかしていると思うが、他の異母姉や婦人たちも止める様子は無かった。

「ワルター様、私たちのお相手もしてくださいませ。武勇伝をお聞かせ頂ければ幸いです」

「テレーゼも疲れているでしょう?少しお休みなさい」と気遣いを見せているが、萎縮してる異母妹の肩に手を掛けて留めようとしていた。

「私たちで婿殿のお相手を致しますから」

「でも…」

「大丈夫よ、妹の花婿を奪うなんて恥ずかしい真似は致しませんわ」

「心配症ね」

「仕方ありませんわ。こんな素敵な殿方、放っておくほうがおかしいですもの」と彼女らはクスクスと笑っていた。

「動き回るとせっかくの花嫁衣裳が汚れますわよ」と異母姉は幼い異母妹を牽制した。

全く嫌になる…

俯いてしまった彼女の前に、膝を折って顔を覗き込んだ。

「テレーゼ様、お疲れですか?」

「…はい」異母姉たちに遠慮したのだろう。彼女は寂しそうな顔で頷いた。

「休みますか?」と訊ねると彼女は悲しそうな顔をした。

花嫁がそんな顔するなよ…

「失礼」と彼女を抱き上げた。

腕の中に収まったテレーゼ嬢は小さく驚いた声を上げて目を見開いた。

「ご指摘頂きありがとうございます。無作法者ですので気が付きませんでした。

異母姉様方のおっしゃる通り、花嫁は疲れているようなので失礼します」

呆気に取られて口を噤んだ女性陣を置き去りにして、テレーゼ嬢を抱いたまま足早にその場を後にした。

傍に控えていたシュミットに「少し休む」と声をかけると、彼は苦笑いしながら「こちらへ」と控え室に俺たちを誘導した。

「随分大胆なことをなさいますね」とシュミットは呆れている。

「あぁでもしないと逃げ切れないからさ。

口実にしてすまなかったな」

腕の中に収まったままのテレーゼ嬢に謝った。

小さくて軽い少女はドレスのせいで少し重く感じた。

まるで騎士の鎧だ。女ってのは大変だ。

「ドレスってのは意外と重いもんだな、疲れたろ?」

「…重くありませんか?」

「何言ってんだ?こんな重装備でよく頑張ったよ」と彼女の健闘を称えた。

テレーゼ嬢は、俺の言い回しがおかしかったのか少しだけ笑顔を見せた。

「旦那様、お早めにお戻りください。

あと、そろそろ奥様を下ろしてあげてください」

シュミットの指摘に二人で顔を見合わせて笑った。

奥様って呼び方、なんか照れくさいな。

ゆっくり屈んで、小さな花嫁を下ろした。

「侍女を呼びますので、テレーゼ様はお化粧を治してドレスを整えてください。

旦那様は先にお戻りを」

「少し休ませてくれよ」今度は俺がテレーゼ嬢から引き剥がされそうになって文句を言った。

少しくらい二人で過ごしても良いだろう?

この花嫁姿をしばらく眺めていたかった。

「主役が二人とも不在とあれば、侯爵閣下が恥をかきますよ」とまで言われれば閉口するしかなかった。

「テレーゼ様のご準備が終わったらお連れ致します」

「分かった」と答えてテレーゼ嬢を置いて部屋を後にした。

またあそこに戻るのは気が重いが、戻らなければ迎えが来るだけの事だ。

気が滅入る…

今日だけの我慢だ、と自分に言い聞かせ、宴席の催されている広間に戻った。

「花嫁はどうした?」と俺を見つけたフリッツが訊ねた。彼の見慣れない正装姿に笑いが漏れる。

「なんか別人みたいだな」

「窮屈だ。ハルバードが無いと落ち着かんな」と彼は頭を掻きながら呟いた。

四六時中持って回っているハルバードは屋敷に置いて来ていた。それもまた珍しかった。

「よぉ、ワルター、おめでとさん」と別の大男がやって来て祝辞を述べた。

ヘンリックの傍らにはゲルトの姿もあった。今朝到着してろくに会話も出来てなかった。

「なかなか男前に仕上がってるじゃないか?

見栄えのする結婚式だったぜ」

「俺は花嫁のオマケだ」と苦笑いすると、ヘンリックは明るく笑い飛ばした。

「馬鹿言え。お前も十分目立ってるぞ。

お姫様に釣り合うくらいにな」

「そうかね?」まぁ、花婿の衣装も気合いの入った意匠だ。服だけなら釣り合いは取れる。

「おめでとう、ワルター」とゲルトは祝いを述べて手を差し出した。

「ありがとう、ゲルト」とその手を取って、彼とハグした。俺のもう一人の父親だ。

彼のおかげで今の俺がいる。彼には感謝してもしきれない程の恩がある。

「あのヒョロヒョロのガキがこんなに立派になるなんてな…感無量だ」と彼は鼻をすすった。片方しかない目には涙が滲んでいた。

「幸せにな」

「ありがとう」

「ガキが産まれたら抱かせろよ?」

「叔父貴、あんたそればっかりだな」と言ってヘンリックが笑った。

「残りの人生の楽しみだ」と彼は大真面目に言っていた。その目標が彼の生きる糧になるのであれば幾らでも約束する。

「親父は?」

「侯爵閣下と話し中だ」とフリッツが答えた。

どうやら話し込んでいるようだ。声をかけるのは後にしよう。

フリッツたちと談笑しているところに、花嫁を連れたシュミットが戻って来た。

テレーゼ嬢を間近で見た一同が、彼女の美しさに言葉を失った。

「旦那様のご友人と恩師です」とシュミットが彼らを紹介すると、彼女は完璧なお辞儀をして「テレーゼです」と短く挨拶した。

「…彼女の母親は女神かなんかか?」

ヘンリックがマジな顔でそう訊ねたので苦笑いで返した。

こんな美人を目の前にしたらそう言いたくなるのも無理はない。

テレーゼ嬢に彼らを紹介すると、彼女は強面の傭兵相手に優雅な立ち振る舞いで応対した。

屈強な男たちが彼女の美しさに白旗を上げた。

「なんだよ、お似合いじゃねぇか」とフリッツが俺たちを見て笑った。

「まるで御伽噺だな」

「そのうち勝手に噂で独り歩き始めるさ。尾ひれがついてな」ヘンリックも俺を茶化したので、「好きに言えよ」と笑ってやった。

こんな可愛い別嬪さん貰えんだ。嫌味だろうが何だろうが受け入れてやるよ。

テレーゼ嬢に腕を差し出すと、彼女は当たり前のようにその腕に手をかけた。

見上げるガーネットの瞳が眩しく笑った。

「また後でな」とヘンリックとゲルトは握手して去って行った。

フリッツも親父の方に歩いて行った。

彼らが居なくなったので、他の参列者が挨拶に並んだ。

彼女目当てだろうが、悪い気はしない。

存分に見とけ、どうせあんたらは見納めだ。

変な優越感に浸りながら、彼女に贈られる賛美を喜んで受けた。

しばらくして、また異母姉たちが現れた。テレーゼ嬢の表情が硬くなる。腕にかかった指先が緊張した。

花嫁を置いて行ったりしねぇさ…

彼女の指先にそっと手を添えて、落ち着かせるように笑って見せた。彼女の不安げな瞳が見上げている。

「テレーゼ、もう戻ってらしたの?」と白々しく異母姉たちは先ず彼女に声を掛けた。

「はい、異母姉様」テレーゼ嬢は自分を奮って顔を上げて答えた。頑張れよ。あんたは本当は強いんだ。

「妻ですので」と口にした彼女の指先は緊張していた。

顔を上げて答えた彼女に異母姉たちは驚いていた。

「失礼しますよ、テレーゼ」と別の方から落ち着いた女性の声がした。

異母姉たちが慌てた様子で「お母様」とか「奥方様」と声を上げてお辞儀をしながら一歩下がった。

ヴェルフェル侯爵夫人のガブリエラ様だ。

「ご結婚おめでとう」とゆったりとした口調で夫人は祝辞を述べた。

侯爵夫人は視線をテレーゼ嬢に向けると、「お母様にそっくりね」と微笑んだ。

夫人は、「彼女のお母様は、私の元で行儀見習いをしてた侍女でしたのよ」と俺に教えた。

なるほど…そこからお手付きになったのか…

「いつも俯いてばかりだったのに、立派になりましたね、テレーゼ」

「奥方様…」伏し目がちになる少女に視線を合わせ、夫人は娘に語りかけるような優しい声で話を始めた。

「ヴェルフェル侯爵夫人として、貴方たちの母として、大切なお話をします。

テレーゼ、これから貴女は女主人としてロンメル家を守らねばなりません。簡単なことではありませんよ。

妻として、慎ましやかに夫に尽くし、支え、時には諌めねばなりません。

女主人としての威厳と気遣いをお忘れなきように。

貴方はロンメルの娘ですが、同時にヴェルフェル侯爵の娘である事も肝に銘じておきなさい」

侯爵夫人は威厳のある愛情のこもった演説をして、今度は俺に視線を向けた。

「新しいロンメルの当主として、貴方にもお伝えすべき事がございます。

妻とは、常に夫を支える者でありますが、良い夫は妻をないがしろにしてはなりません。

妾を持つなとは申しませんが、その分細やかに妻を愛してください。決して妻を嫉妬させぬように…

妻を敬い、よく耳を傾けますように。

お互いに家の恥とならぬよう、助け合いながらロンメルの家名を守りなさい。

ヴェルフェル侯爵夫人として、私の言葉は以上です」

「ありがとう存じます」と夫人に礼を述べて、二人で頭を下げた。

夫人は立派に侯爵家の女主人としての役割を果たしていた。どこかの誰かとは大違いだ…

彼女は慈愛に満ちた母親の顔で頷いて、「さて、私の可愛い娘たち」と異母姉たちに向き直った。異母姉たちは分かりやすく慌てて姿勢を正した。

それを見て夫人は悪戯っぽく笑って口を開いた。

「退屈してたでしょうが、花婿と花嫁にちょっかいを出すのはそのくらいになさい。

私はヴェルフェル侯爵夫人として全てを見ていてよ」

「も、申し訳ありません、お母様…」

「後ほど私も挨拶に伺います。夫の恥にならぬよう、侯爵家の娘として夫の傍らに戻りなさい」と夫人は柔らかな口調で異母姉たちを解散させた。

流石としか言いようがない。

鷹に追われた小鳥のように、異母姉たちは散った。

娘たちを見送って、夫人は柔らかく微笑むと「ごきげんよう」と挨拶して夫の元に帰って行った。

テレーゼ嬢の眼差しが憧れるように夫人に注がれている。

二人で新しい母親の背を見送った。

結婚式の宴はその後も滞りなく進み、夜が耽ける頃にようやく解散した。

✩.*˚

重たい花嫁衣裳を脱ぎ、湯浴みをしてひと息ついた。

でもまだ今日は終わっていない…

緊張する私に、侍女として着いてきたアンネが心配そうに「奥様」と声を掛けた。

妻としての初めての役目が残っている…

「大丈夫ですか?」

「えぇ」と答えたものの、不安でしかない…

相手は大人だ。上手にお相手できるかしら…

左手の薬指に光る指輪を眺めた。指輪は少し大きかった。不安な心を拭うように、収まりの悪い指輪を摘んで正しい位置に戻した。

絹のネグリジェは肌触りが良く軽い。

髪を乾かして、クルーガー様の待つ寝室に向かった。

そうか…もう、クルーガー様では無いのだ…

なんとお呼びしたら良いのだろう?お名前で呼ぶのが少し恥ずかしかった…

「…お待たせ致しました」

部屋に入ってご挨拶をすると、旦那様は居心地悪そうに「あぁ」と応えた。彼もまた照れくさそうだった。

寝巻きの下から覗く、逞しい男の人の身体には《神紋》が刻まれていた。

「疲れたろ?」と彼は気遣いを見せた。

「寝るか?」と言って彼は私をベッドに誘った。

ここにある寝台は一つだけだ…することも一つだ…

私がベッドに入るのを確認して、彼は灯りを落とした。

小さくした灯りを頼りに、彼も同じ床に入った。

伽が始まると思って緊張で体を強ばらせていると、彼は意外な言葉を口にした。

「おやすみ」

「え?」と問い返すと彼は私の頭を撫でて笑った。

「疲れたろ?もう寝よう」そう言って彼は寝転がると私に背を向けた。

「…そんな…困ります」

初夜が果たされないなんて、花嫁としてこんな不名誉なことは無い。

泣きそうになる私に彼は慌てて弁明した。

「いや、だって…その…無理だろ?」

「無理じゃありません」と答えると、彼はまた困った顔をした。

「花嫁の嗜みとして習いました。

初めてを捧げる覚悟はできております」

「…習うって…何するか分かってるんだろ?」と言われ頷いた。

家庭教師から心得は教えられていたし、絵で何をするのかも教わった。恥ずかしかったが、それでも妻としての役割と覚悟を決めていた。

「テレーゼを妻にしてくださいませ」

子供に似合わないネグリジェのリボンに手をかけた。

滑りの良い絹が布擦れの音を立てて解ける。 

身体を包んでいた布が肩を滑り落ちた。

ネグリジェは私の小さな胸を無視して、お腹の辺りまで一気に滑り落ちて肌を晒した。

「あっ…」恥ずかしくて顔が熱くなる。

目の前の男性は驚いて唖然としている。手持ち無沙汰な手が空中で止まっていた。

凍ってしまったような彼を見て、失敗したのだと気付く。でももう遅い。いたたまれずに俯いた。

今更服をたくし上げることも出来ず、二人とも動けなくなってしまった。先生はこんな時どうするかなんて教えてくれなかった…

「…申しわけ…ありません…」と涙声をで言葉を絞り出した。

その言葉に我に返った旦那様は、慌てて肩から滑り落ちたネグリジェを引き上げて私の肌を隠した。

「いや…なんか、すまん」と謝りながら服を留めるリボンを結んだ。リボンは歪な形で硬く結ばれた。

「あの…テレーゼ様…

あんたもっと自分を大切にしな」と彼は大人らしく私を諭して、離れようとした。

彼の寝巻きを掴んで引き留めた。彼は驚いてまた固まった。

「私が子供だからですか?」私の問いに彼は目を見開いて沈黙した。

自分の、女と呼ぶには頼りない、小さな胸に手を当てた。自分で触れても悲しくなるほど小さな胸…

「もっとお胸があれば…女性らしい身体であれば、抱いてくださったのでしょうか?」

「いや、それは…」

「ちゃんとできます!テレーゼは子供じゃありません!」

恥ずかしさと悔しさで泣き出した私を、彼は困ったように眺めているだけで触れてもくれない。

彼の手は迷うように動いては、私に届かずに止まった。

そのうち彼は慰めることも諦めて、寝台から離れて行った。

呆れられてしまったのだろう…

私が子供だから…

少女が背伸びして、女になった気になって、焦った結果がこれだ。

まだ私はあの人にとっては子供なんだ…

また涙が溢れた。こんなのじゃ、妻だなんて名乗れない…

✩.*˚

ビビった…マジで情けねぇな…

逃げんのは嫌いで、どんな時でも背中なんて見せなかったのによ…

俺が逃げ出した相手はまだ14の可憐な少女だ。

いや、あれはいかんだろう?!危うく手を出すところだったぞ!

未完成な少女の身体に、男として反応してしまった自分が情けない…

落ち着こうにも、彼女の姿が瞼の裏に焼き付いて離れない。男としての本能は収まりそうに無かった。

いたたまれずにベッドから逃げ出したが、彼女のプライドを酷く傷つけてしまった…

あーもー…何で俺ってこんなに不器用なんだよ…

あんな小さな華奢な身体の少女に、絶対無理だろ、こんなの…

最低だ…

泣いている少女にかける言葉を探したが、ちょうどいい気の利いた言葉なんてあろうはずもない。

抱いたら解決するかもしれないが、子供の抜けきらない、頼りない小さな身体では、まだ男を受け入れるには無理がある。

彼女に辛い思いはさせたくなかった。

ごめんな…こんな気の利かないおっさんで…

あんたの事、泣かせてばかりだ…

泣いてる女を見るのは辛い。でも泣かせたのは俺だ…

「テレーゼ様」と呼ぶと、彼女は涙に濡れた顔を上げた。泣いてても彼女の美しさは衰えず、むしろ、涙に濡れた目が艶っぽく潤んでいた。

抱かないと決めたはずなのに、決心が揺らぎそうになる。理性、お前もうちょっと頑張れよ!

今、彼女に触れたら最後までしてしまいそうだ…

「まだ、テレーゼ様の身体じゃ男を受け入れるのは無理だ」とできるだけ優しく伝えた。彼女はそれを聞いて不服そうに反論した。

「でも…無理じゃないと、先生は仰ってました」

その先生連れて来い!とりあえず拳骨で殴りたい!

「無理じゃないってことは、あんたが少なからず無理しなきゃならんってことだ」

そう言って彼女を一人残した寝台に戻った。

「手、貸しな」と彼女の柔い小さな手を取った。

不器用な俺ができるのはこの程度だ…

さっきから疼いている男のあれを触らせた。本番を期待するように大きくなった局部に触れ、彼女は小さな引きつった悲鳴をあげた。

あからさまに引かれるとちょっと傷付くな…

彼女は色を失って、慌てて手を引こうとした。その手を掴んだまま「無理って意味が分かったか?」と訊ねた。

「いやっ!離して…」

「待てよ、話は終わっちゃいないだろう?返事がまだだ」

彼女を怖がらせたい訳じゃない。むしろ傷付けたくないから、現実を教えてやる必要があった。

「これをどうするのか、先生から聞いてるんだろ?」

その言葉に彼女の身体が震えた。

分かっているからの反応だ。

「俺はあんたを大切にするつもりだ」と告げると、彼女の抵抗が緩んだ。

見開かれた大きな瞳と目が合う。握った手を緩めると彼女は小さな手を引っ込めた。

「ごめんな、嫌なもの触らせた」と彼女に謝って頭を撫でた。酷いことをした自覚はある。でも必要だと思ったからしたのだ…

ゆっくり包むように彼女を抱き寄せた。

少しだけ強ばった身体は、意外と抵抗なく腕の中に収まった。

「今夜、あんたを抱かなかったら結婚が無効になるって言うんなら、多少無理しても抱く。

でも、そうじゃないなら、もう少し先延ばしにしても良いだろう?」

「でも…それでは、妻失格ではありませんか…」テレーゼ嬢は言葉を詰まらせながら不安を口にした。妻としての役目を果たせないと自分を責めているのだろうか?

健気だな…やっぱり抱きたくなる。

「二年、時間をやるよ」と強がった。

「二年もあればいい女になるだろう?

16になったらその日の夜に抱かせてくれ」

そう言って、彼女の未来に予約を入れた。

テレーゼ嬢はまた瞳を潤ませた。ガーネットの瞳から零れた涙を指先で拭って、彼女と抱き合った。

彼女は、「新郎に従います」と結婚式で使った台詞を引用して答えた。

「その文句便利だな」

「しばらく使えそうですね」と彼女は腕の中でクスクスと笑った。

「俺に《お任せ》すると後でガッカリするぜ」と苦笑いした。腕の中に笑顔が咲いた。

「旦那様、一つお約束ください」

「何だよ?俺はできることしか約束しないからな」

「私を《テレーゼ様》と呼ぶのはお辞めくださいませ。妻なのですから《テレーゼ》と呼んでくださいませ」

「じゃあ、《旦那様》もやめてくれよ」と注文をつけると、彼女は可愛く「《ワルター様》」と呼んだ。

マジか…

少し収まっていたってのに…

こりゃ二年持つかな?

自分の意思の弱さに自嘲する、苦い笑いが漏れた。
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