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5:大森林観測村VSガムラン町
661:厨房ダンジョンLV2、ビステッカ嬢あらわる
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ひゅうううううわわっ――――!
下から吹き上がる風。
何処までも落ちていく、おれたち。
「落ちてる――ぶわっはっんだよな?」
息が出来ん。
「はイ、落下速度ハ205㎞/hに到達。一分前から変化はアりません、終端速度ニ達しマした」
此処は、偽レトラの腹の中か!?
「わかりマせんが、〝厨房ダンジョン〟ノ階層が――LV2に上昇したト思われレます」
LV2……厨房迷宮とやらが、手強くなったんだな?
迅雷を引っつかんでも、浮くことくらいは出来るが――ヴッ♪
ぶわさぁりっ――バッサァァァァッ!!!
隠れ蓑を纏った。
手甲と鉄下駄を大きく伸ばし、風に乗る。
ヒュォォォォォォォォォッ!!!
隠れ蓑には猪蟹屋制服と同じく、迅雷が作り置きした機械腕が仕込まれている。
ボッファ!
この強い布のお陰で、まるで武佐左妣みたいに、空中を好きな方向に漂えるのだ。
しかし、こう暗いと――何もわからん。
ふぉん♪
『>>暗視モード/ON
>>アクティブトラッカー/ON』
ヴュパァァァァ――――カッ!
辺りが強く輝いたと思ったら、また直ぐに暗くなった。
「暗視出来てモ、見ル対象がシガミーノ体シか有りマせん」
辺りには、何もねぇんだな。
手を振ればヴヴュゥンと、ざらついて見える。
「ひのたま――ぅぬぅ?」
唱えてみたが、何も出ねぇ!
それなら――「滅せよ!」
すると――チカチカチカチカッ、パアァッ!
辺りに魔法具の明かりが現れ、明るくなった。
「また、灯りが灯ったぞ?」
物が見えて、助かるが――どうしたことだぜ?
ずっと下の方に床が現れ、辺りには連綿と連なる高い壁。
上を見りゃ、とおくの方から――ゴゴゴゴォォォ!
天井みたいなのが――落ちてきてやがるぜ!?
ボッファ!
ヒュォォォォォォォォォッ!!!
おれは一度、羽ばたき――スッタァン♪
『▼▼▼』
上から迫る警告音――ゴォォォッ!
降り立ったのは、さっきと同じような作りの、やはり倉庫部屋。
「チィェェェェェィッ!」
上を見上げ、錫杖を思い切り突き込んだ!
スカッ――!?
其処に何処までも続く、縦穴はなく――
天井の魔法具が――眩しい!
其処はどちら向きかは、もう忘れたが――
間違いなく、二個目の倉庫だった。
「はぁぁー、潰されるかと思ったぜぇ……へにょり」
おれは床に、倒れ込んだ。
§
もう一度、入り口から出ると――
そこもやはり通路で、寸分違わぬ荷物が――
判で押したように、きっちりと乱雑に置かれていた。
曲がった先には、棚が有り。
その間には、机と椅子。
「あらっ、シガミーちゃん! こっちですわよ!」
椅子に座り、こちらを見ているのは――
あの五百乃大角と大食い勝負をして、途中までは引けを取らなかった――
驚異の子供、ビステッカ・アリゲッタだった。
やべぇぞ迅雷。
ふぉん♪
『>>はい、これは困ったことになりました』
ビステッカが相手じゃ、飯の量で人かどうかを推し量ることなど――
到底、不可能だからだ。
「はぁ、まったく。ほらよ」
おれは小脇に抱えていた張り扇を、差し出した。
「なんですの、これ?」
毛先が巻かれた、腰まである長髪。
ソレを纏めた後ろ頭の、飾り紐が揺れた。
「この厨房階……厨房ダンジョンは今、ジューク村長の魔法具で偽物になってる」
「なんですの偽物って。意味がわかりませんわ、シガミーちゃん?」
受け取った紙製の扇を広げて弄ぶ、線の細い童。
「だよなー。早い話が、この紙の扇で引っ叩きゃ――本物かどうかが、わかるんだよ」
それだけでは本当は足りんが、足しにするしか有るまい。
「これで自分の頭を……叩けと?」
一方的に叩くのは、悪ぃから――
まずおれを好きに一発、叩いて貰おうと――
張り扇を、渡したのだが。
「いや、それでもかまわんのか。よし、やってくれ!」
「お安い、ご用ですわ♪」
せーのっ、パッシィィィンッ♪
「これで、よろしいのですの?」
「おぅ。偽物は、砂になって崩れちまうからな」
迅雷、一先ず本物っぽいぜ?
「ふぅ、一安心だ。そういやぁ、腹ぁ空いてねぇのか?」
ヴッ――ゴトン、がたん。
おれは椅子を取り出して、座った。
「ついさっき、7匹も、おいしいお魚を頂いたばかりでしてよ?」
偽の童が腹を鳴らしていたから、つい聞いちまった。
「それがどぉしたぁ? お前さまなら、40匹は食えるだろぉ?」
せーのっ、パッシィィィンッ!!!???
おれは脳天を貫くような鋭い一発を、お見舞いされた。
「さぁ、これでシガミーちゃんも本物と、確定しましたわ♪」
おれは頭の上にのせた、ひらひらが曲がっていたのを直してもらった。
ふぉん♪
『>>〝猪蟹屋制式ホワイトプリム〟です』
「本当に残念ですわね……黙っていれば、こんなにかわいらしいのに♪」
おれの頬を摘まみ上げたビステッカが、眉を顰めた。
「やかましぃ。お前さんもぉ、人のこたぁ言えんだろぅがぁ!」
おれは大食らいの下っ腹を、摘み返し……んにゃわ?
つかむ所が、ないだとぉ!?
その細い腹回りは到底、五百乃大角と渡り合えるようには見えなかった。
ふぉん♪
『>>コントゥル家母娘の〝稲荷式痩身術〟の様な、効率の高い脂肪燃焼法があるのかもしれません』
うむ、二の腕を気にしていた……リオレイニアに教えてやりてぇな。
ふぉん♪
『>>では〝ビステッカの痩身の秘密を聞き出すこと〟を、TODOリストに入れておきます』
うん、そうしてくれ。
下から吹き上がる風。
何処までも落ちていく、おれたち。
「落ちてる――ぶわっはっんだよな?」
息が出来ん。
「はイ、落下速度ハ205㎞/hに到達。一分前から変化はアりません、終端速度ニ達しマした」
此処は、偽レトラの腹の中か!?
「わかりマせんが、〝厨房ダンジョン〟ノ階層が――LV2に上昇したト思われレます」
LV2……厨房迷宮とやらが、手強くなったんだな?
迅雷を引っつかんでも、浮くことくらいは出来るが――ヴッ♪
ぶわさぁりっ――バッサァァァァッ!!!
隠れ蓑を纏った。
手甲と鉄下駄を大きく伸ばし、風に乗る。
ヒュォォォォォォォォォッ!!!
隠れ蓑には猪蟹屋制服と同じく、迅雷が作り置きした機械腕が仕込まれている。
ボッファ!
この強い布のお陰で、まるで武佐左妣みたいに、空中を好きな方向に漂えるのだ。
しかし、こう暗いと――何もわからん。
ふぉん♪
『>>暗視モード/ON
>>アクティブトラッカー/ON』
ヴュパァァァァ――――カッ!
辺りが強く輝いたと思ったら、また直ぐに暗くなった。
「暗視出来てモ、見ル対象がシガミーノ体シか有りマせん」
辺りには、何もねぇんだな。
手を振ればヴヴュゥンと、ざらついて見える。
「ひのたま――ぅぬぅ?」
唱えてみたが、何も出ねぇ!
それなら――「滅せよ!」
すると――チカチカチカチカッ、パアァッ!
辺りに魔法具の明かりが現れ、明るくなった。
「また、灯りが灯ったぞ?」
物が見えて、助かるが――どうしたことだぜ?
ずっと下の方に床が現れ、辺りには連綿と連なる高い壁。
上を見りゃ、とおくの方から――ゴゴゴゴォォォ!
天井みたいなのが――落ちてきてやがるぜ!?
ボッファ!
ヒュォォォォォォォォォッ!!!
おれは一度、羽ばたき――スッタァン♪
『▼▼▼』
上から迫る警告音――ゴォォォッ!
降り立ったのは、さっきと同じような作りの、やはり倉庫部屋。
「チィェェェェェィッ!」
上を見上げ、錫杖を思い切り突き込んだ!
スカッ――!?
其処に何処までも続く、縦穴はなく――
天井の魔法具が――眩しい!
其処はどちら向きかは、もう忘れたが――
間違いなく、二個目の倉庫だった。
「はぁぁー、潰されるかと思ったぜぇ……へにょり」
おれは床に、倒れ込んだ。
§
もう一度、入り口から出ると――
そこもやはり通路で、寸分違わぬ荷物が――
判で押したように、きっちりと乱雑に置かれていた。
曲がった先には、棚が有り。
その間には、机と椅子。
「あらっ、シガミーちゃん! こっちですわよ!」
椅子に座り、こちらを見ているのは――
あの五百乃大角と大食い勝負をして、途中までは引けを取らなかった――
驚異の子供、ビステッカ・アリゲッタだった。
やべぇぞ迅雷。
ふぉん♪
『>>はい、これは困ったことになりました』
ビステッカが相手じゃ、飯の量で人かどうかを推し量ることなど――
到底、不可能だからだ。
「はぁ、まったく。ほらよ」
おれは小脇に抱えていた張り扇を、差し出した。
「なんですの、これ?」
毛先が巻かれた、腰まである長髪。
ソレを纏めた後ろ頭の、飾り紐が揺れた。
「この厨房階……厨房ダンジョンは今、ジューク村長の魔法具で偽物になってる」
「なんですの偽物って。意味がわかりませんわ、シガミーちゃん?」
受け取った紙製の扇を広げて弄ぶ、線の細い童。
「だよなー。早い話が、この紙の扇で引っ叩きゃ――本物かどうかが、わかるんだよ」
それだけでは本当は足りんが、足しにするしか有るまい。
「これで自分の頭を……叩けと?」
一方的に叩くのは、悪ぃから――
まずおれを好きに一発、叩いて貰おうと――
張り扇を、渡したのだが。
「いや、それでもかまわんのか。よし、やってくれ!」
「お安い、ご用ですわ♪」
せーのっ、パッシィィィンッ♪
「これで、よろしいのですの?」
「おぅ。偽物は、砂になって崩れちまうからな」
迅雷、一先ず本物っぽいぜ?
「ふぅ、一安心だ。そういやぁ、腹ぁ空いてねぇのか?」
ヴッ――ゴトン、がたん。
おれは椅子を取り出して、座った。
「ついさっき、7匹も、おいしいお魚を頂いたばかりでしてよ?」
偽の童が腹を鳴らしていたから、つい聞いちまった。
「それがどぉしたぁ? お前さまなら、40匹は食えるだろぉ?」
せーのっ、パッシィィィンッ!!!???
おれは脳天を貫くような鋭い一発を、お見舞いされた。
「さぁ、これでシガミーちゃんも本物と、確定しましたわ♪」
おれは頭の上にのせた、ひらひらが曲がっていたのを直してもらった。
ふぉん♪
『>>〝猪蟹屋制式ホワイトプリム〟です』
「本当に残念ですわね……黙っていれば、こんなにかわいらしいのに♪」
おれの頬を摘まみ上げたビステッカが、眉を顰めた。
「やかましぃ。お前さんもぉ、人のこたぁ言えんだろぅがぁ!」
おれは大食らいの下っ腹を、摘み返し……んにゃわ?
つかむ所が、ないだとぉ!?
その細い腹回りは到底、五百乃大角と渡り合えるようには見えなかった。
ふぉん♪
『>>コントゥル家母娘の〝稲荷式痩身術〟の様な、効率の高い脂肪燃焼法があるのかもしれません』
うむ、二の腕を気にしていた……リオレイニアに教えてやりてぇな。
ふぉん♪
『>>では〝ビステッカの痩身の秘密を聞き出すこと〟を、TODOリストに入れておきます』
うん、そうしてくれ。
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