燕の軌跡

猫絵師

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ワルターらの加勢には間に合わなかったが、逃げる襲撃者の背を単眼鏡越しに追った。

遠眼鏡というものは便利だ。

見失わないように、一定の距離を保って後を着ける。

上手くすれば、本営の位置が割れるだろう。逃す手はない。

夜陰に紛れて忍び寄る俺の姿を、見咎めるやつは居なかった。

途中、一行が足を止めて、何やら話していたが、男が一人その場に残った。

彼は馬から降りると、小便をした。

どうやら俺に気が付いての事では無さそうだ…

そのまま仲間を追うと思ったが、彼は馬首を巡らすと、仲間と反対方向に馬を返した。

俺たちの陣に向かって戻って行く。

意味がわからない…ただ、目が離せなかったので、男の様子を伺った。

見える範囲、全身に傷跡がある。

腰に履いた剣は、幅の広い片刃で、ファルシオンと呼ばれるものだ。

男は鬱蒼とした雑木林を進み、むき出しになった岩場で馬を降りた。そこからは俺たちの陣が見えていたが、逆に男の姿も向こうから丸見えだ。

それでも男は気にする様子もなく、まだ煙の燻る陣営を眺めて笑っていた。

「いい眺めだぜぇ」と笑う男は独り言を言った訳ではなかった。

「あんたもこっち来て見てみ」

背の高い植物の影に隠れた俺に、男はニヤニヤ笑いながら言った。当たりをつけているのだろう。視線は少しズレていたが、概ね正解だ。

どうやら勘は鋭いらしい。

姿を晒すか悩みながら、暗器を手にして相手の出方を伺った。

なかなか姿を見せない俺に、男は苛立たしげに足を鳴らした。

「ねー!どこよ?居るんだろ?顔見せろって!」

子供みたいな口調で苛立つ姿は男を幼く見せた。

その姿が狂気を感じ、姿を晒すのを拒んだ。この気味の悪い男と戦うべきじゃないと判断した。

息を潜めて逃げる隙を伺っていると、いきなり俺の足に痛みが走った。

「っ!?」痛みを感じた右の脹脛ふくらはぎに、黒いネズミが張り付いていた。

慌てて叩き落としたが遅い、既に噛まれた後だ。

一匹や二匹じゃない。

有象無象、大小のネズミの群れが、草むらに潜んだ俺の周りに集まっていた。

「みぃつけたァ」と男は嬉しそうに不気味な笑みを零した。

背筋が寒くなる。

飛び退いて、迫る刃から身を躱したが、ネズミの群れが行く手を遮った。

「デニスのネズミかぁ?いい仕事するぅ!」口笛を吹く男はご機嫌だ。

「クソッ!」思わず舌打ちをして纏着くネズミを振り払ったが、数が多い。

波のように寄せるネズミの大群に、足場がおぼつかなくなる。

男がまた剣を振るった。

辛うじて刀を抜いて防いだが、体勢を崩した。

一撃が重い!

ネズミを踏んだ。足が縺れる。

剣の切っ先が顔を掠めた。

剣の切っ先は頬あてを掠め、紐を断ち切った。

落としそうになった頬あてを抑え、後ろに飛んで何とか距離を稼いだ。

手応えを感じたのか、男は追撃を止めた。

紐の切れた頬あてを懐にしまった。これは国を出る時に大爺様に頂いた大切な品だ。無くす訳にはいかなかった。

俺の顔を確認した男は残念そうにため息を吐いた。

「なんだぁ、ちっさいから若いと思ったのに…おっさんかよ?」

否定はしない。彼の言葉は俺の容姿を正確に言い表している。

「もうちょい若けりゃなー…顔の作りは悪くねーのに勿体ねぇなぁ…」男は肩を落として悲しんでいる。

「若くてキレイな顔…若くてキレイな…男の顔…」

うわ言のようにそう繰り返しながら、男は歪な顔で笑って奇声を上げた。

本物の気狂きちがいだ。

気狂いごときに遅れを取るつもりは無いが、問題は足元から無数に湧いてくるネズミの群れだ。

隙あらば噛み付こうと、歯を剥いて飛びかかってくる。この気狂いとネズミの組み合わせは厄介だ。

この俺が、こんな無様を晒すとは思わなかった。

失敗しないと驕っていた油断が招いた結果だ。なんとも不甲斐ない…

刀を鞘に戻し、深い呼吸に切替えた。

「チッ」

短い呼吸を吐いて最速の一閃を放つと、ネズミの群れが血と臓物を撒きながら跳ねた。

目にも止まらぬ居合の速さに、何が起きたか理解できないようだ。

男は目を開いて剣を構えたが、俺は既に次の用意を済ませている。

ネズミの死骸の道を進んだ。《縮地》と呼ばれる特殊な歩法で男に迫った。

身体がすれ違う瞬間に刃が交錯した。

血が舞ったがどちらも浅い傷を付けただけだった。

どちらにしても、これ以上やり合う気はなかった。

「てめぇ!逃げんのか!」と男が吠えた。

その質問には答えずに、ゴツゴツした岩場を一気に駆け下りる。小さな獣の動く気配がしたが、直ぐに途切れた。

《縮地》の速度と歩幅に着いてこれるはずもなく、気狂いとネズミたちを岩場に残したまま、雑木林に逃げ込んだ。

追ってくる気配はない。そのまま陣の方に歩いた。

昔はもっと動けた…

そう思いながら呼吸を整えようと、空気を肺の奥まで吸った。新緑と湿った土の匂いに混ざって、自分の血の匂いを感じた。

刃が右肩を掠めて服を切り裂いていた。

ネズミに齧られた傷も熱を持っている。こっちの方が問題だ。

傷口は小さくても命取りだ。

傷口を小刀で開いて血を抜いた。懐に忍ばせた消毒用の酒で傷口を洗った。

焼けるような痛みは生きてる証拠だ。

直ぐに戻って処置しなければ咬鼠症が怖い。

痛む足を引きながら陣に向かって歩き出した。

俺の方も、今夜の収穫はなかった…

✩.*˚

ああん!もう!最悪!

雑木林に逃げ込む黒い背中を見送って歯ぎしりした。

猫のような身のこなしで、俺の獲物は身長の岩場の崖下に飛び降りて逃げたので、追うに追えなかった。

下手すりゃ俺の方が死ぬか大怪我だ。

「ぎぃぃぃ!ぢぐじょぉぉ!!」

頭が沸騰する程の怒りを爆発させ、地面を這い回るネズミ共に八つ当たりをした。

あの仮面の下は、掘りは浅く、鼻も高くなかったが、割と整った顔をしていた。

顔を奪い損ねた!アルフィーへの《贈り物》にまんまと逃げ切られた!

逃がした無能は俺だ!それが何よりも許せない!

顔!顔!顔!

アルフィーの顔!新しい顔を捧げなきゃ!アルフィーの顔が欲しい!

クソッタレ!俺は諦めねぇからな!

腸を焦がすような怒りを辺りにぶちまけて、気が付くと、俺の周りはネズミの死体と臓物が散らかる悲惨な状況だった。

ため息をひとつ吐いて、剣を鞘に納めた。

少し離れた藪の中で、怯えた馬がこちらの様子を伺っている。

「…帰ろ」と呟いて馬の手綱を取って背に跨った

冷静になるとアルフィーの容態が気になった。

《氷鬼》が居るとは聞いていたが、こんなに早くかち合うとは正直思っていなかった。

実際に戦うところを確認したが、相性は最悪だ。

《氷鬼》は思っていた以上に強い《祝福》だ。

アルフィーの自分を焦がす程の強烈な炎を持ってしても、奴の氷で攻撃を防がれた。

かなり場数を踏んでる相手だ。ダガーを振るう姿も堂に入っていた。部下も強い。強敵だ。

アルフィーが負けるなんて思いたくないが、あいつは能力を使う度に酷い火傷で苦しむのだ。

そのくせ、我慢するからタチが悪い。

あいつは全身に残る醜い火傷の痕を、他人に晒すのを嫌がった。

舐められるのが嫌だと言っていたが、それだけじゃないだろう。

今夜も薬を塗ってやらなきゃな…

俺にしか許されない嫌な役だ。

馬の背で相棒を思ってため息を吐いた。

✩.*˚

「しくじった」と苦い表情で帰ってきたソーリューは怪我をしていた。

彼の弱った姿に驚く。

仮面を外して晒した素顔には嫌な汗が滲んでいた。

「ワルターは?」

「《祝福》使っちまったから湯に入ってる」と一緒にテントにいたエルマーが答えた。

ソーリューは頷いて「ネズミに噛まれた」と告げた。

「はぁ?ネズミ?」と、呆れた声を上げたエルマーを睨んで、ソーリューは近くの木箱に腰を下ろした。

彼の様子が心配で、「大丈夫?」と訊ねると、彼は「強い酒を持ってこい」と言った。

「ネズミの毒が身体に回ると死ぬ。危険な生き物だ」

「ちょっと待って、いいものがある」と答えて、ワルターのテントの隅に置いた自分の荷物に手を伸ばした。

家を出る時にまとめた荷物の中に、《毒抜き》の魔石を持っていた。

蜂に刺されたり、毒を口にした時に使う治療目的の魔石だ。効果はあるはずだ。

昔毒蛇に噛まれてから常に携帯するようになった。

今でも蛇は苦手だ。

包んだ布から石を取り出して、彼の傷に当てると、石がじわりと毒を吸って色を変えた。

「それは使い捨てか?」とソーリューが訊ねた。

「毒を吸わせたら、一定時間キレイな水に漬け込んで置くとまた使えるようになる。

連続して使えないけど、使い捨てじゃないよ」

「助かった、感謝する」とソーリューは短く礼を言ってくれた。彼の言葉に頷いて、足と肩の傷に治癒魔法をかけて包帯を巻いた。

「お前どこ行ってたんだよ?」とエルマーがソーリューに訊ねた。

「逃げる襲撃者を確認したから後をつけていた」

「また勝手なことを…」

「敵の本拠地を確認できると思った…軽率だった」

「仮面は?」と僕が訊ねると、彼は懐からいつも着けている仮面を取り出した。

顔に着けるための紐が切れていた。

「頭のおかしい奴にやられた」

「恐らく《顔剥ぎエドガー》だ」とエルマーが教えた。彼が戦った相手だ。

「お前が遅れをとるなんて珍しいじゃねぇか?」

「ネズミだ。恐らく、誰かが飼い慣らしてるやつだ。大勢で襲ってきたから手こずった」

「うぇぇ…」ゾッとした様子でエルマーが背中を丸めた。

「ヤダヤダ」と子供のように呟きながら、彼は鳥肌の立った腕を摩っていた。

「敵の能力を確認せずに、近づきすぎた俺の失態だ」

ソーリューはそう言って服を正すと、「休む」と言って出て行った。

「大丈夫かな?」

「へーきだよ。あのくらいでくたばる奴じゃねえ。

それよりお前も疲れたろ?ワルターの事は待たなくて良いからもう寝な。俺が居てやるから」

彼はそう言うと、寝床の横に腰を下ろし、あぐらをかいて座った。

「一人で大丈夫だよ」と答えたが、彼は相変わらず僕を子供扱いした。

「いいから寝ろ、背ぇ伸びねぇぞ」

エルマーにそう言われて、苦笑いして寝支度をした。

背が伸びないのは困る。僕は彼らと肩を並べたいのだから…

僕が寝床に潜り込むと、彼は「おやすみ」と呟いて小さくて笑った。

✩.*˚

可愛いな…

スーの寝顔を眺めて、ランプの明かりで煙草に火を点ける。

あの気狂いなかなかやるじゃねぇか…

《顔剥ぎエドガー》の噂は耳にしていた。

戦利品に人間の顔の皮を剥いで持ち帰る。

共通してるのは、顔を剥がれた奴はまぁまぁ男前って事だ。奴の犠牲になるのは、旗手をしてる奴が多い。

気持ち悪い性癖だ。寒気がする…

噂通りなら、スーの身が心配だった。

こいつより綺麗な顔してる奴なんて、ここには居ないだろう。

黒い髪の下に隠れた顔は幼く、女みたいな綺麗な顔だ。どんだけだって眺めてられる。

あんな気味の悪い気狂いに渡してなるものか!スーは俺の弟だ。俺が守ってやる。

あぐらをかいた足に頬杖をついて、スーの寝顔を眺めた。

そのまま静かな時間が過ぎ、気が付くとテントに当たる雨音を聞いていた。風も吹き始めたようだ。

青嵐だ。荒れそうな気配がした。

✩.*˚

「納得いかんぞ!何で俺らが拘束されんだ!」

エルマーが憲兵に食ってかかった。

さすがにこれは想定外だ。

青嵐の風雨の中、本営から派遣された憲兵らは俺とエルマーに忌々しい紙切れを突きつけた。

《敵と内通した咎により、ワルター・クルーガー、エルマー・クライン両名を拘束、詮議にかける》という内容だった。

冗談じゃねぇ!命懸けで戦った報いがこれなら納得できるわけが無い。

エルマーじゃなくても怒鳴りたくなる。

「クルーガー連隊長、並びクライン隊長を拘束するほどの根拠はおありか」とヨナタンが憲兵らに確認した。

いかにも堅物そうな、厳ついフルプレートメイルを着込んだ騎士は、威張り散らしながら「ある」と答えた。

「襲撃の前に、馬と糧秣を隠していたであろう!?

本営の被害は甚大なのに対し、何故盾となるべきお前たちには損害がないのだ?

しかもいち早く駆け付けながら、賊を取り逃がした!

敵との戦闘の報告も随分遅かったでは無いか?

所詮卑しい生まれのかき集めよ!」

「承服致しかねます。とんだ言いがかりだ。

確かに馬と糧秣を片付けました。しかし、雨の対策として片付けたまでのこと。

この酷い嵐を見ればご納得頂けますでしょう?

それに、連隊長は部下であるクラインと自陣の警邏けいらに当たっており、偶然駆けつけれる状況で現場に馳せ参じたのです。

現に、二人とも得物も頼りなく、鞍も付けていない馬で駆けつけました。

また、戻った連隊長は、《祝福》の使用で、一時は非常に危険な状態でした。戦闘報告が遅くなった件に関しましてはご理解、ご容赦頂きたい。」

ヨナタンが澱みなく、俺の潔白を訴えた。

彼の言葉が的を得ていたので、憲兵らはヨナタンを睨みつけた。

「邪魔するならお前も拘束する」と彼らはヨナタンまで捕らえようとする。

フリッツやオーラフたちの間にも緊張が走った。

憲兵らとの間で一触即発の嫌な状況だ。

「分かった、俺が申し開きする」とヨナタンと憲兵の間に割って入った。

「大人しく言うことを聞くから、クラインとトゥーマンについては勘弁してくれ。

もしどうしても拘束すると言うなら、俺の詮議が終わってからでも遅くないはずだ。

それまでは俺たちの拠点で謹慎させる」

「ワルター!勝手だぞ!」エルマーが俺の背に向かって怒鳴った。ヨナタンも黙って俺を睨んでいる。

仕方ないだろ?お前らまで拘束されたら今後の活動に支障が出る。

憲兵らがエルマーやヨナタンを紳士的に扱うとは思えなかった。

憲兵の中で一番偉そうな奴が「いいだろう」と頷いた。

傭兵たちと一触即発の状況が回避出来たし、さしての問題もなく自分たちの仕事が片付くならと妥協したらしい。

「《祝福》を封じるための物です」と憲兵が大袈裟な手枷を差し出した。

まるで罪人の扱いだ。

拒めばまた揉めることになる。素直に拘束具を受け入れた。魔法使い用の拘束具は見た目以上に重い物だった。

憲兵らに付き添われ、本営に向かって歩き出す。

さっさと行ってさっさと済ませるつもりだった。

俺は悪くないのだから当然だ。

「ワルター」

俺の背に、心配そうに俺を呼ぶ声が届いた。

少しだけ振り返った視線の先に、潤む、悲しそうな紫の瞳があった。

騒ぎを聞きつけて来たのだろう。随分、格好悪いところを見られた。

「すぐ戻る。みんなと待ってろ」と短く告げ、心配ないと笑って見せた。何も分からないスーにとっては恐怖だろう。

憲兵に促されてまた歩き出す。

追いかけてこようとしたスーを、ソーリューが引き止めて、近くのテントに引きずり込んだ。

「何かね?あの子供は?」とスーを見咎めた偉そうな男が訊ねた。

「どこにでもいるようなただのガキですよ」と嘯いて、雨に濡れながら本営に向かった。

✩.*˚

夜明け前に降り出した雨は、強い風を伴って木々を揺らせた。青葉の頃の嵐はぬるくまとわりつくようで気持ち悪い。

拍手のような雨音と、歓声のような木々が枝を揺らす音が耳障りだ。

ジクジクと新しい火傷の痕が疼いた。

痛みと痒みが右腕を虫のように這い回る。

「痛む?」

「うるさい」

横になった寝床の中で、馴れ馴れしく気遣う声に苛立たしげに返した。

エドガーは俺に歩み寄ると、勝手に包帯を巻いた腕に手を伸ばした。

「ダメだこりゃ、包帯替えよう」

彼はそう言うと、持ち込んだ荷物を漁り、消毒用の酒と薬、新しい包帯を取り出して並べた。

手際よく、慣れた手つきで包帯を解くと、赤と黄色に染ったガーゼを捨てた。血と膿んだような臭いが鼻についた。これは俺の身体の臭いだ…

自分の身体からは死体のような腐った匂いがする。

薬を塗って包帯を替え終わると、奴はニンマリと笑って俺の顔を覗き込んだ。

彼は、手にした汚い包帯を自分の鼻先に近づけて、臭いを嗅いだ。エドガーは包帯を手にうっとりとした顔で呟いた。

「はぁ…あんたの匂いだ。俺これ大好き」

気色悪い…変な性癖の男だ。

唯一救いなのは、俺の世話を嫌がらないことだけだ。

火傷だらけの醜い姿を「大好き」と言う。

顔の右半分を覆う火傷の痕を「綺麗」だと言う。

「大理石みたいじゃないか?」と奴は大真面目に言った。そんないいものでは無い。

全身の引き攣った傷痕のせいで、まともに剣を振るうことも出来ない。

なんともお粗末な傭兵だ。

この加減の出来ない《祝福》は、不器用な俺によく似合っていた。

「あんたの事大好き」と言う気味の悪い男は、俺の顔を覗き込んで子供のように笑った。

見えていない右の目にかかる前髪を、エドガーの指先が払った。

隠した傷跡が晒されて不快になった。

「近い、うっとおしい」とエドガーを拒否して背中を向けた。

エドガーは低く笑うと「洗ってくる」と言って包帯を手に、俺の寝床から離れた。

うっとおしい盲信者が立ち去ると、テントの中が途端に静かになった。自分の呼吸の音にすら敏感になる。

テントに打ち付ける雨音が、静かになった空間に嘲笑うように響いた。
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