滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

文字の大きさ
上 下
654 / 740
5:大森林観測村VSガムラン町

654:厨房ダンジョン、ルガレイニアの詠唱

しおりを挟む
 ぼごわあ――!
 それはいろとりどりのけむりによる、巨大きょだい
 あかあお筋煙すじは、まるで人肌ひとはだに浮かぶ、血管けっかんのようだったし。
 みどりむらさき鱗煙うろこは、絵画かいが技法ぎほうのように見えた。
 そしてそのうでは、たな木箱きばこ椅子いすを――薙ぎたおしていく!

「ぅぎゃぁぁぁぁっ!?」
「ひょへっ!?」
「「「ァハアン!?」」」
「「チェック!?」」「「ワンツー!?」」
 押しのけられる青年ニゲルや、村人むらびとたち。

 もっふぉぉわぁーボゴゴゴォォォンッ!
 はちかおのメイドに、つかみかかる――
 鬼族の娘オルコトリア身長しんちょうよりも巨大きょだいな、片腕かいな

「ヴウヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴォォォォォヴォォォオォッ――――!!!!」
 片腕それ見上みあげるはち威嚇いかくが、止まらなくなった。
 地に立つ無数むすうの、練習用魔法杖《まほうつえ》。
 さかしまに立つ一本箸いっぽんばしかずは、30はくだらない。

 その全てが・・・――ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォッ♪
 空中ちゅうを舞い――くるんくるんくるるん♪
 振り下ろされる、巨大きょだいうでに――ピタリピタリピタリッ!
 一斉いっせいねらいを付けた。

「ヴウヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴォォォォォヴォォォオォッ――――!!!!」
 片腕それ見上みあげるはち威嚇いかくが、にせ厨房ちゅうぼう木霊こだまする。
 ふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉぉん♪
『ルガレイニア>ひのたまみずのたまあついかぜつめたいかぜ、
       >つるくさのねいやしのみてつちのかべいわのかべ!』

 ちいさなつえからはなたれる、ちいさな魔法まほうたち。
 それは空中ちゅうすすむにつれて、沸騰ふっとうした湯になり、冷気れいきまとう氷結ひょうけつになり――
 土塊つちくれから生える木の根になり、芽が息吹いぶ枝木えだき粉砕ふんさいされる岩塊いわくれとなった!

「ふゃはっ!? なんですのその――気持ちの悪い魔法・・・・・・・・ーっ!?」
 おどろおのの悪逆令嬢あくぎゃくれいじょう
 気持きもちちのわるさじゃ、噴煙の鬼腕そっちの相当そうとうだろ!

「ヴウヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴォォォォォヴォォォオォッ――――!!!!」
 はち威嚇いかくは、なおも止まらない。
 ふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉぉん♪
『ルガレイニア>かえんのたますいりゅうのたまそよぐかぜつよいかぜ、
       >ふわふわうかべかるくなれくらがりのみてひかりのたま、
       >ひかりのたてよひかりのたてよひかりのたてよ!
       >ひのたまみずのた――』
 ながれる一行表示ティッカーも、止まらなくなった。

 芽吹めぶいた岩塊いわくれ粉砕ふんさいされ、雷撃らいげきと化し――
 ゴオォォォォォォォォォォォオッ!!!

『<AUTOMATIC・MAGIC・SHIELD>――ピピピピピッ、リンゴーン♪』
 複雑ふくざつ紋様もんようまとった光の盾・・・の、いしずえとなった。

 ズゴドゴガガガガガガガバッガガガガァァァァァァァァァアァンッ!
 大爆発だいばくはつする巨大片腕きょだいかたうでと、蜂顔のメイドルガレイニア

「ぎゃっ!? ちょっとアレ、大丈夫だいじょうぶわのっ!?
 御神体こんさい振り・・をした浮かぶ球いおのはら旧式きゅうしき)が、ルガレイニアを心配しんぱいしている。
 五百乃大角いおのはら自分じぶん美の女神・・・・のくせに、真っさき彼女リオレイニア色香いろかまどわされた。
 蜂女かのじょ美しさ・・・相当そうとう、気に入っているのだ。

「わからん! 迅雷ジンライ、どうなんだ!?」
 ふぉん♪
『>この噴煙は活力系の測定を阻害します。爆発直前のルガレイニアのバイタルに、異常値は検出されませんでした』
 このけむりに巻かれてるのは、あんまり良くねぇな。

 もわもわもわわわぁぁ――――!?
 あたりはけむに巻かれ、照明魔法具しょうめいまほうぐひかりろくとどかないほどのやみつつまれた。

「「きゃぁ――!?」」
「「「ァハァン――!?」」」
「「「「スッモーゥク――!?」」」」
「ちょっと、ニゲル。なんとかなさい!」
「ひひひひひぃぃん?」
 全員ぜんいんあわててやがるぜ。

「そんなこと言われてもこまるよ。けどこのけむり、ぜんぜんくるしくないよ?」
 うん。しかもけむりまだらいろが付いてて、くらくはねぇもんだから――
 なんとも、へんかんじだぜ。

 もわもわもわわわぁぁ――――ファサァー!
 炭火すみびけむり上手うまく吸わなかった、かぜとおあなへ――
 いろが付いたけむりが、立ちどころに吸い込まれていく。

「やっとけむが、晴れたぜっ――!?」
 ルガレイニア、ロットリンデとも健在けんざい
 ほほすこ焦げ目・・・が付いたが、擦り傷一きずひとつ負ってねぇ。

 ヴォヴヴヴォヴォヴォゥゥンッ!
 蜂顔の女ルガレイニア正面しょうめんかまえるのは、いつもよりもさら複雑ふくざつ紋様もんよう光の盾・・・
 そこから――ザギィン!
 鋭利えいり一本槍いっぽんやりが、突き出ていた!

「ぎゃっ――ゴーレム!? な、なんだリオ……ルガレイニアさんか、おどかさないでよぉぅ」
 ニゲルには尖った形・・・・一瞬いっしゅんゴーレムに見えた・・・・・・・・のだろう。
 ゴーレムというのは、ものすご異様いようかたちをした、強化服自律型おにぎりみたいなもので――
 ゴーレムであるてんぷらごうの、いまつぶらなひとみも――
 まえほそく突き出た、つららくさびのような有様かたちだったのだ。

 てのひらつらぬかれた巨大きょだい片腕かたうでが――ボゴゴゴゴゴゴゴゴオゴォン!
 爆発霧散ばくはつむさんしていき――バッフォォォォォン!
 またおれたちを、けむに巻いた。

   §

「ふぅ、降参こうさんですわ。その凶悪きょうあく防御魔法ぼうぎょまほう対人使用たいじんしよう厳禁げんきんするべきですわ――けほん♪」
 丸い頭・・・のロットリンデさまが、なにかほざいてやがるが――
 おおむね面白おもしろいので、ゆるしてやる。

「それは、こちらの科白せりふです。マジックシールドの最上位魔法・・・・・わたり合うような、高等魔術こうとうまじゅつわたくしは知りません――こほん♪」
 こっちも丸い頭・・・のルガレイニアが、なにかほざいてやがるが――
 おおむね面白おもしろいので、ゆるしてやる。

「どうされましたか、イオノファラーさま? そんなに目をぱちくりさせて?」
 ヴュゥン♪ 
 はち複眼のようなとがった眼鏡めがねかたちまるくなり、色味いろみもと上品じょうひんかんじにもどっていく。

「だって、リオレイニャーちゃんが、あのアフロ頭・・・・をみて、わらころげないなんてさっ! どーかんがえたっておかしいでしょう、そぉぅでしょぉぅ
 まだ御神体ほんたいはファロコに、取っつかまったままだ。
 にせ御神体ごしんたい調理台ちょうりだいうえを、ころがるように駆けまわっている。

「そうですねぇー。自分じぶんおなあたまをしているとおもったら、なんだか平気へいきになりました。もとからフカフむらかたたちのファッションには、興味きょうみがありましたし♪」
 手鏡てかがみのぞき込み、モサモサフワフワの自分じぶんかみさわるリオレイニア。
 上品じょうひん眼鏡めがね生来しょうらい気品きひんあいまって、見慣みなれたら良い感じにも・・・・・・おもえてきたぜ。

 あたまに付ける給仕服メイドふくの、ひらひらが浮いてるのは・・・・・・――
 ちょっとまだ、面白おもしれぇけどな。

   §

「さて、それじゃこのイイスタァエッグはファロコにまかせるとして、まんいちやべぇのが出てきたら、全員ぜんいんたおすんで良いなぁ?」
 落ち着いてはなし合ったら五分ごふんも掛からずに、けりが付いた。

「はぁい♪」「「ははぁーい♪」」
「ふむ、異存いぞんはありませんぞ」
「「「ぁはぁん♪」」」
「「「「「ぅぃやぁぁぁぁあぁっ――♪」」」」」
「ぎぎにゅり?」
「ひっひひひぃぃん?」

 まったく最初さいしょから、こうすりゃ良かったんじゃねぇーか。
 本気ほんきのルガレイニアとか、フワフワモコモコのリオレイニアとか。
 色々いろいろ面白おもしろかったけどよ。

「よしじゃぁ、そろそろもと厨房ちゅうぼうもどしてくれ。このままじゃ落ち着かん」
 村長ジュークに、おねがいする。
 いまからでも、大宴会だいえんかい仕込しこみみをはじめねぇとな。
 さいわいニゲルが居るから、したごしらえは直ぐに終わりそうだ。

「えっ、もどれないけど?」
 またか。どうしてこう毎回毎回まいかいまいかい上手うまいことはなしすすまねぇかなぁ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

処理中です...