上 下
667 / 739
5:大森林観測村VSガムラン町

667:此処は何処だぜ?

しおりを挟む
「バカやろ!――ニャァ♪」
 ゴロロロロロロン、パタタァン――シュタッ♪

 起き上がったときには、虎型ひ号ビステッカ姿すがたはなく――
 かぜが吹き抜け、そら何処どこまでもたかく――
 そこは見晴みはらしの良い、小高こだかおかだった。

   §

「おいっ! こりゃ、じゃねぇかっ!?――ニャァ♪」
 しかもあかるい、日がたけぇ!
 ふぉん♪
『>はい。恐らく、村長が封鎖空間より脱出し、我々も通常空間に戻ったと思われ』
 ぜんぜん戻ってねぇ・・・・・だろが!
 おれたちが居たのは、ロコロむらギルド支部しぶ地下一階ちかいっかいだぜ!?
 厨房迷宮ダンジョンはいったのも、せいぜい夜半過やはんすぎだったはず!?

「ビステッカー! どこだぁー!?――ニャァ♪」
 返事へんじはなかった。
 岩場いわばもり半々はんはんの、あたりの様子ようすうかがっていたら――

 すっぽこ――こここここここここここここぉぉぉん♪
 とんでもない遅延おくれあと――てちり!

「アナタの世界せかいのよりどころっ――――やっと見つけたぁ、シガミー
 すっとぼけたこえ
 根菜さまいおのはらの、お出ましだ!

 リオにあずけていた、御神体ごしんたいが――
 おれの画面モニタなかを、分け身アイコン姿すがた通り透け・・・・――
 この得体えたいの知れぬ場所ばしょに、顕現した・・・・のだ。
 要らんげいも、とき場合ばあいによりけりだ――

「でかした根菜こんさい、良く来やがった! ビステッカが居ねぇ、さがすのを手伝てつだえ!――ニャァ♪」
 おれは根菜そいつさまを、引っつかんだ。

なんわよっ! うるさいわよっ! ハラペ子ちゃん・・・・・・・なら、向こうに・・・・居たわよん
 とんでもなく、怪訝けげんつらをされた。
 ふぉん♪
『>>美の女神とは?』

「はぁ!? 向こうに居ただとぉぅ!?――ニャァ♪」
 おれと迅雷じんらいは、さっきまでビステッカと一緒いっしょに居て、矢鱈やたらはさみが付いたやつに、立てつづけにおそわれたんだが!?

「(聞いてるわよぉん。おっきなかにさんを獲った・・・んでしょ!? いますぐ、お見せ)」
 ソレを知ってるってこたぁ、ビステッカは本当ほんとう無事ぶじってことだなぁ。
 ふぅぃ――一安心ひとあんしんしたぜ。

「(はい。そしてどうやら、ビステッカは本物ほんものだったようです)」
 女神めがみに引きつづ眷属けんぞくも、念話ねんわ使つかう。
 コントゥル家の母娘おやこが居ないなら、其のほう世話せわがねぇ。
「(おう、そうしたらレトラはどうした?)」
 無事ぶじか?

「(え? 眼鏡子めがねこちゃんは、ずっとみんなと居たけど)」
 ぬぅ、本物ほんもののレトラは、ずっとみんなと居たようだな。
「(はい。姿すがただけを封鎖空間ふうさくうかんに、利用された・・・・・だけのようです)」
 さっきまで得体えたいの知れぬ、穴蔵あなぐらに籠もってたから――
 吹き抜けるかぜちょう心地ここちよい。

「(はぐれたのわぁ、シガミーとハラペ子ちゃんと、フッカパパとルリーロちゃんだけよん)」
「(おっさんと奥方おくがたさまは、見つかったのか?)」
 真っさおそら見上みあげたらすげたけところを、羽根はねなげとりが飛んでやがる。

「(二人ふたり無事ぶじよん。あんたたちとのリンクが途絶とだえてから、10びょうもしないうちに厨房ちゅうぼうに駆け込んできた)」
 てちてちてちてち。
 おっさんは奥方ルリーロさまを、ちゃんとおくとどけてくれたようだぜ。

「(となると居ねぇのは、おにぎり・・・・だけか……)」
「(どこかでやぶけてたとしても、たまご――セーブデータさえ回収出来かいしゅうできれば、復旧可能ふっきゅうかのう)」
 よし、どうなることかとおもったが――
 一先ひとまず、どぅにかなりそぅだ。

「はい! ちょぉだい
 画面がめんなか梅干し大アイコンさまが、ちいさなてのひらを突き出してきた。
「(はい! ちょぉだい)」
 ご丁寧ていねいに、おれの手のなかやつまでもが、ちいさなてのひらを突き出してきた。

なにをだぜ?」
 なにをだぜ?
「(かにはさみでしたら、収納魔法しゅうのうまほうの『取って置き食材』フォルダに入れてありま)」
 あー、蟹の鋏そいつか。

「(オッケーッ)」
 おい、つまみ食いすんなよ!
 そのはさみわぁ迅雷ジンライが〝うまめしにする算段さんだん〟を、付けてくれたからよ。
「(知ってるわよ。だからこうしてわざわざ、おむかえに来たんじゃないのさっ? バカわの? シガミーはバカわの)」
 うるせぇ。

 ようするに〝かにはさみを揚げたやつ〟を食うために、飛んできたのか。
 五百乃大角おまえさまらしいぜ。

 ふぉん♪
『シガミー>それで結局、此処は何処だ?』
 もう一度いちどあたりを見渡みわたしながら確認かくにんする。
 ふぉん♪
『>>二つの月の位置から、大森林より1008㎞北上した場所であると思われます』
 そりゃ、随分ずいぶんきただぜ。
 とおくのそらやま稜線近りょうせんちかくに――
 昼日中ひるひなか月々つきづきが、浮かんでる・・・・・

 けど、そのわりにゃぁ、さむくもなければ――
 やまもりけわしくねぇ。
 それこそ、ガムランちょうあたりの、木々きぎまばらな草原そうげんにしか見えん。

   §

ちがったぜ!」
 ぽっきゅぽっきゅぽっきゅららっらっ――――♪
 必死ひっしはしる、虎型ふ号おれ

「はイ、シガミー。ガムラン近郊きンこう草原そうゲんなどデは、有りませンでした
 ヴォヴォヴォオヴォゥゥゥンッ♪
 必死ひっしうなり、飛ぶ迅雷ジンライ

「そーわよ! 食材しょくざいの――宝庫ほうこわよっ
 ばかやろぅっ、食われちまうぞ・・・・・・・っ!
 ちゃんと、虎型ふ号おれ頭兜の中・・・・はいってろやぁ!

 虎型とらがたごうの、あたまの上。
 おおきなうえまでは、満足まんぞくに手がとどかんので――
「(迅雷ジンライぃ――!)」

了解りょウかいしまシた――すぽん
 ヴォヴォヴォヴォゥゥゥゥンッ♪
 迅雷ジンライ御神体いおのはらを、回収かいしゅうしてくれた。

「「「「「「「ぐぅぎゃるぉぅわぉぉぅぅ――!」」」」」」」
 すさまじい怒声どせいに、振りかえれば――
 大口おおぐちひらき、獲物おれに食らいつかんとする――
 身の毛がよだつ姿すがたをしたやつらの――群れ。

 おれたちは、とんでもなくでかい、そいつら・・・・に――
 追い立てられていた!
 その姿形すがたかたち。あんなのに心当たり・・・・は、まるでねぇ。
 ガムランちょうでもレイドむらでも、ネネルドむらでも大森林だいしんりんでも――どこでも。

すくなくとも、日の本・・・にゃ居なかったぜ・・・・・・! あんな恐ろしい姿の奴・・・・・・・ぁああよぉぉぉっぅ!?」
 たまに狐狸妖怪こりようかいに、化かされること・・・・・・・くらいはあったが――
 彼処ここまでおぞましい姿なりをした生きもんわぁ、そうそう居ねぇ。
 それこそ、〝ミノ太郎たろう〟くらいだぜ。

「いイえ。シガミーが生マれる、ヤく7200万年前まんネんまえ日本にホんにモ棲息せいソくしていマし
 うそつけやぁ――!
「あんなでかくて厳つい鳥・・・・・・・・が、日の本・・・に居てたまるかってんだぜ!」
 ぽっきゅらぽっきゅらぽぽきゅららららららららっららららっぁぁぁ――――♪

「くっきゃぉるるるるるぁぁ――――!!!」
 先頭せんとう一匹目いっぴきめが――ガチンときばを鳴らす!

 それは、石竜子とかげのようなつらをした――
 とりあるく――いや、はしるときの姿勢しせい
 どったどどった、どどった、どっどっどったっ!
 そのからだおおきさで、追いかけまわされりゃぁ――

 ぽっきゅらぽっきゅらぽぽきゅらららららっ――――♪
 いくら虎型とらがたでも、追いつかれちまわぁ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった

ミズノみすぎ
ファンタジー
「黒騎士ゼクード・フォルス。君を竜狩り精鋭部隊【ドラゴンキラー隊】の隊長に任命する」  15歳の春。  念願のS級騎士になった俺は、いきなり国王様からそんな命令を下された。 「隊長とか面倒くさいんですけど」  S級騎士はモテるって聞いたからなったけど、隊長とかそんな重いポジションは…… 「部下は美女揃いだぞ?」 「やらせていただきます!」  こうして俺は仕方なく隊長となった。  渡された部隊名簿を見ると隊員は俺を含めた女騎士3人の計4人構成となっていた。  女騎士二人は17歳。  もう一人の女騎士は19歳(俺の担任の先生)。   「あの……みんな年上なんですが」 「だが美人揃いだぞ?」 「がんばります!」  とは言ったものの。  俺のような若輩者の部下にされて、彼女たちに文句はないのだろうか?  と思っていた翌日の朝。  実家の玄関を部下となる女騎士が叩いてきた! ★のマークがついた話数にはイラストや4コマなどが後書きに記載されています。 ※2023年11月25日に書籍が発売!  イラストレーターはiltusa先生です! ※コミカライズも進行中!

ハズレギフト『キノコマスター』は実は最強のギフトでした~これって聖剣ですか? いえ、これは聖剣ではありません。キノコです~

びーぜろ@転移世界のアウトサイダー発売中
ファンタジー
孤児院生まれのノースは、十歳の時、教会でハズレギフト『キノコマスター』を授かってしまう。 他の孤児院生まれのルームメイトたちは『剣聖』や『魔法士』『鍛冶師』といった優遇スキルを授かったのに、なんで僕だけ……。 孤児院のルームメイトが国に士官されていくのを横目に、僕は冒険者として生きていく事を決意した。 しかし、冒険者ギルドに向かおうとするも、孤児院生活が長く、どこにあるのかわからない。とりあえず街に向かって出発するも街に行くどころか森で迷う始末。仕方がなく野宿することにした。 それにしてもお腹がすいたと、森の中を探し、偶々見つけたキノコを手に取った時『キノコマスター』のギフトが発動。 ギフトのレベルが上る度に、作る事のできるキノコが増えていって……。 気付けば、ステータス上昇効果のあるキノコや不老長寿の効果のあるキノコまで……。 「こ、これは聖剣……なんでこんな所に……」 「いえ、違います。それは聖剣っぽい形のキノコです」 ハズレギフト『キノコマスター』を駆使して、主人公ノースが成り上がる異世界ファンタジーが今始まる。 毎日朝7時更新となります! よろしくお願い致します。 物語としては、次の通り進んでいきます。 1話~19話 ノース自分の能力を知る。 20話~31話 辺境の街「アベコベ」 32話~ ようやく辺境の街に主人公が向かう

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

勇者PTを追放されたので獣娘たちに乗り換えて楽しく生きる

まったりー
ファンタジー
勇者を支援する為に召喚され、5年の間ユニークスキル【カードダス】で支援して来た主人公は、突然の冤罪を受け勇者PTを追放されてしまいました。 そんな主人公は、ギルドで出会った獣人のPTと仲良くなり、彼女たちの為にスキルを使う事を決め、獣人たちが暮らしやすい場所を作る為に奮闘する物語です。

無能と蔑まれた七男、前世は史上最強の魔法使いだった!?

青空一夏
ファンタジー
ケアニー辺境伯爵家の七男カイルは、生まれつき魔法を使えず、家族から蔑まれて育った。しかし、ある日彼の前世の記憶が蘇る――その正体は、かつて世界を支配した史上最強の大魔法使いアーサー。戸惑いながらも、カイルはアーサーの知識と力を身につけていき、次第に自らの道を切り拓く。 魔法を操れぬはずの少年が最強の魔法を駆使し、自分を信じてくれる商店街の仲間のために立ち上げる。やがてそれは貴族社会すら揺るがす存在へと成長していくのだった。こちらは無自覚モテモテの最強青年になっていく、ケアニー辺境伯爵家の七男カイルの物語。 ※こちらは「異世界ファンタジー × ラブコメ」要素を兼ね備えた作品です。メインは「異世界ファンタジー」ですが、恋愛要素やコメディ要素も兼ねた「ラブコメ寄りの異世界ファンタジー」になっています。カイルは複数の女性にもてますが、主人公が最終的には選ぶのは一人の女性です。一夫多妻のようなハーレム系の結末ではありませんので、女性の方にも共感できる内容になっています。異世界ファンタジーで男性主人公なので男性向けとしましたが、男女関係なく楽しめる内容を心がけて書いていきたいです。よろしくお願いします。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

願いの代償

らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。 公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。 唐突に思う。 どうして頑張っているのか。 どうして生きていたいのか。 もう、いいのではないだろうか。 メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。 *ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。

処理中です...