滅せよ！ ジリ貧クエスト～悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番（金髪幼女）に!?～

５：大森林観測村ＶＳガムラン町

６８３：未発見エリアαからの脱出、女神像台座を設置しよう

　口太郎くちたろう改あらめ風神ふうじんが執心しゅうしんの、〝真っ直ぐな鉄棒ぼう〟。
　それは女神像めがみぞうの台座だいざを使つかうために、どうしたって必要ひつようになる。

　五百乃大角いおのはらが作つくった兜かぶとの天辺てっぺんに、天てんを突くように突き出した――
　迅雷ジンライ鋼製こうせいの真っ直ぐな棒アンテナ。

　風神あいつの頭あたまの上うえに突き立てりゃ、そうそう壊こわされはしないだろぅが。

「けど、お前まえさま一人ひとりだけ、風神ふうじんの兜かぶとに張り付いたままで――大丈夫だいじょうぶか？」
「平気平気へいきへいきぃ。女神像めがみぞうの台座だいざが必要ひつようなぁときだけぇ、ブロジェクションＢＯＴボットで行き来・・・すれば良いだけだし、おすし♪・」
　大丈だいじょうぶ夫というなら、問題もんだいねぇかな。

「女神像めがミぞうネットワーク関連かンれんハ、イオノファラーニ一任いチにんしまシょう・」
「おう、じゃぁ、任まかせたからなぁ」
　となると残のこる問題もんだいわぁ、おれの方ほうだぜ。

　やはり風神ふうじんの背に乗るにゃぁ、おれの体からだは小ちいさすぎる。
　となれば絵で板エディタで、鞍の大きさを・・・・・・――
　轟雷てつよろいに合うように・・・・・、調整ちょうせいしてやる。

　大おおき過ぎて鞍くらの実物じつぶつは、隠かくれ家がの中なかで出せねぇが。
　兜かぶとと鞍くらと、軍馬用ぐんばようのの鎧よろいみたいな甲冑かっちゅう。
　絵で板エディタの中なかの風神とかげどりは、随分ずいぶんと勇いさましい姿すがたになった。

　兜かぶとを収納しゅうのうし――すぽん♪

　出来できたた装備そうび、兜かぶとと鞍くらと簡易甲冑かんいかっちゅう。
　その三みっつつを収納魔法ファイリングなんたらで選えらび――〝一式防具ひとそろえになれ〟と念ねんじてみた。
　――――ぽこん♪
　スキルによる画面がめんが出た。

『一式装備へのランクアップをしますか？
　　　　はい／いいえ』
　何なんか出たから、『はい』を指ゆびでおす。

　――――ぽこん♪
『ＳＰを１消費しますが、続行しますか？
　　　　はい／いいえ』
　風神あいつには痛いたい思おもいもさせちまったし、これくらいしてやっても良いだろ？

　ふぉん♪
『＞＞私は賛成です』
　ふぉん♪
『イオノ＞＞迅雷に同じく、ＯＫわよぉ～ん？』
　何なんだ、歯切はぎれが悪わりぃな。

「（ううん、装備そのことじゃなくってさぁ……なぁんかぁ忘わすれてる、気がぁしなぁいぃ～？・）」
　浮かない顔かおの御神体ごしんたい。
　だがこの装備そうびに関かんすることじゃねぇなら、関係かんけいあるまい。

　取りあえず、スキルのボタンを押してやる――ポンッ♪
　ピッカァァァッ！
　目映まばゆい輝かがやき。
　テッテレーッ♪
　騒々そうぞうしい音おと――――ぽこん♪
『シリーズ防具が完成しました』

「いよぉし、出来できたぜ！」
　さーて、どうなったかなーしめしめうっひっひ♪

　――――ぽこん♪
『風神シリーズ【一眼の装甲】／
　攻撃力８１０。防御力２４３０。空力特性に因らないダウンフォースを得る。
　恐竜モドキであるフージーンの一個体、風神専用にあつらえた一品。
　追加効果／月次平均速度超過時に、ソニックブーム発生。
　追加機能／望遠並びに暗視機能付き。
　条件機能／兜内副操縦席に美の女神御神体が搭乗時に限り、
　　　　　　女神像ネットワークへの接続が可能』

「よぉし、よぉぅしぃ！」
　〝風神ふうじん〟のための一式装備いっしきそうびが、仕上しあがった！
　絵で板エディタの中なかで、一式装備いっしきそうびを身につけた、恐きょう……竜りゅうモド……キの〝風神ふうじん〟が――
　ひょろ長ながい桶おけに巻かれたような・・・・・・・、格好かっこうになった。

「あっ、お寿司すし！　あと蟹かにのお料理・・・のぉ、お約束やくそくわぁ、ドコに行っちゃったわのっ!?・」
　厨房ちゅうぼうで言った、寿司すしと揚げ物・・・か。
　また余計よけいなことを、急きゅうに思おもい出したな。

　ふぉん♪
『ヒント＞＞軍艦巻き／海苔で巻いた酢飯の上に、小さく形を崩しやすい和え物などを寿司種としてのせた物。名前の由来は軍艦に似ていることから』
　添えられた絵には、やはり風呂ふろの大樽おおだるのような形かたち。

「まさか神仙菜あまのりか!?　随分ずいぶんと豪勢ごうせいだが――た、確たしかに似ているぜ。ぶふふっ♪」
　この軍艦巻ぐんかんまきという、黒くろい寿司すしの絵は――
　少すくなくとも、リオには見せられんな。
　一式装備ふうじんシリースを纏まとった〝風神ふうじん〟の姿すがたと、一緒いっしょに見せたら――
　間違まちがいなく、死人が出る・・・・・。

「（迅雷ジンライ、この黒いの・・・は用意よういできるか？）」
「（はい。ネネルド村むらの湖みずうみで採れた物ものから試作しさくした、数枚すうまいなら所持しょじしています・）」
　よぉし。それならぁ――！

「帰かえりの道中どうちゅうで作つくってやるから、もう少すこし待っとけやぁ！」
　今いまは出来できた装備こいつを風神ふうじんに、どうやって・・・・・着せてやるか。
　其方そっちの方ほうが、先決せんけつだぜ。

　　　§

　ふぉん♪
『フージーン／
　恐竜モドキ。二足歩行。
　地表を駆ける魔物の中では、最速。』

　ちょっとずつだが、上級鑑定しめうしすると文字・・が出るようになった。
　それでも、何なにを食べるとか、どういう性質たちだとかは、まだ書かれちゃいない。
　五百乃大角いおのはらの秘伝書とらのまきにも出てこねぇなら――

「猪ししの魔物まものの肉にくがあったろ、まずはあの辺へんを食わせてみるぞ」
　ゴドン――竈かまどを出し。
　ひのたまっ――ぼおっぉおぉぅ♪
　風かぜが強つえぇが、何なんとか火が付いた。

　軽かるく炙あぶった猪肉ししにくを、大皿おおざらに乗せてみた。
「ギュゲッ？」「きゅるる？・」
　凄すげぇ涎よだれだな――特とくに美の女神御神体いおのはらごしんたいの方ほう。
　なんだその、腹はらの虫むし。
　お前まえさまの分ぶんも、少すこし焼いてやるから――
　待っとけ。

「くきゅぅるるる――――♪」
　皿さらの上うえの肉にくとおれを、交互こうごに見つめる風神フージーン。
「何なんだ、風神ふうじんは食って良いぞ？」
　そう言ってやったら、一抱ひとかかえはある炙あぶり肉にくを――
　ガチンッ――ガツガツ、ゴクリ♪
　皿さらごと食う勢いきおいで、平たいらげた。

「（今だぜ、迅雷ジンライ）」
　長首くびが伸びた隙すきに、迅雷ジンライが背後はいごに回まわり――兜かぶとを頭あたまにのせた。
　チキキッ、ピッ♪
　あとは開ひらいていた形かたちが、勝手かってに閉じて――旨うまいことやってくれるはず。

「――っと、危あぶねぇ！」
　ずどどどどどっがぁん――――粉砕ふんさいされる、竈かまど！
　頭あたまに兜かぶとをのせられた、風神ふうじんが――一目散いちもくさんに駆けだした！

「――っと、危あぶなかったぁ――もっぐもっぎゅ♪・」　
　浮かぶ球たまに乗り、其処そこから生やした機械腕かいなで、自分じぶんの分ぶんの皿さらを抱かかえる五百乃大角いおのはら。
　焼き上がってた分ぶんを、辛かろうじて取り出したらしい。

　どどどどどぉぉぉん、すどどどどぉぉぉおぉん――――♪
　風神ふうじんはそのまま、とち狂くるったように辺あたりを走はしり回まわり始はじめた。

　ブゥゥゥゥゥゥゥウゥゥゥウウゥゥゥッ――――バゴォン！
　横よこから飛んできた、馬鹿ばかでかい蜻蛉とんぼを蹴散けちらしたりしながら――
　風神ふうじんは、次第しだいに離はなれていく。

　蜻蛉とんぼの首くびと砕くだけた羽根はねが舞う――。
「おーい、戻もどってこいやぁ！」
　どどどどどぉぉぉん、すどどどどぉぉぉおぉん――――♪
　聞こえてねぇのか？

　ふぉん♪
『＞＞兜の各種機能に驚いているのだと思われます。言語を介さないＧＵＩベースのチュートリアルが済めば、じきに落ち着きます』
　ふぉん♪
『ヒント＞チュートリアル／解説書や教材。コンピュータプログラムの操作などを、実際に操作させることで理解させる、初心者用ガイダンス。』

「――くきゅるるるうあっ♪」
　程ほどなくすると兜かぶとにも慣れたのか、大人おとなしく戻もどってきた。
　よぅし。じゃあ、お次つぎは、轟雷おれを乗せて走ってみようぜ？

　　　§

「くっきゃぉるるるるるぁぁ――――!!!」
　どどっどったっ、どどっどったっ！

「どぉだぁぜ？　振り落とされたりはせんのかぁ？・――ニャァ♪・」
　どどっどったっ、どどっどったっ！

「だいじょぉぶー！　もうちょっとでぇ洞窟どうくつの中なかでもぉ、女神像めがみぞうネットワークにぃー――繋つなげられるようになるわよぉーん♪・」
　どどっどったっ、どどっどったっ！
　元避雷針もとひらいしんを利用りようした鉄棒アンテナと女神像台座めがみぞうだいざは、五百乃大角いおのはらに任まかせてある。

　ふぉん♪
『＞＞シガミー、馬鎧の調整が終了しました』
　桶おけのようだった形かたちが、最低限さいていげんに絞しぼり込まれ――
「（うむ。大分格好だいぶかっこうが、良くなったぜ！）」
　画面横がめんよこに小ちいさく表示ひょうじされた、〝風神ふうじん〟の絵に灯ともった――
　装甲板そうこうばんは風神ふうじんの前と後ろ・・・・、そして胸の辺り・・・・に纏まとまってる。

　おれたちが、南下なんかして最初さいしょに出くわしたのは――
　連つらなる山々やまやまの麓いただき。
　そこに巨大きょだいな洞窟どうくつを見つけたのが――かれこれ２時間じかんくらい前まえ。

　ヴォヴォ――ピュゥーピピピピ♪
『■■■■□□□風□□■■■■■■■
　■■■■□□□□□■■■■■■■■
　■■■■□□□□■■■■■■■■■
　■■■□□□□■■■■■■■■■■
　■■■□恐□□■■■■■■■■■■
　■■■□□□□□□□□■■■■■■
　■■■■□□□□□□□□□□□■■
　■■■■■■■■■□□□■□□■■
　■■■■■■■□□□□□■□□■■
　■■■■□恐□□□□□■■□□■■
　■■■□恐□□恐恐□■■■□□■■
　■■■■□□恐□□■■■□□■■■
　■■■■■■■■■■□□□■■■■
　■■■■■■■■■□□□■■■■■
　■■■■■■■□□□□■■■■■■』

「次つぎわぁ、曲がった先さきを奥おくの道みちだぞぉ、手前じゃない・・・・・・からなぁ！・――ニャァ♪・」
　先行せんこうする泥音どろおんが、洞窟さきの地図ようすを送おくってくる。

「くっぎゅりゅりゅるるああぁっ――――♪」
　返事へんじは立派りっぱなんだが――

「ギャギャァ!?」「グギャァ!?」「キュルルァ!?」「――!?」「――!?」
　必かならず「止めろ」と言った方ほうに、行きやがる・・・・・。

　それでも〝風神ふうじん〟は轟雷ごうらいである、おれの重おもさを物ものともせず――
　一瞬いっしゅんで敵てきに近寄ちかより、蹴り倒たおし――

「グゲッゲッ!?」
　前後ぜんごから挟はさまれれば、壁を蹴上がり・・・・・・、やっぱり一撃いちげきで蹴り倒す・・・・。
　いっさい大口おおぐちを閉じるつかうことなく、此処ここまで全部ぜんぶの石竜子鳥とかげどりを――
　屠ほふってきた！

「ばかね！　それってさぁ、そこそこシガミーの言った言葉ことばを理解してる・・・・・ってことわよ？・」
　うん。そういうことだな。
　つまりは、舐められてる・・・・・・って訳わけだ。