滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

文字の大きさ
上 下
667 / 741
5:大森林観測村VSガムラン町

667:此処は何処だぜ?

しおりを挟む
「バカやろ!――ニャァ♪」
 ゴロロロロロロン、パタタァン――シュタッ♪

 起き上がったときには、虎型ひ号ビステッカ姿すがたはなく――
 かぜが吹き抜け、そら何処どこまでもたかく――
 そこは見晴みはらしの良い、小高こだかおかだった。

   §

「おいっ! こりゃ、じゃねぇかっ!?――ニャァ♪」
 しかもあかるい、日がたけぇ!
 ふぉん♪
『>はい。恐らく、村長が封鎖空間より脱出し、我々も通常空間に戻ったと思われ』
 ぜんぜん戻ってねぇ・・・・・だろが!
 おれたちが居たのは、ロコロむらギルド支部しぶ地下一階ちかいっかいだぜ!?
 厨房迷宮ダンジョンはいったのも、せいぜい夜半過やはんすぎだったはず!?

「ビステッカー! どこだぁー!?――ニャァ♪」
 返事へんじはなかった。
 岩場いわばもり半々はんはんの、あたりの様子ようすうかがっていたら――

 すっぽこ――こここここここここここここぉぉぉん♪
 とんでもない遅延おくれあと――てちり!

「アナタの世界せかいのよりどころっ――――やっと見つけたぁ、シガミー
 すっとぼけたこえ
 根菜さまいおのはらの、お出ましだ!

 リオにあずけていた、御神体ごしんたいが――
 おれの画面モニタなかを、分け身アイコン姿すがた通り透け・・・・――
 この得体えたいの知れぬ場所ばしょに、顕現した・・・・のだ。
 要らんげいも、とき場合ばあいによりけりだ――

「でかした根菜こんさい、良く来やがった! ビステッカが居ねぇ、さがすのを手伝てつだえ!――ニャァ♪」
 おれは根菜そいつさまを、引っつかんだ。

なんわよっ! うるさいわよっ! ハラペ子ちゃん・・・・・・・なら、向こうに・・・・居たわよん
 とんでもなく、怪訝けげんつらをされた。
 ふぉん♪
『>>美の女神とは?』

「はぁ!? 向こうに居ただとぉぅ!?――ニャァ♪」
 おれと迅雷じんらいは、さっきまでビステッカと一緒いっしょに居て、矢鱈やたらはさみが付いたやつに、立てつづけにおそわれたんだが!?

「(聞いてるわよぉん。おっきなかにさんを獲った・・・んでしょ!? いますぐ、お見せ)」
 ソレを知ってるってこたぁ、ビステッカは本当ほんとう無事ぶじってことだなぁ。
 ふぅぃ――一安心ひとあんしんしたぜ。

「(はい。そしてどうやら、ビステッカは本物ほんものだったようです)」
 女神めがみに引きつづ眷属けんぞくも、念話ねんわ使つかう。
 コントゥル家の母娘おやこが居ないなら、其のほう世話せわがねぇ。
「(おう、そうしたらレトラはどうした?)」
 無事ぶじか?

「(え? 眼鏡子めがねこちゃんは、ずっとみんなと居たけど)」
 ぬぅ、本物ほんもののレトラは、ずっとみんなと居たようだな。
「(はい。姿すがただけを封鎖空間ふうさくうかんに、利用された・・・・・だけのようです)」
 さっきまで得体えたいの知れぬ、穴蔵あなぐらに籠もってたから――
 吹き抜けるかぜちょう心地ここちよい。

「(はぐれたのわぁ、シガミーとハラペ子ちゃんと、フッカパパとルリーロちゃんだけよん)」
「(おっさんと奥方おくがたさまは、見つかったのか?)」
 真っさおそら見上みあげたらすげたけところを、羽根はねなげとりが飛んでやがる。

「(二人ふたり無事ぶじよん。あんたたちとのリンクが途絶とだえてから、10びょうもしないうちに厨房ちゅうぼうに駆け込んできた)」
 てちてちてちてち。
 おっさんは奥方ルリーロさまを、ちゃんとおくとどけてくれたようだぜ。

「(となると居ねぇのは、おにぎり・・・・だけか……)」
「(どこかでやぶけてたとしても、たまご――セーブデータさえ回収出来かいしゅうできれば、復旧可能ふっきゅうかのう)」
 よし、どうなることかとおもったが――
 一先ひとまず、どぅにかなりそぅだ。

「はい! ちょぉだい
 画面がめんなか梅干し大アイコンさまが、ちいさなてのひらを突き出してきた。
「(はい! ちょぉだい)」
 ご丁寧ていねいに、おれの手のなかやつまでもが、ちいさなてのひらを突き出してきた。

なにをだぜ?」
 なにをだぜ?
「(かにはさみでしたら、収納魔法しゅうのうまほうの『取って置き食材』フォルダに入れてありま)」
 あー、蟹の鋏そいつか。

「(オッケーッ)」
 おい、つまみ食いすんなよ!
 そのはさみわぁ迅雷ジンライが〝うまめしにする算段さんだん〟を、付けてくれたからよ。
「(知ってるわよ。だからこうしてわざわざ、おむかえに来たんじゃないのさっ? バカわの? シガミーはバカわの)」
 うるせぇ。

 ようするに〝かにはさみを揚げたやつ〟を食うために、飛んできたのか。
 五百乃大角おまえさまらしいぜ。

 ふぉん♪
『シガミー>それで結局、此処は何処だ?』
 もう一度いちどあたりを見渡みわたしながら確認かくにんする。
 ふぉん♪
『>>二つの月の位置から、大森林より1008㎞北上した場所であると思われます』
 そりゃ、随分ずいぶんきただぜ。
 とおくのそらやま稜線近りょうせんちかくに――
 昼日中ひるひなか月々つきづきが、浮かんでる・・・・・

 けど、そのわりにゃぁ、さむくもなければ――
 やまもりけわしくねぇ。
 それこそ、ガムランちょうあたりの、木々きぎまばらな草原そうげんにしか見えん。

   §

ちがったぜ!」
 ぽっきゅぽっきゅぽっきゅららっらっ――――♪
 必死ひっしはしる、虎型ふ号おれ

「はイ、シガミー。ガムラン近郊きンこう草原そうゲんなどデは、有りませンでした
 ヴォヴォヴォオヴォゥゥゥンッ♪
 必死ひっしうなり、飛ぶ迅雷ジンライ

「そーわよ! 食材しょくざいの――宝庫ほうこわよっ
 ばかやろぅっ、食われちまうぞ・・・・・・・っ!
 ちゃんと、虎型ふ号おれ頭兜の中・・・・はいってろやぁ!

 虎型とらがたごうの、あたまの上。
 おおきなうえまでは、満足まんぞくに手がとどかんので――
「(迅雷ジンライぃ――!)」

了解りょウかいしまシた――すぽん
 ヴォヴォヴォヴォゥゥゥゥンッ♪
 迅雷ジンライ御神体いおのはらを、回収かいしゅうしてくれた。

「「「「「「「ぐぅぎゃるぉぅわぉぉぅぅ――!」」」」」」」
 すさまじい怒声どせいに、振りかえれば――
 大口おおぐちひらき、獲物おれに食らいつかんとする――
 身の毛がよだつ姿すがたをしたやつらの――群れ。

 おれたちは、とんでもなくでかい、そいつら・・・・に――
 追い立てられていた!
 その姿形すがたかたち。あんなのに心当たり・・・・は、まるでねぇ。
 ガムランちょうでもレイドむらでも、ネネルドむらでも大森林だいしんりんでも――どこでも。

すくなくとも、日の本・・・にゃ居なかったぜ・・・・・・! あんな恐ろしい姿の奴・・・・・・・ぁああよぉぉぉっぅ!?」
 たまに狐狸妖怪こりようかいに、化かされること・・・・・・・くらいはあったが――
 彼処ここまでおぞましい姿なりをした生きもんわぁ、そうそう居ねぇ。
 それこそ、〝ミノ太郎たろう〟くらいだぜ。

「いイえ。シガミーが生マれる、ヤく7200万年前まんネんまえ日本にホんにモ棲息せいソくしていマし
 うそつけやぁ――!
「あんなでかくて厳つい鳥・・・・・・・・が、日の本・・・に居てたまるかってんだぜ!」
 ぽっきゅらぽっきゅらぽぽきゅららららららららっららららっぁぁぁ――――♪

「くっきゃぉるるるるるぁぁ――――!!!」
 先頭せんとう一匹目いっぴきめが――ガチンときばを鳴らす!

 それは、石竜子とかげのようなつらをした――
 とりあるく――いや、はしるときの姿勢しせい
 どったどどった、どどった、どっどっどったっ!
 そのからだおおきさで、追いかけまわされりゃぁ――

 ぽっきゅらぽっきゅらぽぽきゅらららららっ――――♪
 いくら虎型とらがたでも、追いつかれちまわぁ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界起動兵器ゴーレム

ヒカリ
ファンタジー
高校生鬼島良太郎はある日トラックに 撥ねられてしまった。そして良太郎 が目覚めると、そこは異世界だった。 さらに良太郎の肉体は鋼の兵器、 ゴーレムと化していたのだ。良太郎が 目覚めた時、彼の目の前にいたのは 魔術師で2級冒険者のマリーネ。彼女は 未知の世界で右も左も分からない状態 の良太郎と共に冒険者生活を営んで いく事を決めた。だがこの世界の裏 では凶悪な影が……良太郎の異世界 でのゴーレムライフが始まる……。 ファンタジーバトル作品、開幕!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

報酬を踏み倒されたので、この国に用はありません。

白水緑
ファンタジー
魔王を倒して報酬をもらって冒険者を引退しようとしたところ、支払いを踏み倒されたリラたち。 国に見切りを付けて、当てつけのように今度は魔族の味方につくことにする。 そこで出会った魔王の右腕、シルヴェストロと交友を深めて、互いの価値観を知っていくうちに、惹かれ合っていく。 そんな中、追っ手が迫り、本当に魔族の味方につくのかの判断を迫られる。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜

EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」 優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。 傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。 そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。 次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。 最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。 しかし、運命がそれを許さない。 一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか? ※他サイトにも掲載中

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

処理中です...