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奥編 moglie
19:ダンジョンもどき Qualcosa di simile a un dungeon
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インスタンス終了と同時に闇に包まれ、元の場所に戻る。
「おぉ、戻ったか!」
「おかえりなさい」
「お疲れさま、大丈夫だったか?」
色々気を遣って貰って有難い。
「まぁ何とか」
と応えて置く。
見るとキャンプの準備は終わっていた。
ゲーム時間は半刻くらいだったのだろうか?
それでも、インスタンスは精神的に消耗する。
「良し、アルフィも戻って来たことだし、飯にしようぜ!」
待っててくれたらしい。お預けごめんなさい!
夕飯は、オリックスのステーキや具沢山のミネストローネなどで豪華だ。
確り食べてエネルギーを補給しよう。
「見張り当番は、取決めの通りだが、コーリは慣れてないだろうから、今夜はわたしと同じ直だ」
「了解だ! 今日の敵はあまり強くなかったが、気を抜かずに行こう」
久しぶりの完全な野宿で警戒したけど無事に過ごせたみたいだ。
第六夜刻の間に準備を整えて、日が昇ると同時に出発する。
予想していた拠点が見つからなかったので、確認のためでもある。
昨日と同じようにゲッツを先頭にして進む。
「何だか嫌な気配がするな」
サヤがぽつりと独言を漏らす。第三昼刻に入ろうかという時間
「確かに、怪し気な雰囲気だ。さっきからモンスターも出現しないしな」
「拠点も見当たらないし、条件変わった?」
妙に周囲が静かなのも気になる。
「何かいます!」
コーリの声にみんな一斉に構える。
「確かに何か居るな」
赤い土の上、ふらふらと人影らしいものが動いている。距離は二百メートルくらいある?
「人型モンスターというのはこの辺に居なかったはずだ。気を付けろ!」
「ここから確認は難しい。近づくぞ!」
「聞いた範囲だと地属性の可能性高いね」
「火攻撃優先で試そう!」
「結界は三重にします」
ゲッツを先頭に接近する。
「風の加護! 水の加護! 火の加護!」
コーリの魔法詠唱と同時にサヤが攻撃する。
「赤き矢!」
矢に合わせてゲッツとボクが前進!
矢を受けた不死者らしき敵は、あっという間に霧散する。
「おかしい。脆すぎる」
「確かにおかしいね。不死者って日光に弱いはずでしょ。昼間こんな所に居るはずないよね」
「まだ何かいます!」
コーリの差す方向に何かグネグネしているものが居る。
「スライムのようだが、こんなに水が少ない場所にはいないはずだ」
「試しに俺が戦おう。何かあれば支援頼む!」
「分かった!」
回復剤と解毒剤を用意してゲッツの後ろで待機する。
「ふむっ!」
槍の一突きでスライムは飛散る。
「確かに脆いな。普通とは違う状況が起きているということか?」
その後も、モンスターは出てきたが、相変わらず脆かった。
通常はダンジョン内にしか居ないものが日光の下に出て来てるという印象が強かった。
赤い土と砂、所々に草藪が続く荒野を注意しながら進む。
第四昼刻の中頃に、洞窟らしいものを発見。
「どうもあれらしいな」
「確かに近くにゾンビらしいのが多いようだ。いよいよ中心だな」
周囲の敵を蹴散らして、洞窟に挑む。
「灯!」
コーリの照明魔法を受けながら、洞窟にゆっくり侵入する。
「あんまり広くなさそうだね」
「そうだな。天井も低い。俺だと頭上が気になるな」
ゲッツは軽く笑う。冷静さは必要だ。
洞窟内は湿気があり、地面のあちこちには苔が生えている。
スライムもゾンビもいたけど、外と比べてもあまり強くない。
注意しながら少しずつ進む。
五十メートルも進まなかったと思うけど、突き当りで黒マントの男が椅子らしきものに座っている。
「ふははははっ! よくぞここまで来た!」
何か親分らしきのが出て来たけど、あんまりボスっぽくないな。
「いよいよボス戦ですか?」
コーリは結界を張り直す。
「出でよ! 我が下僕たち!」
ボスらしき男の声で二十匹くらいのゾンビが出現する。
「はーぃ、そこまで!」
軽い声と共に現れた一人の女性!
場違いな黒のシャツとショーツ、ソックスとシューズも黒!
サッカーの審判員みたいな姿
「レッド・カードだよ~」
彼女の声と共に、周囲の不死者が一気に消滅する。
「こいつは逮捕する」
ボスらしきさんは、逃げる間もなく、黄色い鳥籠のような枠の中に押し込められる。
「ははっ、ごめんごめん! もっと早く対処しなければいけなかったんだけど、確認が遅れてね。調査パーティが出てるとは思わなかった」
「えと、運営さん?」
「そう、バグ対処ね」
「どういうことなんだ? 説明して欲しいが」
少々キレ気味のゲッツ、まぁまぁ
「ここら辺は不死者が出る仕様じゃないんだけど、バグでダンジョンみたいなのができちゃったみたい。こいつはそれを利用して、色々発生させていたってこと。まぁ愉快犯ね」
「何だか気合入れたの馬鹿みたい」
「えと、運営さん、この人どうなるんでしょ?」
「バグ利用は罪重いからねぇ。一番キツイのでアカウント停止なんだけど、どうなるかは対策部次第だね」
にっこり笑うお姉さん。笑顔でごまかさないで!
「こいつは連れて行く。後は運営に任せて!」
鳥籠を掴んで軽々と持ち上げる。
「あ、バグは今修正したから、もう不死者は出ないよ」
「すまないが、我々は依頼で来てるんだが、報告はどうすればいい?」
「そのまま報告していいよ。“バグでした。運営が対処しました„ って言えばいいよ」
そんなんで受け付けてくれるのか?
「面倒掛けたから、帰りは送るわ!」
そう言われた瞬間に一気に景色が変わる。
着いた所は、南門の前百メートルくらい。
さすがに運営、何でもありだ。
「おぉ、戻ったか!」
「おかえりなさい」
「お疲れさま、大丈夫だったか?」
色々気を遣って貰って有難い。
「まぁ何とか」
と応えて置く。
見るとキャンプの準備は終わっていた。
ゲーム時間は半刻くらいだったのだろうか?
それでも、インスタンスは精神的に消耗する。
「良し、アルフィも戻って来たことだし、飯にしようぜ!」
待っててくれたらしい。お預けごめんなさい!
夕飯は、オリックスのステーキや具沢山のミネストローネなどで豪華だ。
確り食べてエネルギーを補給しよう。
「見張り当番は、取決めの通りだが、コーリは慣れてないだろうから、今夜はわたしと同じ直だ」
「了解だ! 今日の敵はあまり強くなかったが、気を抜かずに行こう」
久しぶりの完全な野宿で警戒したけど無事に過ごせたみたいだ。
第六夜刻の間に準備を整えて、日が昇ると同時に出発する。
予想していた拠点が見つからなかったので、確認のためでもある。
昨日と同じようにゲッツを先頭にして進む。
「何だか嫌な気配がするな」
サヤがぽつりと独言を漏らす。第三昼刻に入ろうかという時間
「確かに、怪し気な雰囲気だ。さっきからモンスターも出現しないしな」
「拠点も見当たらないし、条件変わった?」
妙に周囲が静かなのも気になる。
「何かいます!」
コーリの声にみんな一斉に構える。
「確かに何か居るな」
赤い土の上、ふらふらと人影らしいものが動いている。距離は二百メートルくらいある?
「人型モンスターというのはこの辺に居なかったはずだ。気を付けろ!」
「ここから確認は難しい。近づくぞ!」
「聞いた範囲だと地属性の可能性高いね」
「火攻撃優先で試そう!」
「結界は三重にします」
ゲッツを先頭に接近する。
「風の加護! 水の加護! 火の加護!」
コーリの魔法詠唱と同時にサヤが攻撃する。
「赤き矢!」
矢に合わせてゲッツとボクが前進!
矢を受けた不死者らしき敵は、あっという間に霧散する。
「おかしい。脆すぎる」
「確かにおかしいね。不死者って日光に弱いはずでしょ。昼間こんな所に居るはずないよね」
「まだ何かいます!」
コーリの差す方向に何かグネグネしているものが居る。
「スライムのようだが、こんなに水が少ない場所にはいないはずだ」
「試しに俺が戦おう。何かあれば支援頼む!」
「分かった!」
回復剤と解毒剤を用意してゲッツの後ろで待機する。
「ふむっ!」
槍の一突きでスライムは飛散る。
「確かに脆いな。普通とは違う状況が起きているということか?」
その後も、モンスターは出てきたが、相変わらず脆かった。
通常はダンジョン内にしか居ないものが日光の下に出て来てるという印象が強かった。
赤い土と砂、所々に草藪が続く荒野を注意しながら進む。
第四昼刻の中頃に、洞窟らしいものを発見。
「どうもあれらしいな」
「確かに近くにゾンビらしいのが多いようだ。いよいよ中心だな」
周囲の敵を蹴散らして、洞窟に挑む。
「灯!」
コーリの照明魔法を受けながら、洞窟にゆっくり侵入する。
「あんまり広くなさそうだね」
「そうだな。天井も低い。俺だと頭上が気になるな」
ゲッツは軽く笑う。冷静さは必要だ。
洞窟内は湿気があり、地面のあちこちには苔が生えている。
スライムもゾンビもいたけど、外と比べてもあまり強くない。
注意しながら少しずつ進む。
五十メートルも進まなかったと思うけど、突き当りで黒マントの男が椅子らしきものに座っている。
「ふははははっ! よくぞここまで来た!」
何か親分らしきのが出て来たけど、あんまりボスっぽくないな。
「いよいよボス戦ですか?」
コーリは結界を張り直す。
「出でよ! 我が下僕たち!」
ボスらしき男の声で二十匹くらいのゾンビが出現する。
「はーぃ、そこまで!」
軽い声と共に現れた一人の女性!
場違いな黒のシャツとショーツ、ソックスとシューズも黒!
サッカーの審判員みたいな姿
「レッド・カードだよ~」
彼女の声と共に、周囲の不死者が一気に消滅する。
「こいつは逮捕する」
ボスらしきさんは、逃げる間もなく、黄色い鳥籠のような枠の中に押し込められる。
「ははっ、ごめんごめん! もっと早く対処しなければいけなかったんだけど、確認が遅れてね。調査パーティが出てるとは思わなかった」
「えと、運営さん?」
「そう、バグ対処ね」
「どういうことなんだ? 説明して欲しいが」
少々キレ気味のゲッツ、まぁまぁ
「ここら辺は不死者が出る仕様じゃないんだけど、バグでダンジョンみたいなのができちゃったみたい。こいつはそれを利用して、色々発生させていたってこと。まぁ愉快犯ね」
「何だか気合入れたの馬鹿みたい」
「えと、運営さん、この人どうなるんでしょ?」
「バグ利用は罪重いからねぇ。一番キツイのでアカウント停止なんだけど、どうなるかは対策部次第だね」
にっこり笑うお姉さん。笑顔でごまかさないで!
「こいつは連れて行く。後は運営に任せて!」
鳥籠を掴んで軽々と持ち上げる。
「あ、バグは今修正したから、もう不死者は出ないよ」
「すまないが、我々は依頼で来てるんだが、報告はどうすればいい?」
「そのまま報告していいよ。“バグでした。運営が対処しました„ って言えばいいよ」
そんなんで受け付けてくれるのか?
「面倒掛けたから、帰りは送るわ!」
そう言われた瞬間に一気に景色が変わる。
着いた所は、南門の前百メートルくらい。
さすがに運営、何でもありだ。
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