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旦那編 marito

34:森の恩恵(その2)I benefizi dalla foresta:secondo

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 ここは? そう依頼クエスト “森の恩恵„ 
 周囲は全くの緑色、植物しかなさそうだ。
 振り返れば、仲間が次々に現れる。なるほど、全員揃うまで待ってくれるのか。
「みんな揃った?」
「準備はオーケーよ!」
火の加護プロテツィオーネ・ダ・フォコ!」
防御の歌カンツォーネ・ディ・ディフェーザ!」
 予定通りまずは防御から始める。
 前へ踏み出すと生命の腕輪の効果音エフェット・ソノーロが響く。
 淡い緑の光の中、文字が浮かび上がる。
 “ワイド・インスタンス:森の恩恵„

 軽いBGMの中、何かの声が聞こえる。

  来ないで、来ないで
  こっちに、来ないで
  ここは妖精ニンファの森
  人は来てはいけない 触ってはいけない
  森を汚さないで

「散々な言われようじゃのぅ」
「気にしないでいいわよ~」
「下刈、除伐、蔓刈とか必要な森林もあるんや。何を勘違いしとるんやろ?」
 みんな落ち着いてるなぁ。しかし、サブ! なんでそんなに詳しい?

 緑の樹々を背景に淡く煌めく光がふわふわと近付いて来る。
 どうやらお出迎えが来たらしい。
 光は三メートル程前の空中に停止し、ふわっと割れて中から妖精ニンファが現れる。
 こちらを睨み付けて言い放つ。
「そこな者たち、何をしに来た」
 態度が大きいなぁ。招待客のはずなんだけど
 二三歩進み出て応える。
「森の恩恵を受けに来た」
「ほほぅ。森の恩恵とな」
 妖精ニンファは嘲笑うように語る。
「ならば、突破せよ。実力ちからを見せよ。さすれば、得られるやもしれぬ」
 周囲の緑木が騒めき始める。
 戦闘開始だ。
「予定通りのフォーメーションで!」
 わたしの声に、エドが悠然と前方に出る。
 中央にジョルジュ、左にはるっち、右にサブ
 指揮は最後方が執る。

 植物が葉擦れの音を立てながら近付いて来る。
「さぁいらっしゃぃ、あたしが相手よ! 挑発プロヴォカツィオーネ!」
戦いの歌カンツォーネ・ディ・グエッラ!」
 エドの挑発に、ジョルジュの歌が高らかに応える。
「まずは小手調べ。火の矢フレッチ・ディ・フォコ!」
 竪琴の支援バフで強化された燃え上がる矢が、襲い掛かる樹々を襲う。
 其処此処で燃え上がり、崩れ落ちる。
「予想通り、地属性。左右を火で防御!」
「了解や!」「予定通りじゃ!」
「「炎の壁ムーロ・ディ・フィアンマ!」」
 はるっちとサブの声に応えて、左右に炎が展開される。
「前方の敵から片付ける。集中して! 火纏いダ・インドッサーレ・フォコ!」
「武器に火属性、ありがたいわ~~。百人力よ!」
「了解じゃ! 火の絨毯タッペート・ディ・フォコ!」
「任せい! 火の槍ランチァ・ディ・フォコ!」
 火の連続攻撃に押し寄せる樹々の勢いが止まって来る。
「よし、エド! ゆっくり前に進んで。無理しないように」
「分かったわ~」
サイドは、移動に合わせて壁を展開して!」
「あいよ~」「了解じゃ!」
 左右の敵を屠りながら前に進む。
「ジョルジュ、治療!」
「承知! 治癒の歌カンツォーネ・ディ・グァリジオーネ!」
 ここまでは予定通り。
「初めて見るモンスターばかりだけど、あまり強くない。消耗を抑える方向で! 回復グァレンテ解毒ディシントッシカンテは躊躇しないで!」
 植物群を火で燃やしながら少しずつ進む。
 多分これは第一段階、第二段階への入口があるはず――と判断して奥へ向かう。

「何かあるで~」
 サブの指す方に、確かにある。枝と蔦が絡み合った扉らしきもの。
 守るかのように植物が集まっている。
「一気に潰すよ。エドは近付いて来るやつだけを狙って!」
「分かったわ~! 任せといて」
 火魔法の集中で畳みかける。
戦いの歌カンツォーネ・ディ・グエッラ!」
「今じゃ! 炎の波オンデ・ディ・フィアンマ!」
「おっしゃぁ! 炎の舞踏バッロ・ディ・フィアンマ!」
「きゃー、サブやん、素敵ですぅ~」
 応援付きかぃ。
 みんなの声に合わせて、こちらも切札を投入!
地獄の業火フィアンマ・インフェルナーレ!」
 燃え上がる植物群、次々と炭になりながら崩れ落ちる。
 これで、第一段階は終わりかな。と思った時、炎の中から太い幹を持った樹が現れる。
「トレントじゃな。これが中ボスと言うことか」
 はるっちの冷静な声に、みんな頷く。
「面白いわ~、こうでなくっちゃ」
「このくらいないと、おもろないで!」
「盛り上がって来ましたな」ポロロン♪
 みんなやる気十分じゃん。
「楽しませてもらいましょ。行くよ!」
「「「おっしゃぁ!」」」
 みんなの声が重なる。
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