滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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5:大森林観測村VSガムラン町

675:芋の町にて、おにぎりの休日

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「おじーちゃん、あっちにねこ魔物まものが居たよ!」
 おさな少女しょうじょが、大慌おおあわてで駆けてきた。

「はて、根っ子・・・魔物まもの? マンドラゴーラかのぉ♪」
 ふぉっふぉっ――――ふぉっ!?
 老人ろうじんの目が、おおきく見開みひらかれた!

「ぅひゃひゃぁぁぁぁっ! ほ、ほんとぉにぃー、猫の魔物・・・・じゃぁぁぁぁぁっ!?」
 まごかかえ――脱兎だっとごとく駆け出す、その健脚けんきゃくは――
 のちに〝ターボじいさま〟などと呼ばれ、絵本えほんつくられるほどに――
 かたぐさとなる。

「みゃにゃがやにゃぁー
 子供こどもを抱えた老人ろうじんが消えた路地ろじを見つめ、小首こくびかしげるねこ魔物まもの
 正確せいかくには、ねこ魔物まものであるケットーシィ・・・・・・区別くべつするためにも――
 ねこ魔物風まものふうと、呼ぶべきなのだが――

 この辺境へんきょうまちには、ねこねこ魔物まもの精霊せいれいや――
 ねこ魔物風まものふうや、極所作業きょくしょさぎょう用汎用ようはんよう強化服きょうかふくシシガニャン自律型じりつがた試作個体名しさくこたいめいおにぎり一号いちごうに、くわしい人間にんげん一人ひとりも居なかった。

 かおのない、かれもしくは彼女かのじょが――
 この地へ降り立ってから、やく時間じかん
 この時点じてん被害者数・・・・は、100を越えていた・・・・・・・・・

   §

『ポテフィール町野菜専売所』
 ねこ魔物風まものふうが、そんな建物たてものまえとおり掛かったとき。

「うぎゃっ!?」「なんだよあれ!?」
「見たことねぇ……まさか、魔物まものか!?」
 そこそこたくましいからだつきの、おとこたちが――
 一斉いっせい物陰ものかげかくれた。

「ばっきゃろぅ! おとこがぴーぴーわめくんじゃないわよっ!」
 かくいうかれは、〝おとこ〟と言うにははなやか過ぎる野良着のらぎに、身をつつんでいる。
 その内股気味うちまたぎみ男性だんせい(?)の一喝いっかつに、だまり込むおとこたち。

「ににゃにゃーぁ♪ みゃぎゃにゃぎゃー♪」
 ぽっきゅらぽっきゅらぽきゅららら――♪
 軽快けいかいに跳びはねながら、鳴きごえを上げるねこ魔物風まものふう
 へんふしの付いたそのこえは、ひょっとしたらまち陽気ようきに当てられた――
 鼻歌はなうたのようなものなのかも知れなかった。

「「「「「「「「「「ね、ねこ魔物まものだぁぁぁぁっ!?!?」」」」」」」」」」
 ねこっぽい鳴きごえに、おそおののおとこたち。
 そのあしがじりじりと、うしろへ下がっていく。

「ぅをまちっ! あんたたち、いままでにあんなやつを、見たことがある・・・・・・・かい?」
 内股男性うちまただんせいが、もう一度声いちどこえを張った。

「は、はじめて見ましたぜ? なぁ?」
 おとこたちの一人ひとりが、そう進言しんげんすると――
「「「「「「「「「へぇーい」」」」」」」」」
 おとこたちはへぇーいと、力強ちからづようなづいた。

「このとおりねこ魔物まものなんて一度いちどでも見たら、わすれるはずがねぇでさあ」
 苦渋くじゅうに満ちたかおおとこたちを代表だいひょうし、やはりさっきの一人ひとりはなしをまとめた。

「でしょぉぅ? ならあの魔物まものは――そうとう・レ・ア・な、お宝・・ってことじゃないかしらぁん?」
 口元くちもとに手を当て、ニタリとわら内股男性うちまただんせい

「さすがでさぁ、兄貴あにきぃ!」
 ボゴッ――どつかれる、手下代表てしただいひょう

「どぉわれが、筋骨隆々きんこつりゅうりゅう顎割あごわれれのおっさんわのよっ――しっつれいしちゃぅわぁ!」
「す、すいやせん、兄貴あにき!」
 ボゴン――どつかれる、手近てぢかにいた手下てした

大変大変でさぁ――あーにきーぃ!」
 そとから飛び込んで来るなり――ボゴゴン!
 どつかれる手下てした
 倉庫そうこらしき場所ばしょよこたわるのは、三人さんにんになった。

「まったくなにを、あわててるんだい? こりゃ――手配書てはいしょじゃないかぃ?」
 手下てしたからうばったチラシには――
 目鼻口めはなくちのない猫の魔物・・・・が、えがかれていた。

「なぁんだぁい。もとからぅちらの獲物えものってわけかい、うふふぅん♪」
 くねくねとこしを振り、ふんぬぅ!
 ピクピクとうご大胸筋だいきょうきん
 手下てしたたちのかおが、さらに苦渋くじゅうに満ちた。

「ポテフィール自警団じけいだん種芋たねいもとげ! 出動しゅつどうよほぉぅ♪」
 ポテフィール自警団じけいだん種芋たねいも棘団長とげだんちょう
 内股気味うちまたぎみかれ、もしくは彼女かのじょ(?)は――見目麗みめうるわしい相貌そうぼう
 そして、見目麗みめうるわしい内面・・を有していた。

   §

「ちょっと、そこのねこ魔物まもの! 止まりなさいなぁ♪」
 ぞろぞろと、黄緑色きみどりいろあとを付けるれつ先頭せんとう
 農作業のうさぎょう合間あいまに、冒険者ぼうけんしゃをしています。
 そんな格好かっこう総勢そうぜいめい二列縦隊にれつじゅうたい

「みゃんにゃやぁー
 たのしそうに、みちばたに落ちた丸いもの・・・・ひろい上げる――
 ねこ魔物まもの

「き、聞こえなかったようですぜ兄貴あにき!」
 ボゴン――くずれ落ちる団員てした

こいつ・・・荷車にぐるまから落ちたいもを、拾って歩いてる・・・・・・・ようですぜ兄貴あにき?」
 ボゴゴン――やや先行せんこう様子ようすうかがっていた団員てした団長だんちょう報告ほうこくし、やはりくずれ落ちる。

「なぁんだぁってぇぇぇぇぇっ!?」
 おどろ団長だんちょう
 ねこ魔物まものが手にかかえるのは、ここまでひろあつめたらしい――
 10個程度こていどいも

いますぐ、引っとらえますか兄貴あにき?」
 ポゴオン――どつかれ、くずれ落ちる団員だんいん
 そのかずは、のこり5めいとなった。

「ふん、バカをお言いでないよ! 見かけによらず、良い子・・・じゃないか♪」
 などという、背後はいご騒々そうぞうしさに――
 ぽきゅりと振り向く、ねこ魔物まもの

「みゃにゃやー
 見つめ合う二人ふたり
 ズザッ――緊張きんちょうする団員だんいんたち!

「よく見れば……ふふふふ、良い面構つらがまえをしているわ♪」
 そう言って目鼻口のない・・・・・・ねこ魔物まものあたまに――ぽふぅんと。
 手を乗せたのはかれいや彼女かのじょ(?)の、いもまち顔役・・としての――
 矜持きょうじだったのかも知れない。

「おや、夏毛なつげ手触てざわりがじつ心地ここちよいじゃないさ♪」
 なでなでなでなで――♪
「みゃにゃやー
 なにおもったか、ねこ魔物まものは――
 手にしていたいもを、ポトポトポテトと落としつつ――

「みゃにゃぎゃにゃーん
 〝ポテフィール自警団じけいだん種芋たねいも棘団長とげだんちょう〟のあたまを――
 やさしーく、撫で返した・・・・・

「ぅふふふふふうっ♪」
 なでなでなでなで。
 ピクピクン(大胸筋だいきょうきん)。
「にゃやにゃにゃぁ
 なでなでなでなで。
 ポトポトポテト(落ちるいも

 その不可思議ふかしぎ光景こうけいを目の当たりにした、のこりの団員だんいんたちは――
 なぐられても居ないのに、へなへなとくずれ落ちるのであった。
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