715 / 740
5:大森林観測村VSガムラン町
715:ファローモからの依頼、ギルドで承りますわ
しおりを挟む
「ふう、まったくもって事態がつかめませんけれど、ご依頼ということでしたら冒険者ギルドが間に入っても、よろしくてよ?」
ガムラン町随一の悪漢……じゃなくて、ご令嬢兼受付嬢が――
一枚の紙切れを懐から、ぺらりと取り出した。
覇気の無い青年が、真っ赤になった顔を背け――
王女殿下が、杓子を振り回し――
眼鏡の女が、下敷きと鉄筆を取り出した。
ここは〝大森林観測村《かんそくむら》④ファローモのお宿|(仮)〟内、女神像の間兼、臨時ギルド出張所。
つまり、女神像が有る地下通路部屋に、椅子と机を並べただけの場所だ。
「あっ、ちょっと――!?」
紙を後ろから、ひょいと掠め取るのは、名物受付嬢オルコトリア。
ガムラン姫ともども、わざわざ受付嬢の制服に着替えている。
『冒険依頼書/冒険者ギルドガムラン町支部
/受付担当者:リカルル・R・K■』
冒険依頼書には受付嬢の署名が既に書き込まれていて、コントゥル家の紋章印まで押してあった。
「では私が代筆させていただきますね――お名前をうかがっても?」
静かな物腰。近頃は〝ギルドの建物を壊す方〟として有名だが――
元々此奴は、仕事が出来て分別もあり、体格が良くて顔まで良い。
おれやレイダに狩りの仕方を教えてくれたりと、心根も優しいとくれば――
正に名物受付嬢と呼ばれるに、相応しいだろう。
ふぉん♪
『>>有り余る怪力と天狗に対する執着と、〝上空からの攻撃に過剰に反応すること〟を除けば、至って優秀なギルド職員です。冒険者としての名声も〝聖剣切りの閃光〟へ所属したこともあり、上々のようですし』
うん、全部ひっくるめても……オルコは良い奴だ。
跳ねっ返りのお目付役として小言を言いつつ、書類仕事なんかを変わってやる所は、ガムラン町で何度か見かけた。
けどひょっとしたら、こうして受付仕事を買って出たのには――
先の狙撃に対しての、謝罪のつもりも有るのかも知れない。
「私の名は――ファローモのファローモです」
名乗る森の主。
「ぎゅぎぎぎぃ?」
鳴く森の主、第二子。
「そーだよ、ぎゅぎぎーだよ♪」
妹を膝に乗せ、かわいがる様子の第一子。
「そろそろ、放して欲しいなぁ――シガミーちゃぁん!?」
だれがシガミーちゃんか。
妹さまに袖口をつかまれ、身動き出来ない様子のレトラ嬢。
また取っ捕まったのか……ふぅ。
こんなのわぁ、どっかで見たことがあるぜ。
ふぉん♪
『>>タター・ネネルドの手に纏わり付く、天ぷら号の尻尾のようです』
そう、ソレだぜ。
仕方がねぇから、椅子を取り出して――ヴッ♪
ストンと座らせてやった。
下手に近づくと森の主の娘たちに、おれまで取っ捕まりかねねぇから――
グルッと回り込んで、机から距離を取り――リオレイニアの背中に隠れる。
「ファローモノファローモ……ええと? ファローモって言うのは種族名よね?」
「どういう綴りかしら?」と、受付仕事の初っぱなから躓く鬼娘。
整った顔に困惑の表情が浮かび、その目が泳ぐ。
「それどこかで、聞いたことありましてよ?」
首を傾け思案する悪逆令嬢。
「ほらジュークが見た景色をっ、ピクトグラムに描いてっ、商会長たちがっ――」
隣に立つジューク村長を、肘で小突く大申女。
「痛い、痛いっ! そっ、それなら覚えてるよ。たしかココに入れたまま――」
村長が脇腹を押さえながら、腰に縛り付けた頭陀袋を、ちょいと開けた。
魔法具箱の縁から引き抜かれたのは、ボロボロになった紙。
「お寄越しなさいなっ!」
それを奪ったロットリンデが、机の上に広げる。
「「「「「「「「「なんだなんだ?」」」」――ららぁん?」」」」」
興味のなさそうな森の主たちと、身動きが取れないレトラ以外。
全員で、二枚並べた紙ぺらの、ボロボロの方を覗き込んだ。
『私はファローモ成体です。
私の子供がフカフ村に療養しに行きます。
私の子供に何かあったらフカフ村まで、
また迎えに行くことになるでしょう……私が
かしこ』
その文面を鬼の娘が、ざっと読み上げた。
「何だぜ、そいつぁ?」「手紙のようですが?」
首を傾げる、おれたち。
「こりゃ、あの時の――」
そんな女将さんの声が、すぐ隣から聞こえた。
「知ってるのか?」
おれはリオレイニアの尻を押し、テーブルに歩み寄る。
「詳しくはわからないけど、たしか森の主の、ご神託さね」
ご神託……そういやウチの女神様は何処だ?
ふぉん♪
『>>茅野姫と一緒に、厨房へ行くと言っていました』
まだ食い足りんのか、彼奴わぁ。
「ふふん小猿、聞いて驚きなさいな。ジュークは何と、神獣森の主の言葉を人の言葉にして書き写せますのよ……そうでしたわよね?」
胸を反らせ威張る悪逆令嬢が、村長を振り返る。
神獣と呼ばれるくらいなら、ご神託くらい寄越すこともあるだろうが――
「ファローモの言葉と言われてもな。普通に話が出来てるじゃぁねぇかよ?」
大人しく椅子に座る、森の主の群れを見た。
「はイ。現状にオいて73パーセントノ正確性ヲ持ッて、音声にヨる意思疎通が図レています」
だろぉ、迅雷もこう言ってるぞ?
「はい、娘を通じて人の言葉を覚えました。いまではこうして直に、話せていますね」
『@』が入った着流しの珍妙な女が、まるで――
人ごとのような口ぶりで、そう説明した。
娘を通じてってのは、恐らくあの――
おれが瞼の裏で〝ファロコと出くわした〟ときの事を、言ってるんだろう。
丁度、おれたちで言うところの、画面の中の梅干し大。
ふぉん♪
『>>はい。私のファイリングシステムや、女神像ネットワークを介した一行表示に似た長距離間通信を、〝森域〟や〝樹界〟というファクターを持つファローモたちは有していると思われ』
うむ、そういう……ことだな……完全にはわからん。
「ティーナさん……商会長が言うには、〝詠唱魔法を方陣結界に翻訳する能力〟らしいよ。使い道は殆どないけどさ」
村長がボロボロの紙を、大事そうに仕舞い込んだ。
「呼・ん・だーぁ?」
ボバボーンとした体つき。
とても、ひ孫が居そうな歳には見えない、女将さんの母親。
大森林において、実質最高権力者らしい――
コッヘル商会商会長さまが、のほへーんと姿を現した。
ガムラン町随一の悪漢……じゃなくて、ご令嬢兼受付嬢が――
一枚の紙切れを懐から、ぺらりと取り出した。
覇気の無い青年が、真っ赤になった顔を背け――
王女殿下が、杓子を振り回し――
眼鏡の女が、下敷きと鉄筆を取り出した。
ここは〝大森林観測村《かんそくむら》④ファローモのお宿|(仮)〟内、女神像の間兼、臨時ギルド出張所。
つまり、女神像が有る地下通路部屋に、椅子と机を並べただけの場所だ。
「あっ、ちょっと――!?」
紙を後ろから、ひょいと掠め取るのは、名物受付嬢オルコトリア。
ガムラン姫ともども、わざわざ受付嬢の制服に着替えている。
『冒険依頼書/冒険者ギルドガムラン町支部
/受付担当者:リカルル・R・K■』
冒険依頼書には受付嬢の署名が既に書き込まれていて、コントゥル家の紋章印まで押してあった。
「では私が代筆させていただきますね――お名前をうかがっても?」
静かな物腰。近頃は〝ギルドの建物を壊す方〟として有名だが――
元々此奴は、仕事が出来て分別もあり、体格が良くて顔まで良い。
おれやレイダに狩りの仕方を教えてくれたりと、心根も優しいとくれば――
正に名物受付嬢と呼ばれるに、相応しいだろう。
ふぉん♪
『>>有り余る怪力と天狗に対する執着と、〝上空からの攻撃に過剰に反応すること〟を除けば、至って優秀なギルド職員です。冒険者としての名声も〝聖剣切りの閃光〟へ所属したこともあり、上々のようですし』
うん、全部ひっくるめても……オルコは良い奴だ。
跳ねっ返りのお目付役として小言を言いつつ、書類仕事なんかを変わってやる所は、ガムラン町で何度か見かけた。
けどひょっとしたら、こうして受付仕事を買って出たのには――
先の狙撃に対しての、謝罪のつもりも有るのかも知れない。
「私の名は――ファローモのファローモです」
名乗る森の主。
「ぎゅぎぎぎぃ?」
鳴く森の主、第二子。
「そーだよ、ぎゅぎぎーだよ♪」
妹を膝に乗せ、かわいがる様子の第一子。
「そろそろ、放して欲しいなぁ――シガミーちゃぁん!?」
だれがシガミーちゃんか。
妹さまに袖口をつかまれ、身動き出来ない様子のレトラ嬢。
また取っ捕まったのか……ふぅ。
こんなのわぁ、どっかで見たことがあるぜ。
ふぉん♪
『>>タター・ネネルドの手に纏わり付く、天ぷら号の尻尾のようです』
そう、ソレだぜ。
仕方がねぇから、椅子を取り出して――ヴッ♪
ストンと座らせてやった。
下手に近づくと森の主の娘たちに、おれまで取っ捕まりかねねぇから――
グルッと回り込んで、机から距離を取り――リオレイニアの背中に隠れる。
「ファローモノファローモ……ええと? ファローモって言うのは種族名よね?」
「どういう綴りかしら?」と、受付仕事の初っぱなから躓く鬼娘。
整った顔に困惑の表情が浮かび、その目が泳ぐ。
「それどこかで、聞いたことありましてよ?」
首を傾け思案する悪逆令嬢。
「ほらジュークが見た景色をっ、ピクトグラムに描いてっ、商会長たちがっ――」
隣に立つジューク村長を、肘で小突く大申女。
「痛い、痛いっ! そっ、それなら覚えてるよ。たしかココに入れたまま――」
村長が脇腹を押さえながら、腰に縛り付けた頭陀袋を、ちょいと開けた。
魔法具箱の縁から引き抜かれたのは、ボロボロになった紙。
「お寄越しなさいなっ!」
それを奪ったロットリンデが、机の上に広げる。
「「「「「「「「「なんだなんだ?」」」」――ららぁん?」」」」」
興味のなさそうな森の主たちと、身動きが取れないレトラ以外。
全員で、二枚並べた紙ぺらの、ボロボロの方を覗き込んだ。
『私はファローモ成体です。
私の子供がフカフ村に療養しに行きます。
私の子供に何かあったらフカフ村まで、
また迎えに行くことになるでしょう……私が
かしこ』
その文面を鬼の娘が、ざっと読み上げた。
「何だぜ、そいつぁ?」「手紙のようですが?」
首を傾げる、おれたち。
「こりゃ、あの時の――」
そんな女将さんの声が、すぐ隣から聞こえた。
「知ってるのか?」
おれはリオレイニアの尻を押し、テーブルに歩み寄る。
「詳しくはわからないけど、たしか森の主の、ご神託さね」
ご神託……そういやウチの女神様は何処だ?
ふぉん♪
『>>茅野姫と一緒に、厨房へ行くと言っていました』
まだ食い足りんのか、彼奴わぁ。
「ふふん小猿、聞いて驚きなさいな。ジュークは何と、神獣森の主の言葉を人の言葉にして書き写せますのよ……そうでしたわよね?」
胸を反らせ威張る悪逆令嬢が、村長を振り返る。
神獣と呼ばれるくらいなら、ご神託くらい寄越すこともあるだろうが――
「ファローモの言葉と言われてもな。普通に話が出来てるじゃぁねぇかよ?」
大人しく椅子に座る、森の主の群れを見た。
「はイ。現状にオいて73パーセントノ正確性ヲ持ッて、音声にヨる意思疎通が図レています」
だろぉ、迅雷もこう言ってるぞ?
「はい、娘を通じて人の言葉を覚えました。いまではこうして直に、話せていますね」
『@』が入った着流しの珍妙な女が、まるで――
人ごとのような口ぶりで、そう説明した。
娘を通じてってのは、恐らくあの――
おれが瞼の裏で〝ファロコと出くわした〟ときの事を、言ってるんだろう。
丁度、おれたちで言うところの、画面の中の梅干し大。
ふぉん♪
『>>はい。私のファイリングシステムや、女神像ネットワークを介した一行表示に似た長距離間通信を、〝森域〟や〝樹界〟というファクターを持つファローモたちは有していると思われ』
うむ、そういう……ことだな……完全にはわからん。
「ティーナさん……商会長が言うには、〝詠唱魔法を方陣結界に翻訳する能力〟らしいよ。使い道は殆どないけどさ」
村長がボロボロの紙を、大事そうに仕舞い込んだ。
「呼・ん・だーぁ?」
ボバボーンとした体つき。
とても、ひ孫が居そうな歳には見えない、女将さんの母親。
大森林において、実質最高権力者らしい――
コッヘル商会商会長さまが、のほへーんと姿を現した。
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スター・スフィア-異世界冒険はお喋り宝石と共に-
黒河ハル
ファンタジー
——1つの星に1つの世界、1つの宙《そら》に無数の冒険——
帰り道に拾った蒼い石がなんか光りだして、なんか異世界に飛ばされた…。
しかもその石、喋るし、消えるし、食べるしでもう意味わからん!
そんな俺の気持ちなどおかまいなしに、突然黒いドラゴンが襲ってきて——
不思議な力を持った宝石たちを巡る、異世界『転移』物語!
星の命運を掛けた壮大なSFファンタジー!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~
蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。
情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。
アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。
物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。
それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。
その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。
そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。
それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。
これが、悪役転生ってことか。
特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。
あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。
これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは?
そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。
偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。
一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。
そう思っていたんだけど、俺、弱くない?
希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。
剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。
おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!?
俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。
※カクヨム、なろうでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる