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5:大森林観測村VSガムラン町
724:吠えろ魔銃オルタネーター、更地とサボりと旋回半径
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バキバキバキッ、メキメキメキッ、バゴンッ、ビシッ!
大木や茂みは全て、薙ぎ倒され吹き飛んだ。
おれたちを大きく囲む、鉄丸の煌めき――――ゴッッバァァァァァァァッ!
『◄◄◄』――目にも留まらぬ速さで張り付く、動体検知は緑色。
つまりはあの、いつまでも飛び続ける弾丸は、間違いなく友軍ってことだ。
「ザザッ――えっと、ざ……ん?」
タターの迷うような声。
「ザッ――残存神力だニャ。まだ残りが、半分ちょっとあるニャ♪」
ロォグの迷いのない声。
バキバキバキッ、メキメキメキッ、バゴンッ、ビシッ――
ゴッッバァァァァァァァッ!
標的であった、巨大な子猪を屠ってなお、飛び続け、あまつさえ〝更に速さを増す〟――
アレじゃまるで、奥方さまの魔法杖だろぉがぁ。
ふぉん♪
『>>いいえ、最大速度には30倍弱の差があります。〝魔銃オルタネーター〟いえ〝魔弾タイフーン〟は〝辺境伯名代〟の比ではありません』
いやまぁそうなんだが、お前それ――奥方さまの前では、言うなよ?
モクモクモクモワァワァワァフワワァァァァッ――!
塵と化した、倒木や石塊や土砂が――――
棚引く風雲を、まるで入道雲のように太らせる!
ふぉん♪
『シガミー>>塵芥で辺りが見えん!』
ヴォヴォゥゥンッ♪
霞む視界に大まかな地形や、変異種の岩山のような輪郭が――
積層モニタに映し出された。
ズズズゥゥン!
森の端から届く凄まじい地響きは止まず、切り立つ岩山は微かに揺れ続けている。
それでも、とんでもねぇ勢いで迫る巨体が此処へ来るまでは――
「〝殲滅ノビッグモクブート〟の到着まデ、推定390秒!」
「(うん、思ったよか遅ぇ)」
そして矢張りどうみても、あんな岩山サイズの猪を、人の手で葬れるとは思えん。
ふぉん♪
『シガミー>>おい、美の女神さまよ。あの丸、〝タイフーン〟とやらは具体的に、何が出来る?』
むぅ――――――――返事がねぇ?
「(ありゃ、居ねぇ。マジで何処行きやがったぁ!?)」
画面の中をざっと見渡すも、梅干しのような現し身が――
何処にもねぇ! すぐ呼べ、今呼べ!
ふぉんふぉふぉん♪
『>FATSシステム内線#10286を呼び出しています
>呼び出しています
>呼び出しています
>通話が出来ませんでした』
「(イオノファラーが。呼び出しに応じません)」
「(いくさの最中に、いつまでサボっていやがるんだぜ!?)」
泥音で風神を探せ。まだこの辺りには、居るだろう。
「ロォグさまよ、あの丸、〝タイフーン〟は何が出来る?――ニャァ♪」
1342パケタは、大金だ。
このまま、あの弾丸を地に落とすわけにわぁいかねぇ。
「ザッヒュ――記憶した弾頭形状が魔導工学ならびに、神々の御手によって復元されるから、神力切れまで――唐変木――鰹節――出来るニャァ♪」
また文字化けしやがったなー。
ヒュシュオゴゴゴゴパァァッ!
モクモクモクモワァワァワァフワワァァァァッ――!
「こりゃ、いかん。逃げろ逃げろ!」
鉄塊を担ぎ、一目散に更地の真ん中へ逃げてくる工房長。
モクモクモクモワァワァワァフワワァァァァッ――!
「ゴミが目に入るとやっかいさね、母さん、こっちへ――!」
母親であるコッヘル商会長を小脇に抱え逃げてくるのは、魔導騎士団総大将さま。
「きゃぁぁぁぁ――!」
娘である女将さんに抱えられ、運ばれてくる元宮廷魔導師。
モクモクモクモワァワァワァフワワァァァァッ――!
「――杖よ! はぁはぁ、ふぅふぅ!」
ヒラヒラと風に舞う張り扇に座り、飛んで来たのは魔術師姿。
モソモソ家の奥方だ。つまりミギアーフ卿の嫁であり――
〝扇杖の炎鬼〟などという二つ名持ちでもある。
ガチャガチャ――ゴォズズズムン!!!
トタタタッ――スタァン!
ヒラヒラァ――パタタンッ♪
塵に巻かれた連中が、近くに集まってきた。
その中に、第四師団長《ミラカルカ》を咥えた風神の姿はなく――
本当にあの惡神さまめ。
「買い物に行く」とか吐かしてたが、まさか――
王都にまで戻ってや、しねぇだろぅなぁ?
ふぉん♪
『シガミー>>どうだ迅雷、〝あの自在に飛ぶ弾丸〟をぶつけりゃ、化け猪を倒す足しになるか?』
ふぉん♪
『>>はい。〝魔弾タイフーン〟は現在、神力を50パーセント以上残しています。初撃の運動エネルギーこそ消費済みですが、いまだ高機動による作戦遂行が可能です』
よし、使える物は使うが、「(何が、出来るんだ?)」。
ふぉん♪
『>>性能表からの類推になりますが、神力電池が切れるまでなら〝記憶した弾頭形状が、魔術的、電磁気的、魔導工学的に、復元されると思われます』
それいま、お猫さまが言った、そのままじゃねーかぁ?
復元てこたぁ、ぶち当たった丸が拉げても、元通りにして、何度も使えるってことだな。
ふぉん♪
『>>はい。魔弾タイフーンの旋回半径は約400メートル。約30Gの加速度に耐えるための電力消費量は、毎分約4,631KW。よって残存飛翔時間は、約5分です』
5分!? 急がんといかんな――1342パケタが無駄になる!
ふぉん♪
『シガミー>リオレイニア、猪のエリアボス。お前さまなら、どう倒す?』
火縄や大筒、ましてや大生活魔法や高等魔術に関しちゃ、おれは素人だ。
手前の血で真円を描き、真言を唱えりゃ――
瀑布火炎の術ぐらいは使えるが。
ここは専門家である、蜂のお化けの意見も、ぜひ拝聴させていただくぜ。
「ヴヴヴヴヴヴウヴヴッ――?」
蜂女が軽やかに飛んできた。
練習用の初心者用魔法杖ではない、太木の魔法杖に片足を乗せ――滑るように。
ふぉふぉん♪
『ルガレイニア>>そうですね、上から急所を狙うときに、あの背中に堆積した土砂が邪魔になるかも知れませんので』
「ヴヴヴヴヴヴウヴヴッ――?」
片手片足で太杖に取り付き器用にも、雨乞鳥のように靴を震わせる――
給仕と生活魔法の達人。
あの黒光りする眼鏡と威嚇音を前にすると、どうしたって――
毒針を持ち上げた、ルガ蜂にしか見えない。
「なるほど、背中の大岩を打ち崩せば、良いんだな?」
ヒュォォォォオォォォォォォオォォォォォゥ――――――!!
強風に煽られ、眼前の塵芥が、すっかりと払われた!
地響きに混じってメキメキメキと、近づいてくる音は――
それは変異種が、大木を踏み潰す音だった。
ふぉん
『シガミー>迅雷、エリアボスの背中の映像寄越せ!』
ヴュパパパッ♪
泥音による上空からの空撮映像が、表示される。
ふぉふぉふぉふぉふぉふぉん♪
『殲滅のビッグモクブート(変異種)【超硬質】/
非常に大きな胴体を持つ四つ足の獣。
なかでも上質の斑茸を食べ続けた、超特大の個体。
体長は、ゆうに100メートルを超える。
際限なく伸び続ける巨大な牙を支えるために、体躯を巨大化させた成れの果て。
大地を流れる龍脈を操ることで地を割り、空をも割ると言われている。
そしてその、お味は脂がのった霜降り肉そのものだが、
自重に押しつぶされた肉質は、とても野趣溢れるもので、
岩と変わらぬ硬度を誇る。到底常人には、かみ切れず食用に適さない。
だがもしも最高の調理人による、下処理ならびに調理が完全に行われた場合、
ソレは天上の奇跡と呼ぶべき、料理となるだろう。』
同時に食材情報も一緒に表示されたが――超長ぇなっ、切っとけ!
ヴュパパパッ♪
岩山を取り囲んだ光の筋に、正確な長さが重ねられていく。
チキチキキッ――長さが538メートル、幅が267メートル。
そして高さが、チキッ……120メートルか。
「(とんでもねぇぜ!)」
「(はい。いくら変異種とはいえ、常軌を逸しています!)」
これなら東側の蟹の方が余程、増しだったぞ。
巨大な猪が、岩山のように見える原因。
変異種の背には、巨大な岩石が3つ乗っていた。
轟雷は念話の要領で、視線を彷徨わせ――
『×』、『×』、『×』。
巨大岩石の3つに、赤い×印を書き込んだ。
大木や茂みは全て、薙ぎ倒され吹き飛んだ。
おれたちを大きく囲む、鉄丸の煌めき――――ゴッッバァァァァァァァッ!
『◄◄◄』――目にも留まらぬ速さで張り付く、動体検知は緑色。
つまりはあの、いつまでも飛び続ける弾丸は、間違いなく友軍ってことだ。
「ザザッ――えっと、ざ……ん?」
タターの迷うような声。
「ザッ――残存神力だニャ。まだ残りが、半分ちょっとあるニャ♪」
ロォグの迷いのない声。
バキバキバキッ、メキメキメキッ、バゴンッ、ビシッ――
ゴッッバァァァァァァァッ!
標的であった、巨大な子猪を屠ってなお、飛び続け、あまつさえ〝更に速さを増す〟――
アレじゃまるで、奥方さまの魔法杖だろぉがぁ。
ふぉん♪
『>>いいえ、最大速度には30倍弱の差があります。〝魔銃オルタネーター〟いえ〝魔弾タイフーン〟は〝辺境伯名代〟の比ではありません』
いやまぁそうなんだが、お前それ――奥方さまの前では、言うなよ?
モクモクモクモワァワァワァフワワァァァァッ――!
塵と化した、倒木や石塊や土砂が――――
棚引く風雲を、まるで入道雲のように太らせる!
ふぉん♪
『シガミー>>塵芥で辺りが見えん!』
ヴォヴォゥゥンッ♪
霞む視界に大まかな地形や、変異種の岩山のような輪郭が――
積層モニタに映し出された。
ズズズゥゥン!
森の端から届く凄まじい地響きは止まず、切り立つ岩山は微かに揺れ続けている。
それでも、とんでもねぇ勢いで迫る巨体が此処へ来るまでは――
「〝殲滅ノビッグモクブート〟の到着まデ、推定390秒!」
「(うん、思ったよか遅ぇ)」
そして矢張りどうみても、あんな岩山サイズの猪を、人の手で葬れるとは思えん。
ふぉん♪
『シガミー>>おい、美の女神さまよ。あの丸、〝タイフーン〟とやらは具体的に、何が出来る?』
むぅ――――――――返事がねぇ?
「(ありゃ、居ねぇ。マジで何処行きやがったぁ!?)」
画面の中をざっと見渡すも、梅干しのような現し身が――
何処にもねぇ! すぐ呼べ、今呼べ!
ふぉんふぉふぉん♪
『>FATSシステム内線#10286を呼び出しています
>呼び出しています
>呼び出しています
>通話が出来ませんでした』
「(イオノファラーが。呼び出しに応じません)」
「(いくさの最中に、いつまでサボっていやがるんだぜ!?)」
泥音で風神を探せ。まだこの辺りには、居るだろう。
「ロォグさまよ、あの丸、〝タイフーン〟は何が出来る?――ニャァ♪」
1342パケタは、大金だ。
このまま、あの弾丸を地に落とすわけにわぁいかねぇ。
「ザッヒュ――記憶した弾頭形状が魔導工学ならびに、神々の御手によって復元されるから、神力切れまで――唐変木――鰹節――出来るニャァ♪」
また文字化けしやがったなー。
ヒュシュオゴゴゴゴパァァッ!
モクモクモクモワァワァワァフワワァァァァッ――!
「こりゃ、いかん。逃げろ逃げろ!」
鉄塊を担ぎ、一目散に更地の真ん中へ逃げてくる工房長。
モクモクモクモワァワァワァフワワァァァァッ――!
「ゴミが目に入るとやっかいさね、母さん、こっちへ――!」
母親であるコッヘル商会長を小脇に抱え逃げてくるのは、魔導騎士団総大将さま。
「きゃぁぁぁぁ――!」
娘である女将さんに抱えられ、運ばれてくる元宮廷魔導師。
モクモクモクモワァワァワァフワワァァァァッ――!
「――杖よ! はぁはぁ、ふぅふぅ!」
ヒラヒラと風に舞う張り扇に座り、飛んで来たのは魔術師姿。
モソモソ家の奥方だ。つまりミギアーフ卿の嫁であり――
〝扇杖の炎鬼〟などという二つ名持ちでもある。
ガチャガチャ――ゴォズズズムン!!!
トタタタッ――スタァン!
ヒラヒラァ――パタタンッ♪
塵に巻かれた連中が、近くに集まってきた。
その中に、第四師団長《ミラカルカ》を咥えた風神の姿はなく――
本当にあの惡神さまめ。
「買い物に行く」とか吐かしてたが、まさか――
王都にまで戻ってや、しねぇだろぅなぁ?
ふぉん♪
『シガミー>>どうだ迅雷、〝あの自在に飛ぶ弾丸〟をぶつけりゃ、化け猪を倒す足しになるか?』
ふぉん♪
『>>はい。〝魔弾タイフーン〟は現在、神力を50パーセント以上残しています。初撃の運動エネルギーこそ消費済みですが、いまだ高機動による作戦遂行が可能です』
よし、使える物は使うが、「(何が、出来るんだ?)」。
ふぉん♪
『>>性能表からの類推になりますが、神力電池が切れるまでなら〝記憶した弾頭形状が、魔術的、電磁気的、魔導工学的に、復元されると思われます』
それいま、お猫さまが言った、そのままじゃねーかぁ?
復元てこたぁ、ぶち当たった丸が拉げても、元通りにして、何度も使えるってことだな。
ふぉん♪
『>>はい。魔弾タイフーンの旋回半径は約400メートル。約30Gの加速度に耐えるための電力消費量は、毎分約4,631KW。よって残存飛翔時間は、約5分です』
5分!? 急がんといかんな――1342パケタが無駄になる!
ふぉん♪
『シガミー>リオレイニア、猪のエリアボス。お前さまなら、どう倒す?』
火縄や大筒、ましてや大生活魔法や高等魔術に関しちゃ、おれは素人だ。
手前の血で真円を描き、真言を唱えりゃ――
瀑布火炎の術ぐらいは使えるが。
ここは専門家である、蜂のお化けの意見も、ぜひ拝聴させていただくぜ。
「ヴヴヴヴヴヴウヴヴッ――?」
蜂女が軽やかに飛んできた。
練習用の初心者用魔法杖ではない、太木の魔法杖に片足を乗せ――滑るように。
ふぉふぉん♪
『ルガレイニア>>そうですね、上から急所を狙うときに、あの背中に堆積した土砂が邪魔になるかも知れませんので』
「ヴヴヴヴヴヴウヴヴッ――?」
片手片足で太杖に取り付き器用にも、雨乞鳥のように靴を震わせる――
給仕と生活魔法の達人。
あの黒光りする眼鏡と威嚇音を前にすると、どうしたって――
毒針を持ち上げた、ルガ蜂にしか見えない。
「なるほど、背中の大岩を打ち崩せば、良いんだな?」
ヒュォォォォオォォォォォォオォォォォォゥ――――――!!
強風に煽られ、眼前の塵芥が、すっかりと払われた!
地響きに混じってメキメキメキと、近づいてくる音は――
それは変異種が、大木を踏み潰す音だった。
ふぉん
『シガミー>迅雷、エリアボスの背中の映像寄越せ!』
ヴュパパパッ♪
泥音による上空からの空撮映像が、表示される。
ふぉふぉふぉふぉふぉふぉん♪
『殲滅のビッグモクブート(変異種)【超硬質】/
非常に大きな胴体を持つ四つ足の獣。
なかでも上質の斑茸を食べ続けた、超特大の個体。
体長は、ゆうに100メートルを超える。
際限なく伸び続ける巨大な牙を支えるために、体躯を巨大化させた成れの果て。
大地を流れる龍脈を操ることで地を割り、空をも割ると言われている。
そしてその、お味は脂がのった霜降り肉そのものだが、
自重に押しつぶされた肉質は、とても野趣溢れるもので、
岩と変わらぬ硬度を誇る。到底常人には、かみ切れず食用に適さない。
だがもしも最高の調理人による、下処理ならびに調理が完全に行われた場合、
ソレは天上の奇跡と呼ぶべき、料理となるだろう。』
同時に食材情報も一緒に表示されたが――超長ぇなっ、切っとけ!
ヴュパパパッ♪
岩山を取り囲んだ光の筋に、正確な長さが重ねられていく。
チキチキキッ――長さが538メートル、幅が267メートル。
そして高さが、チキッ……120メートルか。
「(とんでもねぇぜ!)」
「(はい。いくら変異種とはいえ、常軌を逸しています!)」
これなら東側の蟹の方が余程、増しだったぞ。
巨大な猪が、岩山のように見える原因。
変異種の背には、巨大な岩石が3つ乗っていた。
轟雷は念話の要領で、視線を彷徨わせ――
『×』、『×』、『×』。
巨大岩石の3つに、赤い×印を書き込んだ。
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