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5:大森林観測村VSガムラン町
691:既存エリアへの帰還、経文とロックオンマーカー
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「ザザヴュ――ぶっせつまーかーはんにゃーはーらーみーたーしーんぎょーうー――ニャァ♪――」
ウカカカカッ、経文を読むのも久々だが――
一息吸い、口を開けば――勝手に読む。
『◇』――村人の一人に印が付いた。
「ザザッ――かんじーざいぼーさーぎょうじんはんにゃーはーらーみーたーじー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――
現れ繋がる目印。
「ザッ――しょうけんごーうんかいくーどーいっさいくーやく――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』
三個目と一個目を繋ぐ光の紐が――ぐるんと入れ替わる。
「ヴュザッ――しゃーりーしーしきふーいーくうくうふーいーしきしきそくぜーくう――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』
次は二番目と三番目が、入れ替わった。
「ザッ――くうそくぜーしきじゅーそうぎょうしきやくぶーにょーぜー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』
三番目と五番目が、入れ替わったぞ。
「ヴザッ――しゃーりーしーぜーしょうほうくうそうふーしょうふーめつふーくーふーじょう――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』
次々と、入れ替り立ち替り――
より短い紐で結ばれていく、村人たち。
「ザザザッ――ふーぞうふーげんぜーこーくうちゅうむーしきむーじゅーそうぎょうしきむーげんにーびー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』
時々、村人たちの輪郭や◇が、揺れるが――
「ザッ――ぜっしんいーむーしきしょうこうみーそくほうむーげんかいないしー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』
もう村人だか鳥だかの声は、まるで聞こえん。
「ザァッ――むーいーしきかいむーむーみょうやくむーむーみょうじんないしーむーろうしー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』――『◇⁹』
ただでさえ大声で通っていた、おれと――
「ザザッ――やくむーろうしーじんむーくーしゅうめつどうむーちーやくむーとく――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』――『◇⁹』――『◇¹⁰』
経文で張り合うなんざ――
「ザヒュッ――いーむーしょーとっこーぼーだいさったーえーはんにゃーはーらーみーたーこー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』――『◇⁹』――『◇¹⁰』――『◇¹¹』
40年早ぇ――!
「ザザザザーッ――しんむーけーげーむーけーげーこーむーうーくーふーおんりーいっさい――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』――『◇⁹』――『◇¹⁰』――『◇¹¹』――『◇¹²』
「グッゲゲゲッゲゲグゲゲゲゲゲッグゲゲゲゲッ!?!?」
悪ぃなぁ風神、もう少し、じっとしててくれやぁ!
今動くと、折角揃えた手前の声が――散けちまう。
「ザザッ――てんどうむーそうくーぎょうねーはんさんぜーしょーぶつえーはんにゃーはーらーみーたーこー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』――『◇⁹』――『◇¹⁰』――『◇¹¹』――『◇¹²』――『◇¹³』
「みゃぎゃぎゃにゃやぁー、にゃーにゃーぎゃー!?!?」
うん、うるせぇ。悪ぃがぁ、もう一絡まりしとけやぁ!
今動くと、この森の場の固有振動数が――散けちまうだろぅが。
「ザァァッ――とくあーのくたーらーさんみゃくさんぼーだいこーちーはんにゃーはーらーみーたー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』――『◇⁹』――『◇¹⁰』――『◇¹¹』――『◇¹²』――『◈¹³』――『◈¹⁴』
めまぐるしく動く、目印を繋ぐ紐。
何だか――形が、人の目玉に見えてきたぜ。
「ザッ――ぜーだいじんしゅぜーだいみょうしゅぜーむーじょうーしゅぜーむーとうとうしゅ――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』――『◇⁹』――『◇¹⁰』――『◇¹¹』――『◇¹²』――『◇¹³』――『◇¹⁴』――『◇¹⁵』
ウカカカカッ――――たまには経文を読むのも、良いやな。
「ザヒュッ――のうじょーいっさいくーしんじつふーこーこーせつはんにゃーはーらーみーたーしゅー――ニャァ♪――」
『◈¹』――『◈²』――『◈³』――『◈⁴』――『◈⁵』――『◈⁶』――『◈⁷』――『◈⁸』――『◈⁹』――『◈¹⁰』――『◈¹¹』――『◈¹²』――『◈¹³』――『◈¹⁴』――『◈¹⁵』――『◈¹⁶』
小刻みに蠢く、目玉たちと――
目が合った!
「ザァッ――そくせつしゅーわつぎゃーてーぎゃーてーはーらーぎゃーてーはらそうぎゃーてー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』――『◇⁹』――『◇¹⁰』――『◇¹¹』――『◇¹²』――『◇¹³』――『◇¹⁴』――『◇¹⁵』――『◇¹⁶』――『◇¹⁷』
ちぃとぉ、足りなかったかぁ――?
「ザザヴゥッ――ぼーじーそわかーはんにゃーしーんぎょーうー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』――『◇⁹』――『◇¹⁰』――『◇¹¹』――『◇¹²』――『◇¹³』――『◇¹⁴』――『◇¹⁵』――『◇¹⁶』――『◇¹⁷』――『ぐ』
像を結んだ敵影は、17と半分!
「ザザザザッ――滅せよっ!――ニャァ♪――」
ヴォュワワワワァァァン!
紐がたわみ、残りの全ての像を形作る!
『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』
◇が一斉に回転し、□アイコンに切り替わった!
ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァァァァァァァァァン――――――――♪
肩口から伝わる、振動!
鬱蒼と茂る木々の枝。
それを躱し、天高くへ撃ち出されたのは――
対人用近接信管付きの、小さな筒。
それは全て命中し、村人を一網打尽にした。
ーーー
仏説摩訶般若波羅蜜多心経/
こいつぁ〝在ること〟を説く経文だぜ。
観自在菩薩行深般若波羅蜜多時/
観音様が〝自分が存在することの真実〟を伝えるんだぜ。
照見五蘊皆空度一切苦厄/
この心と体の何処にも、自分なんて物は存在しねぇ、けど其れが良い!
舎利子色不異空空不異色色即是空/
弟子め、よーく聞いとけよ。まず体は物の粒が集まって出来ただけのもんだぜ。体だけじゃなくて全ての物に実体は無ぇ、そいつを「空」って呼ぶことにするぞ。
存在てのは詰まる所「空」だ。実体がねぇからこそ姿を変え、初めて形を持てる。
空即是色受想行識亦復如是/
物は絶えず移り変わり、様々な姿形を見せるぞ。そしてそいつぁ、心にも当てはまる。心と体を、お前は持っちゃいるが、それは移り変わり不変の自分なんて存在しねぇ。お前が〝自分〟と考えているものは一時の物で、その状態は直ぐに移り変わる。つまり「空」だ。
舎利子是諸法空相不生不滅不垢不浄/
弟子め、この世の在り方に驚いたか? 今はわからんままで良いが、真実を見抜くことを諦めるなよ。全てが空とわかったら、見える物もある。命は生まれて死ぬ訳じゃなくて、元から在った小せぇ物が集まって、命の形になる。言ってみりゃ〝存在〟てのは、変化でしかねぇ。その変化の繰り返しは「無常」って呼ぶことにするぞ。〝存在〟は変化するだけで、生き死にも、綺麗も汚ぇもねぇ。
不増不減是故空中無色無受想行識無眼耳/
〝存在〟は変化するだけで、増えも減りもしねぇぞ。物も心も、この世に間借りしているだけだし、それでしか〝存在〟することは出来ないんだぜ。見る物、聞く物全てに、不変のものは無い。
鼻舌身意無色声香味触法無眼界乃至/
もちろん嗅いだ匂いや、食った味わい。物を触って考える、お前の心まで全てが「空」だぜ。自分が感じたものは現、そのものじゃねぇ。それもまた「空」だ。
無意識界無無明亦無無明尽乃至無老死/
現を感じることで生まれる〝存在〟。それは間違った考えだ。正しい考えとは「空」だからな。間違った考えは「苦しみ」を生むぞ。どんなにあるように見えても全ては無い、「空」だ。だから老いも死も無く、「空」が形をそう変えただけだ。
亦無老死尽無苦集滅道無智亦無得/
老いも死も無い、「空」が老いと死の形を取っただけなんだぜ。だから「苦しみ」も無い。無いものは無くす方法が無いからな。だからといって頭の中で考えりゃ、全てが済んじまうとは考えるなよ。
以無所得故菩提薩埵依般若波羅蜜多故/
嘘偽りの無い本当のことは、頭で考えても得られないぞ。ややこしい上に、〝無い出来ない〟、〝全てが「空」だ〟と面白くねぇことばかりだが、〝在る〟と考える事は間違ってる以上、こう言うより他はねぇ、「全ては無ぇ」。
心無罣礙無罣礙故無有恐怖遠離一切/
自分も無く、世界も無ぇのは、〝分け隔てる〟物が取っ払われて気分が良いぞ。わだかまらず、恐れも無い。手前の体は手前で動かしてると思い込んでいるだろう? その体は考えるより先に息をし、血を巡らせているだろうが。
顛倒夢想究竟涅槃三世諸仏依般若波羅蜜多故/
無い自分を「在る」と思い込んで、自分の物だと思っている。その考えを手放せば、心は楽になるぜ。この「空」の真実を知るものは、心に波が立つことは無いぜ。「空」の悟りを得た者、真実に目覚めた者を「仏」と言うんだ。
得阿耨多羅三藐三菩提故知般若波羅蜜多/
悟りを得るのに仏徒である必要はねぇ、誰の前にも真実は姿を見せているぞ。だから存在の真実を見抜く、「般若波羅蜜多」という知恵は大事なもんだぜ。
是大神呪是大明呪是無上呪是無等等呪/
人は生きる上で、自身という存在の意味を知るだろう。その真実に気づく知恵は、平等でこの上なく尊い物なんだぜ。
能除一切苦真実不虚故説般若波羅蜜多呪/
繰り返すが良く聞けや、「全ては空だぜ」。それを知るなら、本当は存在していない自分の苦しみなんて、「空」に決まっとるだろうが。痛みや渇きは消えなくとも「苦」を理由に「苦」する謂れはねぇぞ。そして最後だ、さっき言った「般若波羅蜜多」という知恵を教えとくぞ。
即説呪曰羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦/
おれの前世の言葉でも無く、妖弧やニゲルやロットリンデや五百乃大角の生まれ育った時代の言葉でも無く、古い言葉のまま読んでくれや。意味はわからんままでも、敬う心で読んでくれ。
「ギャーテーギャーテー、ハーラーギャーテー、ハラソーギャーテー――」
菩提薩婆訶般若心経/
「――ボウジーソワカー」
般若心経の教えは此処までだぜ、生きて悟れやぁ!
※諸説あります。ちなみに作者は「宗教」とは、良くも悪くも「生活」であると考えます。幸せになるなら有れば良いし、不幸になるなら無くてよいかと。
※余り深く理解しないまま執筆しています。ご容赦下さいませ(_ _)
※この話数を執筆するにあたり、沢山のウェブサイトを参考にさせて頂きました、感謝。
ウカカカカッ、経文を読むのも久々だが――
一息吸い、口を開けば――勝手に読む。
『◇』――村人の一人に印が付いた。
「ザザッ――かんじーざいぼーさーぎょうじんはんにゃーはーらーみーたーじー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――
現れ繋がる目印。
「ザッ――しょうけんごーうんかいくーどーいっさいくーやく――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』
三個目と一個目を繋ぐ光の紐が――ぐるんと入れ替わる。
「ヴュザッ――しゃーりーしーしきふーいーくうくうふーいーしきしきそくぜーくう――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』
次は二番目と三番目が、入れ替わった。
「ザッ――くうそくぜーしきじゅーそうぎょうしきやくぶーにょーぜー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』
三番目と五番目が、入れ替わったぞ。
「ヴザッ――しゃーりーしーぜーしょうほうくうそうふーしょうふーめつふーくーふーじょう――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』
次々と、入れ替り立ち替り――
より短い紐で結ばれていく、村人たち。
「ザザザッ――ふーぞうふーげんぜーこーくうちゅうむーしきむーじゅーそうぎょうしきむーげんにーびー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』
時々、村人たちの輪郭や◇が、揺れるが――
「ザッ――ぜっしんいーむーしきしょうこうみーそくほうむーげんかいないしー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』
もう村人だか鳥だかの声は、まるで聞こえん。
「ザァッ――むーいーしきかいむーむーみょうやくむーむーみょうじんないしーむーろうしー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』――『◇⁹』
ただでさえ大声で通っていた、おれと――
「ザザッ――やくむーろうしーじんむーくーしゅうめつどうむーちーやくむーとく――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』――『◇⁹』――『◇¹⁰』
経文で張り合うなんざ――
「ザヒュッ――いーむーしょーとっこーぼーだいさったーえーはんにゃーはーらーみーたーこー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』――『◇⁹』――『◇¹⁰』――『◇¹¹』
40年早ぇ――!
「ザザザザーッ――しんむーけーげーむーけーげーこーむーうーくーふーおんりーいっさい――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』――『◇⁹』――『◇¹⁰』――『◇¹¹』――『◇¹²』
「グッゲゲゲッゲゲグゲゲゲゲゲッグゲゲゲゲッ!?!?」
悪ぃなぁ風神、もう少し、じっとしててくれやぁ!
今動くと、折角揃えた手前の声が――散けちまう。
「ザザッ――てんどうむーそうくーぎょうねーはんさんぜーしょーぶつえーはんにゃーはーらーみーたーこー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』――『◇⁹』――『◇¹⁰』――『◇¹¹』――『◇¹²』――『◇¹³』
「みゃぎゃぎゃにゃやぁー、にゃーにゃーぎゃー!?!?」
うん、うるせぇ。悪ぃがぁ、もう一絡まりしとけやぁ!
今動くと、この森の場の固有振動数が――散けちまうだろぅが。
「ザァァッ――とくあーのくたーらーさんみゃくさんぼーだいこーちーはんにゃーはーらーみーたー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』――『◇⁹』――『◇¹⁰』――『◇¹¹』――『◇¹²』――『◈¹³』――『◈¹⁴』
めまぐるしく動く、目印を繋ぐ紐。
何だか――形が、人の目玉に見えてきたぜ。
「ザッ――ぜーだいじんしゅぜーだいみょうしゅぜーむーじょうーしゅぜーむーとうとうしゅ――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』――『◇⁹』――『◇¹⁰』――『◇¹¹』――『◇¹²』――『◇¹³』――『◇¹⁴』――『◇¹⁵』
ウカカカカッ――――たまには経文を読むのも、良いやな。
「ザヒュッ――のうじょーいっさいくーしんじつふーこーこーせつはんにゃーはーらーみーたーしゅー――ニャァ♪――」
『◈¹』――『◈²』――『◈³』――『◈⁴』――『◈⁵』――『◈⁶』――『◈⁷』――『◈⁸』――『◈⁹』――『◈¹⁰』――『◈¹¹』――『◈¹²』――『◈¹³』――『◈¹⁴』――『◈¹⁵』――『◈¹⁶』
小刻みに蠢く、目玉たちと――
目が合った!
「ザァッ――そくせつしゅーわつぎゃーてーぎゃーてーはーらーぎゃーてーはらそうぎゃーてー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』――『◇⁹』――『◇¹⁰』――『◇¹¹』――『◇¹²』――『◇¹³』――『◇¹⁴』――『◇¹⁵』――『◇¹⁶』――『◇¹⁷』
ちぃとぉ、足りなかったかぁ――?
「ザザヴゥッ――ぼーじーそわかーはんにゃーしーんぎょーうー――ニャァ♪――」
『◇¹』――『◇²』――『◇³』――『◇⁴』――『◇⁵』――『◇⁶』――『◇⁷』――『◇⁸』――『◇⁹』――『◇¹⁰』――『◇¹¹』――『◇¹²』――『◇¹³』――『◇¹⁴』――『◇¹⁵』――『◇¹⁶』――『◇¹⁷』――『ぐ』
像を結んだ敵影は、17と半分!
「ザザザザッ――滅せよっ!――ニャァ♪――」
ヴォュワワワワァァァン!
紐がたわみ、残りの全ての像を形作る!
『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』――『□』
◇が一斉に回転し、□アイコンに切り替わった!
ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァァァァァァァァァン――――――――♪
肩口から伝わる、振動!
鬱蒼と茂る木々の枝。
それを躱し、天高くへ撃ち出されたのは――
対人用近接信管付きの、小さな筒。
それは全て命中し、村人を一網打尽にした。
ーーー
仏説摩訶般若波羅蜜多心経/
こいつぁ〝在ること〟を説く経文だぜ。
観自在菩薩行深般若波羅蜜多時/
観音様が〝自分が存在することの真実〟を伝えるんだぜ。
照見五蘊皆空度一切苦厄/
この心と体の何処にも、自分なんて物は存在しねぇ、けど其れが良い!
舎利子色不異空空不異色色即是空/
弟子め、よーく聞いとけよ。まず体は物の粒が集まって出来ただけのもんだぜ。体だけじゃなくて全ての物に実体は無ぇ、そいつを「空」って呼ぶことにするぞ。
存在てのは詰まる所「空」だ。実体がねぇからこそ姿を変え、初めて形を持てる。
空即是色受想行識亦復如是/
物は絶えず移り変わり、様々な姿形を見せるぞ。そしてそいつぁ、心にも当てはまる。心と体を、お前は持っちゃいるが、それは移り変わり不変の自分なんて存在しねぇ。お前が〝自分〟と考えているものは一時の物で、その状態は直ぐに移り変わる。つまり「空」だ。
舎利子是諸法空相不生不滅不垢不浄/
弟子め、この世の在り方に驚いたか? 今はわからんままで良いが、真実を見抜くことを諦めるなよ。全てが空とわかったら、見える物もある。命は生まれて死ぬ訳じゃなくて、元から在った小せぇ物が集まって、命の形になる。言ってみりゃ〝存在〟てのは、変化でしかねぇ。その変化の繰り返しは「無常」って呼ぶことにするぞ。〝存在〟は変化するだけで、生き死にも、綺麗も汚ぇもねぇ。
不増不減是故空中無色無受想行識無眼耳/
〝存在〟は変化するだけで、増えも減りもしねぇぞ。物も心も、この世に間借りしているだけだし、それでしか〝存在〟することは出来ないんだぜ。見る物、聞く物全てに、不変のものは無い。
鼻舌身意無色声香味触法無眼界乃至/
もちろん嗅いだ匂いや、食った味わい。物を触って考える、お前の心まで全てが「空」だぜ。自分が感じたものは現、そのものじゃねぇ。それもまた「空」だ。
無意識界無無明亦無無明尽乃至無老死/
現を感じることで生まれる〝存在〟。それは間違った考えだ。正しい考えとは「空」だからな。間違った考えは「苦しみ」を生むぞ。どんなにあるように見えても全ては無い、「空」だ。だから老いも死も無く、「空」が形をそう変えただけだ。
亦無老死尽無苦集滅道無智亦無得/
老いも死も無い、「空」が老いと死の形を取っただけなんだぜ。だから「苦しみ」も無い。無いものは無くす方法が無いからな。だからといって頭の中で考えりゃ、全てが済んじまうとは考えるなよ。
以無所得故菩提薩埵依般若波羅蜜多故/
嘘偽りの無い本当のことは、頭で考えても得られないぞ。ややこしい上に、〝無い出来ない〟、〝全てが「空」だ〟と面白くねぇことばかりだが、〝在る〟と考える事は間違ってる以上、こう言うより他はねぇ、「全ては無ぇ」。
心無罣礙無罣礙故無有恐怖遠離一切/
自分も無く、世界も無ぇのは、〝分け隔てる〟物が取っ払われて気分が良いぞ。わだかまらず、恐れも無い。手前の体は手前で動かしてると思い込んでいるだろう? その体は考えるより先に息をし、血を巡らせているだろうが。
顛倒夢想究竟涅槃三世諸仏依般若波羅蜜多故/
無い自分を「在る」と思い込んで、自分の物だと思っている。その考えを手放せば、心は楽になるぜ。この「空」の真実を知るものは、心に波が立つことは無いぜ。「空」の悟りを得た者、真実に目覚めた者を「仏」と言うんだ。
得阿耨多羅三藐三菩提故知般若波羅蜜多/
悟りを得るのに仏徒である必要はねぇ、誰の前にも真実は姿を見せているぞ。だから存在の真実を見抜く、「般若波羅蜜多」という知恵は大事なもんだぜ。
是大神呪是大明呪是無上呪是無等等呪/
人は生きる上で、自身という存在の意味を知るだろう。その真実に気づく知恵は、平等でこの上なく尊い物なんだぜ。
能除一切苦真実不虚故説般若波羅蜜多呪/
繰り返すが良く聞けや、「全ては空だぜ」。それを知るなら、本当は存在していない自分の苦しみなんて、「空」に決まっとるだろうが。痛みや渇きは消えなくとも「苦」を理由に「苦」する謂れはねぇぞ。そして最後だ、さっき言った「般若波羅蜜多」という知恵を教えとくぞ。
即説呪曰羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦/
おれの前世の言葉でも無く、妖弧やニゲルやロットリンデや五百乃大角の生まれ育った時代の言葉でも無く、古い言葉のまま読んでくれや。意味はわからんままでも、敬う心で読んでくれ。
「ギャーテーギャーテー、ハーラーギャーテー、ハラソーギャーテー――」
菩提薩婆訶般若心経/
「――ボウジーソワカー」
般若心経の教えは此処までだぜ、生きて悟れやぁ!
※諸説あります。ちなみに作者は「宗教」とは、良くも悪くも「生活」であると考えます。幸せになるなら有れば良いし、不幸になるなら無くてよいかと。
※余り深く理解しないまま執筆しています。ご容赦下さいませ(_ _)
※この話数を執筆するにあたり、沢山のウェブサイトを参考にさせて頂きました、感謝。
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傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
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最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
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