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5:大森林観測村VSガムラン町

698:料理番の本懐、大洪水とロォグ召喚

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 がたごとん――カチカチチカチ、ピピプー♪
 がたごとん――カチカチチカチ、ピピプー♪
 がたごとん――カチカチチカチ、ピピプー♪
 倉庫そうこほうが、うるせぇな。

「(迅雷ジンライ酢蛸ぉSDKわぁ、ちゃんと二個手にこてはいったんだろぅ?)」
 すぽん――やっとこのような巨大鋏きょだいばさみはさまれ、きずが付いた太刀たち仕舞しまう。

 そして虎型ふく背中辺せなかまわりの毛皮けがわを、ぎゅっと引っ張った。
 ウニョニョ――機械腕式きかいうでしき剣帯そいつ包丁二本ほうちょうにほんを、しっかりと持たせつつ――
 迅雷ジンライを問いただす。

 左右さゆう水平すいへいに持たせ、うしろ手で抜けるようにした。
 これなら間髪入かんぱついれずに、包丁ほうちょうかにとどめを刺せる。
 指輪ゆびわ腕輪うでわ使つかって出し入れも出来できるが、そうしないのは――
 あまりにもはやく手をうごかしたときに、つかみそこなう危険きけんがあるからだ。

「(はい。ですが、いざ組み合わせてみると、SDKエスディーケーとしては使用出来しようできず――岩塩がんえんで有ることが確定かくていしまし)」
 なんだと!?
 最初さいしょひとつ、五百乃大角いおのはらが受け取ったやつもぉ、使つかえねぇのかぁ!?
「(最初さいしょのもぉかじったら、しょっぱかったわよん)」
 馬鹿野郎ばかやろうさまめ、そいつをさきに言えやぁ!

「(粉砕ふんさいされた岩塩がんえんは、現在げんざい37個。おにぎりの収納魔法具しゅうのうまほうぐばこから、あとひとSDKエスディーケー入手にゅうしゅしなければ、女神像めがみぞう建立こんりゅうすることが出来できませ)」
 そんなことを言われたところで、おれに出来できることわぁ――
 変わらぬわけだがぁ――ヴッ♪
 修理しゅうりし、取り出した太刀たちを、もう一度いちど――
 こし機械腕なつげに、ニョキリと持たせた。

「にゃぎゃにゃぁー
 ぼごん――バキャッ!
 かにに向かってたたき付けられた、三角形がんえんが割れた。
 また外れ・・か。
 かに外れしおばかり、れてやりやがって!
 箱の中せなかに詰めたものくらい、ちゃんと選り分けられる・・・・・・・ようにしとけやぁ!

 それにしても本当ほんとうにぃ、岩塩しおばかりだなぁっ!?
 元々もともと表面ひょうめんかわいてしろっぽくて――
 岩塩がんえんと、そう見分みわけが付かん程度ていどにわぁ、風化ふうかしてたが――
 おにぎりにわぁ、岩塩しお酢蛸SDK区別くべつが――
 取り出してみねぇと・・・・・・・・・、わからんらしい。

 ふぉん♪
『>>INTタレットである私と比べるのは、酷かと。強化服自律型おにぎり一号は、まだ生後ひと月半ですので』
 んぅー? おにぎりをつくったのわぁ、祭りフェスタまえだろぉ――?
 まだ、一月半そんなもんかぁ?

「(ウケケケッ♪ あたくしさまにも〝かじってみるまでわからない〟くらいだものっ――無理むりも無いわよ
 なんだと。神を名乗る物がソレで良いのかぁ?
 ふぉん♪
『イオノ>>迅雷が演算単位〝100〟だとしたら、今のおにぎりが〝1・4〟で、あたくしさまが〝30〟の差よねぇん♪』
 ぬ、おれが轟雷ゴウライを着たら〝20〟になる勘定やつだな?

「(そうですね。一度いちどすべてのSDKエスディーケーわたし回収かいしゅうすれば、岩塩がんえん選別せんべつ一瞬いっしゅんで済むとおも)」
 なら最初はなっからぁ、そーうーしーろーやぁー!
 神々こいつらにはみょうに、間の抜けたところがある。

 ガサッ――ガチャカチャカチャ!!
 岩塩はずれの当たりどころが、気に入らなかったのか――
 かにが目にも留まらぬはやさで、岩穴いわあなから飛び出してきた!

 おどろいたおにぎりが、くだかれ散蒔ばらまかれた岩塩がんえんで――ぽぎゅりーん♪
 盛大せいだいに素っころんだ!
 強化服シシガニャンあたまを地に打ちつける、生後間せいごまもない黄緑色きみどりいろ

 ガチャカチャカチャ!!
 ガチャカチャカチャ!!
 岩穴いわあなから一斉いっせいに飛び出てきた、数匹すうひきかにに――
 ガチガチッ、ガッチィィン!
 ガチガチッ、ガッチィィン!

「みゃぎゃにゃにゃぁ――!?
 ついばまれ、ジタバタと藻掻もが黄緑色きみどりいろ
 あのかにの群れのなかに、斬り込むのは、ちとはばかられ――

 どどっどったっ、どどっどったっ!
 どどっどったっ、どどっどったっ!
「くっきゃぉるるるるるぁぁ――――!!!」
 そんな雄叫おたけびが、一瞬いっしゅん耳元みみもとせまった!

「グゲゲゲゲゲゲゲッ――――♪」
 黄緑色おにぎりに突き込まれた蟹鋏かにばさみを、片足かたあしとがった爪先つまさきで――
 ギリギリとつかみ、引き剥がす風神ふうじん

「(あら、やるわねん――さすが、野生やせい恐竜モドキ・・・・・わよっ)」
 ヴュザッ――風神ふうじんかぶとなか女神像台座めがみぞうだいざに乗る、女神像いおのはら御神体ごしんたい
 その丸芋いもだか丸茸きのこだか、わからんかおが、画面がめんすみあらわれた!

「(強化服きょうかふく自律型じりつがたおにぎり一号いちごうを、僚機りょうきとして認識にんしきしたようで)』
 わからん、どーいう?

 ふぉん♪
『ヒント>>僚機/任務中の同僚が操縦する航空機。』
 ふぅん、〝航空機なんたら〟てのわぁ知らんがぁ――
 ようするに……味方みかたってことだな?

 猪蟹屋ししがにや用心棒ようじんぼうとして、ちょう心強こころづよいぜ。
 そして、お前らさまよぉ、折角来せっかくきたんだ。
 おにぎりを背中せなか魔法具箱まほうぐばこごと、持ってけやぁ!

 ドッゴガァァッァアンッ!
 風神ふうじんに蹴り飛ばされたかにが、ひっくりかえった。
 よーく見りゃぁ、そいつぁ――
 ほかかによりひとまわ回り、でかかった。

 色味いろみが真っさおで、甲羅からだよりも巨大きょだいはさみには――
 おおきくするどとげまで、生えてやがる。

「よし、でかした! いまのうちに、仕留しとめちま――」
 じたばたと、あしはさみうごめかせ――
 ガチャガシャッ――ドッシャァンッ!!!
 ひっくりかえったからだを、自分じぶんで起こした!

「ギュギチブクブク、ギュギチブクブク、ギュギチブクブク♪」
 そして一際大ひときわおおきな、鳴きごえを上げた。

   §

ぷはぁっぷはにゃ!? お前ら無事かぁっにゃがぎゃにゃぁ――ニャァ!?」
 青蟹あおがにはなったのは、さまかの大洪水だいこうずい

「みゃぎゃにゃぎゃー
 水面みなもに浮き、ながされる強化服おれたち。

「グゲゲッゲグゲッ、クケケケェー!?」
「(イオノファラーを、紛失ふんしつしました!)」
「ちょっと、ごぼがば!? (はやくたすけなさいわよっ)――ごぼぼ、ぶくぶく
 大水おおみずは直ぐにながれ去り、おれたちは倉庫前そうこまえまで押しもどされた!

   §

「にゃぁ!? かににゃ? いまかにって言ったミャ♪」
 此処ここ倉庫そうこ。濡れた一切合切いっさいがっさいかわいたころ――
 そんなこえに振りかえる。
 すると、女神像めがみぞう背中せなかからかおを出す――
 お猫さまケットーシィ姿すがた

「ふぅ、やっと来たかぁ。お猫さまロォグやぁい」
 待ちに、待ちかねたぞ。

 ふぉん♪
『イオノ>>猫ドアが完成したわよ。プロジェクションBOTを四つ同時に、完全に静止させないといけないから、大変だけど♪』
 ギルドの通路奥つうろおくに、かならずある女神像めがみぞう
 れとおなかたちの、背中せなかはこ

 建てたばかりの女神像そこから、おねこさまの、ひょろながからだ生えていた・・・・・
 元から猫わぁ、体が長げぇがぁ――
 今は転移扉を通り抜けている最中で、より長く見える。
 つまりすこし、気持きもちがわりぃ。

 だがぁ、たしかにぃ、このちいせぇあなでもぉ、猫一匹なら・・・・・――
 余裕よゆうで、くぐり抜けられるな。

 六角形・・・はこ四隅・・に、五百乃大角いおのはら浮かぶプロジェクションBOTが――
 よっならんでて、その隙間すきまから――
 五百乃大角いおのはらの小せぇあしが、飛び出してやがる。

「やぁ、シガミー。無事ぶじなによりだニャ――けど、そんなことより、いまかにって言ったミャ!?」
 しゅるんと女神像めがみぞう背中せなかを、四つ足・・・のぼりきる魔法具の妖精ケットーシィ
 その黒目ひとみが明かりの魔法具まほうぐに照らされ、はりのようにほそくなった。

かにが……好きなのか?」
 のどをゴロゴロと鳴らして、ちょううるせぇ。

「あれ? ねこちゃんってさぁ、かにわぁ駄目・・じゃ無かったっけ
 根菜めがみさまは、まだはこに突き刺さったままだ。

「にゃやー、かに苦手にがてねこなんて……〝ヴァロルフォグル・オルネコー〟くらいだニャーン♪」
 ゴロゴロゴロロロッ――うーるせーぇー、ニャーン!

 〝ねこなかねこ〟って意味いみのその名は、良い意味・・・・じゃ……なかったのか?
 「はーっ、やれやれ、まったく」みたいなかんじに、聞こえたぞ?

「(そういうことならぁ、あの特大蟹・・・たおして来ちゃってよん――もうばんご飯のぉ、時間じかんでぇえぇすぅよぉぅ)」
 うるせぇ、ちいさなあしをジタバタすんな。
 まだまだそとは、あかるい時分じぶんだったろぉが?

「みゃぎゃぎゃぎゃぁー
 まどから岩壁いわかべを見ると、おにぎりが巨大きょだいかにに――
 ばごぉん――ぼっごぉぉん!
 岩塩しおを、投げつけている。

 ふぉん♪
『>>ネコ科における蟹は、食事として与えるには、あまり適していないとされています』
 そうなの?
 ふぉん♪
『ヒント>>猫科における蟹食/加熱し、少量ずつなら可能【地球大百科事典】』
 そうなのか?

「(なら、ビステッカと約束やくそくしてた、アレ・・つくってみても、良いかもなぁ――)」
 あの女神像めがみぞう小窓こまどからでも、料理めしを乗せたさらくらいなら――
 ロコロ村むこうへ、とどけられるだろ。
 だが、そのためには、食材しょくざいをもっと――

僧兵猪蟹そうへいししがに虎鶫隊隊長とらつぐみたいたいちょう、いざまいる!」
 相手あいてにとって、不足ふそくはねぇ――ウカカカッ♪
 あのちょうでけぇかにを、仕留しとめめてやる。

 ヴヴッ――ガララァン♪
 この洞窟どうくつにも、かににも慣れたから――
 虎型とらがたは無しだ。
 鉄下駄てつげた太刀たち使つかう。

「ござるだー♪」
 とおくから、生意気なまいき子供こどもこえが聞こえてきた。
 大方おおかた此方こっち様子ようすロコロ村むこうでも、見られるようにしたんだろぉがぁぁ――
 うーるーせーぇー。
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