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5:大森林観測村VSガムラン町
690:既存エリアへの帰還、小鳥と樹海とあいつ
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「(飛ばせるだけ泥音、飛ばしとけ!)」
怪しい村ではあるが――
怪しさで言ったら、おれたちも相当だ。
今更、手の内を隠しても、仕方があるまい。
さっき轟雷の無数の外部カメラに、何か映り込んだ気がする。
ふぉん♪
『>>外部映像ログを精査しますか?』
「(後で良い。何か居たなら、どうせ追加の泥音で捉えられるだろ?)」
「らちがぁ明かないわねーん? シガミー、迅雷。一気に行くわよーぉん!」
ふぉん♪
『イオノ>全自動射撃LV3を、轟雷の両肩へ設置してねん♪』
おいLV3は、浮かぶ球の暴徒鎮圧用とわぁ、違うだろぅがぁ!
幾らイライラさせられてるからと言って、村人たちに穴を空ける訳にいくかぁ!
ふぉふぉん♪
『>>すでに捕縛ネットに、換装してあります』
そうわの?
ヴォゥゥン♪
表示された〝細紐で編まれた網〟なら、村人に穴が開く心配はなさそうだが。
ふぉん♪
『>>ですがまだ、一基しか設置することが出来ません。左肩へ装着します』
ガッシャン、ジャキィン♪
言うまでもねぇが、威嚇射撃に止めておけよ?
捕縛ネット……投げ網だって当たり所が悪けりゃ、大事に至らぁ!
ふぉん♪
『>>心得ております。特に小鳥を害さないよう、捕縛ネットを使用します』
§
「みゃぎゃにゃやー?」
ったく、本当に居やがったのか。
まあ、合流できて何よりだが――
此奴、何処から湧いた?
「(そこの岩山に面した、倒壊した遺跡のような建造物からです)」
チチッ――ヴォヴォォゥン♪
崩れた遺跡の入り口が、縁取られた。
苔むしてて、ただの出っ張りにしか見えんぞ。
自動照準で、勝手に動く物を撃たせておいたら――
猫の魔物風の黄緑色の奴が、地面をもんどり打ってた。
「みゃぎゃにゃやー?」
なんだぜ、口答えか?
生意気だな、この野郎。
全自動射撃LV3が放った投げ網を、全部くらいやがって!
「ピヨピヨピヨロロッ――――へいへい、ブラザー♪」
こんがらかったおにぎりを、解いてやっていたら――
「ピヨピヨピヨロロッ――――へいへい、ブラザー♪」
騒めく森。
「ピヨピヨピヨロロッ――――へいへい、ブラザー♪」
さっきまでの、此方の言葉の猿まねじゃない声だぜ。
「やい! いい加減に姿を現せっ!! 此方は大森林村と森の主のぉ、お客人だぞ、こらぁ!!!――ニャァ♪」
ウカカカッ――言ってやったぜ!
外部音声出力ONのまま、がなり立てたから――ビリビリビリッ♪
輪郭どもが、耳を押さえて固まってやがるぜ!
森が一斉に揺れ、それまでの静けさが嘘のように――
木の葉のすれる風の音や、とおくを流れる湧き水の流れる音。
小枝を伝う、小さな生き物の――キキキという鳴き声なんかが――
外部音声入力に、飛び込んで来た。
「ピヨピドゥンヴゥゥチキチキドゥゥンヴァッ――――へいへい、ヤヴェェー♪」
「ヴォゥンドゥンチャッチャヴァーヴァーァァーゥッ――――へいへい、ショウ、カァイチョーニッツ♪」
「ドゥンヴォヴォゥンッヴォチッチチチチピ、ピヨピヨロロッ――――へいへい、オゥオウウオオウゥコラレルゥー♪」
くそう、おれたちの声じゃなくなったが――
鳥の声は変わりなく、騒々しぃぜ!
まるで五百乃大角の、祭り囃子だ。
「グゲゲッゲッ!? クケケケケェェエッェェエッ――――!」
風神さまもぉ、お怒りだぞ、こらぁ!
ふぉん♪
『>>敵影を捉えました、総数22名』
ヴュワワワワワワワッ♪
色濃く縁取られていく――村人が22人と、小鳥が21匹。
あと凄え高くを、大きな鳥が一匹飛んでる。
結構居やがるな――全員、ロックオンできるか!?
『◇――』
よしカーソルが出た。縁取られた姿に重ねるだけなら――
轟雷の演算単位を持ってすればぁ、造作もねぇー!
『◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇――――♪』
今度こそ、一網打尽に絡め取ってくれるわぁ――!!
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ピョロロロロロロロロロオッ、ロロロロロロロロロロロロロロロロロッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
まるで、おれが放った多重ロックオンを、嫌うかのように――
辺りから吹き出す、鳥の囀り!
「うるせぇ!――ニャァ♪」
ロロロロッ、ビリビリビリビリリリリリッ!!!!
再び震える、森のすべて。
「ウッギャッ!?」
慄く美の女神御神体。
「グゲゲゲッ!?」
慄く恐竜モドキ風神。
「ぎゃにゃぎゃぁぁー!?」
お前は邪魔だから、もう少し網に絡まっとけ。
木の影に潜む村人たちを浮かび上がらせていた描線が、ぐにょーんとぼやけ、こんがらかり――
まるで人の形を、保たなくなった。
『◇――◇――◇――◇――◇――◇――◇――◇――◇――』
散けていく、必中の印。
ヴォヴォン♪
『戦術級強化鎧鬼殻平時プロトコル>音響メタマテリアルによるジャミングを検出』
ジャミングてのわぁ、轟雷の◇を邪魔してるってことだな?
『|くぐ≪◇《プピュルリー》――×』
とうとう、カーソルが全部、消えちまったぜ!
ふぉん♪
『イオノ>>ウ、ケケッ♪ この森の苔の組成が、異常値を示してるわよん?』
知らん! こんな時のための、神々だろうが!
何とかしろやぁ!
ふぉん♪
『>>小鳥たちが発する音響定位妨害対策の為に、一匹につき約13。全部で300弱の音素を持つ言葉を発して下さい、3・2・1・キュー♪』
はぁ、藪から棒だなっ――――
300弱の音素?
おれぁ、料理番である前に、僧侶だぜ!
当然、息を一つ。大きく吸った。
ーーー
音響メタマテリアル/負の屈折率や質量密度を持つ人造構造体。音波や振動をデザインし、吸音や防振、ひいては音の回折に介入することが可能になるとされている。メタマテリアルの一種。
怪しい村ではあるが――
怪しさで言ったら、おれたちも相当だ。
今更、手の内を隠しても、仕方があるまい。
さっき轟雷の無数の外部カメラに、何か映り込んだ気がする。
ふぉん♪
『>>外部映像ログを精査しますか?』
「(後で良い。何か居たなら、どうせ追加の泥音で捉えられるだろ?)」
「らちがぁ明かないわねーん? シガミー、迅雷。一気に行くわよーぉん!」
ふぉん♪
『イオノ>全自動射撃LV3を、轟雷の両肩へ設置してねん♪』
おいLV3は、浮かぶ球の暴徒鎮圧用とわぁ、違うだろぅがぁ!
幾らイライラさせられてるからと言って、村人たちに穴を空ける訳にいくかぁ!
ふぉふぉん♪
『>>すでに捕縛ネットに、換装してあります』
そうわの?
ヴォゥゥン♪
表示された〝細紐で編まれた網〟なら、村人に穴が開く心配はなさそうだが。
ふぉん♪
『>>ですがまだ、一基しか設置することが出来ません。左肩へ装着します』
ガッシャン、ジャキィン♪
言うまでもねぇが、威嚇射撃に止めておけよ?
捕縛ネット……投げ網だって当たり所が悪けりゃ、大事に至らぁ!
ふぉん♪
『>>心得ております。特に小鳥を害さないよう、捕縛ネットを使用します』
§
「みゃぎゃにゃやー?」
ったく、本当に居やがったのか。
まあ、合流できて何よりだが――
此奴、何処から湧いた?
「(そこの岩山に面した、倒壊した遺跡のような建造物からです)」
チチッ――ヴォヴォォゥン♪
崩れた遺跡の入り口が、縁取られた。
苔むしてて、ただの出っ張りにしか見えんぞ。
自動照準で、勝手に動く物を撃たせておいたら――
猫の魔物風の黄緑色の奴が、地面をもんどり打ってた。
「みゃぎゃにゃやー?」
なんだぜ、口答えか?
生意気だな、この野郎。
全自動射撃LV3が放った投げ網を、全部くらいやがって!
「ピヨピヨピヨロロッ――――へいへい、ブラザー♪」
こんがらかったおにぎりを、解いてやっていたら――
「ピヨピヨピヨロロッ――――へいへい、ブラザー♪」
騒めく森。
「ピヨピヨピヨロロッ――――へいへい、ブラザー♪」
さっきまでの、此方の言葉の猿まねじゃない声だぜ。
「やい! いい加減に姿を現せっ!! 此方は大森林村と森の主のぉ、お客人だぞ、こらぁ!!!――ニャァ♪」
ウカカカッ――言ってやったぜ!
外部音声出力ONのまま、がなり立てたから――ビリビリビリッ♪
輪郭どもが、耳を押さえて固まってやがるぜ!
森が一斉に揺れ、それまでの静けさが嘘のように――
木の葉のすれる風の音や、とおくを流れる湧き水の流れる音。
小枝を伝う、小さな生き物の――キキキという鳴き声なんかが――
外部音声入力に、飛び込んで来た。
「ピヨピドゥンヴゥゥチキチキドゥゥンヴァッ――――へいへい、ヤヴェェー♪」
「ヴォゥンドゥンチャッチャヴァーヴァーァァーゥッ――――へいへい、ショウ、カァイチョーニッツ♪」
「ドゥンヴォヴォゥンッヴォチッチチチチピ、ピヨピヨロロッ――――へいへい、オゥオウウオオウゥコラレルゥー♪」
くそう、おれたちの声じゃなくなったが――
鳥の声は変わりなく、騒々しぃぜ!
まるで五百乃大角の、祭り囃子だ。
「グゲゲッゲッ!? クケケケケェェエッェェエッ――――!」
風神さまもぉ、お怒りだぞ、こらぁ!
ふぉん♪
『>>敵影を捉えました、総数22名』
ヴュワワワワワワワッ♪
色濃く縁取られていく――村人が22人と、小鳥が21匹。
あと凄え高くを、大きな鳥が一匹飛んでる。
結構居やがるな――全員、ロックオンできるか!?
『◇――』
よしカーソルが出た。縁取られた姿に重ねるだけなら――
轟雷の演算単位を持ってすればぁ、造作もねぇー!
『◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇――――♪』
今度こそ、一網打尽に絡め取ってくれるわぁ――!!
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ピョロロロロロロロロロオッ、ロロロロロロロロロロロロロロロロロッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
まるで、おれが放った多重ロックオンを、嫌うかのように――
辺りから吹き出す、鳥の囀り!
「うるせぇ!――ニャァ♪」
ロロロロッ、ビリビリビリビリリリリリッ!!!!
再び震える、森のすべて。
「ウッギャッ!?」
慄く美の女神御神体。
「グゲゲゲッ!?」
慄く恐竜モドキ風神。
「ぎゃにゃぎゃぁぁー!?」
お前は邪魔だから、もう少し網に絡まっとけ。
木の影に潜む村人たちを浮かび上がらせていた描線が、ぐにょーんとぼやけ、こんがらかり――
まるで人の形を、保たなくなった。
『◇――◇――◇――◇――◇――◇――◇――◇――◇――』
散けていく、必中の印。
ヴォヴォン♪
『戦術級強化鎧鬼殻平時プロトコル>音響メタマテリアルによるジャミングを検出』
ジャミングてのわぁ、轟雷の◇を邪魔してるってことだな?
『|くぐ≪◇《プピュルリー》――×』
とうとう、カーソルが全部、消えちまったぜ!
ふぉん♪
『イオノ>>ウ、ケケッ♪ この森の苔の組成が、異常値を示してるわよん?』
知らん! こんな時のための、神々だろうが!
何とかしろやぁ!
ふぉん♪
『>>小鳥たちが発する音響定位妨害対策の為に、一匹につき約13。全部で300弱の音素を持つ言葉を発して下さい、3・2・1・キュー♪』
はぁ、藪から棒だなっ――――
300弱の音素?
おれぁ、料理番である前に、僧侶だぜ!
当然、息を一つ。大きく吸った。
ーーー
音響メタマテリアル/負の屈折率や質量密度を持つ人造構造体。音波や振動をデザインし、吸音や防振、ひいては音の回折に介入することが可能になるとされている。メタマテリアルの一種。
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